忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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モチベーション万歳!!(?)


第123話 昔日の命②

現状をどうするかを考えていると突如、黒蛇騎士達が下がって行った方向から爆発音が聞こえた。

 

「おわぁ!?なんだなんだ!?地面が揺れたぞ!!」

 

パイモンがそんなことを言うので俺と旅人でジト目を向けつつ、

 

「「お前(パイモン)は飛んでるからわからないだろ(でしょ)」」

 

そう言った。パイモンは顔を真赤にして空中で器用に地団駄を踏む。

 

「おいっ!!そんなことないぞ!!オイラだってなんか…こう…わかるんだからな!!」

 

適当だな、なんて思っているとダインスレイヴが切羽詰まった声を出した。

 

「貴様等、ふざけている暇があるのか?奥で何かが起きているようだ…行くぞ」

 

ダインスレイヴはそう言うやいなや奥へと走って行った。気付けばハールヴダンもいなくなっているようだ。俺は旅人達を一瞥すると、

 

「旅人、パイモン、俺達も行くぞ」

 

そう言うのだった。

 

 

 

奥、というより逆さになっている遺跡の残骸の上を移動していくと先程より爆発音と地揺れが大きくなり、少し熱気も感じられた。

 

「この先だな…」

 

俺は嫌な予感をひしひしと感じつつ少し広くなっている部屋に出た。途端、黒蛇騎士がこちらへ吹き飛んできた。それは俺の横を掠め旅人達の方へ勢いよく飛んで行く。旅人は問題ないだろうがパイモンは不味いな。旅人があの速度で吹き飛ぶ黒蛇騎士を処理できるとも思えないし…仕方ないか。

 

「岩壁」

 

俺は精度を上げるため法器を取り出して速攻岩元素で壁を作った。無論、黒蛇騎士は岩の壁に激突し気を失っているようだ。その様子を見た旅人とパイモンが胸を撫で下ろしつつ俺に礼を口々に言った。俺は気にするな、と返しつつ広間の様子を見る。

 

黒蛇騎士が結構な数存在しており、彼等の配置は何かを包囲するような感じだ。壁際にはやはりヒルチャールが存在している。

 

「そして…」

 

時折黒蛇騎士が吹き飛んでいる。そしてその度に熱気を感じるため相手は炎元素を扱うのだろう。と、いうか!!

 

「お、おいっ!アレって…!!」

 

パイモンが黒蛇騎士達の包囲網の中心部を指差す。旅人は驚いたように目を剥き、ダインスレイヴは目を細める。

 

「なるほど…あの気配、沐寧に化けていたヤツか…やはりな」

 

俺はパイモンの指差した方向にいる者を見て口の端を持ち上げた。

 

黒蛇騎士達と戦っているのはアビスの詠唱者・紫電とアビスの詠唱者・淵炎だった。やはりここには何らかの目的があってやって来ているようだな。加えて奴は恐らくアビスの使徒と並ぶアビスの怪物だ。そんな奴を派遣するのだから何か重要なものがあるに違いないだろう。

 

俺は刀を抜き放ち臨戦態勢を取る。無論、旅人も同じように剣を構えておりダインスレイヴだけは唯一自然体だった。

 

「さて、行くか」

 

何にせよ奴らを排除しないことには先へ進めない。拷問などは意味を成さないだろうから自分達で答えを見つける必要はあるが…生け捕りする必要がないのは少し楽なものだ。

 

俺は旅人を置いて素早く地を駆け黒蛇騎士達の間をすり抜ける。俺の存在に気付いたらしいアビスの詠唱者・紫電が雷を落としてくる。

 

雷は音速を通り越す光速だ。当然そんなもの避けられるわけがない。だが相手は意思を持つ存在だ。必ず俺のいる位置か、俺の動くであろう位置に雷を落とすだろう。そうとわかっていれば───

 

俺はジグザグに動きつつアビスの詠唱者・紫電の僅かな指先の動きに注視して雷を避けつつ前へと進んで行く。

 

───このように避けることは容易い。

 

『クッ…やはり貴様は私の手に余るか…ッ』

 

アビスの詠唱者・紫電が転移門を開いて中に入って行った。前よりも入るのが早くなっているように感じるので何らかの改良を施したのか、早く入る訓練をしたのか…後者だとしたら少し面白いが。入って行く直前にアビスの詠唱者・淵炎がアビスの詠唱者・紫電の肩を叩いていたが何かしらの意味があったりするのだろうか?

