「よっと」
スリングリングを使用して、洗濯かごの中にある洗濯物を洗濯機へと入れていく。洗剤と柔軟剤を入れて、ボタンを押し、洗濯をスタートする。
洗濯が完了するまでに、朝ごはんを食べておく。洗濯ものを物干し竿にかけていき、これで、朝の家事は完了。暇になった。
私の名は、御医者ストレンジ。なぜ名字が御医者なのか?産まれたときからこうなのだからわからない。そして、なぜか知らないが、名前はカタカナでストレンジ。私の使う魔術が、多元宇宙にいるある存在と同じものであるため、こうなっているのであろう。
私は、とても古びた金庫を開け始める。そこには、アガモットの目が台座の上に置かれており、私はそれを手に取り首にかけ、保護呪文を施す。アガモットの目全体に、オレンジに輝くエルドリッチライトが展開され、保護呪文をかけるのに成功した。
ドサッ!
保護呪文をかけ終わったと同時に、隣の部屋から物音がした。ベランダに出て見てみると、白い修道服を着た銀髪の少女が私の友人、上条当麻のベランダの手すりに干されているのだ。
「必要悪の教会・・・」
覚えのある名前。私はタッティングのような手振りで解析魔術を展開し、少女を調べ始める。
「名前は、インデックス、身につけているものは歩く教会か。これまためんどくさい存在が来たものだ。ん?なんだこの術式は?」
喉の奥に妙な反応を発見し、解析魔術を喉奥に集中させていく。
「こいつは、解除するのに骨が折れるな、当麻の幻想殺しに任せておいたほうが良さそうだ。・・・。脳に膨大な量の記憶があるな。閲覧すると精神汚染のようなものをくらうようだ。マインド・ストーンの力を使えば、普通に閲覧可能だろう」
と言って、アガモットの目を開き、マインド・ストーンの力を利用した魔術、精神のセプターを使用。黄色い杖状エルドリッチライトが現れると、私の精神と魂を汚染から守るフィルターを形成する。さらに、インデックスの記憶への干渉術を展開し、彼女の脳内にある莫大な量のなにかの記憶へアクセスする。
「こいつは、原典の魔道書か。ということは、彼女は名前の通り、禁書目録というわけか。なぜそんな人物が学園都市に来てるんだ?魔法の魔の字もない場所だぞ?まっ、魔術師の俺が言っちゃ説得力ないがね。まぁいい、当麻呼ぶか」
私は外に出て、上条宅のインターフォンを鳴らす。
「はーい、どちら様?」
「おはよう当麻。ベランダ行ってみろ、面白いことになってんぞ」
「はぁ?なんだよそれ?」
「いいから見てみろ」
当麻は私の言われたとおり、ベランダに行き、その光景に驚愕した。
「な、面白いだろ?」
「何が面白いことになってるだこの野郎!!この子誰だよ!?」
「さぁな、お前のベランダから物音がして、見に行ってみたらあーなってた」
「なんだよそれ・・・」
困惑した表情で引っ掛かっているインデックスを見る当麻。
「お前関連か?」
「いいや」
「だよな。魔術師って道着みたいなの着てるし」
「そのとおり」
「ってことは学園都市の方?」
「さぁな、なんでこんなところに居るのやら」
すると、少女が目を覚ました。
ぐぅううう〜。
そして大きく腹を鳴らした。
「そこの二人、お腹一杯ご飯を食べさせてくれると嬉しいな」
「そうか、だったらそこから降ろしてやるから、コンビニでも行って弁当でも何でも買って食べな」
「私はお金なんか持っていないんだよ」
「よくもまぁ堂々と言えるわ」
と言いつつ、彼女をベランダに入れる。
「なんなんだこいつ?」
「わからん。ただ、魔法関連なのは確かだ」
「確か、魔法と魔術って色々と違うんだっけ?」
「まぁな」
と、二人で話し合っていると、彼女が一点をじっと見つめ始めた。
「おいおい、この腐った焼きそばパンを食べようってのか?よし、たぁーんと喰え!貪り喰え!!」
「いやちょっと待て、いくらなんでもそれは酷すぎる。ちょっとよこせ」
上条から腐った焼きそばパンを受け取り、テーブルに乗せる。
「こんなことでこれを使いたくはないんだがな」
アガモットの目を開き、タイムストーンの力を行使し、焼きそばパンを腐る前に戻した。
「できたぞ、食べろ」
インデックスに焼きそばパンを与えると、一口で食べてしまった。どんな口をしているのやら。
その後、煎餅やらお菓子やらを与え、様子を見た。
すると、インデックスがこちらに話しかけてきた。
「まずは自己紹介をしなくちゃいけないね。私の名前はね、インデックスって言うんだよ。見ての通り教会の者です」
「
「一応本当だ、俺が調べたからな」
「あ、バチカンの方じゃなくてイギリス清教の方だね」
「どっちでもいいし!!」
アレイスターが呼んだ訳じゃなさそうだな。どうやって入り込んだ?
