目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す 作:夜叉烏
政府専用客船『リリア・フォン・シュライヤー』が、総統以下訪日メンバーを乗せてキール軍港を発って1か月。
日本から派遣された第二戦隊の戦艦『扶桑』『山城』、第六戦隊の重巡『古鷹』『加古』『青葉』『衣笠』、第一水雷戦隊の軽巡『阿武隈』、駆逐艦12隻によるエスコートを受けつつ、横須賀への航路を往く。
護衛艦艇が頼もしすぎるんじゃ…。
日本へ着くまでの間海の上――途中でイタリア・ローマやインド・コーチに寄港するとはいえ――ともなれば、かなりのストレスを伴うだろう。
しかし、流石は総統をはじめ政府要人の座乗を想定した客船というべきか、娯楽施設の充実さが半端でない。簡易的とはいえ映写室や劇場、室内プール、スポーツジム、そして豪華極まるスイートルーム。
そして、一流の料理人が作る料理に舌鼓を…最高過ぎる。これでスマホ・パソコン・ゲーム機…最低でもテレビがあればなぁ…。
それと、全長218メートル、基準排水量26500トンの巨躯を誇るこの船の設計は、以降に建造された輸送船やタンカー等多数の船に流用されており、工期とコストの短縮を可能にしている。
それにしても、自身の名を冠する船に乗ることになるとはねぇ…。ちょっと恥ずかしい。
(手書きはキツイ…PCが欲しい…)
総統専用のスイートルームにて、叶いそうにない願いを心中で漏らす私。
ドイツ艦艇の萌え擬人化絵を描いているのだが、リリアの肉体をもってしても、何時間も色鉛筆を走らせるのはかなりキツイ。PCのお絵かきソフトが欲しいが、少なくとも今は無理だ。
「露骨に未来の技術を伝えても、怪しまれるし混乱するだろうし…」
やっぱりコンピュータ――機械式ではない、電子式のエレクトロニックコンピュータ――は必要だな…。インターネットも。
私は萌えキャラたちが未来の世界で活躍する物語を構想中だが、それを通して未来の技術を"予想"という形で伝えようと思っている。PCやインターネットが史実よりも早く実現できるように。
…後年、掲示板で『リリア・フォン・シュライヤーとかいう未来人疑惑持ち美女』みたいなタイトルのスレが立ちそうだ。
(今から未来のコンピュータ技術を伝えておけば…2000年代には量子コンピュータができてそうね…ユダヤ人迫害もしてないし)
この世界においては、ユダヤ人の迫害など行っていないため、ドイツ国内に居を構えるユダヤ人も多い。それも、アルベルト・アインシュタインやリヒャルト・ヴィルシュテッターといった天才肌が。
彼らがいれば、ドイツの技術的優位は揺るがないだろう。
そんなことを思いながら、痛くなった右手をブラブラさせて解す。
直後、華美な扉をノックする音が。
『失礼するわよ、姉さん』
私に向かってタメ口を利けるのはこのドイツでヴィリエルしかいない。案の定、銀髪の美女が入ってくる。
うん、いつ見ても美しい。抱きてぇ。その怜悧な雰囲気をドロドロに蕩かしてやりてぇ。
「あまり引き篭もってばかりも良くないわ」
「そうね…じゃあ、プールにでも行く?」
プールか…高校の授業以来だな。大学生になってからは入ったことがない。
「…あ、じゃあヴィリエル」
「え…?」
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今回の訪日メンバーであるヘルマン・ゲーリングには、今年4月10日に挙式したエミー・ゲーリングも同行している。
新婚旅行を兼ねてのことだ。
私が日本使節団と会談し、何やかんやで訪日することになってしまった際、日本側が良ければゲーリング夫妻の新婚旅行も兼ねようかと意見し、それが受け入れられため、実現した形である。
そんな2人は今…。
「ヘルマン、もう一度よ。頑張って」
「はぁ…はぁ…。うむ…」
愛妻の声援を受け、プールを何往復か泳いだゲーリングは、息切れしながらも応える。
エミーやミルヒ、ヴェーファーといった面々にゲーリングのモルヒネ禁止令を伝え、職場・プライベート問わず彼らに見張られ、無論のことながら所持していたモルヒネを全て取り上げられた。
それに加え、以前まで無意味な施設となっていたゲーリング邸のスポーツジムを利用し、エミーの補助を受けつつダイエットに励むこととなった。
