忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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今回ちょっとオリジナル設定あります


第117話 実は二代目…?

「…その前にまずは下へ行くぞ。彼女を待たせている」

 

ダインスレイヴは俺の質問には答えずそう告げた。下へ行けば話してくれるだろうか、とは思いつつ軽く溜息を吐いてダインスレイヴに従って穴から下へ降りた。風元素でうまく勢いを殺しつつ着地すると、パイモンと旅人が談笑しつつ待っていた。

 

二人はダインスレイヴと俺を見て、特に俺を見たときに驚いている様子だった。

 

「すまない、話の続きを話してやろう」

 

ダインスレイヴはまずここへ来た経緯を話してくれた。

 

アビスの使徒を追ってあのゲートへと入ったが気が付いたらここ層岩巨淵に放り出されたことは手紙にも書いてあったがその後『最古の耕運機の目』をなんとかしてから再び層岩巨淵へ戻りアビス教団の動きが活発だったために調べていたそうだ。

 

「ここまではいいか?」

 

俺と旅人、パイモンは首肯いた。ダインスレイヴはそれで?とばかりに俺と旅人を見やる。どうやらここにいる理由が知りたいらしい。

 

ここは代表して俺が答えよう。

 

「俺達はここに層岩巨淵の調査を七星に命じられてやって来た。正式な依頼人は旅人で、俺は冒険者協会にその旅人の護衛を頼まれた。だからここにいる」

 

俺がダインスレイヴにそう答えるとダインスレイヴはふんと鼻を鳴らしながら俺を見た。

 

「貴様が救民団団長という立場上依頼を受けるのは仕方のないことだが、珍しいこともあるものだ。冒険者協会こそ貴様が怪しみそうなものだが」

 

ダインスレイヴの言葉に対し俺も鼻を鳴らすと彼は若干だが不機嫌そうに顔をしかめた。ごめんて。

 

「色々と調べてはいるが…結局わからずじまいだ。明らかに怪しいが…今の所特段世界に害を成しているとかもないし放置で問題ないかなぁと」

 

「…ふん、貴様がそういう奴だということを忘れていた」

 

ダインスレイヴは溜息をつきつつ旅人を見た。ダインスレイヴに釣られる形で俺も旅人を見たのだが、旅人はダインスレイヴへ何かを訴えるような視線を向けていた。

 

「ダインには聞きたいことが山程ある」

 

ダインスレイヴは旅人の言葉にふん、と再び鼻を鳴らすと言葉を返した。

 

「前回の『出会い』も『別れ』も些か急すぎたからな。貴様の逸る気持ちも理解できる」

 

だが、とダインスレイヴは続け俺を見た。

 

「だが貴様と話をする前にアガレスと少しやることがある。それが終わるまではここから動くな」

 

「…アガレスさん、私は…」

 

旅人が何かを求めるように俺へと視線を向けた。恐らく連れて行ってほしいのだろう。彼女は俺に興味があるようだからな。だが、とばかりに俺は首を横に振った。

 

「すまない、旅人。今回ばかりは同行させられない。何があったのかを話すことは…場合によっては出来るだろう」

 

俺は旅人に謝った上でそう言った。すると今の今まで黙りこくっていたパイモンが俺とダインスレイヴを諌めるように口を開いた。

 

「ダイン、アガレス…お前ら、ちょっと怖いぞ…それに旅人を同行させられないっていうのはどういう意味なんだ?」

 

俺とダインスレイヴは顔を見合わせ、同時に軽く溜息をつく。そして口を開いたのは俺だった。

 

「俺から説明しよう。まず俺はダインと少し縁があったみたいでな。勿論、俺は覚えていなかったが。まぁダインスレイヴが俺だけを呼び出すということは空関連ではなくてそっち関連だろうと考えられる。何故旅人を同席させられないのか、という問いに対する答えだが…簡単な話だ。『危険すぎる』」

 

「私だって───」

 

旅人が悔しそうな声を漏らす。だが、俺は心を鬼にして突き放した。

 

「旅人、お前には悪いがお前の実力では戦いについてこれず足手纏になるだけだ。加えて…俺も他の者を気にするほどの余裕はないだろう。仮に魔神なんかが敵として出てきたのなら旅人の安否を一々確認することなんてできっこないからな…」

 

俺に、そこまでの力なんてないのだから。

 

「だから今回は連れていけない。ダインがお前を連れて行かないと言ったのはそういうことだ。本当にすまない」

 

