ハイスクール・フリート   ~空を翔る鳶と海虎~   作:鷹と狼

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第30話 武蔵とカタリナでピンチ 前編

 

4月15日

 

 

10:30

 

 

アスンシオン島沖

 

 

 

真冬率いるブルーマーメイドの保安即応艦隊が行方不明の教育艦を捜索している頃、同じく行方不明の教育艦を捜索している東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊の哨戒飛行船が単艦で航行中の武蔵を発見する。

 

その報告は、直ちに旗艦あおつきに齎された。

 

 

あおつき、艦橋

 

「教頭先生!…哨戒船から入電です!!…発5分隊2号船宛旗艦あおつき 武蔵を発見…北緯19度41分東経145度0分で巡行中…無線で呼びかけるも応答なし…」

 

 

「…」

 

 

報告を聞いた教頭は、何故無線で呼びかけても応答がない。

 

 

「ビーゴンの反応も消えてますし、おそらく無線も含め、電装系の故障だと思われます」

 

 

主任は、電子機器の故障で応答が出来ないんだと認識する。

 

 

「武蔵の位置を横須賀女子海洋学校に連絡しろ!!」

 

 

武蔵発見の報告を直ぐに横須賀女子海洋学校に連絡を命じる。

 

 

 

「まぁ見つかって良かった!!…随分と心配しているだろうな、生徒の安全確保は、優先事項なのに、複数同時に実習艦が行方不明になるとは‥‥」

 

 

 

教頭は、武蔵が見つかって、ホッとするが、何故、複数同時に教育艦が消息を絶つとは、異例の事態に気になってしまう。

 

 

「幸い伊201に乗艦していた我が校の生徒達とハワイ校のガードフィッシュの生徒達は、全員無事に救出できましたが‥‥」

 

 

 

主任も教頭と同じ気持ちだった。

 

 

 

「晴風は教員艦とも撃ち合いになったというし…それに、新設された部隊の飛行機械も消息が…一体何が‥‥」

 

 

「今回の晴風の反乱から複数の教育艦、イーグルの航空機PBYカタリナが消息を絶つ事態、教頭は一体、何が起きているのか」

 

 

 

「とは言えそんな事は、今考える事では無い、今すべき事は、目の前に居る武蔵の保護だ」

 

 

「いや、何が起きたにせよ、直ちに武蔵の保護に向かおう!…哨戒船を呼び戻せ!」

 

 

 

こうして、東舞鶴男子海洋学校の教員艦8隻は、直ちに武蔵の保護へと向かう。

 

 

 

ある島の沖合

 

 

 

東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が武蔵の保護へと向かっている頃、晴風は、明石と間宮と別れ、更にトムとも別れた後、晴風は現在、釜の温度が上がっていない事と平賀達による志摩の事情聴衆の為、この沖合で立ち往生な状態だった。

 

 

 

その為、暇な晴風の生徒は、終わる12時まで休息を取る事にした。

 

 

 

『うわぁ…ひぁ…』

 

 

 

生徒は、水着に着替えて、海水浴を楽しむ。

 

 

 

「ひぁ…マッチ~!!」

 

 

 

マチコはパラセイリングをし、媛萌と百々、美海がスキッパーで快感浴びている時

 

 

「イルカだ!?」

 

 

「生イルカっす!!」

 

 

 

近くにイルカの群れが通り掛かり、百々が興奮しながらその姿をスマホで撮る。

 

 

 

晴風、甲板

 

 

「こら、準備運動をせずに!!」

 

 

 

晴風の甲板では、ましろが準備運動をせずに海へと飛び込む生徒達に注意を促がした

 

 

「そのまま飛び込むのは、止めて下さい!!

