目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す   作:夜叉烏

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 お久しぶりです、夜叉烏です。

 他の書きたい小説の執筆で遅れました。とっとと戦闘シーン書きたいんじゃあ!!
 決めた、この話終わったら絶対スペイン内戦書く!書くったら書く!
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総統in暗殺現場

 

 この料亭で私たちと会談する日本海軍の将校は、目の前に座る山本五十六だけではない。

 航空主兵主義を掲げる海の男たちが次々遅れて集合し、航空談義に花を咲かせている。料理も運ばれてきており、酒や肴を嗜みながら話合っていた。

 ついでに言うと、歳食った男だらけの場で、私だけが異様に浮いていたのは言うまでもないだろう。正直帰りたいと思った。

 

「総統閣下は、航空機にかなりお詳しいですな」

 

「えぇ、まぁ。新兵器について技術者の方々と話し合うことがありますが、その際に彼らの説明を理解できるように、多少は勉強を」

 

「総統の執務と並行して行っているのですか?それは…何といいますか、御多忙の中で…」

 

 山本をはじめ、私を前に緊張でガチガチな日本海軍の将校たちと会話を交わす。

 なお、レーダーが日本語を話せず、日本海軍軍人もドイツ語を話せる者が少なかったため、この場の全員が理解できる英語での会話である。

 

「私としても、かなり大変なことではあるのですが、そういった勉強はやってみると案外楽しいものですよ?」

 

「ハハハ!それは素晴らしいことです。私も江田島の出ですが、あそこの座学は二度と受けたくありません」

 

「同感です、中将。日本の軍隊ほど、人を殴る組織はないでしょうなぁ」

 

 江田島の海軍兵学校の教育か…確かに受けたくはないな…。少しでもヘマやらかしたら叱責より先に拳が飛んできそうだ。

 というか、さっきまで緊張しっぱなしだったはずの山本五十六は、すっかり私とこうして話し込んでいる。この女好きめ。奥さんに言いつけるぞ?

 

「山本中将は、航空機への関心が非常に深いとか。未だ大艦巨砲主義が多数派のこのご時世に、珍しいですね」

 

「総統閣下、貴女も他人のことは言えませんよ?」

 

 私の言葉にレーダーが突っ込み、この場に少し笑いが沸いた。何か話しているうちに緊張も解れているようだ。酒が入っているのもあるかな。

 

「如何にもです。正直、戦艦はもう要らないと思っていますよ」

 

「それはまた、随分と過激なことを…」

 

 山本は一切の躊躇いなく言い切り、私も思わず声が出た。

 

「私などは優しい方だと思いますよ?此方の井上君など、事あるごとに私へ『海軍艦艇は空母と駆逐艦、潜水艦で十分。戦艦や巡洋艦は解体するべき』だと言ってくるのです」

 

「いやはや…自分で言っておいてなんですが、とんでもない発言ですなぁ」

 

(いや、ホントにとんでもない発言だよ。井上さん…)

 

 山本の隣に座る禿頭の男…井上成美が、はにかみながら自身の頭を撫でる。そんな彼に、私も心中で突っ込んだ。

 今は戦艦『比叡』の艦長だったかな?彼は1940年の⑤計画に於いて、『基地航空兵力を第一とし、とにかく航空兵力を充実させるべき。之の為戦艦・巡洋艦は犠牲とするべし(要約)』、『日本が戦を続けるには海上交通路の確保が重要であり、之に要する兵力は第二に充実させる要あり(要約)』、『潜水艦は第三に重視すべき艦種(要約)』…といった具体案を主張するはずだ。

 5年前のこの時から、その片鱗は見えていたのか。

 

「航空機がこの先の戦を左右するという意見は、山本中将と変わりません。ですが、私は太平洋の島々を航空基地に仕立て上げることで、南方一帯を大規模航空要塞にすべきだと考えております」

 

