ハイスクール・フリート   ~空を翔る鳶と海虎~   作:鷹と狼

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第27話 晴風からの乱射

 

 

大賀虎雄は支部での事情説明を終えた後、トムと明乃達(美甘と媛萌、美波は、スキッパー)は、平賀達と共に明石と間宮を連れてブルーマーメイドの哨戒艇で晴風に向かう。

 

 

「…食糧艦間宮…幽霊船かと思った~!」

 

 

「え…?間宮が幽霊船…?」

 

虎雄の言葉で、平賀が頭を傾げた。

 

彼が知るのは、1944年12月20日。南方から本土への航海中の南シナ海で米潜水艦の魚雷を受けて沈没した。

 

シンガポールに所属していた虎雄たち日本軍将兵は嘆き、悲しんだことを呟いた。

 

 

 

18:00

 

 

一方、晴風は、荒れ狂海上の中、買い出しに行った虎雄と明乃達の帰りを待ち続けていた。

 

 

 

晴風、甲板

 

 

 

「うわ、漂流物漁っている場合じゃなくなってきたね!」

 

 

 

「…気持ち悪い~…」

 

 

昼間からずっと漂流物を漁っていた理都子と果代子であったが、荒れてきた海の中で、下を向いて作業をしていた為か船酔いを催した様子だった。

 

 

 

2人の周りには、漁った漂流物が山ほど置かれていた。

 

 

 

晴風、艦橋

 

 

 

「そろそろ艦長と少尉が戻ってくる時間だよね…」

 

 

 

「此処で合流にしたんですけどね…」

 

 

 

買い出しに行った虎雄と明乃達の帰りが遅いのに芽依と幸子は、気になっていた。

 

 

「艦長と大賀少尉はまだか!」

 

 

もう1人、虎雄と明乃達の帰りをまだかまだかと待ち浴びていたましろが艦橋に怒鳴りながら戻って来た。

 

 

 

「ひっ!?」

 

 

 

怒鳴るましろに鈴は、ビックリする。

 

 

 

「まだですね…」

 

 

 

「何、呑気に買い物してるんだ!」

 

 

 

ましろは、余りに帰りが遅い虎雄と明乃達に呆れ果てる。

 

 

「ぬう…」

 

 

「!?…ひっ!」

 

 

ましろは、何かと思い艦橋に赴いた五十六の方を向くと突然、ビックリな顔をする。

 

 

何故なら、五十六がある物を口の咥えていたのだ。

 

それは、昼間、通販会社の箱から逃げたあのマウスだった。

 

五十六はマウスを生け捕りにして、まるで艦橋の皆に自慢するかの様に見せた。

 

 

「…かわ…いい……」

 

 

志摩は、五十六が生け捕りにしたマウスを見て、可愛いとうれしそうに、五十六が床に置いたマウスを手に取る。

 

 

「フギャ…!!」

 

 

すると五十六がまるで俺の獲物を横取りするなと言っているかの様に、マウスを取り替えそうと暴れるが

 

 

「こら、こらぁ」

 

 

芽衣に抑えられて奪い返す事が出来なかった。

 

 

「!?…」

 

 

マウスは自らを手のひらに乗せてくれた志摩の頬に自らの頬を寄せる。

 

 

「人懐っこいですね…」

 

 

幸子はマウスを見て和む。

 

 

「生き物は持ち込み禁止だろ!」

 

 

規律を守るましろは、マウスを持ち込んだ事に腹を立つが

 

 

「飼い主が見つかるまで預かっておきましょうか?」

 

 

幸子が飼い主が見つかるまで、自分が責任を持って、預かると言うが

 

 

「ん…」

 

 

それに対して、ましろは、何も反論できなかった。

 

 

ましろと幸子がマウスの処置について話している頃

 

 

見張り台で見張りをしていたマチコが双眼鏡で水平線に浮かぶ4つの黒い物体を発見する。

 

 

「ん!?…」

 

