目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す   作:夜叉烏

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 夜叉烏です。

 ※一応、色々調べながら執筆していますが、理解力不足・調査不足・想像力不足によって、不自然な描写があるかもしれません。いや、必ずあります。
 ですので、あまり深く考えずに、頭を空っぽにして、読んでいただけると幸いです。

 日本の膿を取り除くにはどうすればいいか考えて考えて考えまくった結果、今回のような感じに落ち着きました。


総統、軍神と会う

 

 天皇との邂逅を果たした私たちは、一般の訪日外国人に扮して東京を散策していた。

 無論、周りには同じく変装した親衛隊員の警護付きで。

 

 (クソうめぇ~~…)

 

 この姿では絶対口にはできない台詞を心中で呟きながら、私は海老天の蕎麦を啜る。

 美味い。蕎麦粉の香りと鰹と昆布出汁の効いた汁、サクサクプリプリの海老天…生きててよかった。

 

 今の私とヴィリエルは、それぞれ黒と白のワンピースを身に纏っている。

 

 髪型も変えており、私は長い金髪をお下げにし、ヴィリエルは銀髪を1つに結って背中へ伸ばしている。

 

 私たちの席から離れた場所に座り、あたかも私たちとは無関係な訪日外国人を演じている親衛隊の娘たちも、全員ワンピース等の洋装だ。帽子や眼鏡、サングラスをかけ、顔はよく見えない。

 

 「総統。よく啜って食べられますな…」

 

 「ストローでジュースを飲むみたいな感じよ。それに、啜って食べると香りも一緒に飛び込んでくるから、やって損はないわ」

 

 右隣のレーダーへ手短に言うと、再び蕎麦を啜る。外国人って麺を啜れないって聞くけど、割とマジだったんだな…。

 しかし、私の説明で要領を得たのか、右からはズルズルと音が聞こえてきた。順応早えな、おい。箸の持ち方も完璧だし。

 

 「日本人の食に対する美意識は凄まじい。専属料理人として1人雇いたいくらいだ」

 

 「このエビの食感、まるで生きているみたいです」

 

 ゲーリング夫妻も、最早数年滞在したのかと疑うほどの箸捌きで蕎麦を啜り、天ぷらを拾い上げている。

 完全に親日家だな…。まぁ、悪い気はしないけど。

 あとゲーリング、お前の願いはもうすぐ叶うから我慢してくれ。

 

 なお、ゲーリングとレーダーは、大正時代の文豪が着るような和装だ。黒い帽子を被り、顔をあまり見せないようにしていた。

 

 「あぁ、レーダー。この後、日本海軍の将校と会うらしいじゃない」

 

 この後は、あてがわれた旅館へ戻ってゆっくり休むことになっているが、レーダーは日本海軍の高官との会談を希望していた。

 

 「はい。航空主兵主義を掲げる将校との会談を、日本海軍の上層部へ希望しました」

 

 ふむふむ。航空主兵主義を掲げる日本海軍の将校、か。

 真珠湾攻撃もマレー沖海戦もまだな時期、大艦巨砲主義が蔓延る日本海軍では、航空主兵主義を掲げる者は"変人"として捉えられてるのかな?

 

 誰だろう?大西瀧次郎かな?

 いや、もしかして…。

 

 「ねぇ、その将校って…」

 

 「山本五十六中将です。ベルリンで会談したとき以来ですな」

 

 

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 ――午後9時

 

 都会から少しばかり外れた場所に、その料亭はあった。

 落ち着いた住宅街に囲まれたその場所は、必要以上に目立つことなく、軍人たちの密会には丁度よさげな印象を与える。

 

 その料亭の正面入り口前に車が停まり、助手席と後ろの席から人影が下りてきた。ヨーロッパ風の男女だ。

 すかさず、女将が現れて恭しく頭を下げると、案内を始める。

 

 「突然申し訳ない。人数が1人増えますが、大丈夫ですか?」

 

 通訳係も務める運転手を介し、男が女将に訊く。女将は『大丈夫ですよ』と了承し、2人を店内へ通した。

 

 板葺きの廊下を歩き、入口から一番遠い部屋の前まで来、女将は中の人物へ声を掛けると、襖を開ける。

 刺身の盛り合わせと徳利が乗った、小さな座卓の前で正座している小柄な初老の男性が、来訪した男へと笑みを向けた。

 