 

 

「イ、イルカ…!!イルカ…!!」

 

 

 

今度は、側に居た明乃が水着を着ずに飛び込むのをましろが取り押さえて、止める。

 

 

「対象まで距離…5.0…全長は、2メートル30センチってとこ…バン!!」

 

 

「バキュンとくる感じ!!」

 

 

「102、10度旋回!!」

 

 

光と順子、美千留の3人がイルカの群れに対して、照準遊びをする。

 

 

 

皆が海水浴で遊んでいる中

 

 

 

「こんなにのんびりしてて、良いのか?」

 

 

 

ましろは、志摩が事情聴衆を受けている最中なのに自分達だけこんなにのんびりしてて、良いのか気が進まなかった。

 

 

「入学式から此処までずっと、皆緊張の連続だったしね…教官も許可してくれたし、ちょっとぐらい羽伸ばしても良いんじゃないかな」

 

 

入学式からここまで晴風の生徒は、緊張の連続が続いていた。

 

その為、明乃は、皆の緊張感を和らげようと晴れて、羽を伸ばす事にしたのだ。

 

 

「伸ばし過ぎだろ!!」

 

 

ましろは羽を伸ばすと言いながら、伸ばし過ぎだと反論する。

 

 

 

「皆、ホッとしてるんだよ!!…私達、反乱したわけじゃないって、わかって貰えた見たいだから…」

 

 

「とは言え、速やかに学校に戻るべきだろう…大賀虎雄と二式水上戦闘機を引き渡さなければ…」

 

 

 

ましろは、直ぐにも横須賀女子海洋学校に戻るべきだと告げる

 

 

「まだタマちゃん、平賀さん達に話し聞かれてる見たいだし、釜の温度も上がりきっていないから…」

 

 

明乃は、志摩の事情聴衆と機関の釜の温度が上がらない限り、横須賀には帰れないとましろに言う。

 

 

晴風、機関室

 

 

「う…畜生、上がれてぇんだ…!」

 

 

晴風の機関室では、明乃の言う通り、釜の温度が上がりきっていないので、麻侖がうちわで翻弄する。

 

 

 

その状況を五十六が後ろで見ていた。

 

 

 

晴風、甲板

 

 

 

「私達直ぐには、出発できないよ!」

 

 

 

明乃は、ましろに状況を説明しながら、生徒達を見守る。

 

 

「は~い…撮るよ…」

 

 

快感を浴びて戻ってきた美海が皆の写真を撮ったり、聡子と秀子、まゆみがビッチバレー、楓と鶫、慧がスイカ割りも行われており、先程照準遊びをしていた光と順子、美千留も二式水戦をバックで写真を撮り、今度はライフル式水鉄砲で遊び始める。

 

 

「しかし、一刻でも早く、着いた方が…」

 

 

例え出港できない状況でもましろは、一刻も早く学校に帰還すべきだと言うが

 

 

「明石と間宮は、着いたかな?」

 

 

「えっ!?」

 

 

「武蔵のところに?」

 

 

 

ましろが問う中、明乃は明石と間宮が無事に武蔵と合流できたのだろうか、気になっていた。

 

 

そんな明乃をましろは、唖然と見る。

 

 

そんな中、隣では

 

 

「今月の運勢は…」

 

 

「あっ!?さそり座は、9位!!」

 

 

機関員四人衆は、雑誌の占い記事で自分の星座の運勢をそれぞれ確認していた。

 

 

「おうし座は11位…」

 

 

麗緒は、自分の星座が12星座の内、ブービーだった事に嫌な顔をする。

 

 

「ビリじゃないから良いんじゃない!」

 

 

そんな麗緒に留奈がフォローを入れる。

 

 

「……因みにふたご座は何位だ?」

 

 

ましろが気になって、自分の星座の順位を尋ねる。

 

 

「…12位…特に水辺では、運気が下がりますって…」

 

 

自分の星座の順位が最下位だっと聞いて、嫌な顔をするましろ

 

 

「あっ…だけど彼氏がいれば…不運が回避するって…」

 

 

「か…彼氏って…///」

 

 

その言葉で、ましろが赤面したその時

 

 

「わぁ…!?」

 

 

占いが当たったせいか、光と順子、美千留の3人の水鉄砲のうちの一つが流れ弾として、ましろの前に赴いた虎雄に命中した。

 

 

「あっ!?」

 

 

「虎ちゃん御免、御免!」

 

 

自分の弾が虎雄に当たった事に順子は、謝罪する。

 

 

