Dark Matter In Fairy Tail   作:bbbb.

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すみません、、、
お騒がせしました、、、


七話

 

 「きゃあ!?」

 

 突然垣根の耳に聞こえた、一人の少女の悲鳴。よく聞き覚えのあるその悲鳴に垣根が急いで振り返ると、ブレインがその邪悪な魔力でウェンディの身体を拘束している姿が目に入った。

 

 「チッ!」

 

垣根は大きく舌打ちをすると、六枚の翼を勢いよくはためかせ一直線にブレイン目掛けて突撃した。しかし、

 

 「金に上下の隔て無し!」

 

 ドッッッッ!!

 

大きな振動音と共に周囲の地面が隆起し、その形を変える。軟化した地面は垣根を覆い尽くすかのごとく、高波のように左右に高くせり上がると、低空飛行する垣根目掛けて一斉に襲いかかった。

 

 ドォォォォォォン!!!

 

土の濁流が垣根を呑み込み、辺りに衝撃が走る。

 

 「テイトク!」

 

ナツが目を見開きながら叫ぶ中、再びブレインのドクロの杖が不気味に光ると、

 

 「うぬらにもう用はない。消えよ」

 

 常闇回旋曲(ダークロンド)

 

禍々しい魔力光線の束がナツ達目掛けて一斉に降り注いだ。

 

 「伏せろ!」

 

ヒビキやレンを中心にその場からの退避を試みるも、傷の痛みによって動けない者も多く、誰もが直撃は免れ得ないと思ったその時、

 

 「岩鉄壁!」

 

ゴリゴリゴリッ!という音をたてながら地面が形を変え、いくつもの岩柱がナツ達の頭上を覆うと、降り注ぐブレインの魔力光弾を受け止めた。

 

 ズガガガガンッッッ!!

 

ブレインの魔力光弾が着弾し、岩柱の表面が次々と爆破されていく。しかし、鋼鉄の堅さと化した岩柱はブレインの魔力の一切を遮断し、ナツ達の身を守り切った。そして、

 

 「間一髪…」

 

岩柱でナツ達を救った張本人、ジュラが厳めしい表情で呟いた。

 

 「ジュラ様!」

 「おおおおっ!!」

 「すごいや!」

 「ありがとう。助かったよ」

 

窮地を救ってくれたジュラに皆が礼を述べると、ナツがキョロキョロと辺りを見渡し六魔将軍を探す。

 

 「あいつらは!?」

 

他の者も六魔の姿を探すもそれらしき姿はない。どうやらブレインの攻撃をジュラが防いでいる間に逃げられてしまったようだ。

 

 「消えちまったか…」

 「んだとコラー!」

 

ナツが怒りを露わにしながら叫ぶ中、シャルルは一歩前に出ると不安そうな表情で遠方を見つめた。

 

 「ウェンディ…」

 

シャルルのか細いつぶやきの直後、今度は青い天馬(ブルーペガサス)のレンがゆっくりと立ち上がり、悔しそうな表情で口を開いた。

 

 「完全にやられた…」

 「あいつら、強すぎるよ…」

 「六魔将軍(オラシオンセイス)…なんて奴らだ」

 「たった六人だというのに、集めていた情報以上の魔力だった」

 「頼りのクリスティーナまで…」

 「うむ。心が覗けるという女が言っていた。ワシらの作戦が全部分かった、とな」

 

連合軍のメンバーが改めて六魔将軍の強さに戦いていると、

 

 「あの、あれに乗ってた人達は…?」

 

ルーシィが心配そうな様子で尋ねた。その問いにヒビキ達が答える。

 

 「それなら心配ない」

 「クリスティーナは目的地まで遠隔操作で向かうからね」

 「仮設拠点が判明した後で僕たちが乗り込むハズだったんだ」

 「そっかぁ!良かった!」

 

ヒビキ達の言葉でホッと胸をなで下ろすルーシィ。一方、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のリオンも負傷した箇所を抑えながら同じギルド仲間であるジュラの方へ近づき、ジュラが無事なことを確認するとホッとしたような表情を浮かべた。

 

 「ジュラさんも無事で良かった」

 「いや、危うい所だった」

 「!その傷…」

 「恐ろしい力だった。今は一夜殿の"痛み止めの香り(パルファム)"で一時的に抑えられているが…」

 

そう言いながらジュラは、ボロボロの姿にもかかわらず普段と同じテンションでいる一夜をチラリと見る。

 

 「一夜殿やテイトク殿がいなかったらワシもどうなっていたか…」

 「テイトク…はっ!そういえばアイツは!?」

 

ジュラの言葉で忘れかけていた垣根の存在を思い出したリオンは慌てて辺りを見渡す。リオンの言葉を聞いた他の者も同じように垣根を探した。

 

 「確か敵の魔法を喰らってたよね。地面を操る魔法」

 「あぁ。生き埋めになってなきゃいいが…あれだ!」

 

グレイが指さした方角の先には、土が山の様に盛り上がっている場所があった。恐らくあの中に垣根がいるのであろう。皆は急いで垣根を助け出そうと走り出した。すると、

 

 ズドォォォォォォン!!

