忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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寝ぼけながら描いたので誤字あるかも知んないです…

前半ノエル、後半アガレス視点となります。


第9話 それぞれの休日

アガレスから休みをもらっていたノエルは、前日言われた休むことの大切さを知るためにしっかり休むことにした。

 

しかし、休むと言ってもどうすればいいのかがノエルには見当もつかず、ゴロゴロして過ごすなどの見当違いの答えに行き着いては首をブンブン横に振って否定することを繰り返していた。

 

流石にゴロゴロするわけにもいかず、なにか気持ちが晴れるようなことでも…!と意気込んだノエルだったがやはり思いつかない。

 

このままでは埒が明かないので外に散歩に行くことにして家を出るのだった。

 

 

 

ノエルはそのまま散歩しつつ無意識に自分を呼ぶ声に耳を傾けつつ、周囲の状況を細かく確認している自分に気が付く。最早散歩しながら人助けをすることが日課である彼女にとって、これは絶対に抜けない習慣とも言えた。

 

それを理解したらしいノエルがこれでは休めていない、とばかりに落ち込んだ様子を見せた。

 

『ノー…』

 

そんな中一瞬自分を呼ぶ声が聞こえた気がしたノエルだったが、途中で声が途切れたかと思うとその後は聞こえなかった。何だったんだ?とばかりに首を傾げるノエルはその声の方向へ向けて散歩コースを変更したが、やはり何も見つけることはできなかった。

 

仕方なく元の散歩コースへ戻ってきたノエルは時間がまだまだ沢山残っていることに気が付いた。

 

この時間帯は既にアガレスとの訓練が開始されている時間だが今日はお休みなのでそもそも訓練がない。そんなアガレス関連のことを悶々と考えていたノエルだったが、気がつけば散歩コースの終着にいた。

 

「うーん…やっぱりわたくしは…休んでなんていられません!普段の生活こそが、わたくしのお休みのようなものなのですから!」

 

だが彼女にとってこの悶々とした時間が無駄ではなかったようだ。

 

ノエルは早速、自分自身の言う日課を始めた。彼女が一番最初に行うことは、騎士団本部の掃除である。

 

先ずはエントランスホール中央の埃を藁箒で掃いて綺麗に纏めておき、今度は端っこから掃いてきた埃を中央へ掃いて再び綺麗に纏めていく。

 

その途中でもノエルは公務に向かう西風騎士団を見ると掃除の手を止めて挨拶をしつつ、2時間ほどかけて埃を集め終わった。そして集め終わった埃を丁寧に外へ掃き出し、掃き掃除を終えた。

 

無論、掃除はこれで終わりではなく、次は雑巾を濡らして藁箒で掃ききれなかった埃や土汚れを綺麗に拭き取っていく。雑巾がけは適度な運動にもなるようで、ノエルはかなり重宝しているようだった。

 

やがて全体の雑巾がけを終えたノエルは雑巾の裏についているかなりの量の埃や土汚れを見て、

 

「ああっ、まだこんなにも埃があっただなんて…」

 

そう呟くと再び気合を入れて腕を捲くる。

 

「これは…強敵揃いですね…!!」

 

そうして再びノエルは騎士団本部の掃除を開始するのだった。

 

 

 

そのまま暫く騎士団本部の掃除をし続けて終わったときにはもう夕方だったが、ノエルにとってとても充実した時間を過ごすことができたようで、晴れやかな顔をしていた。

 

その掃除の実力の程はジンがピカピカ過ぎて驚いていることからもわかるだろう。

 

ノエルはそんなピカピカになった騎士団本部を見て呟く。

 

「うん…やっぱりお掃除は素晴らしいですね!」

 

後日、アガレスが休日に何をしているのかをノエルに問い掛けて絶望したのは言うまでもないだろう。

 

〜〜〜〜

 

モンド城郊外、奔狼領。俺はここにジンの依頼でとある人の護衛をしていた。

 

「───わぁ、ググプラムがいっぱい!アガレスさんの言ったとおりだね!!」

 

そのとある人が俺を見て嬉しそうににっこり笑った。さてそのとある人とは、西風教会牧師であるバーバラ・ペッジだった。というのも、バーバラは朝疲れすぎて眠気が溜まっているらしく、目が覚めるようなドリンクを色々研究しているらしい。

 