「あっ…虎雄ちゃん!」

 

 

「あ…大丈夫か……?」

 

 

「あ…あはは……大丈夫じゃ…おかげでさっぱりしたぞ!」

 

 

ましろは、つくづく自分の運がついていない事を、虎雄が赴かれたことに回避した。

 

 

「すご!?当たってる!!」

 

 

占いが当たった事に留奈は、驚く。

 

 

「あっ…心理テストもあるよ!…宗谷さん、やってみる?」

 

 

桜良が心理テストをましろに薦めるが

 

 

「やらん…」

 

 

「大賀さんも、やってみる?」

 

 

「そうじゃな…わしは着替えたあとに…」

 

 

ましろは、自分の不運が回避され、虎雄は着替えに部屋へと戻って行く。

 

 

「知床さんやってみる?」

 

 

ましろと虎雄が心理テストをやらんと言ったので、空は側に居た鈴に代わりに心理テストを受けてみるかと尋ねた。

 

 

「え…!?私!?」

 

 

鈴は物は試しとその心理テストを受ける。

 

 

 

晴風の生徒が海水浴を楽しんでいる中、晴風の倉庫では、拘束している志摩の事情聴衆が行われていた。

 

 

 

部屋には、調書を取る平賀と福内の他、志摩の付き添いとして、芽衣が志摩の右に座っていた。

 

 

 

「く〜あ〜な〜!!あ〜い〜な〜!!…私もキャッキャウフフしたいな~!!」

 

 

 

皆が海水浴で遊んでいる事に芽衣がぼやいていた。

 

 

「もう少しで終わるから、頑張ってね。」

 

 

芽衣のボヤキを平賀が返す。

 

 

「立石さん!…もう一度聞くけど…何故、急に攻撃したのか、如何しても思い出せないのね?」

 

 

福内が改めて志摩にあの時の事を尋ねる。

 

 

「うぃ‥‥」

 

 

しかし、志摩は、自分が何故あんな事をしたか、全く分からず、気づいていたら、既に明石と間宮を発砲した後だった。

 

 

「思い出せないなら仕方ないよ、タマちゃん!!…私だって撃てるものなら撃ってたし…あの状況だったらさ!」

 

 

 

芽衣もあの状況だったら、自分も撃ってたかもしれないと落ち込む志摩を慰める。

 

 

「ん…終了しましょうか?」

 

 

「以上の聴取内容をまとめ海上安全委員会に報告します。」

 

 

ブルーマーメイド隊員による福内と平賀の、立石志摩の事情聴取は、これにて終了した。

 

 

横須賀病院

 

 

新一郎が入院している横須賀病院では、横須賀女子海洋学校の古庄薫二等監督官も入院していた。

 

 

 

病室

 

 

病室では、古庄は病室に入れられ、ブルーマーメイドの隊員から事情聴衆をされていた。

 

 

 

「晴風の反乱と、航空機の攻撃を最初に報告したのはさるしまですよね?…何故反乱と断定を?」

 

 

 

何故、晴風を反乱と断定したのか問う。

 

 

「晴風が実習の集合時刻に遅れて当該海域に到着し、その際此方から砲撃を行いました…晴風は魚雷で反撃し本艦に命中…これを反乱とみなし、そして、沖田監督官の仲間であるパイロットと飛行機体の攻撃を受け、報告しました」

 

 

 

古庄は、晴風が海洋実習の集合時刻に遅刻し、それを攻撃したのを認める。

 

 

「遅刻程度で先制攻撃を行った理由は?」

 

 

 

今度は、何故、遅刻程度で先制攻撃を行ったのか聞かれる。

 

 

「それは‥‥」

 

 

「他の乗員は、全て艦長が命令したと証言しています。」

 

 

「ん…命令したことは…よく覚えています…ですが…何故そう言う判断に至ったか…自分でも…不明なのです。」

 

 

 

古庄以外のさるしま乗員も晴風攻撃を古庄が命令した事を認めているが、命令した古庄自身は、志摩と同じ何故、あんな事をしたか分からなかった。

 

 

 

「本当に分からないんですか?」

 

 

 