 

さて、俺は一旦止まってアビスの詠唱者・淵炎を見上げる。そこでようやく旅人が追い付いてきて同じように見上げた。アビスの詠唱者・淵炎は何でもない様子でこちらを見下ろしていた。

 

「久し振りだな、淵下宮以来か」

 

「やっぱお前…あの詠唱者なのか!!」

 

パイモンがアビスの詠唱者・淵炎、こと『淵上を自称する者』にそう言った。対する奴は肩を竦めるだけで答えは出さない。

 

「お前、地上で沐寧に化けてただろう。原理は知らないが…何が目的だ?」

 

俺は刀を構えたまま一歩前に出てそう言った。対する奴はまたも肩を竦めるだけかと思ったがしっかり答えを教えてくれるようだった。

 

「目的、目的か…俺はただ命令に従ったまでのこと。例えば地上の者に化けて回りくどいことをせずとも目的は達成できただろうな」

 

その目的も命令も理解できないし沐寧を殺さなかった理由も何もかも不明だ。俺は少し歯痒い気持ちを感じつつも問い掛けを続ける。

 

「それは答えになっていないだろう」

 

「寧ろ答えると思っているのか?我等は敵同士…殿下のお誘いを断った時点で───」

 

そこで奴の言葉は不自然なほどに途切れ、

 

「───まぁ、これは良いか…ともかくそうだな…言っていい俺の命令なら一つだけあるぞ」

 

そう続いた。仕方がないので聞く姿勢を整えた瞬間俺は自分の過ちに気が付く。だが俺のその後悔も遅く奴は転移門を開き入っていく。

 

「その命令とは…時間稼ぎだ。どうやら()()()()()()ようだからな」

 

転移門の中へ消える直前、俺の目には奴が以前と同じように再びニッと笑ったように見えたがその真偽を確かめることはできずに終わってしまった。俺は刀を仕舞いつつダインスレイヴを見ると苦々しい表情をしていた。

 

「お、おいダイン…どうしたんだよ?」

 

パイモンと旅人が心配そうにダインスレイヴを見やる。そしてそれは俺としても同じ気持ちだった。ダインスレイヴはこちらを一瞥すると重々しく口を開いた。

 

「奴は先程『準備が整った』と口にしていたな」

 

確かに去り際にそう口にしていた。ダインスレイヴは中央部分へ目を向けると指をさす。

 

「何にせよもうすぐ中心部だ。恐らくそこに行けば何かわかるだろう」

 

ダインスレイヴの言うことも一理あるため俺達は中心部へ向かうことにした。落ち着いて周りを見ると先程までいた黒蛇騎士は一匹…いや、一人もいなくなっている。どこへ消えていったのかは知らないが危害を加えなくはなったようだ。

 

「えへへっ、黒蛇騎士達がオイラ達を攻撃することはなくなったみたいだ。やっぱりあのハールヴダンって黒蛇騎士、ダインに気付いてくれたんだな!」

 

そのことに気が付いたらしいパイモンが暢気にそう言う。確かにそうかも知れないがどこまで信用していいやら、とばかりに俺は移動しながら辺りを見回す。

 

部屋の隅や他の暗い場所にはやはりピクリとも動かないヒルチャール達がおり、黒蛇騎士も点在しているようだ。ここにはかなりの数のヒルチャール達が来ているようだ。ここ近辺だけでなくテイワット中からやって来ていそうだな。

 

何回か瓦礫の上を飛び移ってようやく中心部と思しき場所に到着した。これまでとは打って変わって神聖さすら感じるほどで円状の広間は中心部へ向けて段々低くなっている。俺はそのまま天井へ目を向けると信じられないものを目にすることになった。

 

「なんだあれ!池の水まで逆さまになってるぞ!!」

 

「うん、不思議…」

 

旅人とパイモンがそんな感想を漏らす。そう、池の水が文字通り逆さまになっているのだ。俺の記憶にあんなものは存在していない。いや、覚えていないだけかも知れないが…と考えていると俺は自分の魂の状態が今までと少し異なっていることに気が付く。魂関連と言うと確実に呪いが関連しているだろう。

 

俺は呪い関連ということもあってダインスレイヴに視線だけで問い掛けると、

 

