目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す 作:夜叉烏
こんにちは。夜叉烏です。
早く戦争書きたいよぉ…。それまでは色々兵器開発にさり気なく口出して戦力を底上げするゾイ!
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そういえば、忘れていたことがあった。
史実のヒトラーは、1931年に姪のゲリ・ラウバルの自殺を境に肉食を断ち、菜食を宣言したことを。
「総統閣下、食が進んでおりませんが…」
総統官邸の食堂で食事を摂る私に、対面に座るヴィリエルが心配そうにこちらを見てくる。
金のモールに数々の勲章で彩られたナチ党所属であることを示す黒いブレザー、同色のネクタイ、コート、タイトミニスカート、サイハイブーツ、軍帽、P08が収められたホルスター、剣を身に着け、指導者の格好が出来上がった私は、擦れ違うナチ党員や親衛隊員の敬礼を受けながら食堂へ辿り着いた。
総統の食事といえば、執務室で静かに摂るようなものだと勝手に思っていたが、少なくともリリアは違うらしく、立場関係なくこの食堂で食事をするらしい。
「「「ハイル・リリア!」」」
「敬礼はいいわ。食事の時位リラックスして頂戴」
座ってからも、食事を待つ間に食堂へ入ってきた者やシェフ全員から例の敬礼をされ、心が休まるときがない。
後、やたら大声で言ってくるんだよなぁ…。
…これは慣れるしかなさそうだ。
それよりも、目の前に出された昼食の内容に問題があった。
(肉が入ってない…)
大戦の惨状を目の当たりにしたショックなのか、リリアも肉を受け付けなくなったらしく、これまで菜食を貫いてきた。
しかし、今の彼女の趣味趣向は、令和を生きるミリオタ大学生のものなのだ。
ライ麦パンをモソモソと食べ、味気ないスープとサラダを口にするが、味は兎も角、全くもって物足りない。
ヴィリエルが口付けているスープ――ブロックのベーコンとソーセージ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを煮込んだもの――が、恐ろしいほどに美味しそうに見えた。
因みに、このスープはアイントプフというドイツの庶民的な料理であり、日本でいう味噌汁のようなものらしい。
作る者によって味や具は異なるようだが、ここのシェフはコンソメを使っているようだ。
因みに、コンソメとは言っているが、この時代ではブイヨンと呼んだ方がいいか。
ブイヨンとは、肉や野菜を煮込んで作る出し汁のことである。日本でいうところの昆布やカツオブシのようなものだ。
「…ヴィリエル、今度から肉も食事に入れたい」
あまり怪しまれるようなことはしたくなかったが、肉なしの生活は耐えられそうにない。
「肉…?総統閣下、肉をお食べになられるのですか?」
「…別に深い意味はない。ただ、今なら食べられそうだと思っただけよ」
「…先ほどから私の料理を見ていたのはそういうことですか。同じものを用意いたしましょうか?」
「いや、今日はいい。シェフに悪いわ」
シェフが何人か、こちらの顔色を窺っている。
それには敢えて振り向かないようにしながら、ガッツリとは程遠いメニューを平らげていった。
(うん。足りない)
最後に残ったライ麦パンにマーガリンを付けようとした直後、目の前にアイントプフが盛られた小ぶりの深皿が置かれた。
「私のものでよければ…」
ヴィリエルが、自分の分のアイントプフを取り分けてくれたのだ。
今は公の場であり、総統とその筆頭秘書という関係であるが、妹としての一面が垣間見えた気がする。
「ありがとう、ヴィリエル」
礼を言うと、早速スプーンで厚切りのベーコンを掬い、口内へ放り込んだ。
分厚い肉の塊を噛み締めるや否や、肉汁が溢れ出し、口中へ広がる。たっぷりと野菜や肉のエキスが染み出たスープも相まって、最高の美味に仕上がっている。
総統官邸の食堂勤務に選ばれたシェフたちの、並々ならぬ腕前の賜物だろう。
戦前ドイツの総統へ憑依し、精神的に疲れていた私の心と体に、活力が沸いてくる。
「…お気に召していただけたようで、何よりです」
「肉とは、こうも美味しいものだったのね。今まで損してたわ…」
あたかも長年ベジタリアンだったという風に、私はそう言っておいた。
ソーセージも食べてみたが、こちらも美味すぎる。パキリと小気味良く折れた断面から、肉汁が溢れてくる。
たっぷりのマーガリンを塗りつけたライ麦パンも同時に食し、心身共に満たされた私は、憑依してから初めての食事を満足して平らげた。
「食器片づけてくるわ」
「い、いえ、総統。その必要は…」
前世のフードコートでの食事した経験からか、思わず身体が動いてしまい、それをヴィリエルに止められた。
リリアの記憶によれば、食べ終わった食器はそのままにしておけばシェフが勝手に片付けてくれるとのことだったのだが…。
「あ…いや、シェフに今度の食事には肉類も入れてほしいと、直接伝えようと思っただけよ」
そう取り繕った。
厨房内部を覗くことができる箇所を見つけ、食器を置くとシェフを呼ぶ。
「…ッ!?ハイr」
「料理長に、次からは肉類や魚のメニューも入れておくように頼んでくれるかしら?」
敬礼される前に、こちらの要望を伝える。
そのシェフは、一瞬戸惑った様子を見せたものの、直ぐに無言で例の敬礼をし、食器を持って厨房の奥へ消えていった。
兎も角、これで食事の問題は片付いた。
その直後だった。
「総統閣下!お体は大丈夫なのですか?」
男の声に、私は振り向いた。
目線の先には、その場の全員からナチス式敬礼を受け、自らも軽い答礼で返しながらこちらに近付いてくる男性がいた。
縦長の顔に、若干癖のある黒髪、親衛隊の制服と大将の徽章。
…ルドルフ・ヘス副総統!?
