目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す 作:夜叉烏
こんばんは。夜叉烏です。
ドイツ海軍を活躍させたいので、「こんなに艦艇要らねぇだろ」とかいうツッコミはなしで。
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「私が構想している艦艇整備計画なのですが、こちらになっております」
レーダーがどこか誇らしげに、デーニッツは対照的に少し不満気な表情を浮かべつつ、計画が書かれた書類を差し出した。
(う~ん。ロマンの塊)
少々流し読みしての感想がこれだ。
1945年までに
・戦艦10隻
・空母4隻
・重巡4隻
・20000トン級装甲艦12隻
・軽巡14隻(エムデン級、ケーニヒスベルク級、ライプツィヒ級除外)
・駆逐艦及び水雷艇148隻
・Uボート249隻
実際は、これ以外にも輸送艦をはじめとした支援艦船も建造するだろうし、もっと多くなるだろう。
正直、これら全てを建造するなど無理だ。シュペーアによって拡大された造船施設をフル稼働させても、である。
「ロマンがあってたいへんよろしいわ。…実現できるかはさておき」
「は…」
如何にも残念そうに、レーダーは肩を落とした。デーニッツは、「それ見たことか…」と言いたげである。
史実でも、水上艦艇の建造を優先したレーダーに対し、Uボート重視のデーニッツは反対している。
「正直に言わせてもらうと…この全てを建造するのは無理ね。シュペーアに造船所の増築を依頼したけど、それでも…」
とどめを刺すようにそう言われてしまい、レーダーはとうとう(´・ω・`)な表情になってしまう。
「総統。小官はUボートの他、中小型艦多数を主として建造する方針がよろしいかと考えます」
自説を説く好機と捉えたのか、デーニッツが力強く言ってきた。
確かに、Uボートは前大戦で猛威を振るった超兵器だ。膨大な物資を輸送船諸共海没させ、あっという間に敵の補給線へ大打撃を与える。
それに、小型艦であるため建造も比較的容易であり、数を揃えやすい。
数百隻ものUボートを海面下に忍ばせれば、輸送船だけでなく、有力な水上部隊をも壊滅させることが可能です…そうデーニッツは言いたいようだった。
一理あるが、私としては不十分だ。
「カッコいい戦艦が見たい」とか、そういうロマンの問題ではなく。
「確かに、戦争において兵器の数を揃えるのは重要な要素よ。Uボートは我がドイツが誇る世界最高水準の潜水艦だと認識している。それを集中運用すれば、敵海軍戦力や補給線へ大打撃を与えうるものと思われる」
「では…」
「しかし、それでは足りないと考えるわ」
笑顔を見せたデーニッツに悪いと思いつつ、私は最後の最後で彼の説を否定した。
「技術の発展は日進月歩。近いうちに潜水艦に対する有効な対抗手段が出現し、我が軍が主力とするUボート部隊は、敵に有効な損害を与える間もなく壊滅してしまう…といった可能性もある。大戦中、特にイギリスはUボートの恐ろしさを知っているし、何も対策を取らないとは考えにくい。そんな時、Uボートの建造を優先してきたためになけなしとなった水上部隊で、戦艦を含む大部隊に対抗できるかしら?」
あくまで、素人の意見だ。
それでもデーニッツは、相手が潜水艦に対する画期的な新戦術・新兵器を持ち出した場合、Uボートを主力としたドイツ海軍が辿る運命を思い浮かべたのか、難しい顔をしながら何度も頷いていた。
「…つまり。潜水艦一本に海軍の主力を絞ってしまうと、強力な対潜兵装や対潜戦術を開発した敵に対処できなくなってしまうのではないか…と、思ったのよ。数の力で何とかできる可能性もなくはないと思うけど…」
「…いえ、確かに的を射ています。イギリスも馬鹿ではありませんし、潜水艦の探知技術も進化しているでしょう。そんなとき、潜水艦へ傾注しすぎた我が海軍は…」
爆雷攻撃で大量のUボートが撃沈され、海面が重油や浮遊物、そして乗員の水死体で埋め尽くされる光景を想像したのか、デーニッツの顔色は優れなかった。
実際、米英海軍は1942年に入ると、新型ソナーや"ヘッジホッグ"対潜迫撃砲といった機材、護衛空母及び護衛駆逐艦、対潜哨戒機の大量投入、ドイツ軍が使用する暗号"エニグマ"解読などの対策を行い、Uボートの活動を大幅に制限している。
「ただし、Uボートの建造をやめるつもりはない。造船所職員と相談し、既存艦の追加建造及び、より高性能なUボートの建造、画期的な潜水艦戦術の考案に力を入れてほしい」
「はっ!」
敬礼し、デーニッツは一旦下がった。
自説を全面的に採用することはなかったが、それでもUボートを軽視していない私に対し、不満を抱いている様子はないようだ。
「私としては、輸送船団に空母の護衛を付けられると厄介だと思うわ」
「空母を、輸送船団の護衛にですか?贅沢過ぎる使い方なのでは…」
レーダーが疑い深げに言った。デーニッツも眉を顰めている。
恐らく、2人が想像しているのは日本海軍の『赤城』や『加賀』といった大型空母だろう。
