忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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さて、そろそろ佳境に入りますかね…久方ぶりの投稿な気がする!!

ごめんなさい!!バイト忙しかったんです!!年末年始は…わかってくれ…(?)

あとがきに変なこと書いてますが気にしないで下さい。マジの独り言です。


第122話 昔日の命①

先程の黒蛇騎士を追ってきた俺達は逆さになった遺跡の前へと辿り着いた。だが、残念ながら向こうへ行くための道がない。あるにはあるが、遺跡の残骸がそれなりに浮いているという程度で足場としては俺だけなら勿論行けるが、他の三人は恐らく無理だろう。パイモンは…まぁ多分無理だろう。そういうことにしておく。

 

「ここから先へは行けないみたいだな…こういう時はなにかの装置があるはずだよな!周囲を探索してみようぜ!」

 

「だね…遺跡探索で培ってきた私の遺跡探索力が光る時だね」

 

旅人、なんだそれは。

 

そんな俺の苦笑とは裏腹に二人の言葉を即座にダインスレイヴは否定した。

 

「その必要はない」

 

ダインスレイヴは再び腕を組んで今度は目を瞑った。

 

「アビスの技術や気配…それらは俺にとって身近なものだ。俺からすれば、こんなものはただの泡沫の夢のようなものに過ぎない」

 

ダインスレイヴの言から察するにこの付近にアビスの秘密が隠されているのだろう。ただ、やはり俺には感じられないようだった。パイモンと旅人も同様なようで首を傾げつつ二人で考察していた。

 

「というか…ダインって色々内情を知ってるよな…そりゃあ、アビスに目をつけられるわけだぜ…」

 

パイモンが若干呆れたように笑いながらダインスレイヴを見やった。当のダインスレイヴはというと全く気にしていないのか、無表情のままだった。

 

「この逆さの都市と何か関係があったりするの?」

 

旅人が俺を見てそう聞いてくる。逆さの都市と聞けばあの逆さになった七天神像が思い浮かぶが直接的な関係は恐らくないのだろう。ここはカーンルイアのある位置からは離れているわけだからな。

 

ただ遺跡自体はかなり古い文明のものだ。アビスがここを利用しようとしているのならば何らかの古い文明の痕跡が残っているのだろう。

 

ダインスレイヴは俺の予想と同じようなことを言った後、「まぁ、アビス教団に先を越されたがな」と付け加えた。

 

結局他に道もなく手段もないので足場にもならない岩を飛んでいくことにし、光る石を目印にして遺跡の内部へと侵入した俺達は中にいた黒蛇騎士と鉢合わせた。

 

「黒蛇騎士だ!」

 

パイモンがそう叫ぶように言った。ただ、やはり黒蛇騎士達はその場を動かずこちらを威嚇するように低い声で唸っているだけだった。聞きようによっては言葉にも聞こえるが俺にはなんて言っているかわからなかった。

 

斬りかかろうとした旅人を俺は今度こそ制する。

 

「どうしたんだよアガレス?」

 

「彼らをよく見てみろ」

 

旅人とパイモンは黒蛇騎士をじっと見て何かに気がついたように目を見開いた。

 

「ぜ、全然襲ってこないぞ!」

 

「本当だ…アガレスさん、これは…?」

 

ダインスレイヴは黙ったままだが何らかの理由を知っていそうだが…教えてはくれなさそうだし、俺達が立ち去らないことを悟ったのか黒蛇騎士が今にも飛びかかってきそうだ。残念なことに戦闘は避けられないらしい。

 

はぁ、と俺は嘆息すると刀を抜く。

 

「旅人、答えは進めば自ずと見えてくるだろう。まずは彼等を始末するぞ」

 

俺の言葉の途中で槍の形状をした武器を持つ黒蛇騎士が突撃してきたので受け流しつつ旅人を見る。旅人は大きく横に飛んで躱し着地と同時に跳躍、黒蛇騎士に体当たりをして吹き飛ばしている。あれなら問題はなさそうだ。

 

などと考えていると黒蛇騎士が大質量の槍を振るい俺へ攻撃してくるので一旦刀で受け止めた。すると黒蛇騎士は俺を鋭い眼光で睨めつけ声を発した。

 

『───!!!』

 

「…何を言って…ッ!?」

 

咄嗟に俺はその場から飛び退いて攻撃を回避した。俺への攻撃を加えてきたのはもう一匹の黒蛇騎士…ではなく、新たに出現したと思われる黒蛇騎士だった。やってきたと思われる方向には階上へ繋がっているであろう穴があったためそこからやってきたのだろう。

 