本物じゃん!!
ナチ党結成からリリアやヴィリエルと付き合いのあった、前大戦ではパイロットも務めた――初出撃の数日後に終戦したが――古参メンバーの一人である。
ヴィリエルと共に私の個人秘書となり、スケジュール管理や共産主義勢力からのでっち上げの苦情に対応し、私を面倒事から解放してくれていた。
共に戦場に身を置いた経験があるためか、シュライヤー姉妹とも話が結構合う。
一応言っておくと、私とは恋愛関係に発展していない。仲間…まぁ、男友達といったところだ。
私とヴィリエルが仲良くしていると、さり気なくその場を離れるなど、かなり紳士な男である。
なお、第一次大戦での初めての実戦の際、彼は史実通り「村々が燃えていました。心を奪われるほど美しく。戦争よ!」と手紙に綴っていたため、ナチ党ではまとも枠と勝手に思っていたリリアは、「実はこいつも結構ヤバい奴なのかもしれない」と感じている。
「あ…あぁ、問題ない。勝手に欠席して済まなかったわ」
「とんでもない。寧ろ、もう少しお休みになっていただきたく…」
ドイツ国No.2の登場に、ついしどろもどろになってしまったが、ヘスは気にすることなく私を気遣ってくれた。
確かに、リリアは結構なワーカーホリックだった記憶がある。
「いや、皆が職務をこなしているときにのうのうと休暇は…」
「「「総統閣下!」」」
三度、周囲からの敬礼を受けながらドイツの中枢たちが食堂にやってきた。
ドイツ海軍の軍服を着こなし、海軍上級大将の徽章を付けた男と、同じ服装に海軍少将の徽章を付けた男、膨らし粉を入れ過ぎたパンのように太った、空軍の軍服を着た男、陸軍の軍服を着た大将の徽章を付けた男、自分に絶対的な自信を持っていると言わんばかりの振る舞いをした、黄土色の制服を着た男の5人組だった。
順にエーリヒ・レーダー海軍上級大将、カール・デーニッツ海軍少将、ヘルマン・ゲーリング空軍総司令官、ヴェルナー・フォン・フリッチュ陸軍総司令官、そしてヨーゼフ・ゲッベルス宣伝相。
陸海空軍のトップに加え、後に「海のロンメル」と称される潜水艦隊総司令、「プロパガンダの天才」と名高い宣伝相…大御所じゃないか。
私は、緊張を抑えるので精いっぱいだったが、何とかリリアを演じ切る。
「あぁ…。午前中は会議に出られず、済まなかったわ」
「いえいえ、総統閣下は我がドイツの至宝でございます。あまり無理をなさらないでください」
ゲーリングが微笑しながら言った。大口叩きで有名な彼だが、これは本心で言ってるらしい。
…そういえば、こいつモルヒネを煙草感覚で服用していたんだよな。これを機にやめさせるのもありかもしれない。
国家の要人がモルヒネを服用するなど言語道断だ。
「…レーダー。海軍の再建はどうなってる?」
「は…駆逐艦やUボート、魚雷艇、駆潜艇等、小型艦の建造が多いですな。乗員も訓練に明け暮れておりますが…」
自信なさげにレーダーが報告する。
ヴェルサイユ条約下、軍艦の建造が著しく制限され、嘗てのドイツ帝国が保有した海軍は見る影もない状態だ。
建艦技術も乗員の練度も、日本や米英海軍には及ばないのが現状だろう。
「日本が我が国へ接近しつつあるのは、2人も聞いていると思う」
「はい。存じております」
デーニッツが言った。
「現在、あちらに海軍艦艇の設計図供与、海軍合同訓練の申し出を行っているわ。無論、こちらも相応の見返りは出すけれど。いい返事が得られれば、世界三大海軍国の一角の建艦技術の獲得に加え、日本海軍乗員からの指南が受けられる」
私の言葉に、レーダーは喜色を浮かべる。
東洋の小国とはいえ、日本は三大海軍国の一角だ。その国の協力を得られれば、ドイツ海軍の戦力はかなりの向上が期待できると考えたらしい。
