ハイスクール・フリート   ~空を翔る鳶と海虎~   作:鷹と狼

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第26話 海上の抗争 

 

 

 

 

5人は買い物で抽選券を貰ったので、福引する為、福引会場に向かっていた。

 

 

オーシャンモール四国沖店、福引会場

 

 

5人は福引会場に着き、そして誰が引くか協議する。

 

 

協議した結果、艦長である明乃が引く事になった。

明乃はハンドルを回す。

 

 

次の瞬間

 

「トイレットペーパー1年分おめでとうございます!!」

 

 

金の玉が出て、一等のトイレットペーパー1年分が当たった。

 

 

カランカランと鐘をならす店員。

 

 

「やった…!!」

 

 

 

「艦長…じゃなくて岬さんすごっ!?」

 

 

「何て運の良い…抽選券1枚しか貰えなかったのに…」

 

 

「確かに幸運じゃな、明乃…」

 

 

4人が明乃の幸運体質に驚く。

 

 

「良かったね…トイレットペーパーまだ買わなくて…」

 

 

福引でトイレットペーパー1年分が当たり、美甘は喜ぶ。

トイレットペーパーを買う必要がなくなった。

 

 

「でも、1年分なんて如何やって持って帰るんだ?」

 

 

美波の言う通り、トイレットペーパー1年分は、5人では到底持って帰る事は出来ない。

そんな時

 

 

「ご自宅までお送りしますよ!」

 

 

運搬方法を考える5人に店員が家まで配送してくれると言ってくれた。だが、それは無理な相談であった。

 

 

『えっ……』

 

 

それを聞いた5人は、円陣を組む。

 

 

「如何しよう、艦まで送って貰えないし…」

 

 

「持てるだけ持って帰ろうよ!」

 

 

「…………」

 

 

取り合えず持ってる分だけ持って帰る事にした。

 

しかし虎雄は沈黙し、ある連中にマークされていたことに気づいていた。

 

そして、無料シャトルバスの駅まで戻ろうと歩いていると

 

 

「ん!?」

 

 

前方に白い制服を着た女性達が立ちはだかる。

 

 

『…ん?』

 

 

5人は何かと思った時

 

 

「貴方達、晴風の乗員ね!」

 

 

『うえっ!?』

 

 

突然、自分達の正体がばれ

 

 

「戦略的撤退よ!」

 

 

姫萌たちは急いでトイレットペーパーを捨てて、その場から逃げる。

 

 

「ま、待って、皆……」

 

 

明乃と虎雄も遅れて、急いで3人の後を追う。

 

 

「あ、待ちなさい」 

 

 

逃げる5人を、平賀倫子は急いで後を追いかける。

 

だが、虎雄は懐からある物を取り出す。それは、日本軍の九七式手榴弾。安全ピンを抜き、着火させるため信管を強く叩き、平賀達に向け思い切り投げた。

 

カンカン

 

 

「っ!?」

 

 

平賀の足元に手榴弾がコロッと落ちてきて

 

 

「艦長たち、伏せろ!」

 

 

「はっ!?」

 

 

虎雄に言われ、明乃達はその場に伏せる。

 

次の瞬間

 

 

ドカアアァン

 

 

手榴弾が爆発

 

『わぁ!?』

 

平賀達は手榴弾の破片でかすり傷を負い、行動不能になる。

 

 

「今じゃ!」

 

 

虎雄は平賀達が手榴弾で行動不能になっている間に、明乃達の元に向かう。

 

 

「皆…わしに付いてこい~急げぇ!!」

 

 

「虎ちゃん!」

 

 

虎雄は明乃の手を繋ぎ、みんなを連れて急いでその場を去る。

 

 

「ま…待ってください、大賀少尉…!!」

 

 

平賀達は虎雄と明乃達の後を追おうとしたが、手榴弾を受けたせいで暫くは動けなかった。

 

 

そして

 

 

「今のは…手榴弾…?」

 

 

直ぐ近くに居たトムは、手榴弾の爆発音に気づき急いで向かう。

 

 

 

数分後

 

 

 

