私は、隣のビルからこちらを見ていた男女を睨み付け、部屋に戻り、アガモットの目を開くと、リアリティストーンの力で透明になって、部屋を出て男女の背後に降り立った。
「それで、君たちは一体何の用だね?」
「なっ!?いつの間に!?」
「どうやって!?」
男女はとても奇抜な格好をしていた。
男の方は、赤い髪に、いかにも魔法師といった黒い服。そして、目元にはバーコードという格好。
女の方は、長い髪をポニーテールに括り、Tシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズ、腰のウエスタンベルトには2mの令刀という格好だ。
「彼女を追っていたのは君達だな?言っておくが、私の目が黒いうちは、彼女には指の一本も触れさせやしないぞ?」
「だが、我々もあれの中にある知識はとても重要でね、回収させてもらうよ」
「ほう、では、ここで倒しておくか」
私は、ラガドールのルビーリングとエルドリッチウィップを展開し、身構える。
男と女もルーン文字が描かれたカードや、ウエスタンベルトに納めてある刀に手を掛ける。
しばらく睨み合いが続いたが、魔法師たちが先に仕掛けてきた。魔法師はルーンカードから発生させた炎の柱で、女は抜刀術による攻撃。
(いや、女の攻撃は超高速で飛んできているワイヤーか)
魔法師には、浮遊マントを飛ばし、頭に絡まりついてもらい、私は女の相手をする。一番こちらが厄介そうだしな。
私は、ホゴスの加護を付与したセラフィムの盾で、迫り来るワイヤーを防ぎエメラルド色の綺麗な蝶へと変換する。
「っ!?」
その光景を見て、女は驚くと、すぐに戦闘スタイルを変え、接近戦に持ち込んできた。私が魔術師だから接近戦は苦手だと思ったのだろう。あさはかな考えだ。
私はヴィシャンティの聖なる剣を作り出し、令刀の攻撃を防ぐ。だが、思いの外女の力が強い、というより圧倒される。
「ぐっ!お前、聖人か」
だったら、こちらにも考えがある。ヴィシャンティの聖なる剣が紫色に光り始める。私の胸元ではアガモットの目が開き、パワーストーンが目映い光を放っている。
「ぐぁああああ…」
令刀を通じて、彼女の体にパワーストーンのエネルギーが伝達され、彼女を蝕んでいる。相当な激痛だろう。
「少し大人しくしておけ」
私は令刀を払うと彼女の腹に掌を叩きつけた。すると、彼女の体からアストラル体が飛び出し、女はその光景に驚き、倒れかけている自分の体と半透明な自分の体を交互に見ている。
「いったい何が起きて・・・」
「お前のアストラル体、いわゆる魂をお前の体から叩き出した」
「そんなことが、一体あなたはどんな魔術を」
「簡単だ、君たちが使っているのが魔法で、私の使っているのが魔術というだけだ。さて」
「モゴッ!モゴモゴッ!?モゴッ!」
女の体を優しく地面に寝かせ、浮遊マントを引き剥がそうともがく魔法師のほうに歩いていき、ヴィシャンティの聖なる剣の応用、ヴィシャンティの聖なる斧を作り出し、魔法師の首に刃を突きつける。
「ブハッ!ッ!?」
「降参するか?」
「ッ!ああ、降参だ」
両手を上げ、降参のポーズをする。斧を消し、サイトラックのクリムゾンバンドで男の両手を拘束。女も、アストラル体を体に戻した後同じくクリムゾンバンドで両手を拘束。令刀を取り上げる。
「それで、君たちの目的はなんだ?答えによれば、殺すことも視野に入れておく」
「待て待て、僕達はインデックスを助けようとしているんだ」
「助ける?なんのことだ?」
「インデックスには、完全記憶能力があります」
「ああ、私と同じような能力だな。それに何があるんだ?」
「彼女は、魔導書を記憶していることは知っているな?」
「ああ、さっき聞いた」
「その記憶に、脳の85%をその魔導書の記憶に使っている。残りの15%で今の生活をしているんだ。その15%は一年立つと使いきってしまう、そのため、一年おきに記憶を消さなければならないのだ」
「ふっ、騙されているなお前ら?」
「なんですって?」
私は魔術で人の頭の絵を出しながら説明を始める。
「いいか、そんな理論だったら完全記憶能力を持つ人間は皆五六歳で死んでしまう計算になるぞ?そんなことがあり得るわけないだろう。元々脳は、140年分の記憶が可能になっている。さらに、記憶する場所も違う。簡単に言えば入れ物が違うんだ。意味記憶エピソード記憶その他もろもろ。たとえ、何十万冊本の中身を覚えたとて、その本の内容を記憶する入れ物が作られるだけで、思い出を削らなければならないなんてことは絶対にないんだ」
「「ッ!?」」
「それは本当ですか?」
「当たり前だ。まったくこれだからこの世界の魔法師は!少し科学を勉強しろ!このど阿呆!」
「す、すまん」
「インデックスの状況を鑑みるに、魔導書の記憶を好き勝手に使いたい教会が変な魔術でも仕込んだんだろうよ。そもそも、使うだけで世界をねじ曲げられる魔導書を野放しにするわけがないだろう?というか、お前ら見てたんだろ?あいつのことを調べてるの」
「ええ、もちろんです。怪しかったので切りかかろうとしましたが、すぐに興味を失せたような行動を開始したので」
「その時、首のところに変なルーン文字が刻まれてたぞ」
「何!?それは本当か!?」
「ああ、多分だが、あれのせいで記憶を消すしかないんだろう。まぁ、今その魔法を解除しようとしても逃げられるだろう。辛いだろうがまだ演技を続けておけ、ついでに言うと、あの青年、上条当麻を襲っておいて、その際にお前らのインデックスとの思い出を話してやればやる気になるだろう。あの魔術を消すのにはやつの右手が必須になるからな」
「わかりました・・・。ありがとうございました。あなたが教えてくれなかったら、私たちはあの子の思い出をまた消してしまうところでした」
「ああ、感謝するぞ魔術師」
「ああ、じゃあな魔法使い」
俺はスリングリングを使い、街へ繰り出そうとすると、女に止められた。
「あの!お待ちください!!」
「なんだ?まだ何か用でもあるのか?」
「ええ、名前を、教えていただけませんか?」
「御医者・スティーブン・ストレンジだ。父の家系がアメリカ人でね。婿に来てこんな名前だ」
「できれば、魔術名も」
「私の魔術名は知らない。そもそも、君たちの使う魔法、いや君たちの認識では魔術か。それと、私の使う魔術は根底からまったくの別物でね」
「そうなのですか?私たちの認識では魔術・・・どういう意味かわかりませんが、あなたの魔術について少し興味があります。改めてあなたに話を聞きに行きたいと思います。私の名は、神裂火織です。魔法名は、
「よろしく」
「僕も君の魔術の話を聞いてみたいね。僕の名はステイル・マグヌス。魔法名は
「そうか、一つだけ教えておこう。魔法名ではないが、私はこう呼ばれている。
リングを通って街を歩き出すと、次はめんどくさいやつに絡まれた。
「ちょっとあんた!!見つけたわよ!!」
「はぁ、今度は君か」