ブルーマーメイド隊員は、更に問う時に

 

 

「…」

 

 

「監督官の宗谷です!」

 

 

「イーグルの沖田です!」

 

 

真霜と松葉杖を着く新一郎が2人の病室を訪れた。

 

 

「沖田さん!?」

 

 

「ご苦労様!!…差し入れを持って来たわ。」

 

 

「は、恐れ入ります」

 

 

「私も古庄教官から話を聞きたいのだけど…少し良いかしら?」

 

 

「はい」

 

 

真霜は、古庄から話を聞く為、しばらく3人だけにして欲しいと頼み、ブルーマーメイド隊員もそれを受け入れ、退出する。

 

 

「身体は、もう良いのですか教官?」

 

 

「はい、お陰さまで…沖田さんこそ…私のせいで逮捕され、拷問を受け…ごめんなさい…」

 

 

古庄は、黒潮たちに逮捕され、拷問を受けた新一郎に謝罪した。

 

 

「いいんですよ古庄教官。トムとキャサリン、子供たちはあなたを心配していましたよ。回復したら一目会って下さい」

 

 

「……えぇ…」

 

 

「大丈夫ですか? 古庄先輩?…救助が来るまでの間、海を漂流してったて、聞きましたけど…」

 

 

「後輩に心配かけるなんて情けないわね…ありがとう大丈夫よ!」

 

 

「すみません…長所が完成するまでは、此処に居てもらう事になります。」

 

 

真霜は、長所が完成するまで病室に監禁される事を告げる。

 

 

「…俺も回復したばかりの身体だから、しばらく飛行機の操縦はできんです」

 

 

「そうですか…」

 

 

当然、新一郎もまだ、体が治っていないので、しばらくブルーマーメイドに勤務する事になった。

 

 

「これで食べて下さい。」

 

 

真霜は持って来た差し入れの品を古庄に渡す。

 

 

「ありがとう…生徒に向かって発砲したのに…何故そんな事をしたのか思い出せない何て…自分に腹が立つわ‥‥」

 

 

 

古庄は、先程の事情聴衆と同じ、自分が教官として、あるまじき行為をしたと自覚しているのだが、何故そんな事をしたのか思いだせない事に腹が立っていた。

 

 

「悔やまないで下さい!…過ぎた事は、仕方がない…それに貴方だけのせいではない筈です」

 

 

「彼の言う通りです…それに他の乗組員もちゃんと記憶はあるのに何故こんな事をしたのか思い出せないと証言しているんです…先輩だけじゃありません…サルベージしたさるしまの戦術情報処理システムもログが消えていました」

 

 

2人は今回の事件の責任は、決して古庄だけではないと言い、真霜は鞄から事件の経緯が纏められた報告書を見せる。

 

  

「ログ、消失…13時20分から機能を喪失していたとみられる、か…」

 

 

「記録が消失とは、可笑しいですね?…機械の故障ですか?」

 

 

新一郎は、ログ消失と聞いて、記憶装置の故障かと問う。

 

 

「いえ、故障じゃないらしいわ。」

 

 

「……」

 

 

故障ではないと聞いて、なぜ、ログが消えたのか気になる。

 

 

報告書を見るのを終え、真霜に返した。

 

 

「晴風は本当に大丈夫?」

 

 

晴風の安否を聞く。

 

 

「五十嵐少尉と、飛来した大賀虎雄少尉のお陰で艦長以下全員無事です」

 

 

「そう…彼にも迷惑を掛けたわ!」

 

 

真霜から晴風は、無事だと聞いて安心し、虎雄とトムにも迷惑を掛けた事に申し訳ないと思う。

 

 

「危ない事は、俺達イーグルの仕事の内です。虎雄も迷惑なんて思っていません」

 

 

新一郎は、別に危ない事は、自分達の仕事で虎雄も迷惑なんて思っていないと言う。

 

  

ピリリリ

 

 

突然、真霜の携帯にメールが入った。

 

 

「あっ!?ちょっとすいません。」

 

 

真霜は、メールの内容を確かめる。

 

