Dark Matter In Fairy Tail   作:bbbb.

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四話

 

 青い天馬(ブルーペガサス)マスター・ボブの別荘

 

 「「「……!」」」

 

 険悪なムードが別荘内を支配していた。闇ギルドでバラム同盟の一角、六魔将軍(オラシオンセイス)を倒すため四つのギルドが連合を組むこととなった。そしてその集合場所としてここが指定され、各ギルドから抜擢されたメンバーが集合したのだが、顔を合わせるやいなや早速メンバー同士でいざこざが起こり、お互い一触即発という状態だ。そんな中、

 

 「やめぇぇい!!!」

 

入り口のドア付近で長い杖をドンッ!と鳴らし、声を張り上げながら場を鎮める男がいた。館内の全員の視線が注がれる中、男は静かに続ける。

 

 「ワシらは連合を組み、六魔将軍(オラシオンセイス)を倒すのだ。仲間内で争っている場合か!」

 「ジュラさん!」

 「…ジュラ?」

 「こいつがあの…」

 「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のエース…岩鉄のジュラ!」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のリオンが嬉しそうに男の方を見つめ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のエルザ・スカーレットや青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキとレンは驚きの表情を浮かべていた。すると桜髪の青年、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ・ドラグニルが横にいる青いネコに尋ねた。

 

 「だれ?」

 「聖十魔導の一人だよ!」

 「私でも聞いたことある名前だぁ…」

 

ジュラの登場に皆が驚いていると、そのジュラが再び口を開いた。

 

 「これで三つのギルドが揃った。残るは化猫の宿(ケットシェルター)の連中のみだ」

 「連中というか、二人だけと聞いてまぁす」

 「二人…!」

 「こんな危ねぇ作戦に二人だけ!?」

 「どんだけヤバい奴らなのよ~!!」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のグレイやルーシィが驚きの声を上げていると突然、

 

 「うわぁ…っ!?」

 

可愛らしい声と共に床に転びながら一人の少女が館内に入ってきた。皆の視線が注がれる中、その少女は「痛ったぁい…」と小さく呟きながらゆっくりと身体を起こし、おずおずとしながら口を開いた。

 

 「あ、あの~…遅れてごめんなさい…化猫の宿(ケットシェルター)から来ましたウェンディです。よろしくお願いします」

 「な…っ!?」

 「子供!?」

 「女…!」

 「ウェンディ?」

 

まさかこんな小さな少女が来るとは誰も思っておらず、皆驚きを隠せない様子だった。しかしジュラは何事もなかったかのように話を進める。

 

 「これであと一人か」

 「話進めるのかよっ!!!」

 

思わずジュラにツッコむグレイ。

 

 「それにしても…」

 「この大がかりな作戦にこんなお子様をよこすなんて…化猫の宿(ケットシェルター)はどういうおつもりですの?」

 

リオンやシェリーも思わず疑念の言葉を口にしていた。すると、

 

 「あら、どういうつもりも何も、六魔将軍(オラシオンセイス)を倒すために決まってるでしょ。ケバいお姉さん」

 

突然一匹の白いネコが現れそう言った。

 

 「シャルル!ついてきたの!?」

 「当然よ。こんな危ない作戦、ほっとけるわけないでしょ」

 「ネコ…?」

 「…だな」

 「ハッピーと同じだ…!」

 「喋ってる!」

 「酷いですわ!ケバいなんて…」

 

喋るネコの登場にまたしても驚くメンバー達。すると青い天馬(ブルーペガサス)のイヴがシャルルとウェンディに尋ねた。

 

 「化猫の宿(ケットシェルター)からは二人って聞いてたんだけど、ウェンディちゃんとそこのネコちゃんの二人ってことでいいのかな?」

 「「??」」

 

イヴの問いにウェンディとシャルルは顔を見合わせると、ウェンディが微笑みながら答えた。

 

 「えっと、多分それは違います。シャルルは勝手に付いてきただけなので」

 「フン!」

 「えっ、そうなの?じゃああと一人っていうのは…」

 

イヴが最後まで聞き終わらないうちに館内にコツコツと靴の鳴る音が聞こえ、シャルルとウェンディが後ろを振り向き、自分達の入ってきた方角へ視線を向けた。メンバー達も同じように入り口の方を見ると、ポケットに手を突っ込んだ一人の男がゆっくりとこちらへ歩いてくる姿が見えた。皆が見つめる中、シャルルがその男に対したしなめるように言った。

 

 「遅いわよ」

 「お前らが早すぎんだよ」

 

男は素っ気なくそう返し、ウェンディとシャルルの側まで来るとジュラ達の方へ向き直った。そして、

 

 「化猫の宿(ケットシェルター)のテイトク。テイトク・カキネだ。よろしくな」

 

