忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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恐らく今日最後の投稿ですどうも。最後だけあって少し長めですね


第6話 魔龍ウルサの討伐

「───ノエル、離れたところから見ていてくれ」

 

俺は大剣を取り出しながら後ろで緊張した様子のノエルにそう言った。俺達の眼前には荒ぶる魔龍が存在しており、威嚇のためか喉を鳴らしている。

 

「大剣の扱い方をしっかり見せてやろう」

 

そう言いながら俺が地を蹴ると同時に魔龍ウルサも咆哮を上げながら突進して来るのだった。

 

 

 

時は少し遡り、モンド城付近上空。

 

「寒くないか?」

 

俺は今ノエルを横抱きに抱えたまま空を飛んでいる。そのため勿論地上よりかは温度が低い。しかもノエルは薄着なのでもしかしたら寒いかな、なんて考えてそう聞いたのだが、

 

「い、いえ、大丈夫です!アガレスさまが炎元素で温めてくださっているので…」

 

ノエルの言葉が虚勢でなければ案外大丈夫そうだ。

 

とはいえ、今は雨が降っているし尚の事体温が奪われるだろう。だから飛びつつも雨を風元素で防ぎつつ、炎元素で暖を取っている、という感じだ。上空100mほどを飛んでいるので、普通にしているとやはり少し風もあって寒いからな。

 

そういうわけで、この飛び方が一番最適だと思う。

 

「ん、あれか…?」

 

ドラゴンスパイン付近の森に禍々しい気配がある。木々が現在進行系で薙ぎ倒されているのが見て取れるので、恐らく魔龍はあそこにいるのだろう。

 

「ノエル、降りるぞ。しっかり捕まっていてくれ」

 

「はい、アガレスさま!」

 

俺は風元素を何段階にも重ねがけし、落下の衝撃を完全に殺して着地した。降り立った辺りは平地になっており、草原が広がっている。

 

そのまま俺が真正面を見ると、少し離れた所の木々がメキメキと音を立てながら倒れてゆく。木々の合間からは、黒い体躯と禍々しいオーラが見て取れた。

 

どうやらビンゴらしいがノエルをこのままにしておくわけにはいかないだろう。俺はノエルを見ずに大きめの声を出す。

 

「ノエルは木の下にいるといい。ただ、戦闘の余波があるだろうし、木の裏に隠れておいてくれ」

 

俺の言葉にノエルが首肯いたのがわかったが、ノエルはそのまま適当な木を見つけて向かう。向かいながら、

 

「アガレスさま…だ、大丈夫なんですか…?」

 

ノエルは心配そうに俺にそう聞いた。しかし言っている間に、俺の真正面にあった木々を薙ぎ倒して遂に禍々しい黒龍が姿を現した。

 

「っ…あれは…ッ」

 

魔龍の首筋にはこれまた禍々しい水晶のようなものがついている。ノエルもそれに気が付いたらしく指を差しながら俺に向け叫ぶように言った。

 

「アガレスさま!あれは…!?」

 

俺はアレを見たことがある。かつて『終焉』を止めるためにモンドを通りがかった際に見たものだ。

 

「……毒龍ドゥリンの毒血だ」

 

「ドゥリンって…逸話にあるあの、でしょうか…?」

 

俺は魔龍───ウルサの動向を注意深く見つつノエルの切羽詰まった声に対して冷静に首肯く。

 

しかし、何故毒龍ドゥリンの血液が魔龍ウルサに付着して、或いは侵食しているのだろうか?

 

考えられるとすればやはり…。

 

「『アビス教団』か…」

 

あの連中は500年前に生まれたらしいし、あの大災厄『終焉』と間違いなく関係があるのだろう。

 

「まぁいい…今はこいつの始末をつけねばな」

 

俺は考えることを後回しにして大剣を取り出しつつ戦闘準備を整え、後ろにいるノエルに告げる。

 

「…ノエル、離れたところから見ていてくれ」

 

魔龍ウルサはグルグルと威嚇するように喉を鳴らしている。俺は取り出した大剣を自然体で後ろ向きに構え、脇構えをした。

 

「大剣の扱い方をしっかり見せてやろう」

 

俺は初めに地を蹴る。魔龍ウルサは俺に交戦の意思があるとわかったためか突進してくる。魔龍ウルサの体躯はかなり大きいため、その分重いだろう。体躯の大きさとそれに伴う超重量はそれだけで武器になり得る。