「…あの池は都市そのものと一体化している…恐らく旧文明の遺物だろう」

 

そして、とダインスレイヴは続けた。

 

「俺の予想ではこれが呪いの力を弱めていたものだろう。ここにいると身体が楽になっていくのを感じるからな…」

 

なるほど、つまるところあの池には『浄化』作用があるようだ。まぁ、旧文明の遺物程度で『魔神達の呪い』が浄化できるかどうかと言えば勿論無理だろうな。

 

「ってことはあの池の水を使えばダインやアガレスの呪いも解けるんじゃないか?」

 

パイモンがそう言うがダインスレイヴも俺も首を横に振った。

 

「俺は理性を保ったまま、この呪いと500年を共にしてきた。加えてアガレスは更に長い間その呪いに晒され続けている。俺達より呪いに詳しいものなど存在しないだろう…」

 

その言葉を聞いて俺は眉を顰めるがダインスレイヴはそんな俺を無視して続ける。

 

「これらの呪いは世界の因果に匹敵する烙印。そして、神々の呪いは人間そのものよりも遥かに格の高いものだ」

 

事実その通りだ。加えて、ダインスレイヴの受けた呪いは神々の怨恨によるものではないはず。俺を除いた『八神』で少なくとも…バルバトスもモラクスも、眞や影、そして…マハールッカデヴァータもそんなことは思わないはずだ。

 

だが俺の呪いはテイワットを蝕む存在や魔神達の怨恨が形となったものだ。それこそ正しく『神々による神を殺すための呪い』であり世界の因果に匹敵する烙印なのだろう。

 

「今正しくアガレスや貴様等が実践しているように…呪いによる侵食を一時的に抑える、或いは遅らせることは可能だ。しかし『浄化』ともなれば…」

 

ダインスレイヴが少し頭を悩ませているようだったので代わりに俺が例を言っておこうと思い口を開く。

 

「そうだな…イメージとしては身体の一部を叩かれてそれがずっと続く感じだな」

 

旅人とパイモンは?の表情を浮かべ、ダインスレイヴにはジト目を向けられる。どうやら俺の感覚とは違ったらしい。

 

ダインスレイヴは一つ大きな溜息をつくと俺とは違う例えを持ち出してくれた。

 

「アガレスの例えはさておき、身体の一部を焼かれ、灰になっていくのを想像するといい。それと同じ苦痛が身体を襲うことになるだろう。無論、そんな苦痛に命が耐えられるかどうかは別だがな」

 

パイモンが絶望的な表情に染まり、俺とダインスレイヴの両方を見やる。俺は少し笑うと感じることのできる池の作用を軽く説明した。

 

「あの池は多少呪いを抑えることができる程度だろう。まぁ浄化作用のあるものがこの世界にあるってわかっただけでも儲けものじゃないか」

 

「それは…そうだけど…」

 

それより、とばかりに俺は中心部にある明らかに不自然な装置のような物を見る。

 

「この都市は全て逆さまになっている。なのにも関わらずアレだけ逆さまではない…というのは不自然じゃないか?」

 

見たところ装飾というわけでもなさそうだし装飾ならとっくの昔に風化していそうなものだろう。そしてダインスレイヴもあのような装置は見たことがないらしかった。

 

「…?」

 

『…』

 

少し気配を感じて後ろを見るとハールヴダンがこちらをジッと見つめていた。が、やがてすぐにその姿を消した。

 

俺の様子に気が付いたらしい旅人が首を傾げながら「アガレスさん、どうしたの?」と聞いてきたので先程の事を伝える。

 

「…追ってみるか」

 

俺がぼそっと呟くとダインスレイヴも首肯く。どうやら彼も賛成のようなので旅人も交えてハールヴダンの去った方向へと移動を始めるのだった。




お陰様でアルハイゼンが出ました、よって私の勝ちです(?)
来月になれば綾華さんの衣装も買えます、つまり勝ちです(?)
何が言いたいかと言いますと私の勝ちです(?)

アガレス「そういうのは活動報告でやろうな??」

???「全くだ。君は作者だろう。作品に関係ないことをして注意されたらどうするつもりだ?俺は別に構わないが」

アガレス「お前…正論だけどそれはウザいぞ?」

???「それほどでもない」

アガレス「褒めてねぇよ」

というプチおまけ。何故入れたのか?特に意味はありません、やりたかっただけですはい。
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