メール差出人は、真雪からで内容は、東舞鶴学校からの武蔵発見だった。

 

 

「何だって?」

 

 

新一郎は、メールの内容を聞く。

 

真霜は、差出人は、真雪だと言う。

 

 

「お義母さんから?」

 

 

「先輩すいません、ちょっと急用が…それ食べてくださいね!」

 

 

「では教官!失礼しました!」

 

 

2人は、武蔵発見の報告を受け、急ぎ横須賀のブルーマーメイド庁舎へと戻ろうと病室を後にする。 

 

2人が病室を後にした後、古庄は、真霜からの差し入れの箱を開く。

 

中に入っていたのは、3つのプリンでその上にイルカの絵がかいてあった。

 

 

「ふふふ……やっぱり…彼氏持ちはいいわね…」

 

 

古庄は、その品を受け取り、真霜と新一郎の関係が羨ましいながら笑う。

 

 

 

 

 

航洋艦 晴風 通路

 

 

 

晴風の生徒達の殆どが水着に着替え、海水浴をしている中

 

 

「ん~…ちょっと小さいの…」

 

 

 

ミーナもましろから水着を貸して貰って着てみたが、どうも胸のサイズが合わない様だ。

 

 

ミーナが胸の部分を気にしていると、そこへ杵﨑姉妹が通り掛かる。

 

 

『ふっ』

 

 

ミーナの姿を見た途端、2人は、咄嗟に手に持っていた物を隠す。

 

 

「やあ、主計課は遊びに行かんのか?」

 

 

「うっ、うん、後で行くよ!!」

 

 

 

2人は、急ぎ足でその場から去って行った。

 

 

 

「ワシ…避けられとるのかな?」

 

 

杵﨑姉妹の対応に首を傾げるミーナだった。

 

 

「ん?ミーナ…」

 

 

ミーナは通路で飛行衣に着替えた虎雄と鉢合わせた。

 

 

「虎雄か…実は…わたしはみんなから避けられているが…」

 

 

「…ワシも同じじゃよミーナ…まぁミーナはともかく、ワシなんかは所詮よそ者……異世界の人間じゃ…戦場で敵を殺戮し、拭っても拭いきれぬ血に染まっている……」

 

 

「虎雄…」

 

 

お互いドイツ語でそうミーナに呟く虎雄、階段に登って甲板に出た。

 

 

晴風、甲板

 

 

「聴取を終了したのでこれで失礼します。」

 

 

「発砲についての正式な処分は帰港した後で学校から下されると思うけど…損害もなかったし厳重注意程度で済むんじゃないかしら…」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

志摩の罪が軽い事に明乃は、感謝する。

 

 

「平賀さん、福内さん!…あの…ご迷惑を掛けって、本当にすいませんでした」

 

 

虎雄は、志摩に変わって、頭を下げる。

 

 

「頭を上げってください大賀さん」

 

 

「大賀さんだけが悪い訳では、無いですから」

 

 

頭を下げる虎雄は、決して虎雄だけじゃないと言って、頭を上げさせる。

 

 

「…」

 

 

「では横須賀まで、後の事をお願いしますね大賀少尉さん!」

 

 

「…はい」

 

 

「では…」

 

 

志摩の事情聴衆が終わり、後の事を虎雄に任せ、平賀と福内は哨戒艇に乗り、帰って行った。

 

そして虎雄は晴風艦長、岬明乃に対して敬礼をした。

 

 

「では艦長、横須賀まで、ワシに関してよろしく!」

 

 

「うん…虎ちゃん!」

 

 

虎雄と明乃は、解放された志摩と芽衣の元に向かう。

 

 

「タマちゃん…!!お疲れ様!」

 

 

「うぃ…」

 

 

表情が乏しい志摩だったが、見るからに落ち込んでいるのが分かる。

 

 

「大丈夫だよタマちゃん!…学校にはちゃんと説明して私も一緒に謝るから」

 

 

「ワシもじゃタマ、参考人になってやるぞ」

 

 

「また私もばっちり付き添うよ…一応、海に落ちたことだし、念のため保健室に見てもらおうか?」

 

 

「うぃ…」

 