「んで、なんだってお前がベランダに干してあったんだ?」
「干してあったんじゃなくて落ちたんだよ?追い詰められて隣のビルの屋上に飛び映ろうとした時背中を撃たれてね」
追われていた、彼女の命を狙う何者かに。撃たれたと言っていた背中にはそれらしき痕跡はなし。まぁ、歩く教会に守られていたんだろう。
青ざめた顔でこちらを見てくる上条。
「仕方ない」
私はエルドリッチライトを展開し、寮全体に結界を張った。
「これで良いか?」
「ありがとよ」
「あなたって魔術師なの?」
「まぁな、まっ、君が知っている魔術師の部類には入らないと思うがね。そもそも彼らが使うものは魔法であって魔術ではない」
「ふーん、でも、あたしが持っている10万3000冊の魔導書のことは知ってるんでしょ?」
「いいや、さっき見るまで知らなかったな。我々の魔術の世界にも、書物があるが、あんな誰にも見せたくない。この知識は自分のものだ!っという欲望が駄々漏れの書物は見たことがない」
「見るまで!?あなた、魔導書を見たの!?」
「ああ」
「汚染は?」
「防ぐ方法ならあるからな。お前の身元を調べるために見たが手がかりはなかったし、意味はなかったな」
「使おうとは思わなかったの?魔導書の力を」
「もっとすごいもの持ってるし」
「ああ、インフィニティストーンだっけ?確か宇宙ができたビッグバンの時の残骸だっけ?それを持ってるんだったよな」
「その通り、だから、私からしたら魔導書なんてものはそこらにある本と同じような部類なのさ」
「世の中にはいろいろな価値観の人がいるって言うけど、あなたは特別変な価値観を持っているんだね」
「インフィニティストーンの力を見ればそれの意味がわかるさ。さっき焼きそばパンを腐る前に戻したのも、タイムストーンの力だしな」
そう言うと、アガモットの目を不思議そうな目で見つめ始めるインデックス。
「とにかく話を戻そう。それで、魔導書がなんだって?」
「そうそう、魔導書、それが連中の狙いだと思う」
「連中?」
「
「魔術ねー、そりゃストレンジの魔術を見てるから信じるけど、それはやっぱりストレンジのだから信じられるわけだし、それにこの学園都市の超能力とかを見てる。だから、そういった超常現象は珍しくもない。だからこそ、
「頭ごなしに否定はしないんだね。でも、魔術はあるもん」
「魔法な。私が使っているのが魔術で君が言っているのは魔法だ」
「じゃあ、その君の力と私が知っている魔術はどんな違いがあるんだよ」
「その話をすると長くなるんだが、まぁいいだろう。
「なんなんだよそれ?」
「簡単に言えば、別の世界、別の宇宙だ。位相とかじゃないぞ、まったくの別世界だ」
「そんなもの本当にあるの?」
「見たいか?」
「見れるの!?」
「あんまりはおすすめはしないぞう。そんなに楽しいものじゃない。被害者の俺が言う」
「それじゃいくぞ?」
私はインデックスのおでこに触れ、魔術を行使した。
「きゃぁああああぁあぁああ!!!!」
絶叫とともに、インデックスの魂がこの世界から消える。
「世界の成り立ちは知っているかな?」
そして、私は解説を始める。インデックスに、さまざまな世界を見せる。クリスタルが宙に浮かぶ幻想的な世界や、手が増殖するなんとも気持ちの悪い世界。そして、ドルマムゥのダークディメンション。
「物質的な宇宙が全てではない。現実とは。感覚を越えた先に、何が待っていると思う?存在の根底で意識と物質が出会う。思考が現実を作り出すんだ。多元宇宙には、無限の宇宙が存在する。終わりのない世界。善意が溢れ、命を育む世界。悪意と欲望に満ちた世界もある。暗黒の世界、時間を遥かに超越した未知の力が、私たちを貪欲に待ち受ける。お前が存在する意味はなんだろうな?インデックス」
「きゃぁぁぁああああ!!おふっ!」
「ああ!!俺の机が!!」
「今元に戻してやるから騒ぐな」
「い、今のはなんだったんだよ!?」
「今のがマルチバースだ。無限にあるマルチバースから、エネルギーを取り出し、我々は魔術を行使する。どうだ?君の知っている魔術とは全然違っただろ?」
「全然もなにも根底から違うんだよ!!」
「だろうな、だから君が知っているものは魔法だと言っているんだ」
「この知識を知られたらますます危険なんだよ!」
あわてふためくインデックス。余計なことを教えてしまったか?まぁ、なんとかなるだろう。
「そ、それじゃあ、あなたも彼みたいなすごい力を持っているの?」
「いや、そんなすごいものじゃ」
「ああ持っているぞ。
「いったいどんな力なんだよ?」
「現実を歪める力。超能力や魔法、魔術などの異能の力を触れるだけで無へと帰す。まぁ、それ以外の使い道はないものだがな」
「その通り、弱っちい右手だよ」
「ふーん、そんなあり得ない力。彼ならわかるけどあなたがほんとに持ってるの?」
煽るような顔をするインデックス。俺の力は信じたみたいだが、上条の力は信じていないようだ?まぁ、そんなものがあるわけがないとでも思ってるんだろう。実際、幻想殺しは、あり得ない力、の部類だからな。
「ほぉ?やってやろうじゃねぇか!」
その顔にイラついたのか、右拳を歩く教会へとつきだした。
「ふふん、幻想殺しがいくら魔術に強くても、この歩く教会は壊せないんだよ!!この修道服は、教会としての必要最低限の要素を詰め込んだ服の形をした教会!!布地はトリノの聖骸布を正確にコピーし、織り方縫い方刺繍の飾り方まで全てが計算されたもの!強度は法王級なんだよ!」
バラッ!
