これはとある天使の営む屋台のお話。

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ウマ娘@1肉巻きおにぎり

 

とある一軒家、一階建ての家。

 

ごく普通の家。

 

地下に何列も並ぶ透明なガラス板の中に浮かぶ少年少女と言ったホムンクルス達の並ぶ研究室。大量の薬品や謎の液体の入った試験管が並ぶ研究室。家に隣接する代々受け継がれてきた武術を学び、練習する道場。

 

宇宙の秘密基地へとつながる冷蔵庫のある部屋、信仰を集め神からの言葉を告げる教会らしき部屋、個人用の映画室やゲームセンターなどなど。

 

そんな部屋達が一切ない普通の住宅、そんな住宅の一部屋。普通のベットに寝転び、ちょっと高い掛け布団を被っている少女。

 

少女は白い肌、ピンク色のメッシュの入った白い髪に赤い瞳だがアルビノではない、そんな幼い顔の少女。

彼女は、枕元に置いていた携帯を手に取りゆっくりと体を起こし背延びをし、口を開いた。

 

「腹へった……」

 

少女の名はロゼ・ヴァイス。

 

幼く、未だに義務教育を受けていると思われても可笑しくない容姿の彼女だが一応成人している、と言う事になっている。

 

彼女の年齢、それは1歳である………“1歳”である!

 

間違いでも何でもなく、1歳である。正確にはこの世界に誕生してからの年月を考えたら、だが。

 

ロゼ・ヴァイス、彼女は実は天使である。

 

神々に使える熾天使、智天使、座天使、動天使、能天使、力天使、権天使達に使える天使の一人。

 

それが彼女である。

 

そんな彼女はこの世界に休暇と言う形で産み落とされたのは理由がある。

 

転生神の元で行う生きていた頃の記憶や悪意を消す魂の浄化と転生神により転生される魂に与えられる力を魂に結びつける魂の強化。

 

他に智天使や座天使、熾天使の元での魂や転生特典についての書類製作。

 

他に動天使、能天使、力天使、権天使達の仕事のフォロー、後始末、報告、天使や神から与えられる仕事の研修時の指導。

 

これを全て彼女が一人で行っていた。

 

そう、彼女は()()()()()のである。

 

大人な容姿の天使達は自分の仕事を終えれば休むし、休暇も取る。だが幼い容姿の彼女は、休暇を取るどころか休む事なく働き続けていた……何百年も。

 

それを見た天使、そして神は彼女を見て悲しくなった。簡単に言えば、幼い容姿の彼女が働き続けているのに対し、休暇も取るし休む事もする大人の容姿の天使達は罪悪感に苛まれたのである。

 

故に、転生神や天使達は彼女に休暇を与える事にした。

 

休暇として彼女は天使の能力や様々な技術を持ったまま人間界に産み落とされたのである。容姿は変化しないが何百年かはその世界で休暇を過ごしてくれ、と急に言われて。

 

さてそんな彼女、ロゼはベットから降りるとトテトテと部屋から出てキッチンの冷蔵庫に向かう。そんなキッチンは1ヵ所を覗き普通のガスを使ったコンロに水道を使った蛇口。オーブンとしても使える電子レンジ。

 

そんな普通な部屋のキッチンにある大きな物体、およそ普通の家には無いであろうその物の名は業務用冷蔵庫である。

 

そんな冷蔵庫をロゼは一別し、まず蛇口を捻りガラスのコップに水を注ぎ一口飲む。

 

「ふぅ」

 

ガラスのコップに入った水をたっぷり1分使って飲み干し、見ないようにしていたいつの間にか冷蔵庫にマグネットで貼り付けられていたメモを手に取った。

 

─────────────────────

【パイセンへ】

パイセン、休暇を楽しんでるっすか?

こっちは今のところまぁ上手く回ってます。

以前に転生者を取り締まるのとついでにその世界についての観察を行ったんすけど、その際に色々と美味しい物が手に入ったんで送っときます。

パイセン、ちゃんと飯を食って下さいね?

天使の時と違って今のパイセンの体は人間に近いんすからちゃんと食って寝ないと体を壊すっスよ?

