目が覚めたらIF世界ドイツ総統(美女)になってたので、少しでもマシな戦後を目指す   作:夜叉烏

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夜叉烏です。

恐らくこの物語始まって以来最大の暴挙です。『何でも許せる人向けとはいえ流石にやり過ぎっしょ』と思った方はブラウザバック推奨。


日本艦隊訪独

 

 

 『ドイツ艦隊より発光信号!《貴艦隊ノ来航ヲ歓迎ス》!』

 

 日本海軍第四戦隊旗艦の重巡『足柄』の艦橋へ、見張り員の報告が届く。

 

 訓練を重ねられ、夜間でも確実に先手を取れるよう訓練された彼の報告通り、四戦隊司令官の小林宗之助少将の目には、ドイツ海軍の駆逐艦のうち1隻の艦橋が断続的に発光している様が映っている。

 

 太平洋、インド洋、紅海、地中海、大西洋…と、幾つもの海を周ってきた日本海軍遣独艦隊が、とうとうキール軍港へ到達したのだ。

 

 「ふむ。よく訓練されているようだ」

 

 小林が言った。

 陸海軍の高官らの乗る客船と、軽空母『龍驤』、妙高型重巡4隻、吹雪型駆逐艦8隻、知床型給油艦4隻で構成された遣独艦隊を先導する4隻のT級護衛駆逐艦は、乱すことなく傘型の陣形を組み、艦隊を港へと誘導している。

 

 海軍国としては2流とはいえ、三大海軍国の一角である日本海軍の将官にこう言わせる程度の練度を、ドイツ海軍は持っていた。

 

 「あの駆逐艦、まるで針鼠だな」

 

 「情報にあった、T級駆逐艦ですね」

 

 小林は、先導するT級の兵装が気になっていた。

 90ミリクラスと思われる箱型の連装砲を、吹雪型や新鋭の陽炎型と同じ主砲配置で装備しており、53センチクラスと思われる4連装魚雷発射管が1基。

 これだけなら、艦隊型駆逐艦に火力・雷装で劣る低性能な駆逐艦に見えるだろう。

 

 殊に、強力な火力と雷装で世界を瞠目させた吹雪型を始め、水上戦闘にて強力な切り札となる駆逐艦多数を保有している日本海軍の軍人から見れば、頼りないとさえ思う。

 

 小林が目を付けたのは、小さな艦体の各所に設けられた機銃だ。

 40ミリクラスと思われる連装式の機銃が4基、20ミリクラスと思われる単装式の機銃が8基。

 

 吹雪型・陽炎型を下回る艦体規模で、ここまでの対空火力を保持する駆逐艦など、水上戦一筋で海軍に身を置いてきた彼らからすれば、異様に映った。

 

 「T級は、総統閣下の要望が詰め込まれた艦でもあるのです」

 

 後ろから聞こえる、ややぎこちない感のある言葉に振り替える。

 短い金髪に青い瞳、身に纏う濃紺色の軍服は、彼がドイツ人であることを物語っていた。

 

 ドイツ海軍の連絡将校、ヘルムート・ブリンクマン中佐である。

 

 「レーダー元帥によりますと、戦時でも簡単に量産が可能で、対空・対潜戦闘に特化した艦を総統閣下が欲したとのことです。実戦では輸送船団護衛、建造中の商船改造空母と共に対潜哨戒等へ投入されることになります」

 

 「空母を対潜戦闘に投入するのかね?」

 

 驚いたように尋ねる小林。

 

 「貴軍の『アカギ』や『カガ』のような大型空母ではありません。商船を改造した、搭載機30機ほどの小型空母になります」

 

 そう補足するブリンクマンだが、今や戦艦を押しのけ、海軍の新しい主力になろうかという勢いの空母を、小型とはいえ惜しげもなく対潜戦や船団護衛へ投入するというドイツ海軍の戦術思想は、日本海軍からすれば異様だった。

 そもそも、対潜戦闘や船団護衛の専門部隊自体、日本海軍には存在しない。

 

 因みに、史実の日本海軍に南方資源地帯と本土を行き来する船団の護衛隊が設立されるのは、1942年からである。

 