 

何かと思い、もう一度双眼鏡を覗くと

 

 

「!!…」

 

 

晴風と同じ横須賀女子海洋学校所属の給糧支援教育艦間宮と工作支援教育艦明石、そして護衛の航洋直接教育艦浜風、舞風だった。

 

 

 

晴風、艦橋

 

 

『間宮、明石及び、護衛の航洋艦2隻右60度、200、此方に向かう!!』

 

 

 

「また攻撃されちゃうの…!?」

 

 

また攻撃されるのかと鈴は、泣き叫ぶ。

 

 

「…いやな予感が当たった…」

 

 

ましろは、虎雄と明乃達の帰りが余りに遅かったので、もしかしたら捕まったのではないかと思ったが、それが的中した様だ。

 

 

 

「ど、どうしよう!?…艦長と虎ちゃんがまだ戻って来てないし…」

 

 

 

「ボイラーの火を落としてるから、何れにせよ逃げられない!」

 

 

虎雄と明乃は、まだ戻っておらず、更にボイラーも火を落としている状態なのでエンジンも動かせない。

 

絶体絶命の危機。

 

 

「……」

 

 

不安そうに事のなり行きを見る志摩。

 

 

この時、志摩の手に居たマウスは、先程見せた人懐っこい姿はなく、まるで魔界の使い魔か小悪魔の様な雰囲気を出していた。

 

 

間宮、明石、浜風、舞風は探照灯と照らしながら二手に分かれ、更に美甘と媛萌、美波が乗るスキッパー2艇と、明乃と平賀、虎雄とトムを乗せたブルーマーメイドの哨戒艇が晴風に向かう。

 

 

「あれが晴風か?」

 

 

「そうじゃよ…」

 

 

「あの駆逐艦に、ましろさんが副長を務めている艦艇とは…」

 

 

「うん…?お前、なんでそれを知っているんじゃ…?」

 

 

「一時的にアルバイトと試験合格の祝賀会、そして来賓として入学式を見物した。」

 

 

虎雄とトムが呟いていると晴風は、間宮、明石、浜風、舞風の4隻に完全に囲まれた。

 

 

晴風、甲板

 

 

「囲まれた!!」

 

 

甲板に居た光、美千留、理都子は、不安そうに周囲を見渡す。

 

 

「おぇ…!」

 

 

だが、果代子だけは船酔いでそんな余裕も無く、1人吐いていた。

 

 

晴風、艦橋

 

 

「逃げられないよ…!!」

 

 

完全に包囲され鈴は、泣き叫ぶ。

 

 

「ド間抜け共が何をやってる!…艦長や虎雄は如何した!?」

 

 

その時、ミーナが艦橋に怒鳴り込んできた。

 

 

「まだ戻ってきていません!!」

 

 

「何…!?」

 

 

 

虎雄と明乃が戻っていない事にミーナは、驚愕する。

 

 

見張り台

 

 

「艦長達が戻ってきました…!!」

 

 

マチコが美甘と媛萌、美波が乗るスキッパー2艇を視認する。

 

 

「はっ!?…ブルーマーメイドの哨戒艇もいます!」

 

 

更に虎雄、明乃と平賀、トムを乗せたブルーマーメイドの哨戒艇を確認する。

 

 

「何!?」

 

 

「ブルーマーメイドって…私達を捕まえに来たの!?」

 

 

4隻の艦艇に包囲され、更に後ろからはブルーマーメイドの哨戒艇まで現れた。

 

晴風の艦橋の不安と緊張がピークに達した。

 

 

「カレーなんか食ってる場合じゃねぇ…!!」

 

 

突如、艦橋に怒声が響いた。

 

 

『!?』

 

 

 

何かと思い皆が怒声の方向を向くと其処には、志摩が立っていた。

 

しかし、その状態は、大人しい性格とは違い、まるで野人化した状態になっていた。

 

 

「た、立石さん?」

 

 