 「レーダー統帥部長官…いや、総司令官でしたな。お久しぶりです」

 

 「会談以来ですな、山本中将。会談の場を設けていただけて感謝しております」

 

 男性…山本五十六海軍中将の気の良い笑みにヨーロッパ風の男…エーリヒ・レーダーも相好を崩し、双方は握手を交わした。

 山本とレーダーは、1935年1月、前者が第二次ロンドン海軍軍縮条約予備交渉に参加し、ロンドンからの帰りにベルリンへ来訪した際、会談を行っていた。

 

 「それで、そちらの御嬢様は…?」

 

 つばの長い帽子を被り、顔を隠した洋装の女性に目をやる。

 どこか、嬉しそうな声音だ。

 

 上半身の服を押し上げる膨らみ、細い腹部、顔はよく見えないが、美人であると確信させる雰囲気。

 ナイスバディな美女を前に、少しばかり下心を出してしまったらしい。

 

「豪胆な御方ですね。一国の主をそのような目で見つめるなど…『英雄は色を好む』というやつでしょうか?」

 

 その美女は堪能な日本語で困ったようにそう言うと、帽子を脱ぎ、結っておさげにしていたブロンドを解いて背中へ流し、その正体を晒す。

 途端に、山本は目を剥いた。

 

 「こ、これはこれは…総統閣下、なぜこのような場所に…?」

 

 「我がドイツは海軍の増強にも力を入れている最中ですから、三大海軍国の一角を担う日本の海軍将校との意見交換に、是非とも参加させていただきたく思いまして」

 

 驚き、狼狽した、恐らく普段の山本なら見せないであろうその様に、女性…リリアは悪戯が成功した悪童のような笑みを向ける。

 総統が来るという事前情報がなかったため、驚くのは当然だろう。

 

 一方の山本は、他国のトップへ邪な目線をやっていた事実に、ダラダラと脂汗を流していた。

 

 

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 リリアとレーダーが料亭の門を潜った様子は、少し離れた場所へ止められていた車からも良く見えた。

 

 「…山本の会談相手、男はまだ分かるが、なぜ女…しかも欧米人の?」

 

 「奴は今年2月にロンドンから帰ってきたばかりだ。…女だけじゃなく、背格好からしてあの男も欧米人だろうな。博打に目がないというし、それを通じて向こうで知り合った友人…といったところか。軍属か民間人かは知らん。…なぜ女がいるのかは分からんが、恐らくあの男の娘あたりだろう」

 

 「そういえば、山本は大層な女好きで、愛人がいるとの噂もあります。そういった目的で呼び出したとも…?」

 

 「流石の山本も、友人の娘に手を出すほど腐ってはおるまい。あの男が娘可愛さを自慢するために連れてきたと考えるのが自然だろう」

 

 日本陸軍の軍装に身を包み、軍刀を携えた若い将校たちが、車内から料亭前の様子を伺っている。

 

 「…では、『友人の娘を侍らせ行為に及び、姦通させた』との偽情報をばら撒けば、奴を始末せずとも孤立させ、山本の問責へと発展させ、奴の権威を失墜させ得るのでは?」

 

 「アホ抜かせ。そんな噂を広めたところで、あの男が弁護に回る。それに、米内辺りが私兵を使って偽情報の出処を探り当てるぞ」

 

 おずおずと意見具申した1人の言葉を、上官と思しき人物は一蹴した。

 

 『山本は妻帯者の身でありながら、相手が友人の娘だろうが問答無用で行為に及ぶ色狂いである』という偽情報を流し、山本を貶めようとしたところで、彼の周囲の人間が真実を突き止める。

 始末するしかないのだ…言外にその意を込めながら、上官は言った。

 

 「どちらにせよ、奴は陛下の御心の下に行動する我らの邪魔をしている。それ即ち、陛下への背信行為を行っているに等しい」

 

 宣言するように言い、軍刀をカチリと鳴らした。

 …『陛下の御心の下で行動している』というが、それは本当に天皇の意思を反映したものなのだろうか?