 

            権天使○○○○より

─────────────────────

 

メモを読み終えた私は深くため息を着き冷蔵庫をあける。そこには私の体を越える包装された巨大な肉の塊が1つと虹色に光輝くゼリーらしき物が20個程入っていた。

 

「なにこれ?」

 

取り敢えず二つの近くにあったメモをそれぞれ手に取る。

そこには【ガララワニ ¥15,000,000】、【虹の実ゼリー¥500,000,000】と書かれており、思わず私は首を傾げた。

 

「?」

 

正直、この値段が高いのか低いのか分からない。私は今まで外に出てご飯を食べたり、飲み物を買いに行ったりはしないからだ。

更に言うなら、ほぼ毎週こんな大量の食材を後輩から大量に送られてくる。それらを消費するのに、一週間じゃ足りないのだ。

 

私は少食だ、例えるなら鳥の唐揚げ2個と子供用の茶碗に持ったご飯を半分食べたら満腹になるレベルの少食。故に、こんな馬鹿げた量の肉とゼリー?は一週間で消費できる訳ないのだ。

取り敢えず自分のご飯として肉を切り分け四分の一を冷蔵庫に戻し、ゼリーは3個を残して他のゼリーを全て取り出し、他に必要な食材達を近くにあった外見より多くの物が入るクーラーボックスに入れる。

 

このクーラーボックスは後輩の一人が作った物で中に入れた飲み物や食材をその食材に適した温度で保存しておける特別な物、だが時は止めておけないので食材を入れっぱなしにしたら普通に腐る。

正式名称は「おいしいままで保存既にしちゃうよ君」である。私はマジッククーラーボックスと呼んでいる。後輩のネーミングセンスはどれだけ頑張っても変わらなかったよ……。

 

そんなクーラーボックスに食材達をしまい込み、私は動きやすいハーフパンツにTシャツ、その上からパーカーを羽織り更に上から白いエプロンを身に付け、この体に不釣り合いな大きいマジッククーラーボックスを両手で持ち家の玄関へと向かう。

 

それにしてもあのお肉ってワニ?だとしたらどんな料理が良いんだろ?肉に着いてたメモにはブランド和牛のサーロインにも匹敵するって書いてあったけど………。

 

私の家は外見こそ普通だが1つだけ特別な物がある。それは玄関のドアだ、このドアは開くと毎度別の世界に繋がる扉。

今日はどこの日だろうか?そう思いながらドアに設置された液晶モニターを見ると、馬が足に着ける蹄鉄のようなマークが映っている。

 

「今日は、あのこが居る世界……」

 

何を作るのか決まった。あのこが居るなら、この山のような食材を無事に食べきってくれる事だろう、よかった。

 

そう思いながら扉を開けると、綺麗な青い空の浮かぶ町並みが見えた。私は家の庭に置いてある後輩の製作した道工により魔改造されたリアカー、移動屋台へと向かい食材の入ったボックスに乗せる。時間帯はお昼の時間帯より少し前、私はマジッククーラーボックスから大きな紙袋を取り出す。

 

『極楽米』と書かれた袋の中身である大量の米を電気のいらない業務用炊飯器「お米おいしく炊き上がれくん特別号(後輩製作)」に入れお米を炊いておき、店の旗を建ててリヤカーを引いて家を出た。

 

少食な私がどうやって後輩から送られてくる大量の食材を消費しているのか。それはこうして移動屋台で様々な世界に向かい、後輩から送られてくる多量の食材で料理を作って販売して歩いているからである。

 

リアカーの屋根の旗と暖には店の名前である『天使の休日』と言う文字が描かれており、風にされるがままにゆらゆらと靡いている。

 

まぁ、見た目のせいか凄く人から見られるのだが気にしたら負けだ。

 

以前来たので彼女がいる場所も、何処に行けば来てくれるのかも分かる、たぶん。そんな事を思いながら、私は車や歩道以外にも線が引かれている通路をリアカーを引いて歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーニングセンター学園、多くのウマ娘が在籍している夢と希望と愛に満ち溢れた学園。

 

そんな学園の教室の外の廊下に彼女達はいた。

 

記憶に残る彼女の店と彼女の出してくれる料理を思い出した。

 

グゥーー!