幸子は普段の志摩からは考えられない声を出した彼女に困惑する。

 

 

「何だ、カレーって!?」

 

 

ミーナも今日の夕飯のメニューでもないカレーの事を口走った志摩に困惑する。

 

 

「そ、それより、逃げないと…」

 

 

鈴は何とかしてこの場から逃げようと呟く

 

 

「何言ってんだ!!逃げてたまるか!!攻撃だ…!!」

 

 

志摩は正気を失って、攻撃だと言い張る。その態度は余りにも普段の志摩らしからぬ態度であった。

 

 

「おっ!…撃つか!?…撃つのか!?」

 

 

そんな志摩の態度に疑問を感じつつ砲を撃てるかもしれないと芽衣は少し期待した目をする。

 

 

「止めろ、戦闘禁止だ!」

 

 

ましろは、絶対に攻撃するなと言うが

 

 

「黙れ!!」

 

 

完全に正気を失っている志摩は、全く聞く耳を持たなかった。

 

 

『っ!?』

 

 

「タマちゃん如何しちゃったの急に…」

 

 

志摩の異常に鈴は、泣き叫ぶ。

 

 

「『もう逃げるのは嫌!』『そうよね、逃げちゃ駄目!私、戦う!』」

 

 

 

幸子がまた一人芝居を始める。

 

 

「良いから、止めろ!!」

 

 

完全に正気を失っている志摩をましろと芽衣が取り押さえる

 

 

「離せぇ…」

 

 

「大人しくしろ…!」

 

 

2人に抑えられ志摩は、暴れ出す。

 

 

『うわっ!?』

 

 

志摩の物凄い力に、ましろと芽衣は、壁に叩き付けられる。

 

 

「うっ!?…お、落ち着け!」

 

 

 

ミーナは、志摩に落ち付けと述べる

 

 

「!!!!!!」

 

 

2人を振り払った志摩は、全く聞かず、猿の姿勢を取りながら艦橋を飛び出す。

 

 

そんな志摩をミーナは急いで追いかける。

 

 

晴風、甲板

 

 

艦橋を出た志摩は、まるで猿の様にデッキから魚雷発射官から更に飛び移って行く。

 

 

『あっ…』

 

 

甲板で様子を伺っていた光、美千留、理都子、果代子は、飛び移る志摩を見て、何かと思い志摩が飛び移る方向を見る。

 

 

やがて、志摩は、25ミリ機関銃が設置された銃座にたどり着く。

 

 

志摩は、何の躊躇いもなく25ミリ機銃の照準を明石へと向ける。

 

 

「本当に撃つ気だ!」

 

 

芽衣は、てっきり志摩が冗談で言っているのかと思ったが、どうやら志摩は、本気の様だ。

 

 

 

「明石…間宮…おめーらにやられるタマじゃねぇんだこっちは!!」

 

 

 

ドォン ドォン ドォン

 

 

 

志摩は、25ミリ機銃を四方八方に乱射する。

 

 

機銃の乱射にデッキに居たましろと芽衣、幸子、鈴は、床に伏せる。

 

 

更にそれを見た光、美千留、理都子、果代子は、怯える。

 

 

 

ブルーマーメイド哨戒艇

 

 

 

「な、何じゃ!?」

 

 

「晴風から発砲!」

 

 

「発砲!?大賀さん、これは如何いう事ですか?」

 

 

「分からない!!誰じゃ、発砲したのは!?」

 

 

「タマちゃん!?」

 

 

「えっ!?」

 

 

突然の発砲に虎雄と平賀、トム達は困惑し、更に発砲したのが志摩だと聞いて、虎雄は驚く。

 

 

 

晴風、デッキ

 

 

 

「ああ、撃っちゃたね!」

 

 

「何て事をしたんだ!…」

 

 

志摩が撃った事で、ましろの中にこれで本当に自分達は反逆者になってしまったと言う絶望感が沸き上がる。

 

 

晴風、甲板

 

