忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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ふぅ…待たせてすまねぇ。

ちなみに、この話、楓原万葉君の伝説任務のネタバレがあるので、ご注意下さい。


第103話 武家の再興…?①

なんやかんやあって俺の寿命問題が発覚して、そしてその解決法が確立(?)されてから僅か数日後。

 

ここ数日間は少しだけ旅人の手伝いで淵下宮に行ったのだが、何故か暫く手伝いには呼んでくれないようだ。俺が旅人とパイモンに理由を尋ねてもはぐらかされるので、諦めて稲妻に戻ってきた。

 

戻ってからはやたらと俺の知り合い…と言っても主に神だが、自分の国に永住させようとしてくる。まぁ、彼等のことだし、俺の寿命問題の関係で色々と考えてくれているんだろうし、特に永住するということは居場所がはっきりする、ということでもあるから、まぁ永住自体は悪いことではない。ないのだが…。

 

「いいですか?アガレスは私のことを好きと言ってくれたのです。ですから稲妻に住むのは当然では?」

 

「けどね、影。彼はモンドに数年いたんだよ?最も住心地がいいのはモンドだっていう証明じゃないのかな?」

 

「二人共落ち着け。璃月港は港町だ。常に人流があり、人々の顔ぶれは移ろう。璃月以上にアガレスを楽しませられる国はないと思うが?」

 

毎度毎度、救民団本部に来てはこんな風に喧嘩するのはやめて欲しい。いや、というかバルバトスに関しては今住んでるだろ。いやまぁ、永住ってわけではないが…。

 

「こうなればアガレスに決めてもらう他ないだろう」

 

「そうだね…さあアガレス!どの国が一番住みやすいと思う!?」

 

「勿論、稲妻ですよね?ええ、言わずともわかっていますよ」

 

と、このように毎度のことながら俺に話を振ってくるのだ。思わず溜息をつかずにはいられない。それと影、眞を置いてくるのはどうなんだ?と毎回言っているはずなんだが…。

 

いや、まぁ俺のことを心配してくれるのはそれは本当に嬉しいんだが…。

 

「皆様、アガレスさまが困ってますよ!!離れて下さい!!」

 

と、ノエルが割って入ってきて俺を救ってくれるのもまた日常だ。ちなみに、いつもノエルは仕事関係なくモンドの人々を助けているので、偶に帰ってきた時にこんな風に割って入ってくれる。なんというか、ノエル様々だ。本当にありがとう。

 

ノエルに言われた三人…?三神は、というと若干落ち込みつつ、こっちを見ている。

 

「…悪いがどこもかしこも住みやすい。だが、住みにくい。理由は言えないが」

 

どこに住んでも後腐れが残る。なんというか、うん。後腐れが残る。俺がそう呟くと、三人ははぁ、と溜息をついた。

 

「これだからアガレスは…」

 

「全くだ。昔から優柔不断なところは変わらんな」

 

「アガレス、前に怒ったのを忘れているのでしょうか…?」

 

流石にカチンときたので、俺は三人をなんとかして追い出し、救民団本部に籠もる───と見せかけて自室へ向かう。自室へ行く直前、俺はノエルに感謝を告げつつ、

 

「これからちょっと稲妻に行ってくる。ちょっと所用があってな」

 

「はい、わかりました!行ってらっしゃいませアガレスさま!」

 

俺はノエルの言葉に首肯くと、自室の窓から脱出し、稲妻へ向かうのだった。

 

 

 

「───さて、わざわざ俺を呼び立てるとは珍しいな?眞」

 

俺は稲妻城の天守閣の一室に入るなりそう言った。部屋の奥では影に瓜二つの、謂わば本当の雷電将軍が執務をこなしているところだった。影はあくまで彼女の影武者だからな。まぁ、三年間で政務は完璧と言えるほどにまで成長していたし、正直遜色ないとまで言える。

 

それはさておき、眞は俺の入室に気が付き、一旦手を止めて嬉しそうな表情を俺に向けた。

 

「待っていたわアガレス。座布団で悪いのだけど…」

 

俺は眞の対面に予め置いてあった座布団に腰掛けた。

 

「問題ない。それで、用件は?」

 

「ええ、今から話すわ。はい、お茶。飲みかけだけど」

 

「飲めるか!」

 

コホン、と俺は咳払いしてからニコニコと微笑を浮かべている眞を見る。眞は一泊置いてから話し始めた。

 

「ほら、戦時中に没落した家を復興するっていう話、あったじゃない?」

 

「ああ、そうだな。もしかして、まだその話生きてたのか」

 

眞は首肯いて説明を始めた。

 

「稲妻にはかなりの武家があったのだけれど、先の戦争でそのほとんどは跡継ぎもいなくなり、取り潰しになっている家も多いのよ。だから、新たに武家を作ろうという動きがあるのよ。まぁ、勿論私も賛成なんだけれど…」

