忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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今回あとがきによくわからんおまけがあります。

ついでに、本編で若干のキャラ崩壊があるかもしれません。ま、ご愛嬌ということで許してくれたらちょんまげします(?)

アガレス「お前…『許してちょんまげ』ってもう古いんだぞ?知らんのか?」

いや、知ってるけどさ、いいじゃん別に。古いからって使っちゃいけないって法律あるんですか〜?お馬鹿さんですか〜?プークスクス。

アガレス「口悪いの良くないぞ○ね」

良くないッて言葉を一旦辞書引きしたほうがいいと思う。

ということで本編どうぞ(?)


第128話 問題は目覚めと共に

どれくらい経ったのかは不明だが、俺は目を覚ます。旅人とパイモンの声ではなくベッドの上だった。

 

「…知らない天井…ではないな。よく知っている天井だ」

 

随分と長く眠っていたのか俺の肉体の傷は完治していた。まぁただ水元素で癒やされただけかもしれないが。俺はベッドから起き上がると普段の格好になってドアを開けた。

 

「…やっぱり、救民団本部だよな」

 

久し振りに帰ってきた感覚だ。層岩巨淵にはなんだか物凄く長く滞在した感覚があったから事実地表に来るの自体が久し振りかもしれない。

 

「…時間は14時、順当であれば救民団には誰もいない、よな」

 

依頼があるはずだからこの時間帯は誰もいないはずだ。

 

と、思って下に降りると会話が聞こえてくる。

 

「───わああ、やっぱりいつ来てもノエルの料理は美味しそうだよな〜」

 

「本当、ここまでの物を見るのは久し振りだわ。私は普段会食とかもしないし」

 

「パイモン、まだ食べちゃ駄目だよ?ノエルが席に着いてからだからね?」

 

「わ、わかってるぞ!!決して、待てないわけじゃないんだからな!!うう…でも美味しそうだぞ…じゅるり」

 

この声は旅人にパイモン…そして、あまり聞き覚えのない声だがしっかり覚えている声だった。俺は下にそのまま下って食卓を見ると、いち早く俺に気が付いたらしいここにいるはずのない女性───夜蘭がこちらを微笑みながら見ていた。

 

「あら、起きたのね。3日間も眠っていると聞いたから随分と怪我が多いと勝手に思っていたのだけれど」

 

若干皮肉っぽい言葉に俺は苦笑を浮かべながら食卓へ向かう。

 

「それなりに多かったが見ての通り完治したよ。お陰様でな」

 

俺の声に驚いたらしい旅人とパイモンがこちらを見て目を剥いた。ついでに、台所の方と、そしてソファがある方角からもドタバタと音が聞こえた。ノエル以外にも誰かいるようだ。

 

「あ、アガレスさん!もう大丈夫なの!?」

 

「ああああアガレス!!全然起きないから死んじゃったかと思ってたぞ!!」

 

旅人とパイモンが俺の体をペタペタと触りながら異常がないか確認しつつそう言った。俺は固まって動けなかったが問題ないことをなんとか伝えて二人に離れてもらった。

 

少ししてからノエルがとてとてと走ってきた。

 

「あ、アガレスさま!!」

 

そのまま俺の体をぺたぺた触ろうとしたので俺は止めつつ苦笑する。

 

「そのやり取りはさっきした。問題ないから安心してくれ…というか、心配かけてすまなかったな」

 

俺のその言葉にノエルは緊張が解けたのかぺたんとその場に座り込んだ。本当にかなり心配をかけてしまったらしい。俺は座り込んでしまったノエルを横抱きに抱えてソファに座らせた。

 

座らせた瞬間、背後から衝撃を感じた。俺のお腹あたりに手を回されているので抱きつかれているとわかった。

 

「なんというか…うん、心配を皆にかけまくったのはよくわかった。だから影、少し離れてくれないか?」

 

俺は後ろから抱きついてきた影に向けてそう言った。

 

 

