ハイスクール・フリート   ~空を翔る鳶と海虎~   作:鷹と狼

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第13話 入学式、そして航海へ

 

 

 

横須賀女子海洋学校 

 

 

 

 

入学式の開会場は超大型直教艦武蔵で行われるため、入学生徒と保護者が乗艦。

 

来賓の中に、日本海軍第三種軍服と短剣を帯刀している沖田新一郎大尉、金城幸吉一等飛行兵曹。

 

 

「おはよう、幸吉!」

 

 

 

「新一郎さん、おはようございます!」

 

 

そして、アメリカ海軍の制服を着用するトム・K・五十嵐少尉の姿があった。

 

 

「おはよう、トム!シャルロット!」

 

 

「トムさん、シャルさん。おはようございます!」

 

 

「沖田さん、幸吉、おはようございます!」

 

 

「皆様、おはようございます」

 

 

「なぁトム、ウィルはキャサリンと、エマとエミリーの入学式か…」

 

 

「えぇ、トチローさんは相変わらずです」

 

 

お互いに挨拶、来賓として参加予定の秋山敏郎ことトチローは、堅苦しいのは苦手なため、ブルーマーメイドのスキッパー整備に専念。

 

ウィリアム・J・スパロウ少佐は妻のキャサリンと共にエマとエミリーの小学校の入学式に出席した。

 

 

シャルロット・F・トラインは横女の制服に包まれて入学式に参列。

 

 

「しかし、シャルロット。横女の制服、似合っておるなぁ~!」

 

 

「あ……ありがとうございます///」

 

 

新一郎の誉め言葉で彼女は赤面した。

 

 

「沖田さん、あなたは真霜さんがいるじゃないですか~」

 

 

「おっと失礼したなトム。そうだな、俺は真霜一筋だ…///」

 

 

すると、シャルロットは周囲を見渡した。

 

 

「しかし……ましろさんのお姿が見えませんのよ……」

 

 

「ん…?そう言えば……」

 

 

「確かに、ましろちゃんは俺よりも早く、家から出たのに……」

 

 

「もしかしたら、バナナの皮で滑って海に落ちたりして……」

 

 

「おいおいトム、冗談はコメディアンの話しにしろ~♪」

 

 

「そうですね!クック…」

 

 

「「「 あっはっはっはっ~♪ 」」」

 

 

 

 

 

 

 

イーグル達が笑い合う一方、その頃横須賀女子海洋学校、校舎では

 

 

 

 

 

「はぁ~入学早々ついてない」

 

 

学校のシャワー室の脱衣所でましろが髪をドライヤーで乾かしていた。

 

数分前にましろはあることで海に落ちてしまったのだ。するとドアが開きそこからツインテールの少女、岬明乃が入ってきた

 

 

「下着と制服乾いたよ。此処に置いておくね、プレスもしておいたから」

 

 

明乃が制服と下着を渡すと、真白は恨めしそうな目で明乃を睨む。実は彼女が海に落ちた原因は彼女が一枚かんでいるのだ

 

 

「でも、よかった入学式には間に合いそうだし…それにしてもバナナの皮って本当に滑るんだね、驚いちゃった…アハハ‥‥」

 

 

自分の落としたバナナの皮のせいで責任を感じた明乃は明乃なりのフォローを入れるが

 

 

「着替えるから出てってくれないか?」

 

 

「あっ、ゴメン」

 

 

明乃は慌てて脱衣所から出るが、一度、ドアから顔を出して

 

 

「折角同じ学校になったんだから、これからよろしくね」

 

 

明乃はそう言い出て行った。それを見たましろは制服に着替えた。

 

 

「はぁ……ついていない……」

 

 

学校教官の古庄薫二等監督官は学校所有のタブレット端末をイーグルたちに渡し、海洋実習のスケジュールの打ち合わせをする。

 

 

スケジュールによると

 

 

 

4月5日

 

 