 

明乃と虎雄、芽衣に励まされて少し嬉しそうな志摩。

 

 

その時

 

 

「んっ!?」

 

 

明乃は甲板で項垂れている鈴の姿を見つけた。

 

 

「ん…如何したのリンちゃん?」

 

 

「うっ…うっ…」

 

 

明乃は、如何したと問うが鈴は、何故か落ち込んでいた。

 

 

「…皆と遊ばないの?」

 

 

「さ…さっき心理テストをやったんだけど…」

 

 

「ん…?」

 

 

「私の性格って、真面目系クズって言う結果で‥‥」

 

 

「えっ!?」

 

 

空に勧められた心理テストの結果が良くなかった。

 

 

「ふっ、当たっていると思う…だって私…逃げてばっかりの逃げ逃げ人生だし…」

 

 

「逃げ逃げ人生…なんじゃそれ…?」

 

 

鈴は明乃と虎雄に「逃げ逃げ人生」とは、どんな人生かを話した。

 

 

「うん‥‥小学校の時にね…皆で肝試しをしたんだけど‥‥友達を置いて逃げちゃったの!!」

 

 

「‥‥」

 

 

「いつもいつも気付いたら逃げてばっかりで…」

 

 

過去を振り返す鈴。

 

 

小学校時代、下校時犬に吠えられて、逃げてわざわざ遠回りして帰った事や修学旅行の時、仁王像を見て、怖くなって逃げ出して担任の先生やクラスメイト達に迷惑を掛けた事。

 

確かにこれまでの人生、鈴本人の言う通り、辛い目や怖い目に会った時は逃げてばかりいた。

 

 

「そんな時は、いつも1人で海を見てた…不思議と気持ちが落ち着いて…それで海が好きになって…ブルマーを目指して艦に乗っていれば逃げ場はないから逃げ逃げをやめられると思ってたんだけど…結局また艦ごと逃げ出して…」

 

 

自分が逃げ逃げを止めようとブルーマーメイドを目指したが、結局、自分は、逃げてばかりだと痛感する。

 

 

「…逃げるのは悪くないと思うよ!」

 

 

しかし明乃は逃げるのは、悪くない事だと言う。

 

 

「えっ!?」

 

 

明乃の言葉に鈴は、驚く。

 

 

「だって、私達、3回も戦闘したのに無事なんだよ!…それは、リンちゃんが逃げてくれたおかげだよ!…的確に状況を見極めてうまく逃げるのはリンちゃんの長所じゃないかな!」

 

 

 

明乃は微笑みながら鈴の長所を言う。

 

 

「…」

 

 

鈴は明乃の顔をじっと見ていた。

 

 

「ねぇ…虎ちゃんはどう思う…?」

 

 

鈴は、自身のことについて虎雄に質問した。

 

 

「そうじゃな…ワシは飛行機乗りじゃから、相手に狙われる予感がすると回避することが、戦闘機パイロットの基本じゃ…また、機体の燃料と弾薬も危うくければ離脱する。空中戦で逃げることは卑怯ではない……」

 

 

「…そうなんだ……」

 

 

南洋のラバウルに配属された虎雄は、のちに死闘を繰り広げるソロモン海戦に突入するに至った。 

 

自身が戦う空域で敵機と空中戦を繰り広げ、弾薬は愚か、燃料は基地までの分を残しておかなければ、帰還できない。

そして、ある言葉を述べた。

 

 

「ぬちどう宝!」

 

 

「「 えっ!? 」」

 

 

「沖縄で生まれた、わしの後輩であり、戦友の言葉じゃ!命を大事にするんじゃぞ鈴ちゃん」

 

 

「うん虎ちゃん…いい言葉だね…///」

 

 

虎雄の言葉で鈴は赤面し、心が熱くなった。

 

 

 

医務室

 

 

志摩が美波に診察を受けていた。

 

 

「むゆむふ、帰って良し!」

 

 

美波の診察では、何も異常はないと診断された。

 

「大丈夫だってさ、タマちゃん!」

 

 

「う~い」

 

 

異常なしと診断され、嬉しがる志摩。

 