 

凄まじい轟音と共に土の山が吹き飛ばされ、土塊があちこちに飛び散った。

 

 「な、なんだ!?」

 「爆発!?」

 

迫り来る風圧を耐えながらグレイ達が目をこらすと、土煙の中から一人の青年がゆっくりと姿を現した。

 

 「テイトク!」

 

シャルルがその名を呼びながら垣根の元へと駆け寄ると、垣根もまた、向こうから駆け寄ってくるシャルルを視認した。

 

 「シャルルか。ウェンディは?」

 「……」

 「…そうか」

 

シャルルが悲しげな表情で俯く姿を見て垣根は全てを察すると、心の中で忌々しげに呟いた。

 

 (…思ったよりコブラに手間取った俺のミスだな。だが奴らの様子から察するに、何かウェンディに用があって攫ったとみて間違いない。なら身の安全についてはしばらくは問題ねぇとは思うが…)

 

垣根が思案していると、そこへ他の連合のメンバーも垣根の下へ駆け寄った。皆、垣根の無事を確認すると心底ホッとしたような表情を浮かべた。

 

 「無事だったかお前!」

 「良かったぁ…!」

 「それにしてもお前強すぎだろ。俺達があんなに苦戦した奴らをあんなにあっさりと」

 「こんなに強い魔導士が化猫の宿(ケットシェルター)にいただなんて、今まで聞いたこともありませんわ」

 「テイトク・カキネ。おまえは一体…」

 

口々に垣根に話しかける連合の魔導士達。垣根の正体を訝しむ者もいる中、垣根が口を開こうとしたその時、

 

 「エルザ!」

 

ナツの慌てたような声が聞こえる。皆が一斉に振り向くと、木に寄りかかりながら自身の右腕を押さえ、痛みに顔を歪めるエルザの姿が目に入った。エルザの右腕はコブラの毒蛇・キュベリオスの毒によって犯され、思わず顔を背けたくなるほど毒々しく変色していた。苦悶の表情を浮かべるエルザにグレイ達も慌てて駆け寄った。

 

 「エルザ!しっかりして!」

 「うっ……うあっ……」

 「蛇に噛まれたところから毒が回っているのね」

 「一夜様!」

 「分かっている。マイハニーのために!"痛み止めの香り(パルファム)"香り増強!!」

 

言葉通り、一夜は香りの魔法の効力をさらに強める。一夜の痛み止めの香り(パルファム)は単なる傷の痛み止めだけではなく、毒の浄化作用まであるという。一夜の持つ小瓶からあふれ出る癒やしの香りがエルザの元へと届いた。しかし、

 

 「く……っ!!うぐ…っ!」

 「エルザ!大丈夫か!?」

 「余計苦しんでねぇか!?」

 「お、おやぁ…?」

 

一夜の強化された香りを嗅いだにもかかわらず、エルザの容態は良くなるどころかさらに苦しみの声を上げる。これには流石の一夜も困惑の色を隠しきれなかった。

 

 「うが……っ!?」

 「メ、メェーン…」

 「これは…」

 「そんな!痛み止めの香り(パルファム)が効かないなんて」

 「しっかりしろ!エルザ!」

 

ナツが励ますようにエルザに声をかける。皆が心配そうにエルザを見つめる中、ふとエルザがその疲れ切った顔を上げた。そして、

 

 「ルーシィ…すまん。ベルトを…借りる」

 

そう言って急にルーシィのスカートのベルトを掴んだエルザは、有無を言わさずそのベルトを抜き取った。

 

 「えっ?ちょっ……きゃあぁぁぁぁっ!?」

 

悲鳴を上げるルーシィを他所に、エルザは口を使って自身の右腕にベルトを巻き付けていく。ルーシィはずり落ちるスカートを押さえながらエルザに尋ねた。

 

 「何してるのよエルザ!?」

 「すまん…このままでは戦えんのでな」

 