不敵に笑いながら男は名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「テイトク・カキネ…」

 「知ってるか?」

 「いや知らん。初めて聞いた名だ」

 「なんだまた男かよ…」

 

 突然目の前に現れた謎の青年・テイトクをいぶかしげに見つめる他のメンバー達。ウェンディについてもそうだが、他のギルドのメンバーとは違って今まで全く聞いたことのない人物が登場し、些か困惑気味になっている様子だ。そんな化猫の宿(ケットシェルター)の面々をエルザや一夜、そしてジュラは黙って見つめる。

 

 (テイトク君にウェンディ君…聞いたことのない名だな。メェーン…)

 (ウェンディという少女…あの少女からはワシらとは何か違う魔力を感じる。そして…)

 (テイトク・カキネ…魔力を全く感じない。それなのに、何だ?この妙な感じは…ただ者ではなさそうだが…)

 

垣根やウェンディが注目の的になっている一方で、垣根もまた他のギルドメンバーに対し視線を向けていた。

 

 (青い天馬(ブルーペガサス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、そして妖精の尻尾(フェアリーテイル)か。パッと見そこそこやれそうなのは聖十のジュラと妖精女王(ティター二ア)とか呼ばれてるエルザくらいか。そして…)

 

 垣根はふと一人の青年に目を向ける。桜色の髪色をし、首に竜の鱗のような模様をしたマフラーを掛けている、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ・ドラグニルだ。

 

 (ナツ・ドラグニル…ウェンディと同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)。ギルドのためとは言ってたが、アイツがこの作戦に志願したのはコイツに会えると思ったからだろうな。前から会いてぇみたいなこと言ってたし…って何やってんだアイツら)

 

思わず考え事を止め、垣根が視線を移すとそこには青い天馬(ブルーペガサス)のホスト三人衆に手厚くもてなされているウェンディとシャルルの姿があった。垣根が呆れてため息をついていると、

 

 「だから遊びに来たんじゃない。すぐに片付けろ」

 「「「かしこまりましたお師匠様ー!!!」」」

 

一夜に言われすぐにセットを片付けに行くヒビキ達。今から大仕事に向かうチームとは思えないほど緩みきった空気に垣根は心の中で再びため息をついた。

 

 (大丈夫なのかコイツら)

 

すると、ヒビキ達がセットの片付けから戻るのを確認した一夜は決めポーズをしながら全員に話しかけた。

 

 「さて…全員揃ったようなので、私の方から作戦の説明をしよう。まずは六魔将軍…六魔将軍(オラシオンセイス)が集結している場所だが…」

 「「「……」」」

 「…と、その前にトイレの香り(パルファム)を」

 「おい!そこには香り(パルファム)って付けるな!」

 「「「流石先生!」」」パチパチパチ

 「また呼び方変わった…」

 「ハァ…」

 

気を取り直し、トイレから帰ってきた一夜が今度こそ作戦の概要を説明し始めた。

 

 「ここから北に行くとワース樹海が広がっている。古代人達はその樹海にある強大な魔法を封印した。その名は…ニルヴァーナ!」キラーン!

 「「ニルヴァーナ??」」

 「聞かぬ魔法だ…」

 「ジュラ様は?」

 「いや…知らんな」

 「ニルヴァーナって知ってる?てか魚いる?」

 「結構」プイッ

 「……」

 

ほとんどの連合メンバーがニルヴァーナという名前に首をかしげる。すると今度はレンが口を開いた。

 

 「古代人達が封印するほどの破壊魔法、ということは分かっているが…」

 「どんな魔法かは分かってないんだ」

 「破壊魔法…」

 「六魔将軍(オラシオンセイス)が樹海に集結したのは、きっとニルヴァーナを手に入れる為なんだ」

 「我々はそれを阻止するため…」

 「「「六魔将軍(オラシオンセイス)を討つ!!」」」

 

またも決めポーズと共に宣言する一夜達に辟易するグレイやルーシィ。そして一夜達は今度はその六魔将軍(オラシオンセイス)についての説明を始めた。

 

 「こっちは13人。敵は6人」

 「だけど侮っちゃいけない」

 「この6人がまたとんでもなく強いんだ」

 

そう言ってパチンッ!とヒビキが指を鳴らすと、突然ヒビキの側にパソコンの画面のようなものが出現した。

 

 「アーカイブ…」

 「これも珍しい魔法だな」

 「初めて見ましたわ」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の三人が声を上げる中、ヒビキがなにやらキーパッドに打ち込んでいると垣根達の目の前にいくつもの新しい画面が表示された。

 

