忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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IFストーリーばっかり書いてたからこっち滞ってたな…やらかしマンボウ(?)

そろそろ話進めなきゃな〜なんて思っている今日この頃


第131話 休養とお見舞い②

ジンやリサ、そしてバルバトスが帰って一人になった時間で心を休めていると、遂に扉がノックされた。どうやら次の見舞い人が来たようである。

 

因みに先程リサからの見舞い品としてハーブティーをいただいた。渡し忘れていたようで後からノエルに渡してくれたらしい。なんだか気を遣わせてしまったような気がしたが、リサの厚意を無碍にする訳にも行かず、俺はなんだかんだノエルに礼を伝えておくように伝えておいた。

 

それはそうと見舞い人だが、今度は璃月からだった。

 

「アガレス殿」

 

そしてやって来た人物を見て俺は思わず目を見開くと、

 

「重雲…まさかお前が来てくれるとは思わなかった。それに申鶴も」

 

微笑みながらそう言った。そう、見舞い人とは重雲と申鶴のことであり、来てくれるとは思わなかった俺は思わず驚いてしまっていた。そんな俺の様子を見た重雲が申し訳無さそうな表情をしながら、

 

「申し訳ない…本当は行秋も来たいと言っていたのだが…」

 

そう言った。俺はそんな重雲に対して気にしなくて良いことを告げつつ、行秋にもまた今度来てくれればいいことを伝えてほしいことを重雲に伝えた。重雲は然と首肯き、「心得た」と言ってくれた。

 

俺達はそのまま少し談笑すると、そのまま話の流れで重雲が見舞い品を取り出した。見舞い品は数枚の御札だった。俺はその札を手に取って首を傾げていると、

 

「これは僕達方士一族に伝わる護符だ。アガレス殿にはあまり必要ないかも知れないが、力の弱い妖魔を退ける力がある。それとは関係なしに御守りとしても使えるから、なにか役に立つかと思って持ってきたんだ」

 

重雲が少しだけ笑いながら教えてくれた。なるほど、と思いつつ俺はまじまじと護符を見た。俺は方士の術方面には疎いのでこれがどれほど凄いものなのかはわからないが、彼の厚意を無駄にしないようにしっかり持ち歩くことを決めた。

 

「ありがとう、大事に使わせてもらうよ」

 

俺のその言葉に重雲は少し照れつつも嬉しそうに首肯いていた。そのまま申鶴に視線を向け、

 

「さっきも聞いたが、最近は仕事にやりがいを感じてるんだって?」

 

そう言った。

 

層岩巨淵に旅立つ前に一応申鶴とは少し会話したのだが、その時からかなり人間味のある話し方ができるようになってきたと俺は思っていた。沢山の人と接触する仕事なだけに、人と話す機会がかなり多くなったはずだし当然だろう。

 

救民団はコンセプトからしてリピーターは多い。つまり、依頼者の人となりが、仕事を通じてある程度わかってくる。申鶴は人と関わることがなかったからか人を知ることも楽しんでいるように見える。そして、依頼を終えた時に依頼者が見せる笑顔を見ると自分も嬉しくなるようで…といった具合にやりがいを感じているようだ。

 

申鶴は俺の言葉に首肯くと微笑を浮かべた。この調子なら本当にそう遠くない内に赤紐に頼らなくても良くなるだろう。ただ、俺は申鶴についてまだ知らないことがあるだろうし、赤紐云々は留雲借風真君に確認してからの方が良いだろうな。下手なことをして彼女自身の努力を無駄にしてしまうのだけは避けたいし、何より彼女が今の感情を大切にしてくれているのなら赤紐をつけたままでもきっと大丈夫だろう。

 

「それは本当に良かった。留雲のヤツに頼まれたことは…ほぼほぼ達成できたと言えるだろう。友達もできたりしたんだろう?」

 

俺は重雲から貰った護符を近場の机の上に置きつつ申鶴にそう問い掛けた。申鶴はコクリと首肯くと、

 

「その友人に見舞い品について相談したのだが───」

 

───申鶴さんにとってその方はきっととても大切な方なのでしょう。そして恐らくその方にとっても申鶴さんが大切なはずです。ですから、申鶴さんがその方に贈りたいと思ったモノを素直に贈りましょう。勿論、私も手伝いますから!