そしてそのバーバラはジンの妹でもあったため色々心配性なジンが俺に護衛を頼んだ、というわけらしい。

 

俺はバーバラの言葉に少し微笑みながら告げる。

 

「ああ、こう見えて大体の特産品の位置は把握してるからな。困ったときには頼るといいぞ?」

 

俺の言葉にバーバラは首肯きつつ俺に礼を言うのだった。

 

ググプラム取りに精を出すバーバラを見ながら俺は思う。

 

アイドルというだけあって、美人、というよりかはかわいい部類だな。年もノエルと同じで友達のようだし、ノエルのことは彼女に頼むのも良かったかな、なんて感想を漏らす。

 

さて、先程も述べたがバーバラの眠気覚ましのドリンク開発に俺は協力する形になっているのだが、奔狼領にはググプラムを取りに来ている。

 

「ググプラムの種には麻酔効果がある。むしろ眠くなるんじゃないか?」

 

しかし俺の言う通りググプラムには麻酔作用がある。眠気覚ましには恐らく向かないだろう。

 

俺が思ったことを素直に伝えると、バーバラはググプラムを採集しながら、

 

「うん。だけど、試してみる価値はあると思うの」

 

そう言った。確かに試して見る価値はあるかもしれないが…いや、ググプラムジュースなんてのがあったし案外なんとかなるかもしれない。勿論それでも眠気覚ましにはならないと思うが、と心中で思う。

 

そして俺はとある者の話を思い出していた。

 

昔人々に火や団欒を教えた者がおり、その者が寝ていたときに辛くて美味しいものを食べて目を覚ましていたはずだ。

 

「まあ待て、バーバラ」

 

それを思い出した俺はバーバラを呼び止めた。

 

「どうしたの?アガレスさん」

 

呼び止められた彼女は手を止めると首を傾げて俺を見る。そんな彼女に俺は一つ提案をした。

 

「味も美味しくて目も覚めるドリンクっていうのはどうだ?」

 

俺の言葉にかなり驚いた様子を見せるバーバラに俺は続けて言った。

 

「このモンドの環境なら…俺の考えている材料のうちの一つがあるはずだ」

 

俺の言葉にバーバラは覚悟を決めたようで真っ直ぐな眼差しを俺に向けると、

 

「教えて、その配合を」

 

とそう言った。俺はコクリと首肯くと、2つの材料の名を口にした。教えてもらったバーバラは少し目を瞑った。恐らく頭の中でイメージしているのだろう。

 

「甘くて…それでもって辛そう…よしっ、じゃあ探しに行こう?」

 

そしてイメージが固まったのか、バーバラがそう言ってくれた。俺達は今奔狼領にいるため近いのはモンドにない材料だな。

 

「ああ、近い方から探そう。まずは『新鮮な絶雲の唐辛子』からだ」

 

必要な材料のうちの一つが璃月に自生する絶雲の唐辛子なのだが、中でも『新鮮な絶雲の唐辛子』を使ったものは辛すぎない美味しい料理や飲み物になるはずだ。

 

だがかなり高所に行かないといけないだろう。

 

「そこまでは結構険しい。大丈夫か?」

 

そこで俺はバーバラにそう聞いたのだが、

 

「うんっ!平気だよ〜!心配してくれてありがとね!」

 

と握り拳を作る彼女は全然大丈夫そうだった。それに安心した俺は、バーバラとそのまま険しい山地を移動し、璃月にある地中の塩に面した崖上まで移動してきた。

 

そうしてそのまま暫く探索していると、少し離れた所でバーバラが、

 

「あっ、あったよ!!」

 

と声を上げた。その声を聞いた俺はバーバラのいるところへとやって来て『新鮮な絶雲の唐辛子』を見つけるができた。

 

できたはできたのだが、唐辛子の近くにヒルチャールがいて何かをしているようだ。彼らも『新鮮な絶雲の唐辛子』を求めているのか、少し待ってもその周辺を離れることはなかった。それどころか、岩兜の王があとからやって来て増えている。仕方がないので気づかれる前に暗殺しよう。

 

そう考えた俺はバーバラを見て、

 

「やるしかないかー…バーバラ、少し待っていてくれ」

 

そう言うと、俺は草元素をヒルチャールのいる場所に撒き散らし、導火線のようにして炎元素で火を点けた。燃焼効果を伴い、ヒルチャール達は炎に焼かれていった。

 