 

眞はそこで言い淀んだ。俺は思わず首を傾げる。

 

「だけど、なんだ?」

 

俺が催促すると、眞はちょっと目を逸らした。

 

「ええっと…その、私三年間も眠っていたから、あまり外の状況とかわからなくて…」

 

俺ははぁ、と溜息をついた。

 

「つまり、どの家に跡取りがいて、どの家にいないかわからない、と」

 

眞は目を逸らしたまま首肯いた。俺はふぅ、と息を吐く。

 

「わかった。一応、助言役だからな。役目は果たすさ」

 

俺がそう言った途端、眞は表情を輝かせた。

 

「いいのね?」

 

「ああ、まぁ知っているだけで二つあるな」

 

俺は一先ず知っている武家の名前を挙げた。片方は本人から、もう片方は確か…誰だったか?いかんいかん。忘れかけている。ま、それはいいか。

 

俺が武家の名前を挙げると、眞はふむふむと首肯き、

 

「任せるわ!」

 

「えぇ…」

 

サムズアップしながら笑顔でそう言ってきた。眞は言い訳するように言った。

 

「いや、私政務があるから…最終的な判断は私がするけれど、大体は好きにやってもらって構わないわよ?具体的に言うと家は何処に建てるか、とかね」

 

とはいえ、稲妻は全体的に人手不足だ。兎にも角にも、な。そしてそれはモンドも、璃月も同様だ。だがまぁ、両国ともそれなりに時間は経っているし、多分それなりには解消出来始めているだろう。負傷兵達も復帰し始めているだろうしな。

 

「まぁ、元々使われてた家屋もあるだろうし、適当にそこあてがえばいいとして…そうだな、一先ず知ってるところから俺がやっておくから、他のところはなんとかしろよ?」

 

「え?全部やってくれるわよね?助言役だし」

 

「いや、やらないけどな」

 

ぶーぶー言う眞を置いて、俺は一先ず、居場所のわかる武家の跡取りに話をつけに行くべく、天守閣を出た。とはいえ、俺の知り合いは割と近くにいる。

 

実は天領奉行所内に俺の部署…?とでも言うべき部屋が与えられているのだが、そこに俺の知り合いが勤めているはずだ。まぁやめていなければ、だが。

 

俺が職員用玄関から中に入ると、中で働く…と言っても三人だが、三人が一斉にこちらへ視線を向けた。

 

「「「って、アガレスさん(様)じゃないですか!」」」

 

「久々だな。最近は来れなくてすまなかったな」

 

さて、俺が用があるのは一人なんだが。三人、奥之院と黒川、そして只野の三人はそれどころじゃないらしい。

 

割と久々ということもあって俺に色々と聞いてきた。一先ず、五分ほど三人の質問攻めにあった後、俺は只野を呼び止めることに成功した。

 

「どうしました?アガレス様、もしかして夜のお誘いですか?」

 

「お前は…俺に遠慮が無くなってきてないか?まぁいい…」

 

コホン、と俺は咳払いをしてから只野へ本題を告げた。

 

「お前、前に自分は武家だったって言ってたよな?」

 

「はい、言いましたね」

 

「今稲妻で武家の再興或いは新興が行われているのは知ってるよな?」

 

只野は首肯いた。

 

「それで、一応将軍様直々の命で来たんだが、只野家の当主にならないか?「嫌です」うん、一先ず落ち着こっか?」

 

はっや。早すぎだろまじで。話聞けよ。ん〜…んじゃ聞き方を変えるか。

 

「俺の頼みでも駄目か?」

 

「あ、なら任せて下さい」

 

はっや。早すぎだろまじで。具体的な話聞けよ。何その俺贔屓。将軍様は?稲妻人って将軍様敬愛しまくってるんじゃないの?

 

的なことを只野に聞いてみたのだが、彼女は信じられないことを口にした。

 

「いえ、将軍様に直接、アガレス様が神だってことを聞いて言質取ってきました。まぁ、一応ですけどね。あとはアガレス様の数々の偉業を…」

 

ちょっと待て、ちょっと待って。何してるのこの子?俺は頭を抱えたくなる衝動を限界まで我慢して、

 

「待て、何を聞いた?」

 

「はい。アガレス様が数々の魔神を打倒し、将軍様を数々の窮地からお救いし…」

 

「あーわかったわかった。大体全部聞いてるんだなったく…」

 

一先ず、只野家がそれなりの良家だったことは聞いているので、それなりの屋敷を充てがうとしよう。それにしても…と俺は只野を見た。

 

眞か影かどちらか知らないが…無闇矢鱈と俺の功績を話さないでくれよ、と嘆かずにはいられないのだった。




いい忘れてた!原神2周年やったぜ!!ひゃふう!
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