 

やがて、機銃弾全弾を討ち尽くした志摩は別の25ミリ機銃へと移動しようとした時

 

 

 

「このドアホウの…ドマヌケがぁ…」

 

 

追いついてきたミーナが志摩を掴むと思いっきり投げ飛ばす。

 

しかし、志摩が落ちたところは、冷たい夜の海だった。

 

 

「しまった!?」

 

 

志摩を海へと投げ込んだ後、ミーナは止める為とは言え、冷たい夜の海に人を投げ込んでしまった事の重大さに気づく。

 

 

『タマちゃーん!!…立石さーん!!…大丈夫!?…』

 

 

甲板からは、光、美千留、理都子、果代子が海に投げ飛ばされた志摩の安否を心配する。

 

 

「くそっ、今助けるぞ!!」  ドボーン

 

 

「虎雄!!」

 

 

「虎ちゃん!!」

 

 

「大賀少尉!!」

 

 

すると虎雄は海に落ちた志摩を助けに飛び込み、彼女を救助した。

 

 

「…ぷはぁ~…はぁ…はぁ……うまく着地しろよ、タマ…!」

 

 

そして、虎雄は志摩を晴風の甲板へ投げ飛ばし、戻ってきた。

 

 

「うっ!!…??」

 

 

志摩は、何事もなく甲板に着地した。

 

 

「戻って来た!!」

 

 

晴風の甲板へと戻ってきた志摩に4人は、驚く。

 

 

やがて投げ飛ばしたミーナやデッキに居た4人が志摩の元にかけつける。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「タマちゃん」

 

 

晴風の甲板へと戻ってきた志摩に幸子と鈴が声を掛ける。

 

 

「よくぞ、ド無事で!」

 

 

更にミーナも志摩に泣きながら抱き付く。

 

 

「それを言うなら、ご無事だって‥‥」

 

 

芽衣は、冷静にミーナの間違った日本語にツッコミを入れる。

 

 

「!?…あら?…あなたそんな所にいたの?」

 

 

幸子は志摩のスカートのポケットに入っていたマウスに気づく。

 

 

マウスは、一時的に海水に浸かったせいかぐったりとしていた。

 

 

「タマちゃん大丈夫…?」

 

 

明乃が志摩に怪我がないかを尋ねる。

 

 

「うぃ!」

 

 

「あれ、いつもの調子に戻ってる?」

 

 

志摩は、先程の様子と違い何時もの無口な状態に戻っていた。

 

そして、トムは海に飛び込んだ虎雄にロープを投げ、救助した。 

 

 

「…全く、この冷たい海で無茶するな…」

 

 

「…冷てぇ~助かった…トム~!」

 

 

「少尉、毛布です」

 

 

「あぁ…ありがとう…平賀さん…」

 

 

トムと平賀は、海水の冷たさでガタガタ震える虎雄に毛布を被せた。

 

 

「聞いて!…補給艦の皆は、助けに来てくれたんだよ…!!」

 

 

「え!?」

 

 

ましろは、明石のマストを向くと、マストには、救助に来たという信号用の旗が掲げられていた。

 

 

ブルーマーメイド哨戒艇

 

 

「如何やら、終わった見たいだな…」

 

 

「ん」

 

 

 

ようやく難が終わり、虎雄とトムは、ホッと安堵する

 

 

「それにしても、今のは、何だったんだ?…なぁ虎雄、お前の生徒は頭が可笑しくなってるのか?」

 

 

トムは、さっきの志摩の行動を見て、晴風の生徒は、頭が可笑しくなってるのかと問う。

 

 

「そんな訳無ぇよ!彼女はたちは、皆穏やかな性格じゃ!」

 

 

トムに対して、虎雄は、晴風の女学生は、穏やかだと述べる

 

 

「でも、あれは…」

 

 

虎雄が穏やかだと言ってもトムは疑問に感じた。

 

哨戒艇は、晴風の左舷に接岸、タラップが降ろされる。

 