ベルトを右腕にギュッと結びつけたエルザは剣を地面に突き刺し、アームスリーブを口にくわえながら地面に座る。そして自身の右腕を肩位置まで持ち上げると、

 

 「斬り落とせ」

 

毅然とした口調でグレイ達に言い放った。

 

 「「「なっ!?」」」

 「バカな事言ってんじゃねぇよ!!!」

 「頼む…誰か…」

 

額にびっしょりと汗を掻き。苦しげな表情で言葉を絞り出すエルザに誰もが唖然としている中、リオンがエルザの前に出るとそのまま地面から剣を引き抜いた。そして、

 

 「分かった。俺がやろう」

 

静かな口調でリオンが告げる。

 

 「リオン様…」

 「やめろリオン!」

 「やれ」

 「よせ!!」

 

グレイが声を張り上げ、必死にリオンを引き留める。ルーシィもおずおずとリオンに尋ねた。

 

 「リオン…本当にやる気なの?」

 「今俺達はこの女を失うわけにはいかん」

 「けど…!」

 「もう!どれだけ甘いんですの妖精さんは!このままではエルザさんは死んでしまいますのよ」

 「あんたに何が分かるっていうのよ!」

 

ルーシィとシェリーが言い争う中、再度エルザが声を張り上げた。

 

 「やるんだ早く!このままでは全身に毒が回る…」

 「……」

 「やめろリオン!」

 「ダメだ!女性の身体を傷つけるなんて!」

 「そんな事しなくても…」

 「エルザ殿の意志だ!」

 

ヒビキやイヴも抗議の声を上げるが、ジュラによって阻まれる。エルザの腕を巡って、メンバー同士で意見の対立が起きる連合軍。そしてその光景を、垣根とシャルルは後ろから静かに見つめていた。

 

 「やれやれ。まったく短絡的な連中ね」

 「あぁ。まったくだ。連合軍が聞いて呆れるぜ」

 

呆れるように肩をすくめてみせた垣根は背を翻し、彼らから離れるように歩き出した。それを見たシャルルが慌てて垣根に声をかける。

 

 「ちょっと!どこ行くのよ?」

 「あ?決まってんだろ。あのガキ捜しに行くんだよ」

 「探すって…アイツらなんとかしてからにしなさいよ」

 「知るか。付き合ってられるかよ」

 

垣根が吐き捨てるようにそう言うと、六枚の翼をはためかせ空へと飛び立って行った。

 

 「ちょっとぉ!……もう。相変わらず協調性がないんだから」

 

一人で行ってしまった垣根に対し、呆れるようにため息をついたシャルルはエルザ達の下へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 

 垣根は森の上空で静止しながらじっと目をつむる。先ほど生成し放った未元物質製小型トンボ偵察機を介し、垣根の脳内には森中の光景が共有されていた。無数のトンボ機を放つことにより、六魔将軍のアジトを手っ取り早く見つけ出そうと考えた垣根だったが、

 

 「…見つからん」

 

10分ほど空中で静止していた後、ゆっくりと目を開けながら呟いた。これだけ広い森となるといくら偵察機を多く放ったとはいえ、敵のアジトを見つけるにはそれなりの時間がかかる。どうしたものか、と再び考え始めた垣根。すると、

 

 「ん?こいつら…」

 

垣根はトンボ機が捉えたいくつかの集団に着目する。それぞれ大体一ギルド程の規模で、森の各場所にて待機していた。一度にこれだけの集団が森に集まっていることがまず不自然であったが、垣根がよくよく注目して彼らの顔を見てみると、中には垣根の知った顔も散見された。彼らは皆、垣根が以前闇ギルドについて調べていたときに知った顔ばかりであったが、何より垣根を驚かせたのは彼らの所属する闇ギルド全てが六魔将軍の傘下のものであるということだった。

 

 「なるほど。六魔将軍の下っ端共が俺達を待ち伏せしてるってとこか…」

 

垣根は顎に手を当てしばらくなにやら考えていたが、やがてその口元を邪悪に歪めた。そして、

 

 「なんだよ。もっと手っ取り早い方法があるじゃねぇか」

 

嬉しそうに呟いた垣根は前方の森へ方角を定めると、その場所へ向けて勢いよく翼をはためかせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダンッ!!