 

9:00

 

 

 

武蔵の甲板で入学式

 

 

 

10:30

 

 

 

各所属艦内教室にてクラス結成式

 

 

 

13:00

 

 

 

各教育艦、西之島新島に向けて出港

 

 

 

4月7日

 

 

 

10:00

 

 

 

各教育艦、西之島新島に集合

 

 

 

13:00

 

 

 

各艦乗員での交流会とオリエンテーション

 

 

 

4月8日~4月10日

 

 

 

西之島新島近海で航海演習

 

 

 

4月11日

 

 

 

スキッパーやカッターなどのクラス競技

 

 

 

4月12日~4月17日

 

 

 

艦隊合同演習

 

 

 

4月18日

 

 

 

15:00

 

 

 

横須賀女子海洋学校に帰投

 

 

 

16:00

 

 

 

各艦、教室にてオリエンテーション後、解散

 

 

 

と組まれていた。

 

 

 

「随分ハードなスケジュールだなぁ〜!軍の養成学校とは変わらんな!」

 

 

「ん!」

 

 

スケジュールがハードに組まれている事に幸吉は驚く。 

 

 

「確かにハードだけど…これぐらいは組まないと生徒は成長しないし、何よりも生徒の間に友情が芽生えないわよ!」 

 

 

古庄は、ただハードに組んだ訳では無く、ちゃんと生徒の事を考えて、スケジュールを組んでいた。 

 

 

「成程!…生徒に厳しく教育して、生徒を育てる…それだけじゃなく、生徒の間に友情を芽生えさせる…流石は古庄教官!」

 

 

新一郎は、古庄を褒める。

 

 

「ありがとうございます、沖田さん///…ん?」 

 

 

彼女は腕時計を見て、入学式が始まる時間が迫っていることに気がついた。

 

 

「そろそろ入学式が始まる時間ね…では、来賓方はごゆっくり!」

 

 

「はっ!」

 

 

イーグルは古庄薫に対し、敬礼した。

 

 

そして、武蔵のマストに横須賀女子海洋学校の校旗が掲げられ、入学式が始まった。

 

 

『では、宗谷校長よりご挨拶です。』

 

 

校長の真雪が艦首に設置された壇上に上がる。

 

 

『皆さん…入学おめでとうございます…学校長の宗谷真雪です…皆さんは、座学、実技で優秀な成績を収め、この横須賀女子海洋学校に晴れて入学しました…直ぐに海洋実習が始まりますが、あらゆる困難を乗り越え、立派なブルーマーメイドになって下さい。』 

 

 

「(流石お義母さんだ!…凄い事を言いますね)」

 

 

真雪の言葉に新一郎は、目を見開いた。

 

 

やがて真雪の話が終わり、古庄教官から今度の予定が伝えられ、入学式は終わる。

 

 

 

 

生徒達は、それぞれの艦の配置が書かれている掲示板を見る。

 

 

 

「では、皆様。わたくしはこの武蔵の教室へ行って参りますわ。そして、小笠原諸島でお会いしましょう」

 

 

「うん、シャルロット・F・トライン。君の航海実習の幸運を祈る!」

 

 

来賓の沖田新一郎、金城幸吉、トム・K・五十嵐は彼女に対して敬礼、シャルロットも敬礼した後、武蔵の艦内の教室へ赴いた。

 

 

 

武蔵 艦内教室

 

 

 

シャルロットは教室へ入室、武蔵の生徒は試験で選りすぐれた最優秀の生徒であった。

 

 

「(はぁ…凄いですわね…さすが最優秀の生徒様。艦長になられるましろさんは大変ですわね…)」

 

 

「あなたが、フランスからの留学生、シャルロット・トラインさんですね…?」

 

 

「はい、え…?」

 

 

シャルロットが声した方向を振り向くと、艦長服を着用した少女がリストを持って現れた。

 

 