 

「う~、チュチュ~」

 

 

芽衣は、美波が預かっているマウスと遊ぼうとする

 

 

「触るな!…漂流物から拾ったから、菌を持っているかもしれない?」

 

 

美波は、菌を持ってるかもしれないと芽衣に注意する。

 

 

「の…ほ…ん!?」

 

 

菌を持ってるかもしれないと聞き、芽衣は、急いで離れる。

 

 

「やっぱ…解剖とかするの?」

 

 

芽衣から解剖するのか怪しく聞かれると

 

 

「……フフフフ」

 

 

美波がマウスに餌を与えて、怪しげな表情で2人を見つめる。

 

 

「う~い、行こうタマちゃん!」

 

 

「うぃ!!」

 

 

2人は、恐怖の余りその場を逃げた。

 

 

2人が逃げた後

 

 

ビィービィー

 

 

「ほっ!?」

 

 

突然、美波が腕に付けていた電波時計が鳴り、彼女はその時計に目をやる。

 

 

「はっ!?」

 

 

電波時計は、バグを起こした。

 

 

「ん…」

 

 

美波はバグを起こした時計とマウスを交互に見た。

マウスがバグを起こしている原因なのかと

 

 

 

アスンシオン島沖

 

 

一方、アスンシオン島沖では、東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が発見した武蔵へと接近していた。

 

 

あおつき 艦橋

 

 

「武蔵、安定して巡航中ですね!」

 

 

主任は、双眼鏡で武蔵の状況を報告する。

 

 

見た所、特に武蔵には異常を感じられず、動いている事から機関も正常に稼働し、損傷箇所も見当たらなかった。

 

 

「皆、無事ならば良いが…」

 

 

教頭は、武蔵の生徒が無事でいてほしいと願う。

 

 

同じ頃、武蔵の艦橋に立て籠もっていたもえかとシャルロット達も東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊の接近に気づく。

 

 

武蔵、 艦橋

 

 

「か、艦長!…見て下さい!…救援です!!」

 

 

親子が双眼鏡で教員艦隊の救援を視認し、もえかに伝えた。

 

 

「えっ!?」

 

 

もえかは、急いで双眼鏡で確認する。

 

 

「助かった」

 

 

「これで私達、助かるんだ!!」

 

 

救援が着いた事に夏美と亜衣子は、喜んでいた。

 

 

7日間、5人はずっと不安な状態で艦橋に立て籠もりながら、救援を待っていた。

 

 

それがようやく、東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が救援に駆けつけてくれたのだから、これでやっと悪夢から解放されると喜んでいたのだ。

 

 

だが、喜ぶのも束の間、更なる事態が救援を阻む。

 

 

「艦長!…あれを!?」

 

 

 

親子が今度は、何事かと思い、下を見ると

 

 

「はっ!?」

 

 

何と、武蔵の主砲が勝手に旋回しはじめて

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

ボーン

 

 

 

東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊を目掛けて発砲したのだ。

 

 

あおつき 艦橋

 

 

「撃ってきました!?」

 

 

「何、如何ゆう事だ!?…一体?」

 

 

武蔵の突然の砲撃に驚愕しながら、武蔵の砲弾は、教員艦隊の一隻に命中した。

 

 

「四番艦から受信、機関部被弾!航行不能!!…繰り返す!…機関部被弾!航行不能!!」

 

 

武蔵の攻撃を受け、幸い沈没は免れたが、機関に被弾し航行不能になる。

 

それを見た隣の教員艦が急いで武蔵に向けて、発光信号を送るが

 

 

「発光信号を送っていますが応答ありません!!」

 

 

武蔵は、応答せず。

 

 

あおつき 艦橋

 

 

「我々を脅威と誤解しているのか?…二番艦は接近し音声にて呼びかけてくれ!!」

 

 

 

教頭は、武蔵の生徒が、自分達が武蔵に攻撃を仕掛けてくると思い込んでいるのかと思い、すぐさま二番艦に発光信号だけでなく、音声信号にて武蔵へと呼びかける様に指示を出した。

 

 