 

森の中にて、勢いよく着地する垣根。突然の来訪者に、連合軍を待ち構えていた闇ギルドの魔導士達は目を丸くしながら垣根の方を見つめた。声もなく自分を見つめる魔導士達に対し、垣根は簡潔に尋ねた。

 

 「よぉ。ちょっと聞きてぇことがあるんだが、今って時間大丈夫かな?」

 「だ、誰だテメェ!!!」

 「ふざけてんのか!!」

 

ハッと我に返った闇ギルドの魔導士達が垣根に対し怒号を飛ばす。殺気と罵声が入り交じる中、奥の方から大柄な二人の男が歩いて出てくると、垣根の前にその姿を現した。

 

 「なんか知らない奴来たよザトー兄さん」

 「あぁ。あの顔、連合の一味だなガトー兄さん」

 「…テメェらがこのギルドのボスか。確か…」

 「六魔将軍傘下、裸の包帯男(ネイキッドマミー)

 

大男の内の一人、サングラスをかけ「ザトー兄さん」と呼ばれていた男が答えた。

 

 「単身で乗り込んでくるとはいい度胸だな小僧」

 「六魔将軍傘下、裸の包帯男(ネイキッドマミー)

 「それはさっき言ったよガトー兄さん」

 「あれ?そうだったかいザトー兄さん」

 「おい、キモい会話してんじゃねぇよ。こっちは聞きてぇことがあるだけだ。手間取らせんじゃねぇ」

 「あァ!?」

 

垣根の舐め腐った態度に、大男達は怒りの表情を西ませながら垣根を威嚇する。

 

 「なめやがってクソガキが…大人を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる」

 「単身で乗り込んでくるとはいい――――」

 「死んだぞテメェ」

 

その言葉と共にザトーが合図を送ると、闇ギルドの魔導士達が一斉に垣根に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――一一方その頃、連合軍では。

 

 

 

 

 

 

 

 垣根が一人飛び去った後、エルザの腕を斬り落とすか落とさないかの議論はシャルルの言葉をもって終焉を迎えた。敵に捕らわれたウェンディが天空の滅竜魔導士であること、ウェンディは失われた魔法(ロストマジック)である治癒の魔法の使い手であることがシャルルによって明かされ、シャルルならばエルザを蝕む毒も治すことが可能だという。その言葉を聞いた連合軍は一致団結し、ウェンディを救い出すためいくつかのチームに別れながらウェンディ探索へ乗り出した。シャルルも当然ウェンディ探索に同行し、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ・グレイと共に行動していた。ナツは森の中を走りながら、ふと横で飛行するシャルルに尋ねた。

 

 「天空の滅竜魔導士ってさぁ、何食うの?」

 「空気」

 「うめぇのか?」

 「さぁ?」

 「それ、酸素と違うのか?」

 「あの子ね、あんたに会えるかもしれないってこの作戦に志願したの」

 「オレ?」

 

ナツが思わず聞き返すと、シャルルは頷きながら言葉を続ける。

 

 「同じ滅竜魔導士でしょ?聞きたいことがあるらしいの」

 「聞きたいこと…」

 「そ。あの子に滅竜魔法を教えてくれたドラゴンが7年前にいなくなっちゃったんだって。あんたならそのドラゴンの居場所知ってるかもって」

 「…そのドラゴン、なんて名前だ?」

 「天竜グランディーネ、とか言ったかしら」

 「天竜グランディーネ…7年前…んガ…ッ!?」

 

シャルルの言葉を反芻し、視線を下げて走っていたナツは前方を遮る木に気付かずに激突する。思わず仰向けに倒れたナツだが、素早く身体を起こすと何か思いついたように叫んだ。

 

 「そうだ!ラクサスは!?」

 「じーさん言ってたろ?あいつは滅竜魔導士じゃねぇ」

 「な…何これ!?」

 

突然のシャルルの叫びを聞き、ナツとグレイが急いで顔を上げると、ナツ達の前方にどす黒い霧のようなものが発生し、辺りの木々を黒く染め上げていた。

 

 「木が…黒い…」

 「気持ち悪ィ!」

 

得体の知れない黒い霧を警戒心を高めながら見つめるナツ達。すると、

 

 ズドォォォォォォォォン!!!

