忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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さて、それじゃあ前フリは終わりだ。

さぁ…前回から私は見直しするのも恥ずかしくなっているぞッ!!

いや、本当にですね…見直しするのが辛い。私にもいい相手が欲しいってくらいですよ!!アガレスとか影ちゃんが羨ましい!!

アガレス「いや、俺に言われても…」

影「私に言われても困ります。それに、いい相手がいないのは貴方が自分を磨いていないからでは?」

テン、テン、テン、クリティカルヒット!

というわけなので私はこれからもリア充を見て羨ましがりながら生きていこうと思っています。それでは本編にごー。


第110話 デート②

さて、影を連れ出して来た俺は早速連れて行きたい場所へ連れて行くことにした。

 

「アガレス、何処に行くのですか?」

 

「まずは璃月に行くぞ」

 

俺は人目のつかない場所へ移動すると影を抱え上げた。勿論横抱きである。

 

「あ、アガレス…その、恥ずかしいのですが…」

 

「仕方ないだろう。影は飛べないんだしこうするしかないじゃないか」

 

船で移動するにしてもかなりの時間がかかるからな。それなら俺が飛んだ方が圧倒的に早い。遮るものとか途中で問題が起きる可能性も限りなく低いからな。

 

勿論、俺の内心は大変なことになっている。

 

(え、やばい…待って、勢いで抱えあげちゃったけどさ、柔らかいしいい匂いするしなんというか密着しすぎだこれ!ま、不味い…斯くなる上はあまり気にしてませんよ〜的な雰囲気を装うしかない。眞に間違いは犯しません、みたいな雰囲気出したんだからな…)

 

「影、俺にしがみつかないと振り落とされるかもしれないから俺の首に手を回せ」

 

「はい。こ、こうでしょうか?」

 

影が俺の首に手を回して抱きついてくる。

 

………。

 

対応間違えたーッ!!?

 

「それでいい」

 

だが数千年生きている俺のポーカーフェイススキルはかなりのものになっている。出るときは出るが、今日は調子が良いようで影が勘付いた様子はない。俺はなんとか気を持たせて風元素で浮かび上がって璃月へ向かうのだった。

 

あれから暫く当たり障りのない会話を続けてなんとか気を紛らわせた俺は璃月港郊外へやってきて地面へ降り立った。そしてそのまま影が大丈夫かを見ようとしたのだが、それがいけなかった。

 

「「!!」」

 

顔近ッッッッッ!

 

というわけで二人で同時に思いっきり顔を背けると、俺は優しく影を地面に降ろした。危ない危ない、危うく好きが溢れ出るところだった。

 

「さ、さて、行くぞ」

 

「は、はい」

 

お互いおどおどしながら璃月港に到着した。相変わらず、いや幾らか璃月港は前より賑わっているように見えた。こうしてゆっくりできる時間で璃月港に来るのは久し振りだ。

 

「アガレス、何処に行くのですか?」

 

影が不思議そうに俺を見て訪ねてくる。俺は影を横目で見ながら少し笑う。

 

「ああ、折角だからデートと称して影に俺が復活してからの足取りを体験してもらおうと思って」

 

稲妻は大体知ってるだろうし、と考えて俺は璃月での出来事とモンドでの出来事を話すことにした。

 

「ほら、前は話だけだったし、実地をあまり知らないだろうから。ついでに色々と話すのもいいかと思って。どう、だろうか…?」

 

そこまで言って俺はすごく心配になってきた。普通に璃月港やモンド城の屋台や食べ物を食べたりしたほうが楽しいんじゃないかと思えてきたのだ。なんというか、物凄く緊張してきた。

 

そんな俺の緊張とは裏腹に、影は少し嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「とてもいいと思います。私もアガレスの稲妻へ至るまでの歩みを知りたいですし、何より…長い時間貴方と共にいられるのですから…」

 

そう聞いて俺は顔が熱くなるのを感じる。そして俯いている影もそれは同じだろう。

 

「一先ず、色々説明していこうか───」

 

俺達はまず青墟浦へ影を連れてやってきた。青墟浦は以前の遺跡などは見る影もなく、そこだけが別の世界かのようだった。

 

「こ、れは…アガレス、まさか元素爆発を…?」

 

俺は首肯く。

 