上条の右手が触れると、歩く教会はバラバラになっていってしまった。
俺は危険を感じ、ラガドールのルビーリングを展開する。
すると、インデックスは、裸を見られた怒りから上条に噛みつき始めた。そして、私にも噛みついてこようとするが、盾に阻まれ噛みつくことができず、諦めた。
「かかっていた魔法までは戻せないが、直してやるぞ」
「本当!?」
「貸してみろ」
壊れた歩く教会を受け取り、魔術で直してやり、そのままインデックスへ着せた。
「ありがとうなんだよ!」
「どういたしまして」
「あの、私も魔術って使える?」
「もちろん使えるぞ。魔術を行使する人物に制限はない。魔力でもなくても誰でも使える」
「それじゃあ、もし、ここに戻ることができたら、教えてくれるかな?」
「いいだろう。だが、私の指導は厳しいぞ?」
「わぁ!ありがとうなんだよ!!」
ほんの少し、和やかな空気が漂うが、上条がそれをぶち壊した。
「うわっ!そうだ補修!!行ってくるわ!!鍵はかけても大丈夫だよな?」
「ああ、リングで出る」
「あだっ!」
バキッ!
いつもの上条の不幸が炸裂し、上条の携帯が破壊される。
「ぅううう、不幸だぁ・・・」
「クスッ、不幸というより、ドジなだけかも?」
と、言いつつ、インデックスは出ていってしまう。先程の「ここに戻ってきたら」の発言通り、ここから離れるらしい。
「おい、どこ行くんだよ?」
「出てく、ここにいると、いつ敵が来るかわからないし、ご飯ありがとうね?」
「一応結界を張ってあるぞ。わたしが守ることもできる」
「そうだよ!!お前行くアテあるのかよ?事情はよくわかんねぇけど、魔術師、いや、魔法師か?そいつらが彷徨いているならうちに隠れてストレンジに守ってもらえば」
「ダメだよ?〝不幸〟になるよ?さっきはドジなだけと言ったけど、幻想殺しが本当にあるなら、神様のご加護とか運命の赤い糸とかそういったものを全て消してしまっているのかもよ?」
「どういうこと?」
「簡単に言えば、幸運の力をどんどん消しちゃっているって訳だな」
私がそう言うと、上条は項垂れ、ショックを受けた。
「マジっすか・・・」
上条が立ち上がろうとすると、手に、違和感を感じ、見ると、ガムが引っ付いていた。
「ね?立ってるだけでそれなんだもん、私にかかわったらなおさら」
「いや、それとこれとは関係ない!危ない目に遭うって知ってて外に放り出せるわけないだろ!!」
「よく言った上条」
上条の言葉に驚くインデックス。すると、彼女は振り返りながら言った。
「それじゃあ二人とも、私と一緒に地獄のそこまでついてきてくれる?」
「いー」
ウィイイイン!
「ひゃいっ!」
私が返事を帰そうとすると、掃除ロボが現れ、インデックスが驚く。なんと間が悪い。
「なんかへんなの出てきてる!!」
「ただの掃除ロボだろ?」
「日本は技術大国って言うけど、
すると、隙をついて、インデックスが走り出してしまう。
「待てよ!この先一人でどうしようってんだ!!」
「だいじょーぶ!!教会まで逃げれば匿ってもらえるから!!」
階段を駆け降り、インデックスは消えていった。
「行っちまったな。お前、補修間に合うのか?」
「あ!!やべぇ!!」
「仕方ない」
俺はスリングリングを学校の校門前に展開してやった。
「ありがとよ!!なぁ、アイツ見つけたら助けてやってくれないか?」
「わかってるさ」
転けかけながら、上条はあわてて教室へ走っていく。
私は言うと。
となりのビルからこちらを見ている男女を睨み付けた。