 空母とは脆弱な存在。ならば、島に飛行場を建設しまくることで、一種の不沈空母を建造する…という案だ。

 個人的には、理に適っている考えだと思う。日本の国力では、一から空母を建造するのも、損傷艦の修理も、喪失艦船の補充も容易ではないだろう。

 しかし、航空基地であれば、被害を受けても何度でも再建できる。空母と違い、動けないのが欠点ではあるが…。

 

「…なるほど。確かに、太平洋は島嶼に恵まれていますし、空母も簡単に建造できるものではないことを踏まえますと、良いお考えかと。そうなりますと、仮にアメリカと戦う場合、そういった島嶼の争奪戦になりそうですね」

 

「仰る通りです。基本的に、我が方は防衛を主軸に動いていくことになるかと」

 

 攻撃側のアメリカと防御側の日本という構図であり、一見後者の方が優位に見える。

 だが、アメリカがどの島の攻略に動くか分からない以上、兵力を各島へ――各島の戦術・戦略的価値などから来寇場所をある程度絞れるとはいえ――分散配置するしかない。一度、アメリカ軍が島を攻略すれば、そこを足掛かりに日本本土へと近づいていくだろう。

 

「…ですが、一部では受けが悪くてですね。『敢闘精神に欠ける』だの、『攻撃あるのみ』だのと…」

 

 あぁ、そういう…。

 

「だがまぁ…そんな奴らを説き伏せるのも、我々の仕事だよ。井上君」

 

 励ますように山本が言った。

 

「新しい戦略・戦術というのは、初めは受け入れ難いものです。トーゴー提督の艦隊が遠距離砲撃のみでロシア艦隊へ大打撃を与えたという実績がなければ、未だに各国の戦艦には衝角が取り付けられていたでしょう」

 

「軍事だけではありません。何事に於いても、新しい概念とは批判されるものです。粘り強く行きましょう」

 

 レーダーと私も、山本に続いてそう言うと、井上は笑みを浮かべながら自身の頭を撫でるのだった。励ましになったのならありがたいな。

 

「山本中将、色々とお聞きになりたいことがあるのでしたら…」

 

「それは是非とも。まず、源田君が言っていた貴国の最新鋭戦闘機の…」

 

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 話はかなり弾んでしまい、気が付けば夜11時を回っていた。

 ドイツ空軍新鋭戦闘機Fw159の性能とその設計思想、日独の技術協力について、今後の世界情勢の推移…話題は尽きなかったものの、夜も遅いため、私とレーダーが先に宿へ戻ることとなった。

 山本中将以下、航空主兵主義者の集団は、まだ話し合いをするらしい。熱心なことである。

 

 史実のような展開を回避すべく、色々と口添えしたいのは山々だが、私はドイツの総統。他国の事情に、あまり口出しするわけにはいかない。もどかしいことこの上ないが。

 

「では、山本中将。今宵は有意義なお話し合いの機会を設けさせていただき、ありがとうございました」

 

「いやいや。勉強になったのはこちらの方です。我々も、考え方を変えていく必要があるということが、よく分かりましたから」

 

 山本をはじめ、ここに集った軍人たちは日本の良心だ。彼らの働きが功を奏し、史実のような転落を回避できるよう動いてくれるのを願おう。

 態々見送りに来てくれた山本へ、レーダーと共に車内から手を振り、そのまま帰る…と思った直後。

 

「や、やっ…山本五十六海軍中将でありますか…っ?」

 

「「「ん…?」」」

 

 妙に上ずった男性の声が聞こえ、私たちはその方を向く。

 街灯の淡い光に浮かび上がる、細身の男性の陰があった。震える手には、何か棒状のものを持っているように見える。

 

「…そうだが、何か用かね?私はこの通り、友人たちと会食に来ているのだが…」

 

 流石に、ドイツの総統とその海軍のトップがいるとは言えないだろう。警戒の色を強めた山本が、嘘の説明を投げつつ、謎の男の一挙一動をくまなく観察する。

 暗がりでよく分からないが、その男はどうやら「あ、やらかした…」とでも言いたげな顔をしているようだ。話しかけるタイミングでもミスったのか?