『武蔵の生徒諸君…我々は東舞高の教員だ!…君達を保護する為に来ている…速やかに停船し指示に従い‥‥』

 

 

二番艦が音声信号を送るが、武蔵は、応答せず、それどころか武蔵の右舷の副砲が旋回し、音声信号を送る二番艦を砲撃した。

 

 

「防水作業急げ!!」

 

 

副砲の攻撃で二番艦は艦首に浸水する被害を受けた。

 

 

あおつき 艦橋

 

 

「‥‥砲撃を止めさせよう…何所かに穴を開けて傾斜させれば砲は仕えなくなる」

 

 

最初の砲撃から、既に2隻が被害を受け、更に武蔵の砲撃は続き、教頭は、これ以上砲撃を受ければ、被害が増える一方だ。

 

 

 

そこで、浸水させて武蔵の船体を傾斜させる事により砲塔を使用不能にさせる事にした。

 

 

「…生徒の艦を…撃つ事になります‥‥?」

 

 

主任の言う通り、それは、無抵抗の学生を攻撃する事と同じ事であった。

 

 

「砲を撃てなくしてから生徒を保護する」

 

 

しかし、それでも被害を最小限にするには、攻撃するしかなかった。

 

 

「‥‥了解…対水上戦闘用意!!」

 

 

主任も遂に教頭の決断を了承し、対水上戦闘用意の号令を出す。

 

 

「対水上戦闘用意!」

 

 

「主砲、配置よし!」

 

 

対水上戦闘用意の号令の元、教員艦隊は、戦闘準備をする。

 

 

あおつき艦橋

 

 

「各部配置よし!非常閉鎖よし!対水上戦闘用意よし!」

 

 

 

各艦、戦闘準備が完了する。

 

この間にも武蔵の砲撃は続いた

 

 

「三番艦被弾!!」

 

 

その砲撃で今度は、3番艦が被弾した。

 

 

あおつき 艦橋

 

 

「対水上戦闘!噴進魚雷、攻撃始め!!」

 

 

「噴進魚雷、発射始め!!」

 

 

 

旗艦あおつきから一斉に噴進魚雷が発射された。

 

 

墳進魚雷は、全弾、武蔵の右舷に命中する。

 

 

「命中しました!…目標?…速力変わらず、主砲動いています!!」

 

 

 

武蔵への墳進魚雷命中を確認したものの、武蔵は、墳進魚雷命中を物ともせず、教員艦隊への砲撃を続ける。

 

 

「演習弾では無理か…」

 

 

先程発射した噴進魚雷の弾頭は、全て演習弾だった様だ。

 

「教頭、我が艦上空に飛来する物体が!!」

 

 

「なに!?」 

 

 

ダダダダダダ

 

 

「「 うわっ!! 」」

 

 

あおつき上空に飛来する物体の正体は、アメリカ海軍の水上哨戒機PBY-5カタリナ。

 

カタリナから胴体の機銃座から機銃が放たれ、各艦艇の艦橋に機銃掃射を受けた。

 

武蔵、カタリナと教員艦隊の戦闘は続く。

 

 

 

武蔵、艦橋

 

 

 

その戦闘をもえか達は、武蔵艦橋で見ていた。

 

 

「東舞校が!?」

 

 

「な、何で私達の艦が東舞校を…」

 

 

自分達の艦が救助に来た東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊を砲撃しているのを見て、2人は、ショックを受ける。

 

 

「か、艦長」

 

 

そして、もえかの隣にいたシャルロットが悲し呟いた。

 

 

「ど、どうして?…」

 

  

「ウィル機長…幸吉さん…トチローさん…どうして…どうしてこんなことを……」

 

 

もえかも自分の艦が東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊を攻撃してるのにショックを受けていた。

 

 

「(このままだと助けが来なくなる…でも私達には、何も出来ない…如何すれば…)」

 

 

今、東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が救助に来ているのに、自分達の艦がそれを攻撃している。

 

 

しかし、自分達には、それを止める事も如何する事も出来ない。

 

 

如何すれば状況が良くなるのか、もえかとシャルロットは、考えながら、戦闘を見守る。

 

 

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