「いや、正規空母ではなく、タンカーや商船をベースにした急ごしらえの空母。速力は遅いでしょうけど、輸送船団の直掩任務や対潜哨戒には十分な性能よ」
顕著なのがアメリカだ。
タンカーベースの護衛空母の建造数など、相手にする側からすれば数えたくもない。
持てる国と持たざる国の違いだ。
「なるほど…。アメリカやイギリス、日本のような海洋国であれば、民間の船舶も腐るほどあるでしょうし、それらを徴用して改造を施すことで空母に仕立てることができ、一から建造するにしても、その期間は正規空母より短くコストも安い。空母としての性能は低くとも、輸送船と歩調を合わせられるのであれば正規空母ほどの性能は要らない…ということですな?」
「潜望鏡深度にいる潜水艦なら、航空機からも発見されます。爆撃によって沈められたり、味方の駆逐艦部隊に通報され、爆雷攻撃を受ける危険もありますね…」
海軍国としては二流のドイツだが、海軍を統括する2人のことだけはある。
私の意見から次々と考察を始め、殆ど正解の結果を導き出している。
「イギリスとアメリカ…特に後者は油断ならないわ。イギリスへ駆逐艦や特設空母を譲渡することもできるでしょうし、あの国力が対潜部隊の創設や機材の開発に向けられると思うと…。あぁ、こっちからアメリカに宣戦なんてしないから安心して頂戴」
私の言葉に、レーダーとデーニッツは表情を強張らせる。
アメリカの国力を、この2人も良く分かっているようで安心した。
「それとレーダー。質問だけど、この20000トン級装甲艦というのは、ドイッチュラント級の拡大発展型…という認識で良いのかしら?」
「はい。火力と防御力は据え置きですが、速力は29ノットを予定しております」
ドイッチュラント級は、ヴェルサイユ条約の厳しい軍事制限下で建造された装甲艦だ。
52口径28センチ三連装砲2基6門、55口径15センチ単装砲8基、45口径8.8センチ高射砲3基、53.3センチ魚雷発射管を2基を備える重火力艦であるが、最高速力が26ノットと遅く、機関の信頼性が低いなど、中途半端な性能に仕上がってしまっている。
戦艦に対しては火力で、巡洋艦に対しては速力で劣る――海軍は、このクラスをそう呼んで酷評したものだ。
そういえば、ドイッチュラント級の拡大型として、全長230メートル、基準排水量20000トンの装甲艦が計画されていたというのを聞いたことがある。
それがこいつなのだろう。結局、シャルンホルスト級戦艦の建造で没になったようだが。
「本級は、通商破壊専用の艦として配備する予定です」
うむ…。
正直言って、艦体規模と性能が釣り合っていないし、長さだけならシャルンホルスト級に迫るこの巨艦を、通商破壊のためだけに建造するなど勿体ない。
まぁ、ドイツ海軍の運用思想であれば正しいのだろうが、これを12隻…?
「…レーダー、確かに輸送船にとってこの装甲艦は脅威になるわ。でも、船団の護衛に有力な水上部隊…それも戦艦を含む部隊が付く可能性もある」
「戦艦を輸送船団の護衛に?それこそ有り得ないのでは…」
レーダー、デーニッツは仰天したように私を見る。
まぁ、この時点での戦艦は国力の象徴であり、海軍の主力であり、艦隊の華というイメージが強いから仕方ない。
確かに、輸送船団を守るのは大事なことだ。しかし、それでも裏方といえる任務に戦艦を充てるなど、流石の両名も考えられなかったのだろう。
「では2人とも。フランスのダンケルク級、そして我が国が計画しているシャルンホルスト級…この2級の共通点は何かしら?」
唐突な問いに2人は一瞬眉を顰めたが、それでも暫し考えた後、レーダーが発言する。
「…30ノット以上の速力を発揮できること、でしょうか?」
「正解。これからの戦艦…だけに限らず、戦闘艦艇は30ノット以上の高速を発揮するものが主流となる。対して、イギリス海軍のネルソン級、リヴェンジ級は23ノット、クイーン・エリザベス級でも25ノットに過ぎない。高速戦艦たちに出番を奪われ、次第に働きどころがなくなっていくわ」
ダンケルク級の性能は、少々濁されて明かされているのだが、最高速力といった重要な性能は流石に伏せられている。
これは、ヴィルヘルム・カナリス率いる国防軍諜報部が送ってきた情報だ。
彼らによると、フランスの防諜能力はそうでもなく、兵や下士官は疎か、一部の士官までもが未公開情報を誇らしげに喋っているらしい。横領や問題行為の隠蔽なども横行しているようだ。
傲ってんなぁ…。嘗ての戦勝国とは思えないほど、今のフランスは腐っている。
逆に、イギリスの防諜網はかなり固いようだ。更に、再軍備宣言以前からドイツの兵器開発に関する情報をある程度入手しているらしい。
日本と接触し、海軍力の増強に励もうとしていることもバレていると考えられる。フランスとは比較にならないほど油断ならない国だ。
それでも、おぼろげながらイギリスの軍備について、報告が定期的に挙がっている。
カナリスによると、新型戦艦の建造が繰り上げられたようだが…。こちらの海軍再建の動きが勘付かれたか?