「(ましろさんじゃない…)はい、艦医を担当致します。えっと…あなたは…?」

 

 

「私は知名もえかです。武蔵の艦長を務めますのでよろしくお願いします。」

 

 

「え、えぇ…わたくしからもお願い致します(ましろさんじゃない……なぜかしら…?)」

 

 

シャルロットは疑問を感じつつも、艦長の知名もえかと握手した。

 

 

 

 

 

学校、校庭

 

 

 

 

新一郎は寝転ぶどら猫の五十六元帥と会話していた。

 

 

「元帥…あなたも航海へ行くのですか…?」

 

 

『あぁ、沖田君。…この学生の航海実習だか、どこか胸騒ぎするんだ…』

 

 

「胸騒ぎ…よく言う、動物の勘ですか…?」

 

 

『まぁ、それもそうだが…長らく海軍を務めている軍人としての勘だ…』

 

 

「はぁ、そうですか……仮に、乗艦する艦艇は…?」

 

 

『航洋艦の晴風だ』

 

 

「晴風!?…確か…最低辺の生徒が配属する」

 

 

先ほど新一郎は古庄の艦艇紹介にて、彼女が担任するクラスは学校に合格した者と言えども、最底辺が集う艦艇。

 

だが、そのクラスに宗谷の三女、ましろが副長として編入されていたのを、新一郎と幸吉、トムは驚いた。

 

そして、五十六は立ち上がり、晴風へ向かった。

 

 

「元帥…お気をつけて」

 

 

『あぁ、ありがとう。それと、新入生からあることを聞いた。』

 

 

「新入生からあること…ですか…?」

 

 

『新入生の二人が、大賀虎雄の名前を呟いた。』

 

 

「大賀虎雄…虎雄ですって!?元帥…誰ですか!?どんな新入生ですか!?」

 

 

『落ち着け沖田君、その娘が言うには…武蔵と晴風の配属する生徒だ。』

 

 

「武蔵と晴風…なんてとこだ…イーグルのシャルロットとましろちゃんが乗艦する艦艇とは…」

 

 

新一郎は笑みを浮かばせながら、五十六と共に航洋艦が停泊する波止場へ向かった。

 

 

「お待たせしたな、新一郎~!」

 

 

 

「ウィル機長。どうでしたか、愛娘たちの入学式は…?」

 

 

 

 

波止場にたどり着くと、小学校の入学式を終え、アメリカ海軍軍服を着たウィリアム・J・スパロウ少佐が幸吉とトムに合流。

 

 

 

「あぁ、よかったな!一時だが、家族との時間を取り戻し、絆が繋いだ…」

 

 

 

カーン!カーン!

 

 

 

 

出港の鐘が鳴り響いた時

 

 

 

晴風の艦橋 

 

 

 

「改めまして、艦長の岬明乃です!…よろしくね!」

 

 

 

明乃は、ましろに改めて自己紹介をする。

 

 

ましろも気を取り直して

 

 

「副長の宗谷ましろだ。」

 

 

自己紹介をする。

 

 

そして、幸子もタブレットを操作しながら

 

 

「私は書記の納沙幸子です。」

 

 

自己紹介をする。

 

 

芽衣も

 

 

「水雷委員の西崎芽衣よ!」

 

 

そこまで言ったところで

 

 

「すみませ~ん…遅れました…御免なさい!!」

 

 

右舷デッキの方から知床 鈴が走りながら艦橋に入ってきて 

 

 

「はぁ、はぁ…わ、私…こ、航海長の知床鈴です。」

 

 

息吐きしながら自己紹介をする。

 

 

「あ、貴方は?」

 

 

自己紹介後、鈴は、前に居た志摩に名前を聞こうとするが

 

 

「ほ…ほ…」

 

 

自分の役職と名前を言おうとしているが上手く言葉にできない。

 

 

「砲術委員の立石志摩さんだよね?」

 

 

志摩が答えられないので明乃は、カバーした。

 

