忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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なんかシリアスな話あまり描いてなかった関係で忘れかけてる…やばいです!

まぁそもそも忙しかったからね、学業やら部活的なアレやら…。

そんな中で描いた久し振りのシリアス回(笑)をどうぞ。


第134話 層岩巨淵、再び

「───さて、冒険者協会からの依頼だって?」

 

救民団璃月支部にて、稲妻から帰ってきた俺は一旦休んでいたのだが指輪越しに旅人と話していた。なんでも冒険者協会から再び層岩巨淵へ行ってほしいと頼まれたそうだ。それで俺にも協力を仰ぎたくて指輪で通信した、という運びらしい。

 

俺は少し考えてから返事をした。

 

「…わかった、丁度璃月支部にいるから訪ねて───すまない、切るぞ。とにかく璃月支部へ来てくれ、それじゃあ」

 

のだが、途中で左手の薬指に嵌めた指輪が少し震え始めたので多少強引に通信を切ると左手の薬指の指輪を俺は弾くのだった。

 

 

 

少しすると急いだ様子で旅人が璃月支部へと入ってきた。

 

「アガレスさん!急いで通信切ってたけどどうしたの!?」

 

旅人に少し遅れてパイモンもやって来た。パイモンも息切れしている様子だったが旅人程ではなく程よく手を抜いてきた感じだ。俺は旅人の言葉に苦笑すると、左手の薬指の指輪を指差しつつ、

 

「ちょっと別の通信が入ってな。別になにかあったってわけじゃない」

 

そう言った。言われた旅人もパイモンも胸を撫で下ろしていたが、すぐにパイモンが、

 

「ん?ってことはアガレス、指輪もう渡したのか?相手は誰なんだよ〜」

 

ニヤニヤしながらそう聞いてきた。間違いなくわかってて言っているのだろうが、まともに取り合う必要はないだろう。と思ったのだがなんだかそれだとパイモンが可哀想なので、

 

「わかってるだろう?まぁ、左手の薬指に指輪してるからわかるやつにはわかってしまうけどな」

 

そう普通に答えた。さて、それはそれとして俺は旅人に視線を向けると、

 

「それじゃあ行くか、旅人」

 

そう告げた。旅人は少し笑うと首肯いて返事をするのだった。

 

 

 

層岩巨淵地下鉱区にて、俺は旅人に最奥と思われる場所まで案内してもらった。最奥にはドラゴンスパインにあった寒天の釘と同様のモノと思われる物があった。ただそれ以外は特段おかしな所は見当たらない。

 

「…旅人、冒険者協会からの詳しい依頼の内容は一体何なんだ?」

 

改めて何の依頼か気になった俺は旅人にそう聞いてみた。旅人は少し思い出すような素振りを見せると、口を開く。

 

「えっとね、個人的な依頼らしくてその内容が───「おお、旅人にパイモンじゃないか。来てくれたんだな」あ、うん依頼主が来たみたい」

 

そして説明の途中で依頼主とやらの声が聞こえ遮られた。やがて現れたのは全体的に緋色の服装をした女性だ。そして耳の形が常人のそれではないのだが、俺は彼女に見覚えがあった。

 

彼女も俺に見覚えがあったのか、少しばかり俺をまじまじと見つめてから驚いたように目を見開いた。そして、

 

「煙緋か、久し振りだな」

 

「アガレス殿じゃないか…!いやはや驚きだ、まさか斯様な所で再会するだなんて…」

 

お互いにそう言って再会を喜ぶ。煙緋は半仙の人間で現在は法律家だ、というのは旅人から聞いていたのだが復活してから関わる機会が実はなかったのだ。救民団璃月支部としての付き合いは何度かあったようだが、実際は俺がいない時のものだ。

 

さて、それはそうと普段璃月で法律家として仕事をしている煙緋が何故このような層岩巨淵の奥地にいるのだろうか。

 

旅人が煙緋を見て依頼主と言っていたから彼女がここに何らかの用事があることは間違いないだろうが、はてさて一体何の依頼でわざわざここまでやって来たのだろうか?

 

俺は詳しい話を煙緋に聞こうと思って口を開こうとしたのだが、煙緋は突如何かに気が付いたようにビクッと肩を震わせると旅人達と共に物陰に隠れた。残された俺はふむ、と一つ唸ると、

 

「…俺を追って来たわけじゃないな。何か用か?」

 

そう言って振り向く。突然振り向いた俺に驚いたのか、少し遠くにいる人物は結構仰け反っている。

 

「お、お前…俺様の一騎討ちを邪魔したヤツじゃねぇか!!」

 

一騎討ちを邪魔した、と聞いて思い当たる節は一つしかない。稲妻での武家の再興の折解決した辻斬り事件のことだろう。現在暗闇でその姿を見ることができなかったが、その言葉で誰だかわかった俺はその名を呼んだ。

 

「荒瀧一斗か、こんな所でお前に会うことになろうとは」

 

少しずつ近付いてきた男───二本角が特徴的な鬼族の末裔である荒瀧一斗が俺を睨みつけている。だが、どうやら今回は彼だけではないらしい。

 

緑色の頭髪と口元を隠すマスクに忍びのような服装…ああ、話に聞いていた荒瀧派のNo.2か。

 

その彼女は俺に掴みかかろうとしている荒瀧一斗の頭をパコーンッと殴った。

 

「ってぇ!!おい忍、俺様に何しやがる!!」

 

忍と呼ばれた彼女は荒瀧一斗を羽交い締めにして抑えつつ、

 