 

「───そう言われてな…アガレス殿への見舞い品は我が考えたモノだ」

 

申鶴はしみじみと友人の言葉を呟いて、自分で考えて見舞い品を選んでくれたことを明かす。俺は申鶴にできた友人の言葉にどこか感銘を覚えつつ、きちんと申鶴が友人を持てている事に対して自分でも驚くくらい嬉しい気持ちになった。

 

そんな申鶴は自分の足元に手を伸ばすと、何かを手に持った。少し柔らかな香りが鼻腔をくすぐり、俺は申鶴の手元に視線を注ぐ。

 

申鶴からの見舞い品とは、清心のドライフラワーだった。彼女の手には数本のドライフラワーが握られており、そこから先程俺の鼻腔をくすぐった良い匂いが漂ってくる。俺は申鶴からドライフラワーを受け取りつつ、口を開こうとしている申鶴の雰囲気を察して聞く態勢を整えた。

 

「花の香りには、心をリラックスさせる効能があると鍾離殿に教えてもらったから…清心を取り、我の氷元素でドライフラワーを作ってみたのだが…気に入らなかっただろうか?」

 

俺が無言だったからか、申鶴は見舞い品が駄目だったと思ったようで少し落ち込む様子を見せた。俺は慌てて手をブンブン振りながら気に入ったことを申鶴に伝え、かつ礼を述べると適当な花瓶を見繕ってドライフラワーを飾る。部屋の中に清心の香りが満ち、実際に俺の心が休まるのが感じられた。

 

そんな中、怪我人と余り長らく話すのも良くないと思ったらしい重雲が席を立つと、

 

「それではアガレス殿、ここらでそろそろお暇させてもらおう。ゆっくり休養を取ってくれ」

 

そう言った。申鶴も重雲が立ったのを見て自らも立ち上がると、同じように別れの挨拶をする。

 

「ではアガレス殿…くれぐれも体調には気をつけて」

 

「ああ、ありがとう」

 

そう言って二人共部屋を出て行った。仕事もあるだろうし、何より先程述べた通り怪我人と長らく話すのも良くないと考えたんだろうしな。

 

それにしても申鶴も重雲も、色々なことを経験しているのだろう。前に会った時よりずっと良い面構えだった。行秋に会えなかったのは残念だが…その内会いに行くべきだろうな。

 

それはそうと、今日は夕方だし多分もう来客はないだろう。影とかは無理矢理にでも来そうだが、ここ最近は眞に執務を任せきりみたいだし、そろそろちゃんと眞に引き止められる頃だろう。となると本格的に来客はあり得ないかも知れないな。こっからは暫くまた一人の時間ってことか。

 

改めて思うと、復活してから基本的にずっと誰かと一緒だったな。最初はノエル、そしてバルバトスと再会して…西風騎士団の人間とは大体モンドにいる間は一緒だったな。旅人が来てからは旅人と一緒に行動を共にして…璃月では仙人や七星、なによりモラクスとも会って…稲妻は只野達に加えて神里兄妹や九条裟羅、そして何より雷電将軍と一緒だったな。

 

そう考えてみると復活してから既に結構…大体2、3年も経っているのか。長い俺の生の中では勿論かなり短い時間かも知れないが、かなり濃密な時間だったと思えるのは様々な出会いを経験したからだろうな。

 

「一人になると色々なことを考えてしまって良くないな…全く」

 

勿論ネガティブな感情ばかりじゃない。だが、一人寂しくこのベッドに横たわっていると、やはりネガティブな感情が浮かんでしまうのは仕方ないだろう。

 

西側から差し込む夕陽が俺の顔を照らしている。そう言えば、以前申鶴と初めて会った時旅人のお願いをなんでも一つ聞くという約束をしていたな。今度旅人に会った時にでも聞いてみるとして…いい加減暇になってきたな。

 

昔から俺の周りには必ずと言っていい程友人がいた。だからこそ話題にも暇潰しという意味でも困らなかったのだが、残念なことに今は誰もいない。つまるところ、俺は一人の時間に慣れていないのだ。

 

「…そう考えると自分一人の時間っていうのは久し振りだな…稲妻城で過ごした時以来か。あの時は娯楽小説もあったし…って、娯楽小説明日買いに行こう!!」

 

だが、どうしようか考えている時に復活してから初めて稲妻城を訪れた際にも一人の時間が多く、その時にしていたことを思い出した。

 

明日になればバーバラの経過観察も終わるはずだし、稲妻の様子を見に行くついでに娯楽小説も買いに行くことにするのだった。




ということでモンド、璃月組は来ていただきましたが…稲妻組は稲妻でお見舞いしてもらうことにします。

理由?なんとなくだ(?)
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