「さしずめ、仲間のピンチに駆けつけたか、或いは仲間を呼んだのか…」

 

だとすると不味いな…と俺は少しだけ黒蛇騎士への警戒度を上げつつ二体の攻撃を捌く。同時に振るわれた槍をかち合う形になるようにうまく避けてそのまま回り込み、後から来た一匹の首を刎ねる。もう一匹の方も突撃してきたので受け流して態勢を崩しそのまま首を刎ねた。

 

やはり中々やるようだ。カーンルイアの宮廷親衛隊に所属していただけはあるだろう。ダインスレイヴにしてみればかつての戦い方を捨てたものだったらしいが。

 

「紫影!!」

 

『───!』

 

旅人の方も雷元素の刃を3つ飛ばして黒蛇騎士を倒していた。落ち着いたところで、ダインスレイヴが口を開いた。

 

「アガレス、貴様は何か気付いたようだな」

 

まるで今気付いたような言い方だが最初から違和感はそれなりにあった。まぁ、そういうことにしておいても別に良いだろう。

 

「それより先に進もう。あそこから上に上がれそうだ」

 

俺は天井に空いた穴とそこから垂れている蔦を指差した。

 

 

 

蔦を伝って上へと登った俺達を待っていたのはまたまた黒蛇騎士だった。再び同じような状況になるであろうことは予想できたので俺は先んじて黒蛇騎士を排除した。

 

ただ、前回までと違うのは黒蛇騎士の必死度が違った、というところか。

 

「そして奥には…なるほど、合点がいった」

 

点と点が線で繋がった、とはこのことだろう。旅人とパイモンは口元を手で覆っており、ダインスレイヴは腕を組んで瞑目している。

 

光の届かぬ部屋の隅で三匹のヒルチャールが死んだようにピクリとも動かずただそこにいた。ダインスレイヴが口を開く。

 

「黒蛇騎士達はアビス教団とはなんの繋がりもない。アガレス、貴様も気付いていたようだな」

 

「えっ?どういうことだ?」

 

パイモンがそう問い掛けてくる。俺は旅人とパイモンに説明を始めた。

 

ヒルチャールは元々カーンルイアの民であり、黒蛇騎士はカーンルイアの宮廷親衛隊だった者達だったわけだ。そして黒蛇騎士達は攻撃を仕掛けてくるでもなく、ただ俺達を威嚇していた。「こっちへ来るな」とでも言わんばかりに。

 

まぁ、ダインスレイヴとしてはそれがアビス教団が何か隠している、と考えた理由でもあったんだろうが実際はただ黒蛇騎士達がヒルチャールを…つまり、宮廷親衛隊として自国の民を守ろうとしていただけに過ぎなかったわけだ。

 

「前に話しただろう。ヒルチャールの結末を」

 

ダインスレイヴは更に続けた。

 

「これがその結末だ。前に話した通り『死』という概念すら与えられずに消滅する、と」

 

「ヒルチャールの最期…」

 

最期を迎えるヒルチャールを守る黒蛇騎士か…ここで忘れ去られて風化していくのだろう。俺もそうなりかけだったと思うとゾッとする話だ。ある意味では他人事とは言えなかったわけだからな。

 

「老化し、光を嫌悪するようになったヒルチャール達は、やがて暗闇に溶けていく」

 

それでも呪いはヒルチャールを蝕み続けるのだろう。呪いとはそういうものだからな。そして呪いに蝕まれ死にゆく民、つまりヒルチャール達を護っていたのが同じく呪いに蝕まれた───

 

「───黒蛇騎士達、というわけか」

 

俺は誰にも聞こえぬように小さく呟いた。

 

まぁそれにしても層岩巨淵には秘密が沢山隠れているな。まだありそうではあるが一先ずは目の前の問題に集中することにしよう。

 

俺はゆっくりと後ろを振り向く。

 

『───!!』

 

恐らく、叫んでいた黒蛇騎士の声に反応してやってきた増援だろう。既に臨戦態勢でこちらを睨んでいる。とはいえ、その叫びには『そこから離れろ』という意思が感じられる。先程の話を鑑みるとヒルチャール達を人質に取られている、とでも思っているのかもしれない。

 

『──────!』

 

だが先程と異なり彼等が襲いかかってくることはなかった。少し高いところにある窓と思しき場所に最初に見かけた黒蛇騎士が立っていた。彼か彼女か知らないが何かを叫んだ後に彼等の動きが止まり、やがて下がって行った。

 

それを見たパイモンがその身で驚きを表現しつつ自らの疑問を口にした。

 

「黒蛇騎士達が下がっていったぞ…まさか、上にいるアイツが命令したのか?」

 