 

つまり、魔龍ウルサは本能に従って戦ってはいるが、戦闘技能を全て失っているわけではないようだ。或いは、ドゥリンの血液がなにか関係しているのか。まぁ本能だけなら俺を前にして逃げないはずはないけどな。

 

 

俺は突進を左に飛んで躱し、その直後に振るわれた右腕を大剣で受け止めつつ後ろに飛んで衝撃を逃した。

 

思っていたほど力は強くないが、逆に思っていたよりも素早い。

 

「ガァッ!!」

 

と観察していると、魔龍ウルサが短く咆哮を上げた。かと思えば俺の目と鼻の先に突如大きく開いた口が出現していた。確かに奇襲としては上出来と言えるだろうが、目眩ましや気を逸らすのが下手なようだ。

 

俺は魔龍ウルサの行動を完璧に捉えていたが敢えてそのまま飲み込まれる。だが口を閉じる途中で不自然にその動きが止まり、魔龍ウルサはくぐもった呻き声のような声を上げた。

 

「ガ…ガァ…!ガルルルゥ…!!」

 

俺は今、勿論魔龍ウルサの口の中にいる。しかし、口が閉じられることはない。俺の頭から魔龍ウルサの血液がかかり、真っ赤に染まっている。大剣が魔龍ウルサの上顎に突き刺さり、下顎も大剣によって止められていた。無理矢理閉じようとすれば大剣は更に深々と突き刺さることだろう。

 

ただ、俺は口の中で少しだけ文句を言う。

 

「全く…これじゃあ大剣の戦いを見せられないじゃないか」

 

まぁまた今度それはヒルチャール相手にでも見せることにすればいいだろう。

 

「モンドの危機を取り除くほうが先だよ、な!」

 

俺は雷元素を大剣に纏わせ、止めていた上顎に一挙に大剣を突き刺してから、無理矢理振り下ろした。

 

「雷斬」

 

頭が割れ、脳漿や何らかの体液に加え血液が大量に俺の体にかかるが、全て風元素で吹き飛ばしたため風呂から上がったかのようにピカピカである。魔龍ウルサが不死身とかでもない限り討伐することはできただろう。

 

「うえっ…」

 

だがよりにもよって口が閉じてしまったため出るのが少し大変になってしまった。面倒臭いので俺は法器を取り出すと、岩元素で岩を生成してまずは下顎を突き破る。そしてそのまま岩を伸ばして上顎を上げた。

 

そのまま俺は大剣に持ち替えてから外に出た。

 

「ふぅ…シャバの空気はうまいぜ…」

 

なんて冗談を言いつつ大きく息を吸って深呼吸した。うん、真面目に美味しい空気だな。

 

「あ、アガレスさま!!」

 

なんて呑気にしていると木陰で見ているようにといったはずのノエルが近くにいた。まだ危険があるかもしれないから離れていてほしい、と言おうとしたところでノエルが俺をギュッと抱き締めた。

 

「ノエル…?」

 

「アガレスさま…!心配、したんですよ…!!」

 

そのまま俺に抱き着いて泣き始めてしまった。俺はどうすることもできず、その場に立ち尽くすのみだったが取り敢えず頭は撫でておいた。

 

 

 

それからしばらくして、西風騎士団がやってきた。

 

「アガレス殿!無事か!!」

 

ジンが走りながら言ってくれるので軽く手を振って答える。俺は今ノエルが隠れていた木陰に座って泣き疲れて眠ってしまった彼女に膝枕をしている。ちなみに、雨は少し前に止んで今は太陽の温かい日差しが差し込んでいる。

 

ジンが再び叫ぼうとしたのを人差し指を唇に当ててしーっと言って止めつつ、魔龍ウルサの残骸を指さした。

 

「まさか…これは君が?」

 

ジンは驚いたように魔龍ウルサの残骸に目を向けるとその後俺を見て言った。俺はその言葉に苦笑しつつ、

 

「そりゃそうだろ、他に誰がやるんだ?」

 

そう言った。

 

念の為西風騎士団の誰かが到着するまで待っていたのだが、本当はすぐに焼却処分してしまいたかった。理由は単純で、『ファデュイ』に…それこそ『博士』に利用されると面倒臭そうだからである。