 

さて、食卓に座った俺は一先ず俺は状況を整理することにした。

 

「それで、夜蘭はなぜここに?」

 

俺は夜蘭にそう問いかけた。ある程度予想はつくが、俺はそう問いかけた。夜蘭は苦笑すると俺のすぐ横を指さして、

 

「その前に…それ、なんとかしなくていいの?」

 

そう、俺の右腕には今、影が抱きついている。中々離れなかったので折衷案としてこうしているのだ。まぁ、俺も幸せであることは言うまでもないのでどうにかしようとも思わない。

 

そのため、俺は夜蘭の言葉に首を横に振って、

 

「影のことは気にしなくていい。それで、モンドまでわざわざ何をしに来たんだ?」

 

俺は影の頭を撫でながら夜蘭に視線を向けた。夜蘭はいよいよ気にしないようにして話し始めた。

 

「あなたならわかっていると思うけど、依頼の首尾を聞きに来たのよ。あなたがボロボロになって帰って来たから本人に直接事情を聞いたほうがいいと思って」

 

夜蘭が来たということは勿論そういうことだろう。まぁ、怪我人を遠い璃月まで赴かせるわけにはいかない、という凝光なりの気配りだろうな。今度何か手土産を持って行くとしよう。

 

さて、夜蘭はアビス教団のことも知っているだろうし恐らく全部話してしまっても問題はないだろう。

 

「層岩巨淵に入り込んでいたのはアビス教団の奴だ。勿論、捕らえられていた沐濘は救出して、潜り込んだヤツは撃退しておいた」

 

アビス教団の手の者だと聞いた夜蘭は驚いたような表情を浮かべたが、すぐに得心がいったのか顎に手を当て考え込みつつ、

 

「…私でも痕跡を追えなかったから普通の間者ではないと思っていたけれど…まさかアビス教団の者だったなんて…」

 

夜蘭は席を立つと、

 

「アガレス、悪いけど私はすぐに璃月へ帰るわ。諸々の対策を立てなきゃいけないから」

 

そう言ってそのまま玄関へ向かい、ドアノブに手をかけ開く。出て行く直前にひょっこり顔を出すと、

 

「そうそう、快復おめでとう。それと、ノエルさんだったわよね、お料理美味しかったわ。それじゃ」

 

そう言って微笑み救民団本部を出て行った。報告としては多分問題ないし後は夜蘭がなんとかしてくれるだろう。どちらにせよ、俺は今動けないからな。

 

「取り敢えず…ノエル、飯を貰えるか?流石に腹が減った」

 

夜蘭を見送った俺は嬉しそうにしているノエルにそう言う。すると、ノエルはこちらに視線を向けて微笑む。

 

「はい、お任せ下さい。お粥をお作りしますね」

 

そう言ってキッチンへと戻っていく彼女を見つつ、物思いに耽る。

 

俺が復活して初めて出会った人間の少女であり…俺を孤独感から救ってくれた存在でもある。出会った頃とは打って変わって、俺がいなくても充分生きていけるくらいに逞しく成長してくれた。一つだけ心残りがあるとすれば…俺のために彼女の夢だった西風騎士を辞めさせてしまった、ということだな。

 

彼女は気にしていないようだったが恐らく強がりだろう。だからこそ余計に申し訳無さが俺の心の中で膨れ上がる。

 

「…今からでも問題ないとは思うがな…彼女がいなくては救民団も回らんだろうし…」

 

「…アガレス?」

 

俺の右腕に抱きついたままだった影が俺の顔を見ながら怪訝そうに首を傾げている。俺はそんな彼女の頭を軽く撫でると、微笑みながらなんでもない、と告げる。

 

「で、旅人。層岩巨淵の探索はどうなったんだ?」

 

影が俺の左手を離してくれなかったので頭を撫でたままになっているが構わず食卓に座っている旅人に問いかけた。旅人は少し考えるように首を傾げると、

 