 「我が国は鉄鉱石をノルウェーからの海上輸送に依存しておりますが、そのシーレーンを守るためには、小型空母を中心とした任務部隊が必要不可欠だと、総統閣下及びレーダー元帥は申しております」

 

 その説明に、小林は聞き入っていた。

 

 言うまでもなく日本は島国だ。戦略物資は国外からの輸入に頼っており、それがなくなれば世界に誇る連合艦隊も、航空機も、陸軍の戦車も全てが動かなくなる。

 

 初戦で南方の資源地帯を確保しても、仮想敵国に設定しているアメリカが、嘗てのドイツのように潜水艦を大量建造し、通商破壊を行わないとは限らない。

 国力でドイツを圧倒する分、投入される潜水艦戦力も桁違いであろう。

 

 そして日本海軍だが、水上戦以外にはほぼ無関心と言っていい。

 例えば、現在の日本海軍駆逐艦の仕事を10とすると、その内7、8を水雷戦が占め、対空・対潜・その他が1乃至2といったところだ。

 

 それに、航空攻撃もやっかいだ。

 砲術を専攻してきた小林にとって、航空攻撃程度で戦艦のような大型艦を沈められるとは思っていないが、それ以下の中小型艦や非装甲・鈍足の輸送船には大きな脅威である。

 

 敵艦隊との水上戦闘に向け研鑽を積んできた精鋭たちは、水面下や頭上からの敵にいいように弄ばれ、輸送船も主力艦もなすすべなく撃沈させられる。

 そんな光景が脳裏をよぎり、小林は苦い顔をした。

 

 (山本長官に掛け合うか…。船団護衛、対潜哨戒専門の艦隊・航空隊の設立、対空・対潜戦闘訓練の強化、新式機材の開発乃至輸入を検討すべきと)

 

 軍令部で勤務していた経験もあり、小林は山本五十六や永野修身といった重鎮にも顔が利く。

 特に山本は、航空機が戦場を変え得る存在になると確信している、先見性を持った人物だ。

 

 「戦艦だ!」

 

 見張り員の興奮した声が聞こえてきた。

 

 「おぉ、()()()()()()だな」

 

 ドッグの一角へ入渠中の巨艦に、思考に耽っていた小林の目が留まった。

 連装式の巨大な主砲を4基装備し、重厚な艦体を持つ海の王様。嘗ての大戦の後半から建造され、艦体は経年劣化が進んでいると思われるが、その威容は停泊しているどの艦よりも凄まじい。

 

 バイエルン級戦艦。

 史実では4隻が計画されたものの、結局2隻の就役に留まり、ドイツ敗戦後は自沈や標的艦としてその艦生に終わりを迎えた戦艦だ。

 

 こちらの世界でも同様に2隻の就役で終わったものの、自沈やイギリスへの引き渡しはされなかった。

 イギリスは既に同等の火力を誇るクイーン・エリザベス級戦艦、リヴェンジ級戦艦をそれぞれ5隻保有しており、この数の暴力にはたかが2隻程度残しても何ほどの脅威にならないと判断されたことが主な理由…とのこと。

 

 現代ミリオタ大学生が憑依したリリアは、『いや、牙は全部抜いときなさいよ』と英仏に対して思ったのは言うまでもないが、確かに新鋭戦艦2隻というのも、戦いを構成する1つの要素でしかないのは確かだ。

 

 ただし、バイエルン級以前の艦――ヘルゴラント級やカイザー級、ケーニヒ級などの弩級戦艦は保有が許されず、自沈乃至賠償艦として全て引き渡されることとなった。

 

 そんなこんなで生き残っているこの老いぼれ艦2隻も、今のドイツ海軍にとって貴重な水上戦力であることに変わりはなく、すぐさまドッグ入りして近代化改修の真っ最中だ。

 ドイッチュラント級と同様、かなり大規模な改装が予定されており、上手くすれば38年春には出渠するはずである。

 

 「バイエルン級を含め、我が海軍の主力艦は軒並み改装中です。暫くは先ほどのT級とUボートで戦線を支えなければなりません」

 

 「…まぁ、戦争の火種は今のところ起こってはいまい。そう悲観することもあるまいよ、中佐」

 

 起こってはいない…とは必ずしも言い切れないのだが、それでもブリンクマンを励ましたかった小林は、その言葉を投げたのだった。

 

 

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 メルセデス・ベンツ770で乗りつけ――ヴィリエルの運転で――、キールへと足を降ろした私ことリリアは、港内に浮かぶ艨艟たちに歓喜の叫びを上げそうになるのを必死で堪えていた。

 

 (全部本物だ…!妙高型も吹雪型も、全部…!!)