 

「お腹が空いた……」

 

「またかオグリ、昼にカフェテリアでぎょうさん食べたやろ!?」

 

空腹に思わず腹を押さえる芦毛のウマ耳、尻尾を持つウマ娘である彼女。『芦毛の怪物』オグリキャップ。

 

そんな彼女に勢いよくツッコンだのは、同じく芦毛で小柄なウマ娘。『白い稲妻』タマモクロス。

 

可笑しく見えるかもしれないが、これが彼女達の日常である。

 

「ん?腹減ってるのにオグリがカフェテリアに行かんなんて……これは夢か?」

 

いつもならカフェテリアに向かうであろうオグリキャップが、空腹なのにカフェテリアへと向かう様子がない彼女に思わず目を擦り、そんな事を呟く。

 

一方でオグリキャップは、腹に手を当てて懐かしむような様子で呟いた。

 

「彼女の店がそろそろ来るはず……」

 

「ん?なんや、キッチンカーか何かの店なんか?」

 

「あぁ、私がこっちに来て間もない頃だ。美味しそうな匂いのする屋台があって、そこでご飯をお腹いっぱい食べさせて貰ったんだ」

 

タマモクロスの問いに目を細め、思い出し幸せそうな表情を浮かべ、同時に空腹に鳴くお腹を押さえるオグリキャップ。

 

「──なんやて?」

 

「どうかしたのかタマ?」

 

「今、お腹いっぱいって言ったんか?」

 

「?そうだが、それがどうかしたのか?」

 

「だって、キッチンカーみたいな店なんやろ!?上京してすぐにそんなん食べたらすぐにお金が───」

 

タマモクロスは知っている、祭りの屋台やキッチンカーの料理を買って食べるなら、通常より高い価格に設定される事が多い、そんな店で彼女が、オグリキャップがお腹いっぱい食べさせて貰った?

 

上京したての彼女に、果たしてそんなお金が何処にある?

 

「100円だったんだが……」

 

そんな疑問に、オグリキャップが返した言葉にタマモクロスは頭が真っ白になった。

 

「は?」

 

「?どうかしたのか?」

 

心配するオグリキャップだが、一方でタマモクロスはプルプルと震え、息をスッと吸った。

 

「そんなのありえるかァァァァアアアア!!」

 

「た、タマ?」

 

「オグリが腹一杯食べても100円で済むなんて、あまりの空腹に幻覚でも見たんか?今からでもうちと一緒に病院に───」

 

「オグリさん!その話本当ですか!?」

 

タマモクロスが脳で彼女の放った一言を理解できずキャパオーバーをしていたその時だった。その場に新たな少女が入ってきた。

 

トレセン学園の制服を着た彼女はブルネットのボブカット、白い前髪と三つ編みハーフアップ、そして右耳に青いリボンを付けているのが特徴的なウマ娘。『日本総大将』スペシャルウィーク、オグリキャップと並ぶ大食いのウマ娘の一人である。

 

そんな彼女は先ほど放ったお腹いっぱい食べさせて貰った、100円だったと言う言葉に引かれたのか、元気に尻尾が左右に振られている。

 

「あぁ、毎日何処を探しても見つからなかったが、今日は出会える気がする」

 

「へぇ、幻のお店なんですね!」

 

「(オグリが食い過ぎたせいでつぶれたんやないんか?それ………)」

 

その時だった、オグリキャップがスンと鼻を慣らし即座に空腹にヘニョリとなっていたウマ耳がピンとなる。

 

「……彼女が来た!」

 

そう言って一目散に走り出したオグリキャップ、それを追ってスペシャルウィークとタマモクロスが走る。

 

彼女の向かった先、そこはトレセン学園の門だった。廊下を走ったらいけないが、見付からなければセーフなのである。

 

走っていたスピードを緩めて止まったオグリは門の前でジューと言う音と共に漂ってくる美味しそうな匂いに口からよだれが出ており、それを拭い、門の前に止まっている屋台らしき店の暖簾を見つめる。

 