 

ただ幸運なことに西風騎士団、それもジンが先に到着してくれたのでやりたいことが出来そうである。俺は率いてきた西風騎士団に周囲の警戒や調査を命じるジンを呼び止めると、

 

「ジン、この魔龍の死体なんだが、検分が済んだら燃やしてしまってもいいか?」

 

そう問いかけた。ジンは首を傾げながらも了承しつつ疑問を口にした。

 

「ああ、構わないが…なんでまたそんなことを?」

 

ジンの言葉に対して俺は理由が2つあることを示してから説明を始めた。

 

「理由の一つはこの魔龍ウルサが『博士』に討伐されたのに何故動いたかの説明に関わってくる」

 

「聞かせてくれ」

 

ジンは真剣な表情で俺を見ている。俺のことを信じて疑っていないようだが…人からの信頼というものはなんだかむず痒いな。

 

俺はノエルを無理のない体制で寝かせてから魔龍ウルサのうなじ辺りが見える位置まで移動した。

 

「まず、あそこを見てくれ」

 

俺はうなじに出ている水晶のようなものを指差す。それを見たジンは首を傾げたが、

 

「ふむ…アルベド!少しこちらへ来てくれないか!」

 

そう言って一人の青年を呼ぶ。呼ばれて来た青年はアルベドという、西風騎士団の調査小隊長だった。

 

「なにかな?」

 

アルベドは俺たちの見ている場所を見るなり微かに目を見開いた。

 

「あれは…毒龍ドゥリンの血液かい?」

 

俺はアルベドの言葉に首肯くことで肯定し、そのまま口を開く。

 

「魔龍ウルサはドラゴンスパイン方面から現れた。であれば、ドゥリンの血液だとそう考えるのが自然だろう」

 

そして、と俺は腕を組みながら更に続けた。

 

「この血液を利用したのは、恐らく『アビス教団』だ」

 

ジンの視線は厳しく、しかしアルベドの視線は興味なさげなものへと変わった。

 

「『アビス教団』…しかし、その目的は一体…」

 

「わからない。だが、碌でもない目的ではあるだろうな」

 

俺は少しズレた話を戻し、まとめを告げた。

 

「『アビス教団』によって『博士』が討伐した魔龍ウルサの死体がこうして利用された。二度目があっても不思議ではない」

 

「だから、燃やすわけか…」

 

俺の言葉にジンは得心がいったらしく顎に手を当てうんうんと首肯いていた。だが最初に言った通り理由はもう一つあるのである。

 

俺はそのままもう一つの理由を告げた。

 

「わざわざ『ファデュイ』がモンドに恩を売るために討伐したはずの魔龍ウルサが復活し、再びモンドを襲おうとしていたのを俺と騎士団で処理した。こうなれば、『ファデュイ』も、何より復活したメカニズムを知りたがるであろう『博士』も黙っているはずがない。既に『ファデュイ』のメンツは丸潰れだしな」

 

モンドの民は『博士』に感謝している様子だったから、それが復活したとあっては信用も失墜するだろう。そうでなくても裏の顔を見れば、大抵は彼らを毛嫌いするだろうが。

 

ジンは俺の言葉に対して、なるほどと一つ首肯くと、

 

「つまり…『ファデュイ』は魔龍ウルサの死体を引き渡すように言ってくる、ということか?」

 

大正解(予想)なので俺は首肯いた。

 

「魔龍とはいえその肉体は龍そのものだ。毒血に侵されていても利用価値は彼らにとっても高いはずだ。だから燃やしてしまいたい。言い訳は幾らでも思いつくしな」

 

俺の言葉にジンは完全に納得したらしく少し微笑むと、

 

「心得た。では早速検分を始めてくれ」

 

とそう言うのだった。

 

 

 

ジンはアルベドを検分に立ち会わせるためにここに待機させ、部下の西風騎士に被害状況の確認に向かわせていた。尚、他の一部をモンド城へと撤退させつつ、アンバーとエウルアにドラゴンスパインの調査を命じていた。

 

色々と向こうも大変そうだな、なんて思いつつ俺は魔龍ウルサに視線を向け、アルベドにも聞こえるように言う。

 

「さて、んじゃ検分を始めるが、俺は今回ある一点のみに焦点を当てて検分をする」

 

「ほう、興味深いね」

 