「多分一番奥まで行けたと思う。ドラゴンスパインにある寒天の釘と似たようなものがある大きい空洞の奥はなさそうだったし」

 

なるほど、と俺は納得した。確かに3日間も眠っていたら最奥まで辿り着けるよな。

 

まぁそれにしても、寒天の釘のようなものが層岩巨淵の奥にあった、というのは驚きだ。ドラゴンスパインには失われた文明があるし、層岩巨淵の地下にあった文明も…もしかしたらそこと関係があるのかもしれないな。

 

「まぁ細かいことはいいか…今はゆっくり休みたい気分だ」

 

影の頭を撫で続けているので左手は休まっていないが心はかなり落ち着く。影も幸せそうに頬を緩めているので元気になってくれそうだ。

 

それはともかく、俺の言葉に対して旅人とパイモンは顔をそれぞれ見合わせて苦笑いを浮かべた。影の頭を撫でている手を見ていたので、休めていないと思われているらしい。

 

「まだまだ甘いな」

 

「え?空気の話?確かに影とアガレスさんがいる空間は大体甘いよね」

 

「そういう意味じゃない」

 

「アガレスさま、お待たせいたしまし、た…?」

 

ノエルが笑顔でお粥を運んできたのだが俺が影の頭を撫でているのを見た瞬間固まった。勿論、お粥は落とさずにしっかり持っている───いや、お盆からミシミシと音が鳴っている。

 

どうやらしっかり持ちすぎているようだ、と俺は白目を内心剥きながら思う。

 

「アガレスさま、その方と随分と距離が近いですね…前に仰られていたご友人ですか?」

 

「う、ウンソウダヨ…」

 

ノエルの不思議な圧に俺は目を逸らしながら答える。まさか友人どころか両思いとも言えず俺はただ冷や汗を流すことしかできない。

 

神を萎縮させるほどの圧を出せるようになったのかノエル…割と真面目に彼女を鍛え始めた時魔神を倒せるくらいに…という冗談が現実味を帯びている気がする。

 

ノエル…こんなに立派になって(白目)。

 

さて、萎縮している俺とは裏腹に影は先程までの嬉しそうな表情とは一転して凛とした表情を浮かべている。

 

「はじめまして、先程は自己紹介が遅れ申し訳ありません。わたくしはノエルと申します」

 

普段よりずっと不思議な圧を帯びているノエルのその言葉に対しても尚、影は凛とした様子を崩さずに告げる。

 

「私は…私のことは影と呼んで下さい」

 

「影さま、ですね。影さま、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「その前に」

 

影がノエルの言葉を遮って俺に視線を向ける。視線の意図がわからず首を傾げていると影が俺の右腕から離れ、今度は右腕だけでなく上半身に抱きついてきた。

 

「ちょッ!?」

 

俺は顔が熱くなり頭が真っ白になって何も考えられなくなった。

 

そんな中、影はノエルに宣言する。

 

「アガレスは渡しません!!」

 

影の言葉にノエルはその視線を一層厳しくし、旅人達はこっそり玄関から逃げようとしている。

 

少し冷静になってきた頭で俺は現状を分析し、そしていつぞや稲妻城でも同じようなことが起こったのを思い出した。

 

つまるところ…これは修羅場というやつである。




拗らせノエルさんvsお惚気影ちゃん、そして爆散するアガレスと旅人達、果たしてどうなってしまうのか!?

次回、忘れ去られたもう一柱の神、『修羅場は続くよどこまでも』

お楽しみに!!

あとがきにおまけがあると言ったのにまえがきの方が長いってどういうことなんでしょうか。

追記 : 普段は救民団本部で住み込みで働いているアンとヴィクトルですが、この時だけ璃月支部に逃げてます。まぁ、アン曰く「嫌な予感がしたから」だそうです。まぁ当然、璃月で拘束されていたのを脱獄してますからね。夜蘭姉さんに見つかったら当然捕まっちまいますよ。
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