「あの暖簾に旗、間違いない。彼女の店だ」

 

「ぜぇ、オグリ……後から生徒会に呼び出されても知らんからな」

 

廊下を全力で走り屋台へと走った彼女を見た他のウマ娘達が生徒会に話さないか心配するタマ、そしてスペシャルウィークは暖簾に描かれている店名らしき物を呟く

 

「天使の休日……あれがオグリさんが言っていた………」

 

どうやら鉄板で何かを焼いているのか、…風にのって温かい空気と肉の焼ける良い匂いが彼女達の空腹を誘う。

 

時刻的には放課後、早いものは晩御飯を食べていても可笑しくはない時刻。故に先程オグリキャップの空腹にツッコミを入れていたタマモクロスでさえ突如として腹から空腹を告げる音が鳴り響く。

 

「ほ、本当に100円なんやろな………」

 

「あぁ」

 

そう言ってオグリキャップが屋台の暖簾をくぐり、地面に置かれている椅子に座る。それに続いてタマモクロス、スペシャルウィークと続く。

 

「いらっしゃい、君ならまた来てくれると思ってたよ。今日は友達も一緒?」

 

そんな彼女達を出迎えたのは、タマモクロスと殆ど身長が変わらない幼いピンク色のメッシュの入った白髪に赤い瞳容の少女だった。

 

「あぁ、今日も前と同じ値段なのか?」

 

「そうだよ、別に100円のデザートもあるから気が向いたら頼んでみてね」

 

そんな会話をするオグリキャップと少女にタマモクロスとスペシャルウィークは思わず?を浮かべて黙り込む。

 

「二人とも、どうしたんだ?」

 

「あ、あのオグリさんあの子は?店主さんの娘さんとか」

 

「な、なんやそうやったのか!じゃあ店主はあれか、買い出しかなんかに──」

 

「いや、彼女が店主だが……」

 

「はい!?」

 

「ほんまか!?」

 

「あ、あぁ。ところで店主」

 

「ん?」

 

「今日はラーメン屋じゃ無いのか?」

 

「うん、今日は肉巻きおにぎりだよ」

 

そう言ってジュウジュウと焼かれるお肉を指差す少女。少女が指差したのは、鉄板で焼かれている少し薄い肉。

 

「取り敢えずたくさん頼む」

 

「お、おいオグリ!いくら100円だからってそんなに頼むのは……」

 

たくさん、と言う言葉から脳内で100円が掛けるいくらになるのか想像したタマモクロスは思わず顔を青ざめ、それを理解したのかスペシャルウィークも顔を青ざめる。

 

「あれ?店の説明聞いてない?うちは100円でご飯食べ放題なんだけど」

 

そんな中で店主が告げた言葉に思わずタマモクロスは口を開けたまま固まり、スペシャルウィークは考えることを止めて財布から100円硬貨を取り出す。

 

「わ、私もお願いします!」

 

「う、ウチも……」

 

スペシャルウィークに続いてタマモクロスも財布から100円硬貨を取り出し、店主に手渡す。オグリキャップからもお代を受け取った店主である少女は鉄板に焼かれている肉にプラスして、クーラーボックスから薄く切られた綺麗な肉を取り出してまた板に並べていく。

 

そして鉄板の近くに置かれている炊飯器からキラキラと光る米を取り出してお握りの形を作ると、米をまな板の肉に乗せてそのまま肉が巻かれていく。

 

「綺麗なお米ですね……」

 

「せやな…」

 

彼女達は知らない、彼女の用意している米はとある世界で1ヘクタールの田畑から、一籾の稲穂しか収穫できない幻の米であり。一粒食せば極楽浄土に誘う如き味わいからその名が付いており、極楽米一粒の値段が金と同額と言う超高級食材であり、1kg370万円もするのである事を。

 

大きな肉巻きおにぎりが作られ、ヒョイヒョイとまな板から鉄板に乗せられていきジュウジュウと焼き始める。

 

そして肉を焼き終えると、少女は近くに置いてあるツボにお玉を入れる。そして掬われた黒色のトロトロの液体からは甘じょっぱい匂いがした。

 