虎雄達は何とか平賀達から逃げる事に成功し、人気のない路地に逃げこんだ。

 

路地に逃げ込んだ虎雄は、路地から辺りを見回し、誰も追ってこないのを確認する。

 

 

「…如何やら、まいた様じゃな…」

 

 

誰も追ってこないのを確認し、取り合えず安心する。

 

 

「皆、怪我はねぇか?」

 

 

虎雄は平賀達から逃げる時に手榴弾で怪我をしていないかと問う。

 

 

「だ、大丈夫だよ…虎ちゃん…」

 

 

明乃たちの被害はなかった。

 

 

「い、今の何!?」

 

 

「手榴弾じゃ…こんな事もあろうかと一応、機体から持って来たんじゃ…ま~あ、役には立った見たいじゃが…」

 

 

「うぅ…耳と肌がヒリヒリする。」

 

 

美波はさっきの手榴弾の爆発の影響で、耳と肌がヒリヒリしていた。

 

 

「収まるまで暫く我慢してくれ美波さん!」

 

 

「ああ…折角のトイレットペーパーを置いて来ちゃったよ…!」

 

 

美甘は平賀達から無事助けられた事に感謝したが、残念な事に福引で当てたトイレットペーパーを置いてきた事を悔やんでいた。

 

唯一は、虎雄が背負うペーパー1ダースのみだった。

 

 

「仕方ねぇ!…無事なだけと、わしが背負うペーパーで我慢してくれ……」

 

 

虎雄は、悔む美甘を慰める。

 

 

「取り合えず急いで晴風に戻ろう…大半のトイペーパーの事は残念じゃが、諦めるしかない……!」

 

虎雄は取り合えずトイレットペーパーは諦めて、急いで晴風に戻る事を提案する。

 

 

「そうだね、虎ちゃん!」

 

 

虎雄の提案に明乃も同意する。

 

 

「はぁ…今あるトイレットペーパーは1ダース、逃げるしかない…」

 

 

「そうだね…」

 

 

媛萌はトイレットペーパーを何としても手に入れたかったが、今は逃げるのが先決だと思い、美甘もそれに同意する。

 

 

「三十六計逃げるに如かず」

 

 

美波もことわざで呟く。その時

 

 

ガチャ

 

「あっ!?」

 

突然、後ろから黒いスーツ姿をした者が現れる。

 

 

「動くな!」

 

 

スーツの者は虎雄の背後にある物を向けた。それは拳銃だった。

 

 

『えっ!?』

 

 

 ドキューン

 

 

「がはっ……」

 

 

虎雄は素早く拳銃を抜き発砲、スーツの者の肩を撃ち抜いた。

 

 

「何じゃ、貴様?」

 

 

虎雄は警戒しながら激痛で踠き苦しむ者に近づき、南部拳銃を突き付けながら問う。

 

 

「ぐっ…た…助てくれ…頼む……」

 

 

「わかった…美波さんこいつの応急処置を…」

 

 

男の要望で虎雄は南部十四年式拳銃を下げた時

 

 

「とりゃあっ!!」

 

 

「なっ…貴様…」

 

 

スーツの内部に、防弾チョッキを着こんでいたおかげで免れた。

 

 

「防弾チョッキを着て正解だった…大賀虎雄、お前を確保する!」

 

 

スーツの者が虎雄の拳銃を払い、自力で立ち上がり、格闘技で虎雄の腕を掴み掛かろうとした。

 

 

「なっ…!?」

 

 

「海軍を、薩摩を舐めるな!」

 

だが虎雄は素早く躱し、手刀で腕を叩き、柔道で得意の一本背負い、腹部を強打し、スーツの者を気絶させた。

それを目の当たりにした明乃と姫萌は目を見開いた。

 

 

「虎ちゃん!?」

 

 

「大丈夫じゃ…」

 

 

「虎雄…凄い…」

 

 

「まぁな、わしは柔道と空手を噛っておるなんじゃ…こいつらは…?」

 

 

「わからない…なんでわたし達を…」

 

 

「…わからん…もしかすると、スパイじゃ……」

 

 

「動くな、晴風の生徒ども!!」

 