アルベドの言葉を軽く流した俺は尻尾の方へ周り、刀を取り出して尻尾を一刀両断して思わず呟く。

 

「ふむ…やはり、か」

 

両断された尻尾の断面からは禍々しい色の血液が流れ出してきている。やはり、ドゥリンの血液は薄くなりつつも全身に広がり、その怨念で魔龍ウルサの肉体を操っていたのだろう。

 

そしてドゥリンの血液の源が恐らくあの水晶、あれは多分血液の結晶体だろう。

 

まぁ魔龍ウルサを真に救うのなら水晶を壊すべきだったのだろうが、既に全身に毒龍ドゥリンの血液が回っていたのだ。多分水晶を破壊しても浄化には数百年単位の時間がかかるだろうし仕方がなかっただろう。

 

俺は全身隈なく調査をしてからアルベドに声をかけた。

 

「アルベドも検分するか?」

 

俺の問いかけに対しアルベドは首を横に振った。

 

「いいや、ボクは遠慮しておくよ。君以上の結果を出せる気もしないからね」

 

そのまま彼は踵を返すと歩いていく。しかし途中で立ち止まって首だけでこっちを見た。

 

「今度、君の研究をさせてほしいんだけどいいかな。君のその全元素を扱える体質に、興味があってね」

 

去り際に言うことがこれか、とは思いつつ俺としても気になるところなので首肯く。アルベドはそれに対して礼を告げると去って行った。

 

さて、アルベドが去って死体の周囲には誰もいない。ふぅ、と俺は緊張と共に息を吐き出した。

 

「途中で鎮火されても面倒だからな。一気に行くか」

 

一旦緩めた精神を再び引き締めてから、俺は炎元素を手を媒介にして生み出し、高温に保つ。俺の手に青い炎が纏わりつくように揺らめいている。少し熱いがまぁなんとでもなるはずだ。

 

俺がそのまま手を魔龍ウルサに向けて突き出すと、ゴウッ!と熱気とともに魔龍ウルサの死骸が物凄い勢いで燃え始めた。

 

「───わぁーあっつい!!これ、あなたがやったの?」

 

それを見たらしいアンバーが笑顔を浮かべながらこちらへやって来ていた。その後ろにはエウルアもいるが、相変わらずムスッとしているようだ。俺はそんな二人の真逆な表情に苦笑しつつ、

 

「ああ、炎元素を高温に保ってなおかつ空気が丁度いい具合に供給されてると青くなって高温になるんだ。昔発見して以来偶に重宝してる」

 

俺の言葉に対してアンバーは瞳を輝かせる。

 

「へぇ〜そうなんだ!すごい…!ねーエウルアー?」

 

そしてあろうことかエウルアに意見を求めていた。エウルアは驚いたように目を見開いていたが、

 

「え、ええ、まぁ中々やるじゃない!」

 

半ばヤケクソ気味にそう言って同調した。またつっけんどんな返しをされるのかと思っていたために少し意外だった。案外素直な性格なのかもしれない。

 

「ああ、ありがとう」

 

なんて考えをおくびにも出さず、俺は大人しくありがとうと返した。礼を言われた当のエウルアはふいっ、と顔を背けている。照れているのか、不快なのか推し量ることはできないが、アンバーが気にした様子はないので恐らく問題ないだろう。

 

「わたしはアンバー!あなたはアガレスって言う人だよね!」

 

そんな中、アンバーは微笑みながら俺に自己紹介をしてくる。確かに俺が一方的に彼女を知っているだけでちゃんとした会話はこれが初めてだった。

 

俺はアンバーの言葉に首肯きながらよろしく、と告げる。そんな俺の言葉にアンバーは嬉しそうに目を細めると、

 

「うん!これからよろしくね!!」

 

とそう言いつつ俺に手を差し出してきたため、俺も手を差し出しアンバーと握手をしてそのまま別れた。エウルアはなんだか『この恨み、覚えておくから…!』とかなんとか言っていたがいまいちよくわからない。

 

後で聞いた話だがエウルアの『この恨み、覚えておくわ!』シリーズは照れ隠しとからしいので心配する必要はないようだ。

 

ありがたいね。

 

 

 

さて、魔龍ウルサを燃やし始めてから数分もすると完全に灰すら残らず消滅した。俺は魔龍ウルサのいた場所を見据えて瞑目すると、

 

