テストで良い点を取る為。
スポーツで良い成績を残す為。
他人を蹴落す為。
他人を貶める為。
他人を喜ばせる為。
他人を笑わせる為。
例を挙げれば、それこそ切りが無い程に頑張ることと言うのは出て来るだろう。
プラスかマイナスかなんてことはどうでも良い。
とにかく頑張ると言う行為その物に意味があるのだ……なんて知った様なことを言っているが、まあ、何も知らん。
そう思うだけだ。
時刻は午後6時。
今日は知り合いの所属しているアイドルグループのライブがあり、その招待券を貰っているオレは、その会場に向かった。
顔見知りの人が何人かいたから、控え室の通して貰えて、向かった先で見たのは立ち竦んでいる知り合いのアイドルだった。
他には誰も居らず、あったのは無残に切り裂かれた衣装と、肩を震わせている知り合いだけ。
とりあえず声を掛け、振り向いた知り合いはやっぱり泣いていた。
努力を否定、もしくは水泡に帰されたら、落ち込んだりするのは多分当たり前で、知り合いもその当たり前になっていた訳だ。
泣き止むまで側に居り、替えの衣装が届いた所で残り3人がいる所に向かった。
そんで今の時間になる。
目の前には、舞台袖で控える3人の女。
「え~……とりあえずだ。アイツに嫌がらせするなら、あんな低レベルなことせずに、正面から行け。それが出来ない様なら、アンタ等に人を貶める為に頑張る資格は無い。ついでに……ついでに…………思い浮かばんな。まぁ、良いや。無駄な努力お疲れ様。これからも精々無駄に頑張ると良い。どうせ頑張っても今のアンタ等には何も返ってこないから」
んじゃ。
と言いその場を去って客席へ。
ライブは滞りなく成功。
4人は表面上だけ無駄に仲良く過ごしていた。
まあ、アレだ。
どの様な形の頑張るであれ、だ。
「頑張るのは良いことだ。うん」
これからも、オレは頑張らないことを頑張って行こう。
舞台を見ると、知り合いが手を振っていた…………だから、何となく振り返しておいた。