 

美波が黒服の者を調べると、別の通路から数人の者たちが懐から拳銃を抜き、構えていた。

 

それに対し、虎雄は不安気味な明乃たち晴風の乗組員を守る為に、南部十四年式拳銃を構え、戦闘態勢をとった。

 

 

「うぅ…なんでこんなことに…」

 

 

「…絶体絶命……」

 

 

「(こいつら…なんの為に…)」

 

 

一人の男が拡声器を構えた。

 

 

『晴風の女子生徒に告ぐ、その拳銃を武装する者と、貴殿の飛行機械を我々に引き渡せば、君たちの生命を保証する!』

 

 

「何ですって!?」

 

 

「なんでじゃ…この娘より…」

 

 

だが次の瞬間、指揮した男は背後から頭部を撃たれて絶命した。

 

 

「う!?」

 

 

「なんだなんだ!?」

 

 

「背後から敵襲!!」

 

 

「食らえっ!!」

 

 

黒服の男たちが困惑するところを見計らった虎雄は手榴弾を投げ、爆発した。

 

 

「…やったか…っ!?危ない、伏せろ!」

 

 

爆発した現場から発砲、虎雄は明乃たちに伏せる様に指示する

 

 

「と…虎ちゃん…」

 

 

「艦長たちはここで…わしが確認してくる…」

 

虎雄は明乃たち4人を残し、拳銃を手にし現場へ確認しに行った。

 

手榴弾で爆発した現場は沈黙。

 

 

顔を負傷した一人は生き残り、海に逃亡した。

 

「…うぅ…ひぃっ…」

 

 

「…くそっ…逃げられたか…あいつらが…何のために…?」

 

 

「それは、君と君の水上飛行機を手に入れるためだよ大賀虎雄少尉!」

 

 

「なに!?…あんたは…?」

 

 

虎雄の横に現れたのは、M-1ガーランドを所持し、日本人でありながら、アメリカ海軍の飛行衣服を纏った、トム・K・五十嵐だった。

 

 

「敵か…?日本人がなんでアメリカの格好を…わしを助けたんじゃ…?」

 

 

「おっと、僕は元アメリカ海軍少尉、トム・K・五十嵐だ。沖田新一郎が結成したライジングイーグルの隊員だ…?」

 

「ライジング…イーグル…?…トム…沖田さんが…!?…元帥が言ってたことは…真実か…!?」

 

虎雄は晴風に乗艦する猫の五十六元帥の言葉で聞き出したことを思い出した。

 

すると

 

 

「そこまでよ、大賀少尉!!」

 

 

「さっきの追ってか!」

 

 

「ひっ!?」

 

 

虎雄は虎雄と晴風の生徒の拘束を損ねた、ブルーマーメイドの平賀たちであった。

 

虎雄は拳銃を平賀たちに向けた。

 

 

「やめろ虎雄!」

 

 

「こいつらは、わしらを捕まえにきた敵じゃ!」

 

 

「待って!私達は、味方です!!」

 

 

「なに、味方…?」

 

 

「この人の言う通り、味方だ!」

 

 

「なんじゃと…!?」

 

 

トムの言葉で、虎雄は拳銃を下ろした。

 

 

「晴風の生徒たち、…トム君、無事だったんだね」

 

 

「平賀さん!…こいつらは晴風の生徒の抹殺、大賀虎雄を捕まえに来た海賊です!」

 

 

「えぇ、わかったわ!」

 

 

トムはスーツの者達の元に向かい、虎雄は質問した。

 

 

「こいつらは、お前達の仲間じゃないのか?」

 

 

虎雄は、黒服の者達がある組織が送り込んだスパイなのか平賀に問う。

 

 

「…はっ!?」

 

 

平賀は死体の黒服達を見て、平賀は驚く。

 

 

「顔見知りか?」

 

 

「えぇ…横須賀基地で沖田監督官を拘束したスパイ達です!!」

 

 

黒服達の正体は、上官の沖田新一郎を拘束した海賊だった。

 

「何じゃと!?」

 

 

「恐らく、黒潮と虹川監督官のスパイでしょう!」

 

