・僕一人では手に負えない。梅原に相談してみよう。
*
「ふぅ、ようやく昼休みだ…」
今朝の事が気になって、授業がなかなか手につかなかった。
―――考えてるだけじゃ、どうにもならないよな。
どうしようかなぁ。
「大将!メシ行こうぜメシ!」
そんな事を考えていると、梅原がこっちに来た。
丁度いい、気分転換にはなるかもしれない。
梅原に相談してみよう。
「あ、梅原。うん、行こう。」
もしかしたら、何か参考になる意見が出るかもしれないし。
*
「どうかしたか?大将?」
「あぁ…分かるか?」
「おう、なんか考え事してるな?お宝本の隠し場所か?」
「あぁ、それならこの前…って違う!それじゃない!」
「あ、違うのか」
「違うよ!……美也のことだよ」
「な…何だと…!…大将、落ち着いて聞けよ?」
「何だよ」
「リアル妹は攻略できn」
「違うよ!」
~事情説明中~
「…というわけなんだ」
「へぇ…あの美也ちゃんがねぇ…」
「しかも、朝に事情を聞こうとしたら、見るからに焦って逃げたんだ」
「ほうほう」
「…怪しくないか?」
「はぁ…大将、それ以上美也ちゃんの問題に首突っ込むのは野暮ってもんだぜ…」
「な、なんだって!?」
「…俺は分かっちまったよ…美也ちゃんが何をしてるのかをな!」
そう言って顎に手を当て、得意気な顔をする梅原。
正直、見ててイライラする。
「ほ、本当か梅原!」
「あぁ…!まぁ、鈍い大将じゃ、分からなくても無理はないかもな。」
「し、失敬だな!僕は鈍くなんかないぞ!」
「どの口がそれを言うんだよ…まぁいい、聞きたいか?」
「当たり前だ!」
「そうだよなぁ…でもタダで教えるのもなぁ…」
「っ!…何が望みだ…!」
「明日…この前DVDで見たアレの新作が出るんだが…」
「…分かった。奢ればいいんだろ!」
足元を見やがって…!
「へへへ、分かってんじゃねぇか。まぁ安心しな、一緒に見ればいい」
「梅原…やっぱりお前はいいやつだよ…!」
「ハハハ、そうだろう?それはそうとだな…」
「うんうん!」
「実は昨日、…」
~10分後~
キーンコーンカーンコーン
「あ!」
「もうこんな時間か…ま、詳しくはまた後でな!」
「そうだな!あぁ…今から待ち遠しくて仕方がないよ」
「俺もだぜ大将…ま、早く教室に戻ろうぜ。遅れちまう」
「ははっ、そうだな!」
こうして、梅原とお宝本やらゲームやらの話をした。新作が楽しみだなぁ!
…あれ?何か忘れてる気が…
*
「あれ、あそこに居るのは中多さんじゃないか」
そうだ!美也と仲のいい中多さんなら、もしかしたら何か知ってるかもしれない!
「中多さーん!」
「あ…先輩!こんにちは」
そう言ってニッコリとこっちに笑顔を向ける中多さん。やっぱり素直でいい子だなぁ。美也とは大違いだよ。
「丁度よかった!ちょっと今大丈夫?話したいことがあるんだけど…」
「お話し…ですか?」
首をかしげる中多さん。いちいち仕草が可愛らしい。
「うん。美也のことだよ」
「そういうことでしたら、喜んで。」
うん、やっぱり中多さんはいい子だ!
「本当に?良かったよ…」
「美也ちゃんには、いっぱいお世話になってますから」
やはり笑顔を絶やさない中多さん。昔と比べると、本当に成長したなぁ、と思う。
「ははっ、兄としては、構ってもらえてて嬉しいよ」
「もう…そんなことありませんよ」
「まぁ、本題に入ろう」
~事情説明中~
「…というわけなんだ」
「…」
中多さんは何か考え込んでいるようだ。
「中多さん?」
「先輩」
「は、はい!」
「きっと、先輩が思ってるような、危ないことはしてないと思いますよ?」
中多さんは、本当に成長したと思う。
いつの間にか、こんなに自信に満ちた顔ができるようになっていて。
もう敵わないな、なんて気持ちになってしまった。
でも、それと今回のこととは話が違う。やっぱり不安は拭いきれない。
「そうなのかなぁ…」
「はい。」
そう言う中多さんの瞳は、優しくて、力強かった。
「断言しちゃうか…」
「ふふっ、美也ちゃんのことですし」
「…」
「きっと、本当に危なかったり、何かありそうな時は、美也ちゃん、必ず先輩に相談すると思うんです。」
「うーん、そんなものかなぁ…」
「ええ。美也ちゃん、先輩を凄く信頼してますから。」
「そ、そうなの?」
「それはもう。」
「…中多さんが言うのなら、そうなのかも。」
「はい。自信を持ってください。先輩は頼れる人ですし、頼りにされてますよ。」
「…やっぱり、放っておいた方がいいのかな?」
「…きっと、どちらでもいいんだと思います。」
「へ?」
「放っておいたらおいたで、美也ちゃんは自分でも解決できると思います。でも、きっと、話を聞こうとすれば、ちゃんと話してくれますよ」
「でも…今朝は逃げられたし…」
「それは…タイミングが悪かったとか?」
タイミング?あぁ…そういえば…
「結構、強めに言っちゃったからなぁ」
「なら、帰ってからもう一回改めて聞けば、きっと答えてくれます」
「そっか…うん、ありがとう、中多さん。中多さんに相談して良かったよ。」
「役立てたなら、何よりです。」
「うん!この埋め合わせは、必ずするから!」
「そうですか?それだったら…」
「何でも言ってね!」
「今度、駅前に新しくできた喫茶店につれていって下さい」
もちろん、2人で。
そう言った中多さんの顔は、真っ赤で、とても愛らしかった。
それを受けた僕の顔も、きっと真っ赤だったんだろうな。
こうして、中多さんに美也のことを相談…というか、励まされた。
本当に、敵わないなぁ。
なんというか…自分の中の「アマガミ」という作品像を強く出し過ぎている気が。
自己満で書いてるんだし、それでもいいだろう、と思う自分と、人に見せている以上、もっと原作を
尊重すべきだ、と思う自分がいます。