 

 「…それと君、準備はできているかね?」

 

 問いかけた相手は、使い古した着流しを来た男だった。手足はひょろひょろであり、一般人…それも、生活に難儀している者だと一目で分かる。

 どこか覚束ない手つきで、白鞘の短刀と、『天ニ代ワリテ逆賊ヲ誅ス』と書かれた紙を手にしている。

 

 「その…本当に山本五十六中将を…?」

 

 「うむ。その任を達成した暁には、我らより褒賞金を支給しよう。貴殿ら家族が暫し生活していくのに、困らない額を」

 

 これから1人の命を奪わねばならない事実に、刃先を震えさせる男。

 少し前に妻を亡くしたばかりであり、男手一つで5人の子供を育てていた。妻も身寄りもいない今、まだ小さな子供たちを家に残すわけにはいかず、在宅で内職し食い繋ぐ日々。

 無論、普通に働くよりも給金は遥かに少なく、子供たちを食べさせるのでやっとの生活だ。

 

 どうやって生活していけばよいのかと街中で途方に暮れていたところ、この将校たちに声をかけられ、此度の計画に参加することとなったわけである。

 

 人殺し、それも軍人に刃を突き立てることに対し、無論抵抗はあった。

 だが、屈強な軍人たちの見えざる圧力、『君にしかできぬことなのだ』という彼らからの期待の声、そして褒賞金。

 これらが、男に覚悟を決めさせた。すべては我が子らの為と、腹を括ったのだ。

 

 「山本の友人に現場を見られるのは流石にマズい。奴が孤立した瞬間を狙ってくれたまえ。後のことは、此方で処理する」

 

 「は、はい…」

 

 





 Q.山本が欧米人と会っている場面を見て、将校たちは「訪日してるドイツ国首脳と会談してる」と考えなかったの?
 A.山本五十六もこの時点では一介の中将だから、「他国の首脳と会うような立場じゃない」って彼らは考えたんです。

・冒頭の蕎麦屋
 一端の訪日外国人として来店した設定だが、店主には話を通している。
 総統以下、ドイツ国首脳の来店に、厳つい頑固親父な風貌の大将は、柄にもなく緊張しっぱなし。店を手伝っている息子はリリア・ヴィリエル両名の美貌に釘付け。
 なお、ゲーリングが自らの専属料理人としてスカウトしようとしたが、頑固親父はこれを辞退した。
 この店にはリリアが日本語・ドイツ語で『全てのしがらみから解放される美味』と書いた直筆の礼状の他、彼女以下全員の署名が描かれた色紙が額縁に収められて店内に飾られ、この店の家宝となる。
 後年、これを一目見ようと客が日本のみならず、海外からも押し寄せ、営業日は常に行列ができ、店の規模も拡大していく。

・日独伊三国同盟
 史実よりも早めに締結の兆候が。
 ドイツの周辺国に、イタリア以外の友好国がいないこと、そしてソ連の脅威に危機感を覚えたリリアが、早めに外交ルートを通じて日本との接触を行っていた。
 ヨーロッパでも経済的にかなり豊かな二国からの声かけ、そしてもたらされる最新技術を前に、最早締結は時間の問題。

・この世界の山本五十六
 史実と同じく、この時点ではまだ一介の海軍中将。35年1月、ロンドンから帰国する際にベルリンへ寄り、レーダーと会談した。
 独伊との同盟締結が叫ばれ始めている現在、史実程反対してはいない(米内光政、井上成美らも同様)が、中国大陸の権益の要求(なお、そんなことをしなくても独伊は滅茶苦茶潤っているため、正直中国など眼中にない)、日独の距離の問題、またドイツの増長を快く思っていない英仏を刺激するのではないかと気にしている。
 それでも、ドイツより齎される最新技術の数々には魅力を感じており、中々複雑な心境である模様。九試単戦を負かしたドイツ空軍新鋭戦闘機に興味津々。
 また、統帥権を乱用して暴走気味な陸軍へ嫌悪感を示し、大々的に批判しているため、彼らとは犬猿の仲。同盟締結に史実程反対していない分、こっちでヘイトを買っている。
 いつ過激派陸軍将校に闇討ちされたり、山本の家族に危害が及ばないか、米内や井上は心配している。

・最後に出てきたエリート軍人たち
 生活に困っている市民を抱え込み、その手を血に染めさせる鬼畜プレイ。こいつ等人間じゃないよ(確信)
 この後、思いがけない人物からの反撃が待ち受けているなど、思いもよらなかった…。

フランスにどうやって攻め込む?

  • 史実ルート:アルデンヌの森を通る
  • マジノ線ルート:マジノ線を正面突破
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