"日本国国防軍" -終わりなき戦い- 国際治安支援部隊 ISAF 作:Veruhu
――――ダンッ! ダンッ! ダンッ!
乾いた銃声が、耳元で炸裂した。発射された弾丸が、直ちに照準していた狙点に着弾する。俺はそのままACOG光学照準器を覗きながら、20発程度制圧射撃を実施した。敵が射撃してきたとみられる1時方向300の建物に、無数の弾痕が形成される。俺は続いて40mm擲弾を発射しようと、銃を上方向に向け引き金に指を掛けた。
その時、2時方向同じく300の別の建物より、大量の粉塵が一瞬で巻き上がるのを視界の端で確認した。俺は瞬時に事態を把握し、叫んだ。
「ロケット!」
俺は、地面を噛むかのように、大地に伏せた。第5匍匐だ。顔に砂漠の土が付き、鼻に砂埃が入りそうになる。
周りの隊員は、俺の叫び声に瞬時に反応したのか、伏せの動作に入っていた。それを伏せながら見守っていた時、付近で大きな爆発音が発生する。爆風により発生する激しい風圧で、全身を殴られたような錯覚に陥る。
「――――――――ぐあああああああああああああああああああああああッ!」
刹那、左手から大きな叫び声が上がった。俺は、自身の隊から負傷者が出てしまったことを悟る。ロケットを発射してきた建物に対し、素早く40mm擲弾を発射すると、小隊ネットで叫んだ。
『こちらアラ! 10時方向350の建物よりロケット! ハチヨン射撃を準備する!』
その後、分隊ネットにて
『ハチヨン射手、無反動用意! 射撃目標、ロケットを発射してきた10時方向350の建物! 榴弾曳下、一発指命!』
俺は叫び終えると、すぐさま悲痛な叫び声が聞こえてきた方向に対して、走り始めた。走っている途中、お互いの無線ネットより、了解との声が帰ってくる。
すぐに到着した現場では、一名の隊員が負傷をして足から血を流し、二人の隊員が第一線救護に入っていた。俺は大声で状況を問う。
「状態は!」
「恐らく左足大腿部
救護中の隊員はそう言うと、止血帯を素早く左足に巻き付けた。傷口より心臓に近い位置に止血帯を固定すると、ハンドルを回し強力な力で緊縛する。
出血は多量だ。位置的にも、恐らく大腿動脈をやられているだろう。
――――――トリアージはレッドだな…………。
俺はそう考えた。素早く後送しなければ、命が危ない。
「田中! 救護の支援に入れ! Salineを投与するんだ!」
「了解!」
無線手の田中一等陸士には、軽めのメディキットを持たせていた。田中は、衛生員の資格は持っていないものの、隊員は皆一応、講習は受けている。恐らく問題は無いはずだ。
小隊本部の衛生隊員は今現在、敵の射撃に釘づけにされているから動けないだろう。衛生隊員を待っていたら負傷者が死んでしまう。
俺はそう考えながら、負傷者の名札を確認した。
――――――SYOTARO NEI
「ん!? お前は、
「そうで…………あります…………」
根井は痛みに耐えながら、そう答えた。俺の分隊の隊員ではなかったのか。しかしなぜここに、第二分隊の隊員が居るんだ。第二分隊は右手に展開していた筈だが。
考えている暇はない。俺は小隊ネットで叫んだ。
『こちらアラ、マツ! 重症者発生! 患者は第二分隊、根井翔太朗! 左足大腿部恐らく盲管銃創! 至急メディバックを要請する!』
『こちらマツ、アラ、了解!』
これで後送の手順は確保出来た。俺は戦闘に復帰する為、無反動砲の位置まで走る。
現場では、砲手が84mm無反動砲を用意し、弾薬手がレーザー距離計により目標の建物までの距離を測定していた。榴弾曳下を効果的に命中させる為には、正確な距離の測定が必要な為だ。
「どうだ! 撃てそうか!」
「はい! 正確な距離、今出ました! 目標の建物まで距離367です!」
「了解! 無反動、榴弾曳火、信管側合350。前方建物367! 一発指命!」
「榴弾曳火、信管側合350。前方建物367! 一発指命!」
弾薬手は俺の射撃号令を復唱しながら、無反動砲に弾薬を装填していく。
「鋼管操作、安全装置良し! 弾込め、後方良し! 砲口薬室良し! 信管側合350、完全閉鎖! 弾込め良し!」
俺は周辺の安全を確認しながら、射手の号令を待機した。
「準備良し!」
すぐに射手は叫んだ。俺はそれを確認すると、喉がはち切れそうになるくらいの大声で、射撃命令を下した。
「了解! ハチヨン撃てぇ――――ッ!」
班長及び弾薬手、射手が俺の号令を復唱すると、その後素早く射手は再度叫んだ。
「発射ァ―――――ッ!」
瞬時に射手は引き金を引き、無反動砲を発射した。