才能の権化が才能を無駄遣いしていることを嘆くのは間違っているだろうか   作:柔らかいもち

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 盛大に何も始まらない。

 主人公は歴代最強達に囲まれてたらこんな風になるんじゃないだろうか?


番外編 アストレア・レコード

「『黒竜』を倒すためにオラリオの連中の超克の礎になるぅ~? 『黒竜』の討伐に失敗しただけで、散々守られておきながら役に立たなくなったとわかるなり切り捨てた奴等のお膳立てなんて御免だね。それに『どうせ死ぬなら』とか言ってるけど、二人の毒と病を治す薬ならできてるし、そもそも『黒竜』は俺が倒してる。はい、アンタの話は終わり。アルフィア、そこの水晶玉……『眼晶(オクルス)』を起動させて。メーテリアがお前と話したがってたぞ」

「ちょっと言ってることがわからない」

 

 原初の幽冥を司る地下世界の神、エレボス。下界と人類を愛する彼はもう幾ばくの猶予もない『約束の(とき)』や『黒き終末』に対抗する力を与えるため、最強の派閥(ゼウスとヘラ)の生き残りであるザルドとアルフィアを探し出し、『絶対悪』となってオラリオの冒険者達の危機感を煽る計画を持ち掛けた。

 

 割とすぐに頷いた二人だったが、毒と病に蝕まれる自分達の世話をしてくれたとある人物には筋を通すために何をするつもりなのか教えておきたいと条件を出した。エレボスは計画がダメになる可能性を考えるも、そのくらいならいいだろうと了承した。

 

 そしてエレボスが見たのは、人里離れた所に建てられた大きな一軒家で全裸のアルフィアがプリントされた抱き枕を作っている自分そっくりの青年だった。

 

キレたアルフィアに『魔法』を放たれても躱した青年や壊れなかった家に驚いたエレボスだが、荒ぶる彼女を宥めて計画の全容を語って聞かせて返ってきたセリフにはもっと驚いた。全知の神なのにこの子供が何を言ってるのかさっぱりわからない。頭がどうにかなりそうだった。催眠術とか未知の言語とかそんなチャチなもんな断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

 

 前提である『黒竜討伐』がなくなり、計画が根元から崩れそうな予感を察しながら、エレボスは青年――ジークに色々と尋ねていった結果、以下のことがわかった。

 

 ・ジークは【ゼウス・ファミリア】の所属であり、『黒竜』討伐の時はLv.5で年齢が10だったせいで三大冒険者依頼(クエスト)には参加できなかった。

 

 ・ゼウスとヘラの眷属達が敗れた時に備えて、髪の毛一本からでも身体全体を再生できる複製(クローン)技術や天界から魂を呼び戻す『反魂の杖』を開発し、『賢者の石』の不老不死に並ぶ人類の夢である死者蘇生を行えるようにしていた。ついでに『賢者の石』も作った。

 

 ・知性と理性を宿すモンスターである『異端児(ゼノス)』との制約(ギアス)で『擬人化薬』や『人化薬』の作成をしていた。

 

 ・こういった開発が偉業と認められたおかげで三年前にLv.8に到達し、『魔法』や魔道具(マジックアイテム)を使えば勝算は十分あると判断。『黒竜』の所に向かい、討伐どころか捕獲に成功した。決め手は薬による擬人化からの千年殺し(ものすごいかんちょう)

 

 ・『黒竜の生き血』を使って副作用が出ないように、これ以上ないほど完璧な準備をして死者蘇生を行った。サボりたがりの神々が多く地上に君臨してくれていたことで、比較的最近に死んだ仲間達の魂は漂白されておらず、死者蘇生は成功した。しかし、ゼウスとヘラに『もし自分達が天界にいたら雷を落として殺していた。だから二度と使うな』と言われ、もう死者蘇生はできなくなった。でもLv.9になった。

 

 ・ゼウスとヘラの眷属達はアルフィアの妹の子供が住む山奥の村で一緒に暮らしており、もうオラリオと比べ物にならない戦力が集まった魔境になってしまった。『黒竜』を捕獲した際に保護した『精霊』もこの村に住んでいる。

 