 というか、彼の呼吸の感覚が早すぎる。過呼吸レベルだ。

 

 暫し、沈黙の時間が流れる。と言っても10秒程度だったが、かなり長く感じた。

 

「……てっ、天誅ぅぅぅぅーーーーっ!!」

 

 刹那、棒状のもの…短刀を抜いて鞘を放り捨てた男は、刃先を山本に向けて突撃してきたではないか。

 強盗か、と一瞬思ったが、『天誅』という言葉から察するに、山本を快く思わない一派が差し向けたらしい。

 妙に声が上ずり、手が震えていたのは、これから人殺しを行うことに対する忌避感を、必死で抑え込んでいたためだろうか。

 

 山本が身構え、両手を構えて腰を落としている。…山本五十六って、何か武道に通じてたっけ?海軍兵学校で柔道・剣道とかは習ってそうだが…。

 

「よっと…!」

 

「うぐっ!?」

 

 殆ど咄嗟の動きだったが、私は車のドアを思い切り開けた。全速力で突進する男の目の前に、突然ドアが出現する格好となり、それへド派手にぶつかる。

 男はぶつけた箇所を抑え、よろよろと背後の木製の塀に寄りかかるが、直ぐに山本目掛けて刃を突き立てるべく突進した。

 まずは目標に一太刀浴びせようというわけか、仕事熱心で大いに結構であるが…。

 

「この…馬鹿者がっ!!」

 

「あが…っ!?」

 

 突き出された刺突は虚空を貫き、山本は男の両腕をがっちりとホールド。そのまま見事な一本背負いを決め、背中から地面に思い切り叩きつけて無力化した。強ぇなこのおっさん。

 …大丈夫そ?背骨逝ってない?山本の渾身の柔術を食らい、受け身からかなりかけ離れた格好で叩きつけられた男は、呻き声を上げながらビクビクと痙攣し、仰向けで伸びている。

 

「はぁ、はぁ…。総統閣下。助かりました…」

 

「い、いえ…」

 

 息を切らした山本に礼を言われた。おっさんの身では、流石にキツかったみたいだ。

 

「…山本中将。この男は…」

 

「は…。どうやら、私のことを良く思わない一派が差し向けた駒のようです」

 

 車から降りてきたレーダーの問いかけに、山本は息を整えながら応える。

 外の騒ぎに勘付いたのか、室内にいた日本海軍の高官たちが駆け付ける音を聞きながら、私も緊張の糸が解け、深く息を吐いたのだった。

 

 ――この一件は天皇の耳にも入り、他国首脳の目の前での犯行、そして何よりも生活苦の民に付け込み、その手を血で汚させようとしたことに激怒。

 主犯である陸軍参謀本部の将校数名とその取り巻きは総じて厳罰に処され、さらに天皇の勅命を受けた近衛師団が陸軍全体に大規模なガサ入れを実施した。

 

 その結果は…『この先やらかす、又は既にやらかした人物は粗方予備役編入となった』とだけ言っておこう。

 また、この事件はメディアが大々的に報じ、満州における陸軍の暴走が白日の下に晒された。その影響で、軍民双方の陸軍への信頼は失墜、海軍はこの機を逃さぬとばかりに痛烈に批判。

 陸軍は発言力が著しく低下、軍事予算の大半を海軍に取られることとなり、新兵器開発にも支障を来すこととなった。

 

 …このお陰で後年、日本陸軍によるドイツ製陸戦兵器多数の輸入に繋がったと考えると、ドイツにとっては儲かったわけであり、此方からすれば都合の良い出来事であった。




 最後駆け足でしたけど、早く戦闘シーン書きたい病が末期だったので日独の交流はこれで終わりです。誰が何と言おうと終わりです。
 次はスペイン内戦編です。

フランスにどうやって攻め込む?

  • 史実ルート:アルデンヌの森を通る
  • マジノ線ルート:マジノ線を正面突破
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