「岩兜の王は流石に残ったか…よし」

 

俺は風元素でバリアをはろうとした岩兜の王に瞬時に接近し、風元素を霧散させ、岩元素で自身の腕の重量を増し、掌底打ちを放つ。すると岩兜の王の上半身がパァンッ!と音を立てて吹き飛んだ。

 

その様子を唖然とした様子で見ていたバーバラだったが、すぐに目を輝かせながら俺を見て、

 

「お、お姉ちゃんに聞いてたけど…アガレスさんって本当に強いんだね!」

 

とそう言った。そんなバーバラの言葉に俺は少しだけ嬉しくなりつつ、

 

「まぁ…うん、皆が言うなら確かにそうなのかもしれないな」

 

そう言った。勿論、バーバラは俺の言葉に疑問を覚えたようで首を傾げている。俺は彼女が余り気にしないように話題を変えるべく、ヒルチャール(故)の付近に生えている絶雲の唐辛子の株を指差しながら、

 

「ほら、新鮮な絶雲の唐辛子があるだろう?株が何個かあるから、少し貯蓄しておくといいぞ」

 

そう言った。バーバラは元々の目的を思い出したらしく、元気よく返事をすると絶雲の唐辛子の株の下へ歩いて行った。

 

斯くして、俺とバーバラは1つ目の材料を手に入れることができたのだった。

 

 

 

1つ目の材料を手に入れた俺達は新鮮な絶雲の唐辛子をバッグに入れたまま、もう一つの材料があると思われる場所である囁きの森までやってきた。

 

「さて、次は『良質なスイートフラワー』だな。多分ここにあるはずだ…」

 

そのもう一つの材料とは良質なスイートフラワーというものだ。これは普通のスイートフラワーに比べ糖度がかなり高く、隣国璃月にはこれのブランド品があるくらいだ。今回はそれをここ、囁きの森で見つけよう、というわけである。

 

しかし、バーバラは首を傾げながら、

 

「それなら、買ったほうが早いんじゃないの?」

 

と尤もな意見を口にするが、対する俺は首を横に振った。

 

理由としては2つ。まず、ブランド品が存在するだけあってかなり値は張るものだ。これからバーバラに結構な量が消費されていくことを考えると買いに行くのは得策じゃない。そもそも璃月港に行かないと買えないので、時間も費用も馬鹿にならんだろう。

 

そしてもう一つの理由は1つ目の理由から考えれば自ずとわかる。モラも時間も惜しく、数もいる。であれば自分で集めるほうがいいだろう。幸い、囁きの森には良質なスイートフラワーが育つだけの環境は整っている。

 

その2つの理由をバーバラに説明すると、

 

「そっか…そうだよね、うん!そうしましょ!」

 

とそう言って納得してくれた。

 

早速、俺とバーバラは手分けして良質なスイートフラワーを探し始めた。だがやはりというべきか、中々見つからない。

 

「まぁ、わかっていたことだがなぁ…」

 

当然、良質なスイートフラワーがそこかしこにポンポン生えていたら、璃月のブランド品なんて成り立たないはずだからな。

 

などと考えている間にも時間は進み、5分ほど経っても俺は見つけられなかった。いい加減俺はどうしようかを考え始めていたのだが、

 

「あっ、見つけたー!」

 

そんな矢先、バーバラがとあるスイートフラワーに目をつけ、少し離れた所にいる俺にも聞こえるくらいの声量でそう言った。

 

その言葉を聞いた俺は本物かどうかを確認するためバーバラの下までやって来た。そのまま見てみると確かに、他のスイートフラワーよりも色彩が鮮やかで、かつ甘い匂いが濃い。間違いなく良質なスイートフラワーだろう。

 

俺は良質なスイートフラワーを見つけられて大層喜んでいる様子のバーバラを労うと、

 

「さぁ、『スパイシードリンク』を作ってみようじゃないか」

 

そう言って採ってきた材料を持って意気揚々とモンド城へと帰還するのだった。

 

 

 

「───ん〜!辛くて、でも甘くて…すっごく美味しいし目が覚めるー!」

 

モンド城に戻って『スパイシードリンク』を作った俺達は適当なベンチに腰掛けながら早速試飲した。バーバラは初めはかなり辛いため飲むのが大変そうだったが、次第に慣れてきたのかゴクゴクと飲んでいた。

 