 

突如ナツ達の耳に凄まじい爆発音が聞こえた。

 

 「な、なんだ!?」

 「爆発…?」

 「ここまで振動が…多分そう遠くねぇぞ」

 

ナツとグレイが周囲を見回しながら気を配る。すると、

 

 「あっちの方角から聞こえたわ」

 

シャルルが北の方角を指さしながら二人に言った。

 

 「うし!行ってみっか!」

 

シャルルとグレイはナツの言葉に頷くと、三人は音の方角へと走り出した。

 

 

 音の方角へ向けしばらく森の中を走っていると、ふと開けた場所に出るナツ達。そこで目にした光景にナツ達は思わず驚きの声を上げた。

 

 「な、なんだこりゃ!?」

 「一体どうなってんだ…」

 「これは…」

 

三人の視線の先には、何十人もの魔導士と思われる集団が一人残らず地に伏している光景があった。まるでギルド間での抗争でもあったかのような有様だが、三人がしばらく声もなく眼前の光景を見つめていると、ふとシャルルが声を上げた。

 

 「あ!あれ!」

 

シャルルが叫びながら指さす方角へナツとグレイも視線を向けると、倒れた木々の向こう側に見覚えのある白い翼を携えた金髪の青年の後ろ姿が見て取れた。

 

 「あれは…テイトクか!」

 「なにっ!?」

 「何やってんのよアイツ!」

 「あっ!おいシャルル!」

 

(エーラ)をはためかせながら垣根の下に向かっていくシャルルをナツとグレイも追いかけた。

 

 「テイトクー!」

 「ん?…あぁシャルルか。それに…妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奴らも一緒か」

 

シャルルの呼び声に垣根が振り向くと、シャルルの他にナツとグレイもこちらに向かって来ていることを確認する。三人が垣根の下までたどり着くと、シャルルが怒ったように垣根に尋ねた。

 

 「ちょっとアンタ、これは一体どういうことよ?」

 「どうもこうもねぇよ。ウェンディの居場所聞き出そうとしたら襲ってきたんでな。ちょいとお灸を据えてやっただけだ」

 「ウェンディの居場所?なんでこいつらに?」

 

シャルルの質問に垣根は興味なさげな声音で答える。

 

 「こいつらは六魔将軍の下っ端の闇ギルドだ。恐らく六魔将軍の命令で俺達を待ち伏せするつもりだったんだろうな」

 「そんな…他にも闇ギルドがいたなんて…敵は六人だけじゃなかったのね」

 「あぁ。ま、地道に探すよりこいつらボコって居場所吐かせた方が早いし、俺としては好都合だったがな」

 

そう言いながら垣根は足下に転がっている男を踏みつける。「う…っ!」とうめき声を上げる男に対し、垣根は胸ぐらを掴むと無理矢理立たせながらその男の顔を睨み付けた。

 

 「オイコラ。六魔将軍のアジトはどこだ?」

 「く…っ!」

 「ほぉ、そうか。口割らねぇか。なら死ぬしかねぇな」

 「ひィ…っ!!わ、わかった!話す!話すから!」

 

端から見ればどちらが悪役か分からないようなやりとりを垣根がしている中、グレイは彼の後ろ姿を黙って見つめていた。

 

 (こいつらは以前ルーシィが戦ったっつってた裸の包帯男(ネイキッドマミー)。六魔将軍に比べりゃ大したことない奴らだが、それにしたって一人でこの数を倒したってのか…しかも六魔将軍と戦った後だってのに汗一つかいてねぇ。こいつ、本当に一体何者だ…?)

 

グレイは垣根の実力に改めて感心すると同時に、僅かな警戒心もまた彼の心の中に生まれていた。すると、

 

 「西の廃村だ」

 

パッと男の胸ぐらを離し、唐突にこちらを振り返った垣根がグレイ達に短く告げる。

 

 「えっ?」

 

垣根の言葉で我に返ったグレイが思わず聞き返すと、垣根は言葉を続けた。

 

 「六魔将軍のアジト。西の廃村にあるんだとよ」

 「確か西の方には古代人達の村があったわよね。それのことかしら」

 「恐らくそれだな」

 「西だな!よっしゃー!待ってろよウェンディ!ハッピー!うおおおおおお!!」

 「あっ!おい待てナツ!」

 

グレイの静止も聞かず勇ましい声を上げながら、早速ナツは西の方へ向かって走り出した。

 

 「ハァ~…ったくあの馬鹿」

 

ため息をつきながら呆れるようにつぶやいたグレイだったが、すぐに走ってナツの後を追いかけていく。

 

 「…相変わらず騒がしい奴らだな」

 

二人の背中を見ながら垣根がボソッと呟くと、動こうとしない垣根を不思議に思ったのかシャルルが垣根の顔を覗き込んだ。

 

 「どうしたの?私たちも早く行くわよ」

 「あぁ」

 

シャルルに返事を返すと、垣根も背中の翼をはためかせてナツ達の後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

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