 

「それじゃ平賀さん、わしと艦長が先に皆に状況を説明しに上がりますので、それまで待ていて下さい。」

 

 

「分かりました。」

 

 

まず虎雄と明乃が上がり、晴風の生徒に状況を説明する事にした。

 

 

2人は、タラップを上がって、ましろ達が居る1番魚雷発射管へと向かう。

 

 

「シロちゃん!」

 

 

「か、艦長、大賀少尉!?」

 

 

買い出しから出かけて半日、ようやく明乃と虎雄は、ましろと再会した。

 

 

「シロちゃんや皆、怪我ない?」

 

 

「…はい…今のところは…」

 

 

「良かった…」

 

 

さっきの発砲で晴風の生徒に怪我が無い事に明乃は、安心した。

 

 

そして、ミーナに投げ飛ばされた志摩も無事だが、

 

 

「タマ!」

 

 

虎雄は、そのままミーナと一緒に居る志摩の元に赴く。

 

 

「うぃ…」

 

 

虎雄を見て志摩は、さっきの事で怒られるのかと思い困惑する。

 

 

「虎雄!…こ、これは…」

 

 

ミーナが志摩を庇おうと代わりに釈明する。

 

 

「うぃ…虎くん…!?」

 

 

「良かった!…怪我は無い見たいじゃな!」

 

 

虎雄は、志摩に対して、怒るどころか、志摩の事を心配してくれた。

 

 

「う~ぃ」

 

 

そんな虎雄に志摩は、笑顔を露にする。

 

それを見たましろ達は、安心して、2人を見る。

 

そして、後ろからトムが心配になって、虎雄の後を追いかけてきた。

 

 

「(何だ心配で追いかけてきたんだが、その必要も無かった様だ)」

 

 

トムは、2人を見て、心配は不要だと思った。

 

 

晴風、居住室

 

 

居住室で虎雄とトムは、平賀の前で真雪からの親書を開けて読む。

 

真雪からの親書からも海上安全整備局が勝手に晴風撃沈命令を下した事

 

そして、真雪と真霜が晴風撃沈命令を撤回する事に対し奔走している事

 

真霜が沖田新一郎達の解放に対し奔走している事

 

学校側からも今回の事件の原因究明の調査を行っている事

 

命の危険にさらしてしまった事に関しての謝罪が記されていた。

 

 

「…」

 

 

「ん…確か平賀さんの言う通り、この親書からも宗谷監督官と平賀さんたちブルーマーメイドが我々の味方だと言う事が証明できます。」

 

 

親書を見て、トムは、平賀と真霜達が味方だと確認した。

 

 

「分かって頂ければ恐縮です…それに先程、意識不明だった古庄教官の意識が戻ったと言う知らせがありました。」

 

 

「古庄教官が!?良かった!!」

 

 

古庄の意識が回復した事を知らされ、トムは、喜ぶ。

 

 

何故なら、これで虎雄と新一郎達が無実だと証明出来るからだ。

 

 

「ついては、補給と整備が済み次第、晴風と二式水上戦闘機は、事情聴衆の為、横須賀に帰還して貰います。」

 

 

事情聴衆の為、晴風は、補給と整備が済み次第、虎雄と共に横須賀に帰還する事を告げる。

 

 

「承知した。」

 

 

「了解した。」

 

 

平賀の帰還に虎雄とトムは、承諾する。

 

 

「では、私は、晴風の艦長のところへ参りますので大賀少尉、トム君?」

 

 

 

平賀は、明乃の元に向かおうとに声を掛けた時

 

 

「あっ、平賀さん!?」

 

 

トムは、ある事を平賀に問う。

 

 

「何ですかトム君?」

 

 

「その…武蔵とカタリナは…如何なりましたか?」

 

 

トムは、武蔵の事を聞く。

 

 

「えっ?武蔵じゃと…?」

 

 