「しかし総統…」
「シュペーアに相談して、造船所や軍港の増設も行う」
デーニッツの言葉を途中で遮り、私は言った。
恐らく、「日本海軍からの指導はありがたいが、そこまでの海軍戦力を揃えるだけの造船施設が足りないため、有力な水上部隊を揃えるには時間が掛かり過ぎる」と言いたかったのだろう。
この言葉には、レーダーやデーニッツは目の色を変えた。
「新型艦建造や乗員育成訓練の際は、両名をはじめ、海軍関係者の諸君に大いに働いてもらうことになるわ」
「「承知いたしました」」
例の敬礼と共に、2人は百も承知だと言いたげに応えた。
双方の表情は、若干ホクホク気味であった。良い歳したおっさんがどんな顔してんだか…。
特にレーダー、あんた来年60歳だろ。
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主要な幹部から繰り出される報告は、ドイツにとって良い内容ばかりだ。史実ではこうもいかなかっただろう。
「…ふむ。我が国民は、少なくとも飢えに困ってはいないようね」
「これも、総統のお力の賜物でございます」
渡された資料を捲りながら呟いた私に、ドイツ国副総統ルドルフ・ヘスがそう応えた。
アウトバーン建設などの公共事業実施、農業等――これらには全国の刑務所に収監されている囚人のほぼ全員を貴重な無償労働者として雇っている。衣食住完備の8時間労働で、作業に参加すれば刑期を多少短縮する条件付――で、ドイツ国民の生活水準は向上し、食料の自給率も向上している。
リリアが特に力を入れていたのが農業・畜産、化学産業だった。
各化学メーカーへ化学肥料や農薬の精製を、クルップ社には農耕機――WD25トラクターの生産を依頼。
更に、その薬品やトラクターを周辺の中小国――チェコスロバキアやオーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビアに売りつけることに成功。
畜産と農業を同時に実施する混合農業を推し進めたこと、農耕機械や化学肥料の存在、そして大々的な人種差別・迫害をしておらず、『危険な国家』という印象がなかったのも助かり、食糧の輸出要請に応える国が多かったお陰で、食糧の問題は完全とはいかないまでも殆ど解決していた。
リリアは、国民全員に食わせることを第一に考えていたのだ。
東方への生存権も、この世界では必要ないように思えた。
また、WD25をベースとしたブルドーザーや、より大型のWD50のシャーシを利用したクローラー型ディーゼルショベルの開発も命令。
後者に関しては、隣国のフランスが声を掛けてきた。
それなりに高い買い物になってしまったが、重機の設計・開発に一家言持っているフランスの技術的助力を受け、34年の12月にはドイツ国産のクローラー型ショベルカーが誕生した。
まだ配備数は少ないが、アウトバーンの建設にも投入され、作業効率が大幅に向上したと、トート機関から報告が上がっている。
いつかはこのショベルも中小国やイタリア、日本へ輸出し、フランスの技術を買った消費分をチャラにする予定だ。
(嘗ての敵国へここまで肩入れするとは…勝者の余裕ってやつか)
プライドが高く、高飛車なフランスのことだ。嘗て打ち負かしてやった敵国に慈悲を与え、優越感に浸っているのだろう。
成金が金をばら撒き、生きるために金を手に入れようと、屈辱を覚えつつ必死に拾い集める貧乏人を見て笑う…といった具合か。
そう思うと、フランスに対する憎悪が沸々と湧き上がってきた。
(待ってろよ…いつかロンメルをパリへ突っ込ませてやるからな…!!)