 「これは最近になってようやく手に入れた奴らの映像だ。毒蛇を使う魔導士・コブラ。その名からしてスピード系の魔法を使うと思われるレーサー。大金を積めば、一人でも軍の一部隊を壊滅させるほどの魔導士・天眼のホットアイ。心を覗けるという女・エンジェル。この男は情報が少ないのだが、ミッドナイトと呼ばれている。そして奴らの司令塔・ブレイン。それぞれがたった一人でギルドの一つくらいは潰せる程の魔力を持つ。我々は数的優位を利用するんだ」

 「あ…あの~…私は頭数に入れないでほしいんだけど…」

 「私も戦うのは苦手ですぅ~…」

 「ウェンディ!弱音吐かないの!」

 

ルーシィとウェンディが不安げに声を上げると、一夜が励ますように言った。

 

 「安心したまえ。我々の作戦は戦闘だけにあらず。奴らの拠点を見つけてくれればいい」

 「拠点?」

 「ああそうだ。今はまだ補足していないが…」

 「樹海には奴らの仮設拠点があると推測されるんだ」

 「もし可能なら、奴ら全員をその拠点に集めてほしい」

 「どうやって?」

 「殴ってに決まってんだろ!」

 「結局戦うんじゃない…」

 「で?集めてどうすんだよ」

 

垣根が一夜達に尋ねると、一夜がパッと指で上の方を指さしながら答えた。

 

 「我がギルドが大陸に誇る天馬・クリスティーナで拠点もろとも葬り去る!」

 「おぉ…!」

 「それって魔導爆撃艇のことですの?」

 「てか、人間相手にそこまでやる?」

 「そういう相手なのだ!」

 「あわ…っ!は、はい!」

 

ジュラの引き締まる声が館内に響くと、再び全員がジュラの方へ向き彼の話を聞いた。

 

 「よいか!戦闘になっても決して一人で戦ってはいかん。敵一人に対して必ず二人以上でやるんだ」

 「「「……」」」コクリ

 「うわぁーん!そんな物騒なぁ…」

 「困りますぅ…」

 「情けない声出さないの!」

 「ったくお前、自分から立候補して来たんじゃなかったのかよ」

 

シャルルがウェンディをたしなめ、垣根が呆れたように呟いていると、

 

 「おしっ!!燃えてきたぞ!」バシッ!

 

炎を灯した拳を鳴らしながらナツが嬉しそうに言い、そして、

 

 「6人まとめて俺が相手してやるァーー!!!」

 

高らかにそう叫びながら一人飛び出して行ってしまった。今までの話を何一つ聞いていなかったかのような行動に唖然とするメンバー達。それは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士らも同様で、頭を抱えながらナツの出て行った方角を見ていた。

 

 「あのナツって奴、もしかしなくても究極の馬鹿だろ」

 「…返す言葉もない…」

 

垣根の言葉にうなだれるしかないエルザだったが、すぐに切り替えグレイやルーシィ達に呼びかけた。

 

 「仕方ない。行くぞ」

 「ったくあの馬鹿!」

 「妖精の尻尾(フェアリーテイル)には負けられんな。行くぞシェリー!」

 「はい!!」

 「俺達も行くぞ!」

 「うん!」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーだけでなく、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)青い天馬(ブルーペガサス)のメンバー達もナツの後を追っていった。

 

 「あわわわわ…」

 「ほら!しっかり!」

 

シャルルがあたふたしているウェンディに声をかけると、突然垣根が別の方角へ歩き出した。それを見たシャルルは思わず垣根を呼び止める。

 

 「ちょっと!アンタどこ行くのよ!」

 「トイレ」

 「はぁ??何言ってるのよこんな時に!もうみんな行っちゃったわよ!?」

 「別に競争ってわけじゃねぇんだ。トイレくらい行かせろ」

 

そう言いながら垣根は廊下の奥へと消えていった。垣根のあまりの協調性のなさにため息をつくシャルルは、唐突にウェンディの手を取った。

 

 「ウェンディ行くわよ!」

 「え…っ!?わっ!?シャ、シャルル!テイトクさん待たないと!」

 「アイツなら後から追いつくでしょ。ほら、グズグズしない!」

 「ちょっ…シャルルぅ~!」

 「待ってよぉ~!!置いてかないでよ~!!」

 

こうしてウェンディとシャルル、そしてハッピーまでもが皆を追いかけて走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「トイレ、トイレっと…」

 

 他のメンバーが六魔将軍(オラシオンセイス)を探しに出発している中、垣根は呑気に館内でトイレを探していた。中々広い建物なのでトイレに行くのも一苦労だな、と垣根が心の中で思っていたちょうどその時、探していたトイレが見つかった。

 

 (意外と近くにあったな)

 

幸運にもそこまで時間をかけずにトイレを見つけられてホッとしながら垣根はトイレの中に入った。すると、

 