虎雄は武蔵と聞いて驚いた。

去年のフィリピン海戦で、主力艦隊がレイテ島への航海で護衛任務を担ったが、航海中にアメリカ軍機の空襲で被害を受け、撃沈した。

 

 

「武蔵とカタリナは、現在ビーコンを切っていて…行方不明なんです。」

 

 

「行方不明!?…それで捜索は、如何なっていますか?」

 

 

行方不明の言葉を聞いて、トムは、驚愕し、捜索は、如何なっているのか問う。

 

 

「今、真冬姐さん達が捜索を行っています。」

 

 

現在、真冬の捜索部隊や応援として、東舞鶴男子海洋学校から教員艦隊が出動し、武蔵以下の不明艦を捜索中

 

 

「真冬さんが僕も捜索に…」

 

 

トムも武蔵とカタリナの捜索に参加しようと願い出る。

 

 

「それには、及びません…東舞校も捜索に参加しているので、二人は、補給が済み次第、横須賀に戻ってください。」

 

 

しかし、その必要はなく、平賀は、再度横須賀に帰還する様告げる。

 

 

「でも」

 

 

トムは、捜索に加わりたいと主張を枉げなかった。

 

 

「今晴風と沖田さんは、処分命令が解けていない状態なんです…いつ処分されても可笑しくありません!!」

 

 

まだ、晴風と新一郎は、危険な状態から脱してはいない。

 

そんな状況で武蔵の捜索など自殺行為だ。 

 

 

「…分かりました…速やかに横須賀に戻ります。」

 

 

平賀の言葉を聞いて、最早反論する事は出来ず。

 

 

結局、平賀に従い横須賀に帰投を承諾する。

 

 

「では、参りましょう!」

 

 

「はい」

 

 

「(大丈夫なのか!?…本心じゃ偉く落ち込んでいるが…)」

 

 

虎雄は、トムが本心じゃ捜索に参加できないから偉く落ち込んでいると察したが、虎雄は、何も言えなかった。

 

 平賀は、虎雄とトムを連れて、明乃の元に向かう。

 

 

4月14日

 

 

6:00

 

 

晴風、甲板

 

 

甲板に出た明乃とましろは、虎雄とトム、平賀と合流

 

 

「此方は、私と同僚で、海上安全整備局、安全監督室情報調査隊の平賀二等監察官!!」

 

 

トムは、さっきの落ち込みを2人に見せず、平賀を明乃とましろに紹介した。

 

 

「誠に申し訳ありませんでした!!しかし、トムさんが…大賀少尉と同類の人種とは…」

 

 

ましろは、志摩が発砲した件について平賀に謝罪、そして、トムがアメリカ海軍の飛行服が虎雄の飛行服と酷似していることに驚いていた。

 

 

「あ、あの…姉さん…いや、宗谷真霜がいる部署の方ですか?」

 

 

「ええ、私は、宗谷一等監督官の命令で貴方々に接触したんです。」

 

 

平賀は、ましろに真霜の命令で接触する様に説明する。

 

 

「シロちゃんのお姉さんって、ブルーマーメイドだったんだ!?」

 

 

明乃は、ましろの姉真霜がブルーマーメイドだった事に驚く。

 

 

「海上安全整備局は、さるしまの報告を鵜呑みに晴風が反乱したという情報を流しています…ですが、我々、安全監督室の見解は、異なっています!!」

 

 

「えっ!?」

 

 

「先程、飛行機パイロットの大賀虎雄少尉や艦長の岬さんからも聞きましたが、晴風は自衛の為にやむを得ず交戦したのですね?」

 

 

平賀は、ましろに真霜達が晴風がさるしまを攻撃したのは、自衛の為にやった事だと見解していると言う。

 

平賀が説明している途中、間宮の艦長藤田優衣と明石の艦長杉本珊瑚がタラップを渡り、晴風の甲板に降り立つ。

 

 

「はい、その通りです!!」

 

 

平賀の説明にましろは、その通りですと答える。

 

