アマガミ ~美也の様子がおかしい~   作:旗本

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行き当たりばったりの極み。




第4話 ~ハッピー?ハロウィン!~

 

 

「ついに今年もこの日がやってきたか…」

 

ハロウィンである。トリックオアトリートである。

子供たちは家々を回り、お菓子をねだる日である。もっとも、このご時世に実際に日本でそんなことをしている子供を、僕は見たことが無い。

 

「さすがに高2にもなって――

 

「にぃにー!トリックオアトリートなのだ!」

 

―――――少なくとも、何故か魔女っ子コスチュームを着けて僕に迫ってくる妹以外は見たことが無かった。

 

「で、なんだその服装は?」

 

「すごいでしょ!さえちゃんがつくったんだよ!」

 

「なんでお前が威張ってるんだ!いや、確かにすごいけれども!」

「細かいことはいいの!それより、はい!」

そう言って、笑顔でこちらに右手を差し出す美也。

 

「…なんだよ」

 

「トリックオアトリート」

 

「…去年、もうこれっきりだって言ったよな?」

 

「トリックオアトリート」

美也は笑顔を崩さない。どうにかして話題を逸らさねば…!

 

「そ、そういえば、その衣装って、タダで作ってもらったのか?」

 

「トリックオアトリート」

 

どうやら無限ループに突入してしまったようだ。こうなった以上もうどうしようもない。

でも美也、材料費とかは、ちゃんと払ってるんだよな?

…今度中多さんに聞いておこう。

 

「…あぁもう、わかったよ…降参だ」

 

「さっすがにぃにだね!妹として鼻が高いよ!」

とりあえず一発げんこつをかましそうになったが、鋼の精神力でなんとか持ちこたえる。

この妹は、僕相手だと本当に遠慮をしない。ステーキを奢らされたことまであるんだからかなりひどい方だと思う。…いや、そうなるような弱みを作ってしまう僕も悪いんだけど。

 

「でも家に僕専用のお菓子が置いてある訳じゃないしなぁ……そうだ!」

 

「なになに?ステーキでも」

 

「そう何度も奢ってたまるか!でもこれは名案だぞ…」

 

「ちぇー。まぁいいや。で、その名案って?」

 

「梨穂子だよ」

 

「おぉー!なるほど!りほちゃんなら!」

 

「あぁ!きっと何か作ってくれるし、ついでに僕もあやかれる!まさに一石二鳥!」

 

「うわぁ…にぃに、図々しいね」

 

「お前にだけは言われたくなかった」

 

とりあえず、そうと決まれば早速電話だ!待ってろ梨穂子!

 

 

「少し寒いな…」

何が寒いかって?言わせんな恥ずかしい。

 

「うん…そうだね…」

 

「まさか、もう既に外出中とは思わなかったよ」

 

「普通にありえたことなのに、浮かれちゃってたね」

舞い上がって期待した分、それが実現不可能だと知った時の喪失感も大きい。

とりあえず、今からどうするか…

 

「はぁ…」

けんもほろろといった様子で溜息をつく美也。さっきと比べるとテンションの下降具合がひどい。こういう姿を見ていると、どうもやり辛くなるのが常なわけで…

 

「なんか、まぁ…買いに行くか?ちょっとくらいなら、奢ってやるから」

結局こうやってなにかせずにはいられなくなる僕は、やっぱり甘いのだろう。

 

「ホント!?」

 

「あぁ、ホントだホントだ。とりあえず外行くか」

 

「うん!にししし!にぃにもちょっとは分かってきたじゃん!」

 

妹の餌付けの方法を?と聞き返して、そのまま僕は引っかき傷だらけになった。

今のなんかおかしかったか!?

 

 

「さて、とりあえず外に来たのはいいけど…」

 

「どうする?やっぱり駅前?」

 

「うーん、せっかくのハロウィンだし、なんか普段しないことがいいよな」

 

「あれ、にぃにけっこう乗り気だね」

 

「やるからにはな」

 

「ふーん、でもどうするの?」

結局また袋小路である。このままでは無駄に時間を浪費するだけだ。

何か、何かこの状況を打開する物は…!?

 

「…ん?」

 

「?どうしたの?にぃに」

 

「何か聞こえないか?」

 

「え?…言われてみれば…なんだろ」

 

「笛の音、かな?」

 

「あー、そんな感じだね」

 

「…軽快なリズムに歌うようなメロディ、聴いているだけでワクワクしてくるぞ」

 

「…にぃに?」

 

まるで…僕の体が勝手に動き出してしまうような…

誰が何の目的でこれを吹いているんだ…?

こうしちゃいられない!すぐにこの笛の音を追いかけてみよう!

 

「あ!ち、ちょ、にぃに!待ってよー!」

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はぁ…、もうにぃにどうしたの!?いきなり走り出さないでよ!もうへとへとだよ!」

 

「美也…アレを見ろ…」

 

「へ?あれって…………ピエ…ロ?…あ、妖しい…」

 

 

とんがり帽子にハートの装飾、全体的には青っぽい紫色。手には風船。

妖しい。どこからどう見ても変質者だ。

 

「笛を吹いてたのはあいつっぽいね」

 

「え?…あぁ、そういうことだったの」

 

「あ!気づかれたぞ!」

 

「ちょっと!近づいて来るよ!?にぃに、どうしよう…」

妖しげなピエロ?はこっちに近づいてきて、おもむろに手を差し出した。

 

「ボーク、コノチケット、アゲール。ミ~ン~ナ~デ、キテネ~」

 

「サ、サンキュー」

チケットを渡すと、ピエロはサッサとその場を去ってしまった

思わず英語で答えちゃったけど…あの人普通に喋ってたじゃないか…

 

「にぃに、何もらったの?」

 

「え?えーっと…遊園地の割引チケットか…しかもペアチケット…」

「遊園地!?いいじゃん!行こーよ!遊園地!」

 

「いや…いくら割引されてもけっこう高いんじゃ…」

 

「せっかくのハロウィンなんだし無礼講だよ!」

 

「…僕はいいけど、美也。お前お金あるのか?」

 

「え?にぃにが奢ってくれるんじゃないの?」

 

 

今度こそ美也の頭にげんこつをかまして、いったんお金を取りに家に戻る僕らだった。

美也と遊園地か…久しぶりだな…

 

 




美也みたいな妹が存在したら、どんなことになるだろうか。
というか、兄妹で遊園地ってあり得んのか?

自分で書いてて疑問が尽きない第4話でした。
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