 ・恩の押し売りで性癖丸出しの『メイド喫茶』を開かせたら何故か『執事喫茶』もできた。ヘラの眷属はメイドというより冥途の化身みたいだった。見た目はいいけど、いい歳した連中がしていると考えたら笑えると誰かが言ってしまい、【ゼウス・ファミリア】は壊滅した。壊滅ではなく奴隷市場に売り払われたとの話もあるが、真偽は不明。ジークの父親は養豚場の豚になった。アルフィアの甥っ子はガタガタと震えていた。

 

 ・ザルドとアルフィアの薬を完成させて届けるついでに最愛の妹(メーテリア)を蘇生させた恩を盾に脱いでもらおうと考えながら抱き枕を作っていたらエレボス達が来た。

 

「――話すことはそれくらいだ。他に聞きたいことは?」

「ザルド、やべーよ。俺すげーカッコ悪いよ。どうせ死ぬならとか言ったのに死ぬどころか蘇生の手段が確立されていて、『黒竜』はとっくに倒されて、更にはオラリオの戦力が一段階上がっても蹴散らせる連中がゴロゴロいる……まるで道化だ。『俺達は絶対悪』ってキメ顔で宣言したのに黒歴史確定じゃん」

「やべーは俺のセリフなんだが? 見ろ……薬で毒が消えたのに嫌な汗が止まらない」

 

 部屋の隅に固まってひそひそと会話するザルドとエレボス。その反対側ではアルフィアが水晶玉に映るほわほわとした雰囲気を纏う白い女性と楽しそうに話していた。普段の彼女からは想像できない優し気な声音だった。ジークはお茶を飲みながら今なら胸を揉みしだいても怒られないんじゃないだろうか? とアルフィアをじっと見ていた。

 

 神故に永遠に残る黒歴史に震えていたエレボスだったが、何度か咳ばらいをして真剣な表情になる。

 

「正直、お前のような存在は想定外も想定外なんだが……オラリオの英雄の雛をそのまま燻らせているのはもったいない。計画は実行する。止めるか? それともお前も参加するか?」

「参加するよ。覚悟を決めた二人は『黒竜』がいようがいまいがやるだろうし。ザルドはともかくアルフィアは死なせたくない」

「俺はともかくって何だ、おい」

「それにオラリオの連中には腹が立っていた……くっくっく、可愛い女の子達は無理矢理犯してやるぜぇ……なんせ俺は『悪』になるんだからな……(ゼウス)から『いやよいやよも好きの内』って真理を教えてもらったからなぁ……!」

「純愛大好きの拗らせた(モンスター)童貞だろう、お前……」

「さっきからやかましいぞザルド! 人生と呼べない下等生物みたいな生を謳歌させてやろうか!?」

「ははっ……オラリオの連中が可哀想になってくるな」

 

 オラリオで『死の七日間』と呼ばれる大抗争が起きる少し前、最強の共犯者をエレボスは仲間にした。

 

「ところで知り合いのおっさんがガワは儚い美少女になって快楽で頭が滅茶苦茶になるまで犯してくれって言ってきてさ。勃起したけど中身がアレだから断ったんだ。どうするのが正解だったと思う?」

「よし、とりあえず俺とそっくりな顔で卑猥なセリフを言うのやめろ」

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

 準備をするから外で待ってて、と言われて家主のジーク以外の三人は外に出た。すると突然、アルフィアが口を開き、

 

「【炸響(ルギオ)】」

『あぁーっ!? 夜なべして作ったアルフィアに淫夢を見せる抱き枕が粉々にー!』

 

 家の中から爆音とジークの絶叫が聞こえた。

 

「アルフィア……返しきれない恩があるのにお前……」

「それとこれとは話が別だ」

「そういやさっき『眼晶(オクルス)』とかいう水晶玉を割っていたが、何を言われたんだ?」

「甥に叔母さんと呼ばれた」

「えぇー……絶対希少だろ、あの魔道具(マジックアイテム)……」

 




 ゼウスやヘラの眷属の細胞は『黒竜』討伐前に採取。メーテリアのも灰にされる前に採取。寿命で死のうと何度でも蘇生できるぶっ壊れ技術だったため、封印された。

 とある魔術のあれいすたんとか雲川芹亜とかめっちゃいいのにどうして誰もR18書かないんだろうか?
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