「ファデュイ執行官…いや、今は元だったな。第6位『淑女』と俺が戦った場所だ」

 

『淑女』のあの自らの身を犠牲にした攻撃と防御の両立には眼を見張るものがあった。実際、俺は割と重傷を負わされたしな。

 

「俺の攻撃のほとんどが通じず、結局使わざるを得なかったわけだよ。まぁ、敵を倒したときに出る元素粒子を今まで無駄にしまくってきたけどな」

 

とはいえ、俺の元素爆発が溜まるまでそれなりに時間はかかる。当然だ、際限なくあらゆる元素反応を起こすのだからそれ相応のコストは必要だ。発動するにはまぁ…最短でも一週間はかかるだろう。

 

まぁ、一日中各地の元素生物やらヒルチャールやらを倒していれば2日で溜まるだろう。

 

「まぁ勿論、死ぬほど加減はしたぞ?アレやると俺の消耗も激しいから」

 

元素反応で俺にも多少影響あるし。

 

「そうですよね…ファデュイの執行官に関してはかなりの実力者の集まりだという風に聞いています。アガレスにここまでさせるだなんて…」

 

影の言葉に対して俺はう〜ん、と首をひねる。

 

「強いは強かったが、アレは別格だろうな。自分の身を削ってあの強さだからな。それこそ、ルフィアン…ああ、今はアンだったか。彼女の強さを考えると普通なら俺や神には遠く及ばないだろうさ」

 

勿論、推測でしかない。だが旅人は第11位『公子』を一応初見殺しに近い戦法で打ち破ってはいる。まぁ、殺し合いだったら旅人の命は勿論ないだろうけどな。ファデュイ執行官第11位とはいえ『公子』の実力は確かなものだ。そう考えるとやはり彼等の強さというのはあくまでも人間の域を出ないのかもしれない。

 

などと考えていると、影は不機嫌そうに頬を膨らませていた。

 

「え〜っと、どした?」

 

「アガレス、また考察してますよね」

 

ギクッ。図星。

 

「昔からの癖ですしわかってますけど、私にも構ってください」

 

影は尚も頬を膨らませ、顔を少し赤くしていた。照れているのと同時に、拗ねてもいる。なんというか、申し訳ないことをした。

 

「どうすれば許してくれるんだ?」

 

俺がそう問いかけると影は悪戯っぽく笑う。

 

「ん」

 

影が両手を広げて俺を上目遣いで見る。勿論、顔は真っ赤である。

 

「…」

 

俺は無言で近づき、抱き締める。勿論、俺も顔が暑いので真っ赤だと思われる。影は俺に抱きつかれて嬉しそうに頬を緩めていた。

 

「さ、さて、次行くぞ」

 

俺は離れるのが少し名残惜しかったのでそのまま横抱きに抱えあげると密着したまま南天門、それから璃月港を巡って俺のこれまで行ったことなどを色々話した。記憶の欠落が多少はあったが、話していくうちに色々と思い出したこともあったりしたため、あらかた最近の記憶は戻ってきたと言えるだろう。

 

俺は一通り説明が終わったのでずっと影と密着したままだったのを思い出して璃月港郊外の───旅人曰くワープポイント───の近くで影を地面に降ろした。因みに、影が物凄く残念そうな表情をしていたため、また機会があったらすることを俺は心に誓った。

 

え、俺?俺は勿論名残惜しいが。

 

「一先ず璃月であったことはこれくらいだな。聞きたいことは?」

 

俺は平静を装いつつ影にそう問いかけた。影は少し頭を捻ってから人差し指をピッと立てながら口を開いた。

 

「ずっと旅人さんと一緒にいたんですよね。しかも一夜を共に過ごしたんですよね?」

 

俺は若干居心地が悪くなるのを感じつつも否定はしなかった。勿論、影の纏う雰囲気には不機嫌さが全面に押し出されている。

 

「その、やはりそういうことを?「してないから」で、ですが「してないから」」

 

影は一体、俺のことをなんだと思っているのだろうか?性欲の悪魔かなにかだとでも思っているのだろうか。

 

そう言えば人間社会において歳を重ねるごとに童貞の格が上がるとかなんとか…いや、この話はやめよう。俺なんて数千年生きてきて一度も女性経験などないのだ。つまりはそういうことだ。

 