モルヒネに身体を毒され、美食をやめられず肥満体系になってしまったとはいえ、嘗ては"空の英雄"といっても差し支えのない活躍を残した軍人。
多少疲れてはいるようだが、今日のトレーニングノルマは達成できそうだ。
出発前は自宅のプールで水泳、出航後も船内プールで泳いでおり、この習慣を毎日続けているらしい。
「はぁ…はぁ…っ!!終わったぞ、エミー…!」
「凄いわ、ヘルマン!流石は私の夫ね!」
プールの隅へ掴まり、片腕を振り上げるゲーリングをエミーは賞賛し、称える。
きついトレーニングやモルヒネの禁止を毎日続けられるのは、愛妻の存在があってこそだ。無論、絶対の忠誠を誓う総統が自分に期待をかけている…というのもあるが。
「お疲れ様、ゲーリング。精が出るわね」
「「そ、総統!?」」
突如、ローブを羽織った私に声を掛けられ、2人は咄嗟にナチス式敬礼をする。
それを制する。正直この敬礼、される側である私にとっては結構恥ずかしいのだ。
「少し痩せたかしら?心なしか雰囲気が違うわね」
「はい、総統閣下。先ほどのような運動を毎日続けていますから。それと、副官の方々に声を掛けて、徒歩移動の機会を増やしております」
なるほど。日常生活でも気を付けるようにしたと。
確か、ゲーリングってちょっと移動するだけでも特注のメルセデス・ベンツに乗っていたんだっけ。
今のゲーリングの体形は、かなりシュッとしていた。あの膨らし粉を入れ過ぎたパンのような見た目を知っている者なら、思わず二度見してしまうレベルで痩せている。
ニュルンベルク裁判時のような見た目だ。
「エミー。聞くところによると、日本食は栄養バランスが良好でヘルシーらしいの。…可能なら、日本から料理人を招聘したいわね」
「まぁ。そうなのですか?夫の食事にも取り入れたいですね」
日本食のヘルシーさを舐めてはいけない。それと美味しさも。
美食家であるゲーリングの舌にも合うはずだ。
私はゲーリングに向き直る。
「ゲーリング。最低でもあと30年は私に付き合ってもらうから。そのおデブ体形とモルヒネ中毒を直して、少しでも長く私たちの傍にいてほしいわ」
「…!!分かりました。不肖ヘルマン・ゲーリング、モルヒネ脱却及び減量に全力を尽くします!エミー、明日からトレーニング量を倍にしてくれ!」
「分かりました、ヘルマン。でも身体に悪いですし、少しずつ増やしていきましょうね?」
…ゲーリング、どこか覚醒したような?ちょっとクサい台詞を言ってみただけなんだが。
まぁいい、せっかくのプールなのだ。私もひと泳ぎしよう。
パサリ…と、羽織っていたローブを脱いで傍らの椅子へ放る。
「…あ、あら総統。素敵な水着、ですね」
一瞬沈黙したエミーが、私の装いを見てそんな言葉を漏らす。
私が纏っているのはオードソックスなホルターネックの黒ビキニ。トップスの片方に赤と黄の横ラインが1本ずつ引かれている。
…前世男として、女物の水着を纏うのに思うところがないわけではない。
しかし、このナイスバディな女性の身で、女物の衣服に袖を通したりしているうちに、すっかり抵抗がなくなっていた。
それに、可愛らしく着飾るのってやってみると結構楽しいんだよね。コスプレイヤーさんの気持ちがちょっとわかった気がする。
(あ、そういえばビキニ水着って戦後に登場するんだっけ…)
色々なコネを使って材料を揃え、自作した水着。謎にハイスペックなリリアの裁縫技術をフル活用し、休暇や業務の合間に作ったそれは、この時代だとかなり異形で大胆なものだ。
現に、エミーもスリップに似た形状の、ヘソと胸元を晒さない水着を着ている。
「あ~…ポンペイで発掘された壁画には、こんな水着を着ている女性の絵が描かれていたのよ。ちょっと再現してみようかと思っただけ」
これは一応事実だ。各自調べてほしい。
「そんなに昔からあるのですね…」
何とかしてヴィリエルに着せたかったし、私の護衛に就いている親衛隊の可愛い子ちゃんたちにも着せたいなぁ。後者も「え、モデルさん?」ってレベルで美人だから、絶対似合う。
(ゲッベルスに頼んで、私と親衛隊の子たちが水着着た写真を宣伝に使おうかしら?いや、流石にいきなり過ぎか…そもそも全会一致で反対されそう)
そんなことを心中で考えていると、ヴィリエルの存在を思い出した。
部屋で水着渡してきたんだけど、流石に恥ずかしすぎたか?