「それらの次の就職先が、鈍足な輸送船団の護衛任務…ということですな?」
的を射たように頷きながら、デーニッツが言った。流石は、レーダーに次いで海軍元帥になる男だ。
機関を換装し、速力を向上させる可能性もあるが、機関の換装は手間と時間のかかる作業だ。平時は兎も角、戦時中でそれを行う国はそういないだろう。
それに、英海軍には快速を旨とする巡洋戦艦『フッド』、レナウン級巡洋戦艦2隻がいる。
28ノットを発揮するキング・ジョージⅤ世級も…カナリスの情報が確かなら、史実よりも早めに実戦投入される可能性が高い。
高速戦艦の登場で活躍の場がなくなっていく低速戦艦は次第に裏方へ…という予想だ。
「ん。上陸部隊の護衛に同行、そのまま上陸地点へ艦砲射撃を行うこともできるわね」
私とデーニッツのやり取りを聞いていたレーダーは、しきりに頷きながら顎を指でさする。
顔色が若干悪い。自信を持って提案した装甲艦が、ネルソン級やリヴェンジ級の巨弾に蹂躙される様を想像したのかもしれない。
「よって、基本的に輸送船団に対する攻撃は、潜水艦隊及び空軍に一任するわ」
「…では総統。この装甲艦12隻の計画は破棄、ということでよろしいでしょうか?」
「そうね。正直、これを12隻揃えるならUボートを造るか、巡洋艦と駆逐艦、その他補助艦艇を揃えた方が良い」
途端に、デーニッツの顔が僅かに綻んだ。
装甲艦12隻分の資材が流れ、Uボートと中小型艦の建造が捗ると思ったのだろうか。
「それと、戦艦8隻というのも少々やりすぎだと思う。建造期間が長いのもそうだけど、これからはやはり空母が海軍の新たなる主力となってくるわ。こちらも、それなりの海上航空戦力は保有しておくべき」
「空母、ですか…」
両名とも懐疑的だ。
マレー沖海戦や真珠湾はまだ先だし、当然といえば当然の反応か。
「レーダーの計画にある主力空母4隻は、日本やイギリス、アメリカが持つような30000トン級の大型空母ではなく、20000トン程度の中型空母としたい。場合によっては、巡洋艦の艦体を流用した小型空母も配備しましょう」
私が目指しているのは、日本海軍の『蒼龍』『飛龍』を簡易化した中型空母――雲龍型のようなクラスだ。
性能は正規空母に比べて劣るものの、戦時量産艦であるため、なるべく早く、安く造ることができる。戦争に間に合わない大型艦よりも、間に合う中小型艦だ。
列強諸国が持つような大型空母は、流石にドイツの手に余ると考えていたのか、レーダーとデーニッツからの反論はなかった。
「しかし総統。空母を主力に据えるとなりますと、戦艦は…」
「…今のところは4隻とする。長期間、建造ドッグを占有されるのは好ましくないわ」
戦艦は造らせるが、対空火器をたっぷりと積み込んだ艦にする。15センチ副砲なぞ全て撤去だ。
それに、建造のため長期間ドッグを占領する戦艦は、あまり多く造らない方がいいと考えた。
確か、『シャルンホルスト』の起工が今年6月15日、『グナイゼナウ』が5月6日だ。
日本からの設計図と照らし合わせ、設計に変更を加えさせよう。造船所所員には苦労を掛けてしまい申し訳ないことこの上ないが…。
「なお、建造予定の戦艦は副砲を全廃、対空兵装を充実させるよう伝えてほしい。彼の艦には艦隊決戦の他にも、創設される機動部隊の対空直掩艦として働かせる。そして、日本から送られてくる設計図と建造予定の艦とを照らし合わせ、設計に変更を行って頂戴」
「はっ!」
空母を主力に据えることへ若干の戸惑いを浮かべていたが、それでもレーダーは了承し、一歩下がった。
まぁ、航空機の発達が著しいのは確かだ。それはわかっているのだろう。
「日独軍事交流の際は、日本側も護衛艦艇を派遣してくる。見学の許可を取っておくから、2人には日本海軍の練度や技術を間近でよく見てきて欲しいの。必要だと思う彼らの技術は、遠慮なく報告すること。我がドイツ海軍を、何としてでも復活させてほしい」
「「ハイル・リリア!」」