 「……あ?」

 

垣根は自分の視界に入ってきた光景に思わず声を漏らす。垣根の視線の先には、小便器と小便器の間に青い天馬(ブルーペガサス)の一夜が気絶して壁にもたれかかっている姿があった。どうやら何者かに手ひどく暴行を加えられたらしいことは外見からも想像できる。垣根は急いで一夜に駆け寄ると、一夜の肩を揺らしながら声をかけた。

 

 「おい!おっさん!しっかりしろ!何があった?おい!」

 「…っ!この声は…テイ…トク…君…」

 

垣根の声によって意識を取り戻した一夜は絞り出すように声を発した。酷い怪我だが、とりあえず生死を争うほどの怪我ではないらしい。

 

 「メェーン…私としたことが…不覚にも…敵の不意打ちを…喰らってしまう…とは…」

 「あ?敵?ここに敵がいたのか?」

 「あぁ…しかもその相手は…六魔将軍(オラシオンセイス)の一人…だ…」

 「なんだと!」

 

一夜の言葉を聞いた垣根は思わず目を丸くする。まさかこんな早い段階から六魔将軍(オラシオンセイス)と接触するとは思わなかったからだ。

 

 (情報が漏れてる…?だとしたらあいつらが待ち伏せされてる可能性も…)

 「テイトク君…一つ…頼みがある」

 「あ?」

 

考え事をしている最中に一夜から話しかけられた垣根は、思考を停止し一夜の方を見る。すると一夜が弱々しい声で垣根に言った。

 

 「私の…胸ポケットに…痛み止めの香り(パルファム)が入っている…それを取ってくれないか?」

 「……これか?」

 「あぁそうだ…ありがとう…」

 

一夜は垣根に礼を言いながら手渡された小瓶をの蓋を開けた。すると、

 

 モワァァァン

 

小瓶の中からいい匂いがあふれ出し、トイレの室内に広がっていく。垣根が充満するこの匂いについて意識を向けていると、突如一夜が立ち上がった。

 

 「よし!もう大丈夫だ。行こう垣根君!」

 「…大丈夫ってお前、ボロボロじゃねぇか。そんなんで動けんのかよ?」

 「これは痛み止めの香り(パルファム)といって、香りを嗅ぐと痛みが軽減される効果を持つんだ。傷が治ったわけではないが、ひとまずは大丈夫さ。メェーン」

 「へぇ。そんな魔法があるんだな」

 「あぁ…って私の魔法については後だ。とりあえず今は敵を追わなければ。奴は私に化ける魔法を使っていた。このままでは皆が危ない!」

 「…なるほどね」

 

一夜の話で敵の危険性について理解すると、垣根は一夜と共に急いで入り口の方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……っ!」

 

 ジュラはゆっくりと目を開ける。すると、目の前には一夜の姿が目に入った。

 

 「…っ!貴様、は…」

 「メェーン。私は本物だ。ジュラさん」

 「本物…?」

 

ジュラは痛みに苦しみながら目の前の一夜を見ると、服は破けあちこち傷だらけになっていることに気がついた。

 

 「私はトイレに行っているときに敵に襲われて、今まで気絶していたんだ。敵は恐らくそのタイミング私に化けて入れ替わったんだろう」

 「そういう、ことだったのか…」

 

ジュラは事のいきさつについて理解すると、ふと自分の身体の痛みがどんどん引いて行っていることに気がつく。一体なぜだろうと思っていると、ジュラの考えを読んだのか一夜が手に持っている小瓶を見せながらジュラに説明した。

 

 「これは痛み止めの香り(パルファム)。一時的ではあるが、痛みを和らげる効果を持つのさ」

 「そうか。これはかたじけない」

 

ジュラが一夜に礼を言っていると、

 

 「おいおっさん」

 

今度は垣根に話しかけられ、顔を垣根の方へ向けるジュラ。すると垣根はジュラにウェンディ達について質問を投げかけた。

 

 「ウェンディとシャルルはどこ行った?」

 「彼女たちなら先ほど皆の後を追いかけていったぞ」

 「チッ!あいつら…」

 

忌々しそうに舌打ちをした垣根は、ジュラ達から少し離れた所へ移動する。そして、

 

 ファサッ!!

 

突如垣根の背中から三対六枚の白銀の翼が出現した。その美しさに思わず目を奪われるジュラ達だったが、垣根は一夜の方を振り返ると一言伝えた。

 

 「おっさん、そこのおっさんのこと任せたぞ」

 「…いや、おっさんって君ね、私はこう見えても二――――」

 

 轟ッッ!!

 

一夜の言葉を最後まで聞かないうちに、垣根は翼を豪快にはためかせ、轟音と共に空へ飛び立っていった。

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