確か…例は極少数だが100歳超えると『神』だっけ?40代で『魔法使い』みたいな…アレ、違ったっけ?まぁいいや。

 

とにかく俺は存在的な意味とアッチの意味でも『神』だということが確定してしまった。なんと不名誉な『神』の称号だろうか。こんなんでは何処ぞの性欲モンスターに笑われてしまう。いや、別に気にしないけど。

 

さて、とばかりに俺はなんとか空気を入れ替えて再び影を横抱きに抱えた。

 

「最後はモンドだ。行くぞ」

 

「は、はい…」

 

突然横抱きに抱えられたからか、影は再び顔を真赤にしながら俺に抱きついてくる。なんというか、もう一生このままでいいだろうか。俺の寿命問題も解決するぞヤッタネ。

 

 

 

影との会話に花を咲かせつつ、移動していると、旅人とノエルが一緒にヒルチャールに襲われる人を守っているのが上空から見えた。清水町近くで運搬用の気球付近で蹲っている人が見える。

 

それを見て俺は微笑ましい気持ちになった。勿論、会話の途中で突然微笑んだ俺を不思議そうに影は見ていた。

 

「アガレス、どうかしたのですか?」

 

「ん?ああいや、人の意思ってのはしっかり次の世代へ受け継がれるものなんだな、と思って」

 

そのことを理解しているからか影も微笑んだ。

 

「はい、ですから私は眞の言っていた『永遠』を求め彼女と共にあるのです。そして今は…」

 

途中で言葉を止めた影は嬉しそうに笑う。俺はわからずに首を傾げたが、影が言ってくれそうもなかったので大人しく諦めた。

 

「さて、それじゃあ目的地にも到着したし、ここから何が起こったのかを順々に追っていくぞ」

 

それから再び、俺は風龍廃墟、アカツキワイナリー、モンド城ときて救民団で色々と説明をした。途中、旅人とノエルが救民団本部へ帰ってきて少しだけ話したり、それで影が何故か拗ねたりなど色々あったが、俺たちは最後に囁きの森へ向かった。今回は徒歩で、である。

 

俺達は勿論、手を繋いでいる。指を指と指の間にやって握る方法のやつね。なんというか、俺はこの手の繋ぎ方は初めてなのだが、密着している感覚があって結構好きだ。

 

「一応、俺の紹介したいところは次で最後だ。俺が復活した場所だからな」

 

「そうですか…楽しい時間というものはあっという間ですね」

 

影は少し寂しそうに言った。俺も勿論寂しいし、八重神子の仮説が合っているかどうかで今後の俺の生活もガラッと変わる。いつ俺が死ぬか、それは全くわからないのだ。一秒後には死ぬかもしれないし、逆に何百年何千年、それこそ永劫に近い時間を過ごしても死なないかもしれない。

 

俺は先程より少し強めに影の手を握った。影は不思議そうにしていたが、やがて強く握り返してくれた。

 

さて、そうこうしているうちに囁きの森へと辿り着いてしまった。俺は手を繋いだまま俺の復活した木の木陰まで移動する。空は既に赤らみ夕方だった。

 

「今日は、ついて来てくれてありがとう」

 

俺は先ず影にお礼を言った。影は「気にしないでください、貴方からのお誘いですから」と言ってくれた。思わず、感動しそうになるのをぐっと堪える。

 

「それで…影をここに連れてきたのには、ちゃんと理由がある。加えて言うなら、この外出の目的はデート八割、これ二割ってところだ。今からその二割の部分を伝えようと思う」

 

俺はすぅ…と息を吸って、吐いた。そうやって深呼吸をして俺は自分の気持ちをなんとか落ち着ける。

 

「前に、ほら、好きということは伝えたと思う」

 

「はい」

 

「だけど、具体的なこととか、色々どうするとか伝えていなかったことを思い出してな」

 

実際、俺はあの祝勝会…というより言うなれば祝勝祭の際に影と気持ちをしっかり確かめ合ったのだが、『付き合う』とか『結婚する』だのそういう…なんというか夫婦的なことを全くしてこなかった。加えて眞から『彼氏でしょ?』と言われても若干煮えきらない答えになってしまっていた。

 

それは困る。ひじょ〜に困るのだ。

 

何故なら影は超がつくほど可愛いのだ。美人なのだが、可愛い。わかるだろうかこのギャップ。アガレス、お前は数千年も何をしていたんだと過去の俺をぶん殴ってやりたいレベルである。