恐らくは肉巻きおにぎりのタレ、それを鉄板で焼かれている肉巻きおにぎりに垂らすと、ジューッ!と言う音と共に鉄板に落ちたタレが沸騰し、肉巻きおにぎりの美味しそうな匂いが周囲に広がりタマモクロス達は思わずごくりと唾を飲み込む。

 

「お待たせ、特製肉巻きおにぎり。熱いから慌てずに食べて」

 

そういって少女が三人にまず二つずつ肉巻きおにぎりの乗せられた皿を置く。

 

「頂きます」

 

そう手を合わせて肉巻きおにぎりに手を付けるオグリキャップに続いて手を合わせ、スペシャルウィークとタマモクロスも肉巻きおにぎりを口へと運んだ。

 

「い、頂きます!」

 

「頂きます……」

 

彼女達が口へと料理を運び、最初に感じたのは甘く、それと同時に塩っぱいタレと肉から溢れる肉汁。そしてまるで天に上るかのような気分と噛み締める度に感じられる米の甘味。

 

「凄っっっごく美味しいです!おかわりお願いします!!」

 

「旨すぎるやろ……今ならなんぼでも食べられる気がするわ……」

 

「あぁ、旨いな。」

 

そう言いながら肉巻きおにぎりを食べる彼女達の反応に笑みを浮かべながら店主であるロゼは更に肉巻きおにぎりおにぎりを量産する為、マジッククーラーボックスから肉の塊を取り出し、調理台の上に置いた。

 

「ちょい待てぇ!?ありえへんやろ!その肉の大きさじゃクーラーボックスにはいきれへん!どっからだしたん!?」

 

明らかに店主である少女の体以上の大きさの肉の塊を小さなクーラーボックスから出した様子を見て思わずタマモクロスがツッコミを入れる。

 

「ん……企業秘密」

 

一方でオグリキャップとスペシャルウィークは目の前に現れた巨大な肉の塊に、更に食べるペースが上がり始める。食堂で出される料理よりはるかに多く沢山食べられると言う考えに至ったのだろう。

 

店主であるロゼが肉の包装を取り、肉を肉巻きおにぎりのサイズにスライスし始める。

 

そんな時だった、ふと肉の包装に貼り付けられたメモに描かれていた文字をスペシャルウィークは見た。

 

否、見てしまったのだ………これでもかと並べられた0の数を。

 

思わず食べる手が止まり、顔が青ざめさせてるスペシャルウィーク。そんな彼女を見て心配したのか「どうしたん?」と声をかけたタマモクロスは、スペシャルウィークの指差す方向を見てしまう。

 

これでもかと並べられた0のついた値段の肉、その肉を今自分達がたった100円で食べていると言う事を知った。

 

「……………」

 

「……………」

 

顔を青ざめさせて、食べる手を止めた二人にオグリキャップは首をかしげた。

 

「?どうしたんだ二人とも?」

 

「いや、そのウチ………」

 

「私たち、ゆっくり味わって食べようかなって………」

 

「そうか、じゃあ一旦デザートを頼む」

 

オグリキャップがデザートを頼み、表れた商品に思わず感嘆の声を貰うスペシャルウィークとタマモクロス。現れたのは物凄く甘い匂いのする虹色のゼリーだった。

 

「はい、本日だけの特別デザート。虹のゼリーだ」

 

店主の口にした虹と言う言葉の似合う凄くきれいなゼリー、オグリキャップはそれをスプーンで掬うと口へと含む。次の瞬間、オグリキャップは瞳を見開いた。

 

その様子に思わず唾を飲み込んだタマモクロスはオグリキャップにゼリーの感想を求める。

 

「ど、どうやった?」

 

「凄いな、食べている途中で何度も味が代わった」

 

そう幸せそうに蕩けた顔で語り、またデザートを食べ始めるオグリキャップにタマモクロスとスペシャルウィークは目を合わせ頷き会うと財布から100円硬貨を取り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは転生者ではなく、天使が移動屋台『天使の休日』を引いて様々な世界を渡り、休暇を過ごす物語である。

 

天使の休日、次の出店先はどの世界か?

 

 

 

 

 






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