「気高き龍よ。次の生に幸多からんことを祈っている」

 

そう呟く。

 

俺は500年前、神としてこの世界の『終焉』を止めた。俺は満足のできる死に方をしたが、果たしてこの魔龍ウルサはどうだっただろうか?柄にもなく、そんなことを考えてしまった。

 

俺は魔龍ウルサの最期を見届け、ジン達の待つ場所まで戻って来ると、西風騎士達が整列しており敬礼して待ち構えていた。ノエルもいつの間にか起きており、整列している。

 

俺は驚きに身を染めつつジンの前までやって来た。するとジンが俺を見ながら微笑んで、そのまま口上を述べ始める。

 

「アガレス殿、改めて君に礼を言わせてくれ。本当にありがとう」

 

ジンはそのまま頭を下げる。そしてそれに倣って西風騎士達も一斉に頭を下げた。俺はポリポリと頬を掻きながら、

 

「…いや、その、なんだ…当然のことをしたまでだ、とでも言っておこう」

 

あまりに照れすぎてありきたりなことしか言えなかった。ジンはそんな俺の様子を見て少しだけ笑い、その後微笑みを携えたまま言った。

 

「此度の功績を称えて、アガレス殿…貴殿に『西風騎士団栄誉騎士』の称号を授ける。受け取ってはくれないだろうか?」

 

西風騎士の一人が俺に剣を持ってきた。『西風騎士団栄誉騎士』の紋章が刻まれた立派な剣である。俺は驚きつつも剣を然と受け取り、力強く告げる。

 

「謹んで拝命させていただこう」

 

斯くして、俺は『西風騎士団栄誉騎士』の称号を授かり、正式にモンドの一員となったのだった。

 

 

 

「───今日はすまなかったな、ノエル。訓練してやれなかったし、心配もかけた」

 

魔龍ウルサを討伐してモンド城に帰ってきていたノエルと俺は城門で少し話をしていた。俺の言葉に、ノエルはブンブンと手を振りながら否定した。

 

「い、いえ…そんなことは…!ですが…」

 

ノエルは頬を赤らめながら言った。

 

「訓練に関しては気にしていませんし…心配はしましたが、わたくしはアガレスさまを信じておりましたから…」

 

その言葉に、俺は思わず微笑んでノエルの頭を撫でながら礼を言った。

 

「訓練は明日からだ。今日は疲れただろう?ゆっくり休むといい」

 

俺はそのままノエルにそう告げた。ノエルは了解してくれたようで首肯いていたが、この後の俺の予定が気になっているようだった。

 

「俺か?俺はこの後酒場に用事があるが…」

 

そのため正直にそう言うと、ノエルがムッとした表情になる。

 

「お酒を飲まれるのですか…?お酒の飲み過ぎは健康に悪いですよ…!」

 

ノエルの言葉も一理あるが残念無念、俺は酒が飲めないのだ。

 

俺は肩を竦めつつ酒を飲めないことを説明すると、対するノエルは目をパチパチとさせた。誤解は解けたかな、と考えていたのも束の間、

 

「で、では女性の方に会いに行くのですか?逢瀬を…はわわ…!」

 

顔を真っ赤にしたノエルが顔を覆いながら、しかし指の隙間から俺を見た。俺は慌てて、

 

「論理の飛躍がすぎるぞ!?落ち着いてくれ!?」

 

そう言った。このまま詳しいことを話さないでおくと面倒なことになりそうなので、仕方なく詳しく説明することにした。

 

「こほんっ!前会った吟遊詩人がいただろう?」

 

「ウェンティさまですね?」

 

俺の言葉にノエルは思い当たる節があったようで俺にそう告げる。それに対して俺は首肯きつつ、

 

「そうだ。少し話しておきたいことがあってな」

 

と会いに行く理由を説明した。するとノエルは何かを考えるように俯くと、不意に決意を込めた表情で、

 

「わかりました…では、わたくしもついていきます!」

 

そう言った。

 

いや…なんで!?という俺の思いとは裏腹に彼女の意志は固いらしく、俺は少しだけ溜息を吐くと、仕方なくノエルを連れて行くことにするのだった。




戦闘描写が難しくて…テヘペロ

追記 : 描写足したら7500文字…!?なるほどね、私の成長を感じる。
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