 

平賀は、黒服の者達が黒潮と虹川の手のスパイだと見抜く。

 

 

「ち、違う…我々は、海賊だ!お前たちの黒潮と無関係だ!」

 

 

虎雄は一人気絶させ、拘束した黒服の者は黒潮の手先ではないと言い張る。

 

 

「黙りなさい!…あなたを殺人未遂及び恐喝罪で逮捕します。連行して!」

 

 

平賀は寒川と志度に、黒服の海賊を連行するよう命じる。

 

 

『はいっ!』

 

 

寒川と志度は、海賊の一人を連行する。

 

 

そこに、晴風の生徒である明乃たち4人が出頭、白い制服を着たブルーマーメイドの平賀倫子たち増援の隊員が駆けつけ、彼女たちを保護した。

平賀がトムと話す光景を見ていた彼は、顔見知りだと発覚した。

 

 

「しかし、あんたは何者じゃ…?」

 

 

「わたしはブルーマーメイドの隊員、平賀倫子です。君のことは、ライジングイーグル…いえ…かつての上官の沖田新一郎海軍大尉から聞いています」

 

 

「…沖田さんが…なぁ、あんた!沖田さんはどうしているんじゃ!?…拘束しているってのはどう言うこと何じゃ、五十嵐…!?」

 

 

「ねぇ、虎ちゃん…沖田って人は…?」

 

 

「ライジングイーグルってなんなの…?」

 

 

小笠原諸島の西之島、横須賀女子学校の航洋艦晴風が教官艦さるしまを攻撃した件にて、編成したばかりのライジングイーグルが海上安全整備局に睨まれ、代表者の沖田新一郎大尉が拘束、逮捕された。

 

ラバウル六勇士の金城幸吉、整備士の秋山敏郎は、アメリカ海軍のPBY-5カタリナに搭乗し、演習目的の西之島で行方不明になった。

 

 

「そんな……幸吉と…トチローさんが行方不明…わしが…教官艦を攻撃したせいで…明乃たち…沖田さんが拘束…畜生…くそったれ…め…」

 

 

虎雄は自身の行動で危険な目に合わせたことに罪悪感を抱き、悔やんだ。

 

すると、トムが虎雄の襟首を掴んだ。

 

 

「大賀虎雄!ここで悔やんでいる事より、今生きてやるべき事をやれ!!」

 

 

「あ…あぁ…」

 

 

虎雄の脳裏には南方の最前線ソロモンで、連合艦隊司令長官、山本五十六大将が戦死、彼の遺言で特殊部隊、ラバウル六勇士を編成、かつての隊長だった厚木十三の訓示を思い出した。

 

 

「さあ、此処では何ですから、取り合えず我々の支部に行きましょう。話は其処で…」

 

 

 

「頼みます、この世界と事態を教えてくれ!」

 

 

 

「まぁ落ち着け。さあ、行きましょう。晴風の皆さん!!」

 

 

「はっ…はい!」

 

 

 

虎雄と明乃たちは事情を説明する為、平賀達と一緒にオーシャンモール四国沖店のブルーマーメイドの支部へと向かう。

 

 

 

横須賀ブルーマーメイド基地 庁舎、真霜の執務室

 

 

最初の電話から数時間が経過した後、再び真霜のところに電話が入る。

 

 

「はい、もしもし…?」

 

 

 

『宗谷監督官!…平賀です!』

 

 

 

電話の相手は平賀からだった。

 

 

 

「どうしたの平賀監察官!?…先程、報告を終えたばかりのなのに…何かあったの?」

 

 

 

『その…ライジングのトム・K・五十嵐隊員と、日本海軍少尉、大賀虎雄と接触しました。』

 

 

 

「…トム君と!?…それで、彼らは今何処に?」

 

 

 

平賀からトムと新一郎の部下、大賀虎雄と無事接触した報告を聞き、真霜は彼らが今何所に居るか問う。

 

 

『今此処に…支部で晴風の生徒達と一緒に状況を説明しているところです。』

 

 

「そう…良かった!!」

 

 