 

「今回、攻撃した生徒は?」

 

 

平賀は、志摩をどうしたのかと問う。

 

 

「取り合えず拘束しています。」

 

 

明乃は、倉庫に監禁している事を平賀に言う。

 

 

「そぅ…」

 

 

「すみません、普段は大人しくて、あんな攻撃する子じゃないんだけど…」

 

 

明乃は、志摩の性格からあり得ないと平賀に説明する。

 

 

「また戦闘になると思って気が動転したのかもしれないわね」

 

 

平賀もこれまでの経緯から志摩も疑心暗鬼になっていたのだろうと思い志摩に対して、厳罰を下す様な事はしなかった。

 

 

 

晴風、倉庫

 

 

その当の志摩本人は、芽衣と一緒に倉庫でトイレットペーパーを段ボール箱に詰めていた。

 

 

「しばらく拘束されるのは仕方ないよね…まぁ、私も付き合うからさ!」

 

 

「うん…」

 

 

志摩は、今だに自分のせいで大勢の人に迷惑をかけたと深く落ち込んだままな様子

 

 

「いや…良い撃ちっぷりだったよタマ!…引っ込み思案な砲術長だな~って思っていたけど、見直した!」

 

 

落ち込んでいる志摩に芽衣は、元気づけようと励ましの言葉を掛ける。

 

 

「…でも…何であんな事したのか……?」

 

 

志摩は、発砲した事は、覚えていたが、何故、自分があんなマネをしたのかは、全く分からなかったのだ。

 

 

「心に、撃て撃て魂があるんだよ!」

 

 

「うぃ?」

 

 

安定のトリガーハッピーな西崎の発言に首をかしげる志摩。

 

 

そんな時、2人が居る倉庫のドアがノックされ

 

 

『差し入れで~す』

 

 

杵﨑姉妹が監禁されている2人の為に差し入れを持ってきたのだ。

 

 

「立石さんがカレー食べたがっているって聞いたから…」

 

 

杵﨑姉妹が持ってきた差し入れは、志摩が好きなカレーだった。

 

 

「…あ…とう…」

 

 

「ありがとうって言っている。」

 

 

杵﨑姉妹の粋な計らいに志摩は、感謝を言いきれず代わりに芽衣が言った。

 

 

晴風、甲板

 

 

「ホントに教官艦が攻撃してきたの?」

 

 

珊瑚は、明乃にさるしまが攻撃した事を確認をするかの様に問う。

 

 

「うん」

 

 

「我々は、演習が終わった後に合流する予定だったから状況がよく分からなかったの…」

 

 

優衣は、演習終了後に合流する予定だったので、詳しい事は、分からないと明乃に伝える。

 

 

「あの、じゃあ如何して、私達に補給を?」

 

 

「校長先生の指示で…」

 

 

「お母さ…校長の?」

 

 

「真雪さんが?」

 

 

晴風の補給を指示したが真雪だと知って、驚く。

 

 

「我々も宗谷校長に依頼を受けたの…海上安全整備局の見解と違って、校長は晴風がさるしまや潜水艦を攻撃したとは思えない…と主張しているわ。」

 

 

平賀はましろに先程、トムと虎雄に手渡した親書と同じ内容をましろに説明した。

 

 

「さるしまの艦長、古庄教官の意識がやっと戻ったみたいだから、これで何が起こったのかが解明できると思う…」

 

 

『‥‥』

 

 

明乃、ましろにして見ても、あの時、何故古庄がいきなり実弾を使用して発砲してきたのか?

 

何故、先制攻撃をしてきたにも関わらず、古庄は虚偽の報告をしたのか?