俺がそう言うと旅人は悔しそうに歯噛みして小声で「わかった…」と告げた。彼女には内容によるが出来る限り事情を説明してやりたいとは考えているが、どうなるかは全く不明だ。

 

旅人が納得したところでダインスレイヴが俺を見て踵を返し一言だけ「時間が惜しい。ついて来い」と言ってきた。俺はそんなダインスレイヴに対して薄情なやつだなぁなんて感想を抱きつつ、

 

「パイモン、旅人を頼む。俺にボロクソ言われて少しは落ち込んでるはずだからな…後で直接謝るからそこは安心してくれ。それじゃ」

 

「あ、お、おいっ」

 

俺はパイモンがなにか言う前にそそくさとその場を離れてダインスレイヴについて行くのだった。

 

 

 

場所は変わり少し進んだ逆さになった遺跡の内部。俺はダインスレイヴに連れ立たれるまま歩いていた。

 

因みに道中の会話はほぼゼロだ。後ろから彼を見ているのでその表情からその感情を読み取ることもできないので何を考えているかもわからない。しかしただならぬ雰囲気だけは確かに感じ取れた。

 

「…ここか」

 

ダインスレイヴはなんの変哲もない遺跡の壁におもむろに手を伸ばすと、遺跡の壁が突如崩れ去った。思わず俺は驚きを隠せなかった。

 

「…その先に空間があるだなんてな…全くわからなかったよ」

 

「そういうものだ。今の世界が今の世界として定着される以前の世界の痕跡など、本来は全て抹消されて然るべきなのだからな」

 

ダインスレイヴは言いつつ壁の中へ入っていく。俺もダインスレイヴへついていくべく足を踏み入れた。

 

中は真っ暗だったが流明石の触媒で辺りを照らしているためなんとか見ることが出来る。周囲を観察してみると層岩巨淵の岩石とは異なっているようで何処の岩石かすらわからない。地層、というわけでもないだろうが層岩巨淵は見た感じだと深くなっても然程岩石の材質は変わらないはずだ。そう、変わらないはずなのだ。だからこの状態は勿論異常である。

 

しかし、先程のダインスレイヴの言葉には違和感を感じずにはいられなかった。『今の世界が今の世界として定義される以前の世界の痕跡』と彼は言っていた。以前言っていた魂の漂白となにか関係があるようだ。

 

暫く真っ暗な坑道を進んでいくとかなり広い空間へ出た。だが、そんなことは最早俺にとってはどうでもよかった。

 

「…こ、れは」

 

俺が反応できたのはここまでだ。反応できたと言っても掠れた声を出す程度のものだ。

 

眼前に広がる光景、それは()()()()()()()()()()()の光景。俺という存在がいなければそうなったであろう未来の光景。

 

巨大なクレーター、だがその中心部には見覚えのある服が落ちている。見覚えがあるなんてもんじゃなく現在進行系で身に着けているものだ。

 

俺が周囲の観察を行っていると、ダインスレイヴが不意に口を開いた。

 

「…俺は以前ここに来たことがある。そうしてこのクレーターを発見して俺の記憶が偽りでないことを確かめることができた…貴様のことも」

 

彼は俺をまっすぐ見つめてくる。クレーターの中心部に落ちているボロボロの黒衣を見つつ、全身の痛みが強まるのを感じた。

 

「……」

 

───皆のことを…この世界を、お願いします、アガレス。

 

───盤石もいつかは…土に還る。お前に後は託す…友よ。

 

───僕らでは止められなかったこの『終焉』を…君なら止めてくれるよね、アガレス。

 

いつだったかこの言葉を思い出した時があった。確か…ああ、そうだ。『玉衡』こと刻晴の見舞いに行ったときだったな。あの時は普通に流してしまったが…なるほど、よく理解できた。

 

「ダイン、そして恐らく空も…お前達はずっと知っていたんだな。俺が───一度世界をやり直したことを」

 

俺の言葉に、ダインスレイヴは意味ありげに少しだけ笑むのだった。




はぁ…更新遅れてすみません。

ちなみに世界の話云々はめっちゃ創作です。あと岩石云々もですね。

更新遅れた理由ですが勿論バイト関連です。はっはっは。

アンケートに関してですが…まじで皆さんパイモンのIF見たいんですか?私はまぁ…見たいですが描くのはムズいので描きたくないです()

今のままいくと旅人さんと眞さん描く事になりそうですね。貴方の投票をお待ちしていますぞ〜
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