呪術奇譚 柊姫   作:秋野萌葱

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短いけど次につながる話。


小咄1〜2

小咄1 名字の呼びづらさ名前呼びの攻防。

 

「そういえば、おまえ五条サンって呼び方めんどくさくねぇか。」

 

「いいえ?そこまでは。」

 

「め・ん・ど・く・さ・く・な・い・か?」

 

「はい。メンドクサイデス。。」

 

「じゃ、今度から悟って呼べよ。」

 

「はい。五条さん。」

 

「悟。」

 

「悟さん。」

 

「サ・ト・ル。」

 

「・・・悟。」

 

「よし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小咄2 婚約者?いえいえビジネスパートナーです。

 

「悟これをどうぞ。」

 

ポケットから何かを取り出した銀珠はずいっと差し出してくる。

開いた手のひらに小さな石が嵌め込まれた小ぶりのイヤリングが三つ自分より小さい手からこぼれ落ちた。

 

「これなに?」

 

「転送用イヤリングです。呪力登録をすることで、イヤリングの石を指で弾いたら私の屋敷まで転移でき、もう一度弾くと転送前の場所に戻ります。戦闘中などは使用に気おつけてください。緊急脱出に使えはしますが、戻るとしたら、戦場はどうなっているかはわかりません。不意打ちにあって死ぬ危険性もあるのでくれぐれも、使用には気おつけてください。」

 

「・・まぁ、受け取っとくわ。」

 

「一応、予備として二つ渡しておきます。呪力の上書きもできますし、信用なさっている友人方に渡してください。」

 

「へぇ。そこまで俺のこと信用してんの?おまえ?」

 

「信用してますよ。一応。でも信頼はしていません。」

 

酷薄な笑みを浮かべて銀珠は一口パフェを頬張る。

 

「婚約者だから?」

 

「まさか。大事なビジネスパートナーですよ。」

 

「つまんねーの」

 

不貞腐れながら、俺の手のひらに転がったイヤリングを握る。

チャリッと繊細な呪力で編まれたのであろう金属の擦れ合う音が鳴った。

渡されたイヤリングの一つを手に取り、少しずつ呪力を流して観察してみる。

 

紫紺に輝く黒曜石は落ち着いた色合いを持ち悪目立ちせず、作り手の呪具師がどのような場所でも使えるよう想定して作られた道具というのが分かる。

10面体にカットが施された黒曜石の内側には並の呪具師が専用の作成道具で作ったとしても再現できるかどうか怪しい程の複雑な紋様で術式が織り込まれており、作り手のレベルの高さが窺える。

金具の部分には更に細かく別の術式が刻まれていた。

等級を考えれば間違い無く特級。

 

(欲しいな。こんな呪具を作る呪具師。)

 

思わずこの小物一つで億単位の呪術的価値を生み出す銀珠が抱える呪具師を欲しがった自分に驚く。

確かに、ろくな所じゃない実家に比べれば建設的な思考を持つ傑や硝子、銀珠達と共にいる方が何倍も良い。

 

良い見合いが出来たと、いつもはいけすかない親父に少しだけ感謝をした。

 

 




次回ゴリラのお迎え。
ちょっと上がったゴジョーの機嫌は急降下。

愛は呪いよりも強いと思いますか?

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