俺は……えへっ。

 

「アガレスさん、どうしたの?なんかちょっと落ち込んでるみたいだけど…」

 

ツッコんでくれる人がいなくて落ち込んでいた俺に気が付いたらしいバーバラが心配そうに俺を見てきた。俺はバーバラに気にしなくていいことを告げ、スパイシードリンクを飲み干した。

 

この通り俺は別に辛いものが食べれない或いは飲めないわけじゃない。だが、これは少し辛すぎるように感じた。

 

そのため、俺はバーバラにスパイシードリンクの感想を問うた。バーバラは少し考える素振りを見せたが、すぐにやんわりと笑いながら言った。

 

「とっても美味しくて、目が覚める味…凄く嬉しい!」

 

その表情は輝いており、心からそう思っているであろうことが察せられた。そんなバーバラに俺は冗談交じりで、

 

「モンドのアイドルのお役に立てて光栄だねぇ」

 

そう告げるとスパイシードリンクの入っていたコップを持ってベンチから立ち上がるとそのままバーバラへ目を向け、

 

「依頼は完了したし、俺は少し寄り道して帰るよ」

 

そう告げて踵を返した。俺の言葉を聞いたバーバラは笑いながら首肯くと、

 

「うんっ!今日はありがとう!またねー!」

 

そう言って俺に向かって手を振っていた。俺はバーバラに軽く手を振り返しつつ、依頼の報告をするため騎士団本部に向かうのだった。

 

 

 

「───そうか、それはよかった」

 

西風騎士団本部にやって来た俺は早速大団長室にいるであろうジンを訪ねた。ジンは何時も通り眉間にシワを寄せながら執務をこなしているようだったが、そんな中でも俺の報告を聞いて心底安心したように溜息をついて険しい表情を幾分緩めた。

 

「怪我もしていないし、危険を先に察知して排除もした。依頼は完璧にこなしたぞ」

 

「改めて礼を言わせてくれ、栄誉騎士」

 

ジンの心からの礼に対して、よせやい照れるやないかー、と俺は戯けた様子でジンに返した。

 

少し間があって、俺はジンに向けもう一つの依頼に関しても告げる。

 

「…恐らく、ノエルが俺に一撃を入れるのも時間の問題だろう」

 

もう一つの依頼───即ちノエルを鍛えるというものだ。俺の言葉を聞いたジンはほう、と感嘆の溜息を漏らした。多分だけどな、と俺は前提を言いつつ少し詳しく説明することにした。

 

「昨日アンバーに手伝ってもらって今日は休んでもらっている。明日はもう決意からなにから、気迫が違うだろうしな」

 

ジンはその言葉に暫し考え込むように顎に手を当てた。そのまま、言葉か或いは別の何かを考えながらジンは口を開いた。

 

「…あの少女は君の訓練に耐え、想像を絶する力を手に入れただろう。無論彼女なら問題ないとは思うが、万が一力の使い方を間違えたときは…」

 

なんだそんなことか、と俺は拍子抜けしたがジンやモンドの民からすれば相対することになるかもしれないと考えると不安であろうことはすぐにわかった。

 

そのため、俺はジンを安心させるべく、

 

「ああ、わかっている。なんとしてでも彼女は俺が止めるさ」

 

微笑みながらそう言った。ジンはあからさまにホッと安堵の溜息を吐くと、俺に改めて礼を言った。そして、彼女からは俺が予想だにしなかった言葉が飛び出すこととなる。

 

「そうだ、久しぶりに私も『エンジェルズシェア』に行こうと思うのだが一緒にどうだ?」

 

ジンは普段から仕事一筋なのでほとんど『エンジェルズシェア』のような酒場には顔を出すことはない。だが今日のところは飲みたい気分だったらしく、謎のお誘いも受けてしまったので、

 

「わかった、行こう」

 

と溜息を吐きつつ言った。俺は上司からの誘いを断れず、なんだか気不味い飲み会に参加することになったのだった。




一瞬ノエルが聞いた声は確かに彼女を呼ぶ声でしたが、アガレスがガイアに頼んで片っ端から困った人を助けていました。

なんだかんだ、アガレスとガイアは仲良しなのです。勿論、報酬は『午後の死』だぜ!ついでにバルバトスさんにもりんご酒をたかられているアガレスさんはなんだかんだ甘いので買ってあげちゃったみたいですね。
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