トム達が無事、平賀と一緒にブルーマーメイドの支部に居る事を聞いて、真霜は安心する。

 

 

 

『それと、報告にはまだ続きが…』

 

 

「!?」

 

 

真霜は、平賀からある思わぬ報告を聞く。

 

 

『大賀少尉と晴風の生徒達を保護したとは別に、海賊の残党の一人を拘束しました。』

 

 

「海賊?」

 

 

『詳しくは分かりませんが、おそらく黒潮、虹川監督官のスパイかと…晴風の乗員を人質にとって、大賀少尉に従わなければ乗員を一人ずつ殺すと脅したそうです。』

 

 

平賀は拘束した黒ずくめの男達の事とその男達が明乃達を人質にとって、虎雄を脅した事を真霜に報告する。

 

 

「何ですって!?それで、晴風の乗員は?」

 

 

真霜は明乃達の安否を問う。

 

 

『殺される寸前で、トム君と大賀少尉が彼らを救出しました。』

 

 

 

「そう…良かった…」

 

 

明乃達が無事な事に安心した。

 

 

『それで、これから彼らと共に晴風の元に向かうつもりです。』

 

 

平賀はこれから晴風に向かう事を真霜に告げる。

 

 

「そう…くれぐれもお願いね!」

 

 

『はっ!』

 

 

「あと、追及なことだけどトム君と二式水戦のパイロットの顔をモニターで見せてちょうだい!」

 

 

『はい!』

 

 

真霜は電話の受話器からモニターに映り、画面からトムが写った。

 

 

『真霜さん!』   

 

 

「トム君、よかった…無事で…」

 

 

『真霜さん、色々と心配を掛けてすいません…』

 

「いいのよ……あなたが無事で…」

 

 

「…真霜さん、…ウィル機長の家族、キャサリンさんとエマちゃん、エミリーちゃんは…?」

 

 

「心配しないで、私たちブルーマーメイドは絶対に保護しています。あの…晴風の元にやって来た…パイロットと面会させて」

 

 

『は、はい!』

 

 

真霜との通話中、虎雄と代わった。

 

 

「…モニター越しで失礼します。あなたが新一郎…いえ、沖田新一郎大尉の部下ですね。私は海上安全管理局、ブルーマーメイドの一等保安監督官、宗谷真霜です」

 

 

「はっ!お初に掛かります。私は日本海軍少尉、大賀虎雄です!…失礼ですが、あなたは晴風副長、宗谷ましろのお姉さんですか…?」

 

 

「えぇ、そうよ。そして、新一郎と結婚する約束をしています」

 

 

「は…そうですか…(沖田さん、こんな別嬪さんと結婚するのか~!)」

 

 

虎雄はどことなく納得し、羨ましそうに思いつつ、真霜は笑みからすぐに深刻な顔になった。

 

 

「大賀少尉、あなたの上官は濡れ衣を着せられて、別の組織に拘束されています!」

 

 

「沖田さんが…!……宗谷さん、沖田さんはどこにいるんだ!?今すぐ助けに…」

 

 

「落ち着け少尉!」

 

 

「落ち着いていられるか!離せ、五十嵐!」

 

 

「助けたい気持ちは分かる!だが、お前一人と愛機だけで何が出来る!!」

 

 

「トム君の言う通りよ大賀少尉!」

 

 

「あ……く…その短剣は…!?」

 

 

真霜の一言で虎雄は落ち着いた。そして、彼女は新一郎の海軍短剣の鞘から一枚の書類を取り出した。

 

 

「沖田新一郎大尉があなたに向けた命令書があります。『大賀虎雄少尉。今後、横須賀女子海洋学校所属、航洋艦晴風と行動せよ!』」

 

 

「…沖田さん…くっ…今日会ったばかりのあんたの命令を聞く訳にはいきません!…だが、…沖田さんの婚約者なら尚更です。沖田さんをよろしくお願いします、宗谷監督官!」

 

 

苦虫を噛み潰したように、虎雄は真霜を睨みつつも敬礼をした。

 

 

「えぇ、必ず助けだすわ!」

 

 

 

 

 

 

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