「どうも初めまして、私は荒瀧派の久岐忍だ。いつも親分が迷惑をかけてしまって申し訳ない、アガレス殿」

 

そう自己紹介をした。なんというか、荒瀧一斗に比べて圧倒的に落ち着いている感じがする。荒瀧派の体裁は彼女が保っていると言っても過言ではないわけだ。つまるところ、九条裟羅の言っていた久岐忍の評価は正しかったというわけだ。

 

俺は久岐忍の言葉に対して返事をするのを忘れかけていたので、気にする必要はない、とだけ返すと、

 

「それで、お前達は何故こんな奥地へ?」

 

そう問い掛けた。まぁ荒瀧一斗は俺の言葉に答えてくれはしなさそうだし、俺は久岐忍を見ながら告げたのだが、正解だったようだ。

 

「私達は、私達を助けてくれた恩人を探すためにここまで来たんだ。桃色の髪をした法律家を見なかっただろうか?」

 

となると煙緋が隠れた理由はこれか…と内心で納得しつつ、俺はフッと笑うと、

 

「そこの物陰に隠れてるぞ。若干おまけがついてるが許してやってくれ」

 

そう言った。

 

「なんで言っちゃうんだよアガレス!?ってか、おまけってオイラ達のことか!?」

 

おまけ…もといパイモンが物陰から出てきて器用に地団駄を踏み、そしてしまったという表情を浮かべる。パイモンが出てこなければ俺の話が嘘かも知れない、で済んだのだが現にパイモンが出てきてしまっている。

 

ということで堪忍したのか煙緋は苦笑を浮かべつつ出てきた。

 

「いやぁ、やっぱりアガレス殿に任せてしまったのは間違いだったな…こうなるとは思っていたよ」

 

どうやらわかっていて逃げたようだが、それならそれで旅人に対応を任せたほうが…なんて思ったのだが大根役者であるパイモンが確実に足を引っ張ることだろう。煙緋は俺にジト目を向けると、

 

「アガレス殿のことだから、変な禍根を残してはいけない、とかの理由で私の位置を教えるんじゃないかと思っていたんだ」

 

そう言った。事実その通りなので何も言えないが、荒瀧一斗は兎も角として久岐忍がいるなら然程長引かせずに要件を済ませることだろう、という考えもあってのことだ。実際、煙緋の登場に色めき立っていた荒瀧一斗は再び久岐忍によって大人しくされている。

 

煙緋は二人からの謝意を受け取り照れ臭そうにしていたが、「法律家として当然のことをしたまでだからそんなに気にする必要はないぞ」と言っていた。

 

そう言えば荒瀧一斗と久岐忍が璃月を訪れた理由だが、久岐忍の同文学塾の卒業証書を取りに来ていたらしい。その折に荒瀧一斗が千岩軍と揉めて連行されかけ、そこを煙緋が助ける…といった流れだったそうだ。

 

まぁそもそも、煙緋を執拗に追いかけてきたのは荒瀧一斗の独断で、久岐忍は嫌々ながらも人様に迷惑を掛けないようにとついてきたらしい。結果的に多少迷惑はかけているが、その理由が人助け───というより恩返しのためだというのであまり強く責められないのだろう。久岐忍も煙緋も困ったように笑うだけだった。

 

なんだかんだ大所帯になってしまったため帰ろうかと思ったのだが、旅人に煙緋が冒険者協会を通じて秘密裏に依頼し、その旅人が俺に手助けを頼んでいるのだから当然俺が帰る訳にもいかないだろう。

 

さて、そんな旅人だが煙緋と久岐忍、そして俺を尻目に荒瀧一斗と話している。煙緋と共に出てきたかと思えば旅人もパイモンも苦笑いを浮かべて、

 

「煙緋を追ってた人達って一斗のことだったんだ」

 

「一斗…ストーカーは立派な犯罪なんだぞ?」

 

とそれぞれがそう言っている。それに対して荒瀧一斗は再会を喜ぶ一方で、

 

「おい、俺様がストーカーなんかするわけねぇだろ!俺様はただ、恩人を助けてやりたかっただけだ」

 

そう言った。人はそれをストーキングと呼ぶのだぞ一斗…などと思いつつも口に出すようなことはしない。良くも悪くも彼は純粋な正義感を持って真っ直ぐに生きていてくれた方が良い。いや、この場合は法律もちゃんと教えたほうが良いのか…?

 

うーんと唸りながら悩む俺だったが、何故悩んでいるのか少しわからなくなってきたため、考えるのをやめた。

 

煙緋はそんなやりとりを見つつポリポリと後頭部を掻くと諦めたような表情で遠くを見ながら、

 

「ひ、一先ずこれも何かの縁だ。まぁ詳しくは話せないが君達も私の手助けをしてくれると助かる。旅人の友人であるならば信用もできるだろう」

 

とそう言った。その言葉で荒瀧一斗と久岐忍の二人が煙緋の依頼の手助けに加わることが確定したのだが、荒瀧一斗は煙緋の言葉に興奮したように久岐忍へ視線を向けると口を開いた。

 

「ほら、聞いたかよ忍!俺様の言った通り、どんなにすげぇヤツでも誰かの助けを必要としてる時があんだよ!そして、俺様がそこを颯爽と───あだっ!?」

 

しかし話の途中で再び久岐忍に拳骨を落とされ、俺達はその様子を苦笑しつつ見守るのだった。




ということで、この一連の話が終わればスメール行くことになるでせう…いやぁ〜、頑張って考えようね作者(自己暗示)
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