 

そんな彼女のことだ。民衆に違う意味で想われることもあるだろう。

 

「それは困る。ひじょ〜に困るのだ」

 

「アガレス?」

 

「なんでもない…」

 

そうなったときに曖昧な関係だと都合が悪い。何より影は俺のものだと深く知らしめてやりたい。

 

…あれ、重くね?まぁいいか。

 

「影、改めて言うが俺の彼女になってくれないか?」

 

俺がそう言うと、影はキョトンとして俺を見た。んん…?なにか間違えただろうか、と思って何があったのかを影に聞いた。すると影は顔を真っ赤にしながら、

 

「え、えぇっとその…私達、接吻もしたのでてっきりもう彼女にされているものかと…」

 

どうやら、俺と影の間には勘違いがあったようだ。確かにキスまでして彼女ではない、というのはおかしいか。

 

「すまん、まぁ改めて言いたかったんだ」

 

さて、と俺は咳払いをして再び話題を変える。

 

「それで、だ…俺がここに影を連れてきたのには、きちんと理由があるんだ」

 

俺は一旦言葉を区切ってから続けた。

 

「影には、俺が復活してからのことを全部知ってほしかった。勿論、友人の関係のままだったとしてもそれは変わらなかっただろうが…意味は少し違う」

 

「それは、どういう…っ!?」

 

俺は影を無造作に抱き寄せると、強引にその唇を奪う。二秒ほどそのままにしてから俺は顔を離した。影が羞恥心と困惑と歓喜が混ざったような表情でこちらを見ている。

 

「今は俺の大切な人に、俺の全てを知ってほしいという気持ちだ。友人の時ならまぁ世間話程度止まりだろうが…俺がここで復活して、どう考え、どう行動して影と再会したのか。なんというか、うまく言えないんだが君には知っていてほしかった」

 

ただそれだけだ、と続けようとして俺は自分の唇が塞がれたことに気がつく。影も俺と同じように二秒ほどで顔を離し、至近距離から俺の瞳を上目遣いでまっすぐ見据えてくる。

 

「私も確かに、気になっていたんです。アガレスが復活してからどうしたのか。伝聞でも勿論伝わりますが、やはり百聞は一見に如かずという言葉の通りです」

 

それに、と影は真っ赤な顔のまま微笑んで続けた。

 

「アガレスが私に好きと言ってくれるより、さっきのように行動で示してくれたほうが伝わるものですね」

 

「それはまぁ、そうだな…俺はかなり恥ずかしかったが」

 

「その割にはノリノリみたいでしたけど」

 

「忘れてくれ」

 

俺が顔を逸らしながらそう言うと、影は俺の顔を覗き込みながら満面の笑みで言った。

 

「いいえ、例え友人から、皆の記憶から、そしてこの世界から忘れ去られても…私だけは貴方を忘れません。絶対に」

 

俺はその言葉に、何故だか聞き覚えがあった。

 

───例え何度時間が移ろおうと、世界が変わろうと、私はまた貴方を愛するでしょう。だからアガレス…『永遠』の思いを胸に、いつかまた貴方と愛し合える日を待っていますから───

 

不意にそんな言葉がフラッシュバックしたが、今は気にする必要はないだろう。俺が例え世界から拒まれようと、どうでもいい。俺の目の前には夕陽に照らされる世界で一番大切な人がいるのだ。

 

今はただ、それでいい。




青墟浦の怨念シニョーラ「なんだろう…ここでイチャつくのやめてもらっていいですか?」

南天門の怨念若蛇龍王「なんだろう…イチャついたまま僕のところに来るのやめてもらっていいですか?」

風龍廃墟で休んでるトワリン「僕、ここで休んでるのアガレスさん知ってると思うんですよね。そこに知り合いというか友人というか彼女というか大切な人連れてくるって、これ僕への当てつけだと思うんすよね」

アガレス&影「「なんだろう、論破しそうな雰囲気出すのやめてもらっていいですか?」」

という茶番でした。次回…からはどうするか。全く決めてない。まぁ順当に行けばいよいよ層岩巨淵でしょう。多分、恐らく、きっと。

いや、わかんない。私気まぐれだから。突然よくわからん話をぶっこんで来るかもしれない!
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