 

 目の前には、旧日本海軍の艦艇たち。それも、全部本物だ。

 この世に存在する全ミリオタから、羨望の目で見られること間違いなしの経験である。

 

 「素晴らしいわね…」

 

 「はい!我が海軍も、これほどの重巡を揃えておきたいものです!」

 

 私と同じ車両に乗っていたレーダーが、感激しながら私の独り言に応えた。デーニッツも同乗していたのだが、そんな彼も表情を綻ばせている。

 潜水艦戦力を重視しているデーニッツだが、やはり威容ある水上艦には惹かれるものがあるのだろう。

 

 しかし『龍驤』か…。トップヘビーの身で、よくここまで来れたな…。

 空母運用のノウハウを学びたいため、空母を派遣してほしい…というドイツ側の要望によるものだが、流石に『赤城』や『加賀』は無理だったか。

 時期的に考えて、搭載機は複葉の九五式艦上戦闘機だろう。また、陸上機を運搬してきたのであれば九試単座戦闘機を搭載している可能性がある。

 同機は後に手直しされ、九六式艦上戦闘機として正式採用される機体だ。試作とはいえ、次世代の主力戦闘機がドイツ製戦闘機相手にどこまで通ずるかを見極める…という考えもあるかもしれない。

 因みに、空軍の戦闘機との模擬空戦の予定も入っている。

 

 「フリッチュ。陸軍のお披露目の準備はできてるわね?」 

 

 「勿論です。我がドイツ国防陸軍の精強さを、日本視察団の皆様へ見せて差し上げますよ」

 

 私が最も期待しているのは陸軍の方だ。

 というのも、憑依前後の私が兵器開発に色々と梃入れを行い、更に史実以上の国力やイタリア他各国との協力が相まって、様々な新兵器が開発・導入されている。

 

 現時点で開発されていないものも、その基礎技術の研究が進んでいる最中だ。具体的には車両のサスペンション技術、長砲身・大口径の戦車砲の開発、歩兵携行対戦車火器などなど。

 フランス戦が生起する頃には、それら新兵器が各部隊へ行き渡り、史実以上の短時間でパリまで到達できるだろうと思われる。

 

 日本陸軍は決して弱くはない。特に歩兵の士気に関しては世界随一だろう。

 しかし、それを支える装備面では、連合国やドイツに少々劣っていると言わざるを得ない。国力の問題もあるだろうが。

 今はそれほど問題ないにしても、この問題は後々必ず響いてくる。

 

 ここで、ドイツ製の高性能な陸戦兵器を見せつけ、何としても売りつけてやろうと考えたのだ。

 弱い同盟国は要らないが、弱ければ強くなってもらうまで。日本は強くなるし、ドイツはがっぽり稼げる。

 

 それに、精神論に凝り固まっているであろう日本陸軍の皆様が、そんなものが通用しそうにない兵器を前に腰を抜かしている様を見てみたい…というのも、理由の内に入っていたのだが。

 

 





Q.何でいきなりバイエルン級を登場させた?さっさと答えやがれください
A.Warthunderの海戦やってたら近代化改装した旧式戦艦の戦闘シーンを書きたくなったから(`・ω・´)キリッ!

スペイン内戦は独新兵器が乱舞する魔境と化しそう。
あ、でも流石にいきなり長砲身Ⅳ号レベルとかは出さないつもりです。

次回はドイツの主要都市や工業地帯の発展を見て愕然とする日本の皆様か、ドイツ製陸戦兵器&航空機に驚愕する陸海軍の皆様、どっちが良いか…。

フランスにどうやって攻め込む?

  • 史実ルート:アルデンヌの森を通る
  • マジノ線ルート:マジノ線を正面突破
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