両名とも、右手を掲げて見事な敬礼を披露すると、執務室から退出していった。
2人はナチ党員じゃないし、そんなことしなくてもいいんだけどなぁ…。まぁ、威厳はあった方がいいのか。
私も答礼して見送ると、椅子に深く座り込み、息を吐いた。
(疲れた…)
嘗ての偉人と言葉を交わすなど、緊張しないわけがない。
殆ど毎日彼らと会って、政務や軍務に励まなきゃならんのか…。それにこれから戦争始まるし…。
「…定時よ、姉さん」
「んあ…?もうそんな時間なのね…」
午前9時から午後5時の8時間労働がドイツ式だ。基本残業はなく、仮に残業をする際は、その分の給料が支払われる決まりになっている。
ホワイトだ~。就活なしでドイツ総統とかいう地位に就けたわけだし、その面は幸運だったかな?
勤務時間を過ぎたため、姉妹の関係に戻ったヴィリエルが、コーヒーを淹れながら話しかけてきた。
そういえばこの世界、ボルマンはいないんだよね。少なくともリリアの記憶にはない。
まぁ、史実ではヒトラーを裏で操っていた男だ。横領した事実をヘスに押し付けたりとやりたい放題していたし、いない方が良かった…のかな?
彼女が淹れてくれたコーヒーに、角砂糖2つとミルクを入れて飲む。
山本五十六ほどではないが、リリアは甘党なのだ。
「…姉さん。随分と日本を重視しているのね」
「…しょうがないでしょ。それならイギリスやフランスに頭下げて、軍備増強の手助けをしてもらう?」
「…無理ね」
ソ連と協力する手もあるが…ラパッロ条約を結んでいるとはいえ、共産主義の親玉であり、ドイツとは相反する国家なのだ。あまり深く関わるのは得策ではない。
「100年前は腰に刀を差していた国が、今では列強の仲間入りよ?そんな国の国民が、未開の劣等人種なわけないでしょ」
なお、白人至上主義に凝り固まり、「日本など大したことない」と思っている国が一定数いる模様。
はぁ…日本に行きたい…。だけど今はドイツの総統なんだよなぁ…。
まぁ、行ったところで過去の日本なんだけど。
…疲れたし、ちょっと権力乱用しようか。総統兼お姉ちゃん権限ね。
「ヴィリエル。そこ座って」
「え?えぇ…」
執務室の隅に置いてあるソファを指差して言う。
私の指示通り座ったヴィリエルの隣へ腰かける。因みに、私が身長169センチなのに対して、ヴィリエルの身長は172センチだ。
私はおもむろに、困惑している彼女の膝へ頭を載せた。
おぉ…!これが20歳乙女(何度も言うが中身は30代)の膝枕かぁ…!太もも半分までのタイトミニスカと、サイハイブーツの間から覗く色白の太ももの感触が素晴らしい。
こんな美少女に膝枕される――というよりこっちからしている――とか天国ですねくぉれは。
嫌なら総統権限で…いや、ダメだ。トップの権限で無茶をやらせるのは崩壊が近い独裁国の典型だ。
「ちょ…ッ!?姉さん…!?」
おやおや。先ほどまで怜悧な雰囲気を漂わせていた妹の姿は全くない。顔を赤くして、可愛いねぇ。
「ヴィリエルの太もも、最高…」
…女体化&ドイツ総統就任という、よく分からない状況の数々に戸惑っていた私だが、案外こっちでリリアとして生きる方が楽しそうだと思い始めていたのも、また事実なのであった。
――結局、レーダー発案の艦隊整備計画は、以下のように修正された。
1945年までに
・戦艦4隻
・空母4隻
・小型空母4隻
・重巡8隻
・軽巡14隻
・駆逐艦60隻
・Uボート300隻
・Sボート400隻
・輸送船、タンカー、潜水艦補給船、病院船等90隻
39年以内にはビスマルク級とシャルンホルスト級を揃えたいですなぁ。
フランスにどうやって攻め込む?
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史実ルート:アルデンヌの森を通る
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マジノ線ルート:マジノ線を正面突破