「ね、姉さん…///」
「あ、やっと着てくれたわね」
ローブを纏ったヴィリエルが、どうも落ち着かない様子でプールサイドを歩いてきた。
「ほら、貴女も早く水着になりなさいって」
「だって、これほぼ下着…というか、下着よりも露出が多いんだけど…///」
あらあら、普段のクールさはどこに行ったんですかねぇ。顔を赤くしちゃって。
あの分だと自分からローブを脱ぐことはないかな。
「はい隙あり」
「ッ///!?」
ヴィリエルが近くまで来た瞬間、彼女のローブの紐を解いてやった。はらり…と白い布が床に落ちる。
ホルターネックの三角ビキニ。黒で縁取った白地の水着で覆われた豊満な肢体が露になった。
白いコート型の軍服と黒のタイトスカートできっちり固めているヴィリエルだけど、脱いだら凄いんだわこれが。私の脳内測定器だとB(92)、W(57)、H(83)ってところかな?
「ひゃ…ッ///!?」
顔真っ赤で胸元を両手で抑え、しゃがみ込む。普段とのギャップが相まってとても可愛い。
「エミー、写真撮っておいて。こんな可愛いヴィリエルは今後見れないわ」
「もう撮っておきました。可愛らしいですね」
仕事早いな。ついでに容赦もない。
しかもそのカメラ、ライカの新型(カラーフィルム対応)じゃないか。
「総統、差し出がましい要望なのですが、その水着をエミーに作っていただけませんか?彼女が着ているところを見たいので…」
「え?…ま、まぁ…ヘルマンったら///」
ゲーリングの申し出を聞いたエミーは、流石にこの露出の水着を着るのは恥ずかしいのか、赤面して頬を両手で抑えていた。
まぁ、別にいいけど。ゲーリングも最近頑張ってるし。
・ユダヤ人科学者
ユダヤ人の知識層を多く抱えるドイツは、今後も技術大国として他国をリードしていくと思われる。リリアがお望みのインターネットも恐らくドイツで、そして史実よりも早く生まれるだろう。
・リリアお手製水着
色々ぶっ飛んだスペックを持つリリアだが、裁縫の技術も優れており、今回出てきたようなビキニ水着を製作。理由は「ヴィリエルに着せたいから」。後々、親衛隊の女性隊員にも着せそう。
本来なら露出の多さを咎められるところなのだが、天使のような美しさを誇るリリア自身がビキニを纏う写真(ちゃっかり最新のカラーフィルムで撮影)が内外で大バズり。皆露出のことなどどうでも良くなり(男性に関しては喜んだ)、世の女性が挙ってビキニ水着を欲することに。
なお、リリア本人は女性ものの服や下着を着るのにすっかり慣れたため、ビキニの着用に抵抗はない。心が乙女になりつつある。
ゲーリングはエミーに着せたいらしい。リア充◯ね(唐突)
・水着について少し
布面積が小さくなり始めるのが大体1930年代。この頃からへそ出しの水着はあったらしい。
1946年、フランス人のファッションデザイナーが現代的なビキニを考案した。ビキニ環礁で行われた水爆実験のインパクトと、露出の多いその水着のインパクトの大きさをかけて、新しい水着は『ビキニ』と命名されたらしい。
・ゲーリング大改造
エミー婦人や副官たちの尽力により、史実のニュルンベルク裁判時まで痩せることに成功。時折禁断症状を発症しつつも、総統やエミーを思い出し、気合でモルヒネを断ち続けている。
日本滞在時は1日3食ヘルシーな和食を食べ、滞在中も運動は続ける予定のため、更に痩せることが予想されており、帰国後はほぼ確実に『え、誰?』的な視線に晒されるだろう。
また、モルヒネをやめたことが効いたのか、以前よりも頭脳が回るようになった。
フランスにどうやって攻め込む?
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史実ルート:アルデンヌの森を通る
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マジノ線ルート:マジノ線を正面突破