「総統閣下…?」
心中で何時かは相まみえるであろうフランスへ敵愾心を燃やしていたが、表に出ていたようだ。
後ろへ控えるヴィリエルが心配そうに話しかけてくる。
「い、いや、何でもない。…シュペーア。軍需大臣席の座り心地はどうかしら?」
「は…はい。門外漢の身で心配でしたが、何とか…」
突然話を振られた、若々しい印象の軍需大臣は、緊張しているのかハンカチで額を拭いながら、私の問に答えた。
アルベルト・シュペーア軍需大臣。
史実において、軍需相の発足は1940年、初代軍需大臣がフリッツ・トートであった。
しかし、周辺国が軍拡を進め、特に共産主義国のソ連を警戒していたリリアは、この状況を見過ごすことなく、1934年終わりには軍需相を設立し、初代大臣としてシュペーアを充てていたのだ。
彼は建築家であり、武器兵器には専門外という理由で軍需大臣就任を渋っていたが、史実のヒトラー同様、私のゴリ押しで何とか納得した。
部下のサポートもあり、彼はもう立派な大臣である。
シュペーアは部品の規格統一を実現すべく、各企業や省庁をまとめ上げ、史実よりも8年ほど早い段階で、生産体制の効率化や現代の経営工学に通ずる理論を確立させた。
彼には、鉄十字勲章を授与したいところである。
因みにトートだが、トート機関の長として各種軍事・民間事業に関わっている。その方が、建築家としての仕事に専念できると考えていたからだ。
今頃はアウトバーン建設の責任者として、その手腕を振るっていることだろう。
「規格統一による生産体制の効率化を成した貴方の功績は賞賛に値するわ。胸を張って」
私の言葉に同調するように、周りの高官が頷く。
ナチ党所属の技術者は、感謝している…と言わんばかりの笑みを向けていた。
「あ、ありがとうございます…」
はにかみながらも、シュペーアは微笑を浮かべて礼を言った。
それを見計らい、1人の男が手を上げる。
「総統閣下。オオシマ大使を介し、日本より技術協力の返答が届きました」
史実と違い、この時点で既に外相の地位にいるヨアヒム・フォン・リッペンドロップだ。
こちらが高性能工作機械や各種最新技術、そしてシュペーアが編み出した生産管理の概念を提供する代わりに、日本海軍艦艇の設計図や、海軍乗員によるドイツ海軍軍人への指導要請について、日本が何かアクションを起こしたようだ。
「我々が望む艦艇及びタービン設計図の提供、日本海軍軍人による我が海軍軍人への教練。双方を受け入れる…と」
「…朗報ね。レーダー、デーニッツ」
「「はい!」」
2人とも、まるで新しい玩具を買ってもらった子供を思わせる、満面の笑みを浮かべていた。
まぁ、私も内心喜んでいる。
近代的な建艦技術を盛り込んだビスマルク級戦艦や、アドミラル・ヒッパー級重巡を早く見てみたいものだ。
「シュペーア。海軍の再建を行うには、現在の造船設備では足りないわ。造船所と軍港の規模拡大を頼みたい。手が足りなければ、後でトート機関にも手伝わせる」
「はっ!」
私の要請に即答するシュペーア。
トート機関に丸投げしようとも一瞬思ったが、その前にアウトバーン建設を一区切りつけてもらおうと考えたのだ。
彼らには、これからも様々な軍事建造物を建設してもらうことになるだろう。
「双方技術資料の輸送方法は?やはり海路かしら?」
「はい。オオシマ大使によると、設計図及び技術者の移送のため、近日中に客船と日本海軍の護衛艦艇を我が国へ派遣したい…とのことです」
「分かったわ。オオシマ大使とのスケジュール打合せは頼んだわよ」
「仰せの通りに」
リッペンドロップは一礼して下がる。
これが、会議の終わりとなった。ヴィリエル、レーダー、デーニッツを残し、主要な幹部たちは退出していく。
ヴィリエルも退出してよかったのだが、主席秘書官として常に傍にいなければならないと思っているのか、それとも姉と離れたくないのか…。
私以上に冷たく、怜悧な雰囲気を漂わす彼女の心中を読むことはできなかった。
「…さて。レーダー、デーニッツ。貴方たちが構想している艦隊整備計画について、説明してほしい」
「「はっ!」」
さて、まずは海軍戦力をそれなりに揃えないとねぇ…。
Bf109とFw190、皆はどっちが好き?
フランスにどうやって攻め込む?
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史実ルート:アルデンヌの森を通る
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マジノ線ルート:マジノ線を正面突破