 

2人はその事実を知りたかった。

 

 

「後程、発砲した生徒には、聴取を行います…それでは、後は頼んだわね、2人共?」

 

 

『はい!』

 

 

平賀は、補給と補修の指揮を珊瑚と優衣に任せ、志摩の聴取の準備の為、トムと共に一度哨戒艇へと戻って行った。

 

 

「ありがとう」

 

 

「!?…何故、私に?」

 

 

「だってシロちゃんのお母さんが私達を信じてくれたから、疑いが晴れたんだもん!」

 

 

「…うちの母は自分の信念を貫く人だから…」

 

 

ましろは、明乃に礼を言われ、拗ねる。

 

 

「それでこそブルマーだよね!」

 

 

「ブルマー?」

 

 

明乃の発した言葉に驚くましろ。

 

 

「うん、皆ブルーマーメイドの事、こう呼んでいるよ!」

 

 

「ブルーマーメイドを略すな!!」

 

 

ブルーマーメイドを略す事に反対するが

 

 

「んっ!?」

 

 

突然、ましろの目の前に

 

 

「んっ!?え、ええ??」

 

 

ポールの上で寝転がる五十六と配下みたいに側で寝転ぶ二匹の猫がいた。

 

 

「うぁ…」

 

 

「な、何故、猫が増えてる!?」

 

 

猫が増えているのにましろは、驚く。

 

 

「あ、うちと明石の猫よ!」

 

 

「あっ、そうなんだ!」

 

 

「補給艦はネズミが発生しやすいので飼っているの…」

 

 

どうやら猫2匹は、間宮と明石でネズミ対策として、飼われている猫。

 

 

優衣と珊瑚がそう話していると2匹の猫は、突然、寝転ぶのを止めて、如何いう訳かましろの元に行き始めた。

 

 

「来るな…来るな…来るな…」

 

 

二匹の猫は、恐る恐るましろに近づいてくる。

 

 

それを見たましろは、段々困惑して来て

 

 

次の瞬間

 

 

「来るな……!!!」

 

 

ましろは、悲鳴を出しながら逃げていった。

 

 

2匹の猫もその後を追う。

 

 

「シロちゃんって、猫に好かれて良いな~!」

 

 

明乃は呑気にそんな事を言っていた。

 

 

横須賀女子海洋学校、校長室

 

 

一方、横須賀女子海洋学校では、真霜が晴風を無事に保護した事を真雪に報告していた。

 

 

『艦長、乗員共可笑しな様子はありませんでした。』

 

 

「そう…ありがとう」

 

 

『海上安全整備局にも報告を上げたけど…まだ、晴風に危険分子がまだ乗船してるいのではないかと疑っているわ…学校に戻る前に全員拘束するべきではないかとの意見もあるの…これ以上晴風に何かあると、私だけじゃなくお母さんの立場も危うくなるわ!』

 

 

「私の心配はしなくて良いわ…でも…何か異常事態が発生している…貴方はその解明を急いで…それと、新一郎さんの解放もね!」

 

真霜は、自分の立場が危うくなっても真霜に今回の事件を引き起こした発端を調べるよう要請した。

 

そして、イーグルと新一郎を救う事にもなる。

 

 『分かっているわ!…ついては、私に考えがあるの!』

 

 

「考え?」

 

 

『私に任せてほしいの!』

 

 

真霜は、平賀が逮捕した刺客を使って、ある作戦を実行に移そうとしていた。

 

 

晴風、医務室

 

 

「結局、飼い主が見つからなくて、此処で預かって置いて貰えますかね?」

 

 

幸子が美波に例のマウスの面倒を美波に頼んでいた。

 

「無問題(モーマンタイ)」

 

 

美波はこのハムスターの様な生物の面倒を見ると言う。

 

 

「…但し、ハムスター…には非ず‥‥」

 

 

美波は飼育箱に入っているマウスをジッと見て、この生物はハムスターではないと断言する。

 

 

「じゃあ何ですかね?」

 

 

「調べてみる。」

 

 

美波はこの生物が一体何なのかを調べる事にした。

 

しかし、美波は、気づかなかった。

 

このマウスこそが今回の事件を引き起こした発端と言う事を

 

 

 

 

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