パイモンの問に答えないダインスレイヴに疑問を覚えて俺は彼を見やる。彼はジッと上に立っている黒蛇騎士を見つめ、ぼそっと呟いた。

 

「…ハールヴダン?」

 

何を以て昔日の故人と結びつけたのかは不明だが、ダインスレイヴは何かに思い当たったようだった。

 

「なるほど、これが真相だったとすれば実に悲惨なものだ…貴様らはここ層岩巨淵で起こる事象についての答えを欲していたな」

 

俺も旅人達も首肯く。ダインスレイヴはふぅ、と哀しげな溜息を一つつくと俺達より少し前に出た。いや、正確には後ろのヒルチャール達から離れていった、という方が正しいだろう。

 

「まずヒルチャールの件に関しては光を嫌悪するようになった彼等がここへやってきてやがて消滅することは知っての通りだろう」

 

そして、とダインスレイヴはこちらを見ずに更に続けた。

 

「そして、そのヒルチャールを護っているのが黒蛇騎士達、というわけだが彼等は自らの責務を果たしているだけに過ぎなかった。『自国の民を護る』という責務をな」

 

パイモンと旅人の表情が驚きに染まる。黒蛇騎士が宮廷親衛隊に所属していた存在であり、ヒルチャールが元々の民であったのなら自ずと導けることだろう。だが、それでいて何故今更ダインスレイヴが同じことを繰り返したのだろうか?俺の疑問への答えはダインスレイヴの口から紡がれた。

 

「そしてその命令を下していたのは…かつての宮廷親衛隊の若き精兵───ハールヴダンだろう」

 

先程呟いていた名前であり、またそこの黒蛇騎士を眺めていたことから察するにアレがハールヴダンなのだろう。そしてそうだと予想した理由をダインスレイヴは更に続ける。

 

「500年前、カーンルイアに災厄が訪れたあの日…俺は『末光の剣』として王宮に駆けつけた。だがその前にハールヴダンという騎士にとある命を下したのを、俺は微かに覚えている」

 

そこで、久し振りに記憶がフラッシュバックした。と、いうより蘇った、という方が正しいだろう。俺はその言葉を思わず呟く。

 

「…全ての黒蛇騎士に通達しろ、いかなることが起きようとも、そしていかなるものに変えてもカーンルイアの民を護り抜け…」

 

ダインスレイヴが驚きの表情を浮かべこちらを振り向く。

 

「貴様…何故その言葉を知っている」

 

「何、思い出しただけだ」

 

それに対するハールヴダンの答えはシンプルなものだったと記憶している。

 

一度目の俺はカーンルイアと懇意にしていた。そのためカーンルイアに災厄と終焉が訪れる日もその場にいたのだ。『黒土の術』を調べていた際の出来事だったはずだ。

 

500年前と変わっていないのであれば、だがまぁ間違っていればダインスレイヴが訂正してくれるだろう。

 

そう思って俺は口を開く。

 

「人間の国家には『身分』が存在する。だが、我々神々の前で、それらは個体をわかりやすくする程度のものでしかない。そもそも、神は自分が興味を持った人間以外には基本的に興味がないからな」

 

俺も実際、そのきらいはあるだろう。旅人もパイモンも、そしてダインスレイヴも納得がいったような表情をしている。

 

「所詮は神と人…姿形が同じでも、その本質は何もかもが違う。カーンルイアの例を出すのならば、俺達の前では『カーンルイア人』というカテゴリーしか存在していなかった」

 

旅人もパイモンも黙り込むことしかできないようだった。だが、ダインスレイヴだけは違った。

 

「だから、滅ぼしたのか?世界の害になるから、世界の理から外れているからという理由で、全ての民に永劫の呪いをかけるという意味はあるのか?」

 

珍しく怒っているようだ。彼を怒らせるのが得策とは思えないが…残念なことに俺とて神の一員なのだ。譲れぬ矜持もある。

 

「呪いはカーンルイア人自らの行動が招いた『結果』だろう。呪いまでこちらのせいにされては困る。が、今ここでそれを論じても意味はないだろう」

 

「…そうだな」

 

ダインスレイヴは珍しく熱くなっていたようだが一先ずはこの論争に区切りをつけて、俺は現状をどうするかを考え始めるのだった。




ナイハイゼンからアルハイゼンさんになったので今日から引くために頑張ります。あと20連もすればくるでしょう…フフフ…私の勝ちだ!!ふわっはっはっは!!

何…?綾華さんの新衣装だと…?

買うしかないな(使命感)

ということでなんとかします。探さないで下さい(?)
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