 

「うん!」 

 

 

志摩は、どうやら極度の人見知りらしい。そして

 

 

「定位置に着いて!…出航準備!」 

 

 

明乃は、出港準備の命令を出す。

 

 

「前部員描鎖詰め方!…出港用意!…錨を上げ!」

 

 

艦首で錨が上げられてゆくのを確認した水測員の万里小路 楓がラッパを吹くが、余り上手と言えるようなレベルのものではなかった。

 

 

 

「「「「( なんて下手くそな音色だ!これは、練習が必要だな! )」」」」

 

 

 

波止場にいた4人は、心中でそんな事を考えていた。

 

 

前甲板でラッパに気を取られていた主計長の等松美海が青旗を上げて用意よしも知らせる。

 

 

「両舷前進微速150度ヨーソロー…晴風出港!」

 

 

出港の命令が下り、鈴がテレグラフを操作し、針を前進微速に合わせる。

 

 

 

 

晴風 機関室

 

 

 

「前進微速!」

 

 

艦橋のテレグラフからの指示を得て、機関長の柳原麻侖は、前進微速の命令を出し

 

 

「蒸気タービン艦って、確かバルブを…」

 

 

機関員の若狭麗緒と伊勢桜良がバルブを操作する。

やがて機関が始動し、晴風は出港する。

 

 

出港した事を確認したところで

 

 

「航海長操艦!」

 

 

明乃は、鈴に艦の操艦を任せる。

 

 

『航海長操艦!』

 

 

その場にいる全員の復唱を確認し、更に指示を出す。

 

 

「両舷前進原速、赤黒なし!…進路150度」

 

 

「頂きました、航海長…両舷前進原速赤黒なし、進路150度」

 

 

明乃の指示を復唱し、その通りに操艦を始める鈴。

 

 

「あっ!」

 

 

そんな中、明乃は、晴風の横を航行する武蔵の艦橋に手を振っている存在に気づく。

 

 

「もかちゃん!」

 

 

1人は、武蔵艦長の知名もえか。そして、姿こそ見えないが、波止場から来賓した4人が、超大型直航艦武蔵に向かって帽子を振った。

 

 

「シャル、頑張れよぉ~!!」

 

 

「航海の無事を祈るぞぉ~!!」

 

 

「また、西之島で会おう!!」

 

 

「武運を!!」

 

 

こうして、武蔵、晴風以下11隻の教育艦は、海洋実習へと出港した。

 

 

翌日の夕暮れ、教育艦が出港した波止場にてカタリナが着水。

 

 

機上に搭乗予定する研究員らは、この世界に無い空飛ぶ大型のスキッパーこと、水上飛行機を目の当たりにして驚愕した。

 

 

必要な物資と人材が搭乗、今回のみ搭乗予定の機長 ウィリアム・J・スパロウ少佐以下。

 

 

副長 金城幸吉一等飛行兵曹

 

 

整備兵 秋山敏郎兵曹長

 

 

「じゃあ、ウィリアム。幸吉とトチローのことを頼む!」

 

 

「お互いにな、新一郎!トムを任せた!」

 

 

「新一郎さん、今回のみですが行ってきます!」

 

 

「おぅ、新一郎!暫しの別れだせ!」

 

 

「ウィリアム機長、また西之島新島で!」

 

 

「あなた、気を付けてね!」

 

 

「「 頑張ってね、パパ~!! 」」

 

 

新一郎とウィリアム達はがっちりと握手した。

 

小学校を終えたエマとエミリー、妻のキャサリンも夫を抱きしめた。

 

そして、飛行時刻が迫り、ウィリアムが扱うPBY-5カタリナが発進。

 

残った5人は波止場から、機体が見えなくなるまで手を振り続けた。

 

目指すは、西之島新島沖

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、これが1ヶ月にも及んだ事件の幕開けになるとは、誰も想像していなかった。

 

 

 

 

 

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