忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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今回ちょっとしたおまけを描きたくなってしまいまして最後にありますが…まったく本編には関係ないのでお気になさらず。ちなみにクソ長いです。

…( ゚д゚)ハッ!おまけをあとがきに書こう!

今回最初三人称、真ん中辺りは旅人さん、そして最後はアガレス視点です。コロコロ変わるね(白目)


第14話 旅人との出会い

一旦落ち着いて料理を頬張った旅人達は焚き火の処理や身支度を整えると再びモンド城へ向かうべくその歩みを進めていった。

 

「ぐひひ、モンドについたらまずは『鹿狩り』に行きたいなぁ〜」

 

腹拵えのことなどすっかり忘れているパイモンは早くモンド城へ行きたくてウズウズしているようで、よだれを垂らしながらそんなことを呟いている。旅人は苦笑したが『鹿狩り』とやらにはかなり興味があったので、モンド城についたら行ってみよう、だなんて考えていた。

 

そのまま10分ほど進んで遂に囁きの森を抜けた旅人達だったが、

 

「ちょっと、そこのあんた待ちなさ〜い!!」

 

との声に足止めを余儀なくされた。ついでに旅人は戦闘準備をして剣を構えている。やがて足音と共に崖の上から人影がバッと姿を現したかと思うとスタッと地面に着地し、二人の前にその姿を晒した。

 

「風の加護があらんことを」

 

胸に手を当てそう言うのは赤いリボンが特徴的な女の子であり、西風騎士団の偵察騎士であるアンバーという少女だった。どうやら風魔龍という先程の蒼き巨龍が目撃された場所を調べに行こうとしたところ、その方向から旅人達がやってきたために呼び止めたとのことだ。

 

旅人は無実であることをまず伝え、自分はこの世界にやって来たばかりでまだ何もわからないことをアンバーに告げた。アンバーは旅人の来ている服や連れているパイモンのことに触れつつ、一応の危険はないと判断したようで警戒を解いた。

 

その後、自己紹介をし合う中で、

 

「ところで…そっちの小さい子は?」

 

アンバーがパイモンについて旅人に聞いた。旅人は少し考える素振りを見せると、人差し指を立てた。そして、

 

「非常食だ」

 

ニヤリと笑いながらそう言った。パイモンはその言葉を聞いて笑顔を崩し、顔を真っ赤にして怒りながら、

 

「オイラは非常食じゃない!!そんなのマスコット以下じゃないか!!」

 

とそう言った。そんな事件があったものの、二人と一食(?)は意気投合し、アンバーの任務を手伝ってからモンド城に案内する運びとなった。 

 

アンバーの任務とは、モンド城に近付いているヒルチャールという魔物の集落の偵察と可能であればそれを殲滅することだった。幸か不幸か旅人は戦闘経験があることに加え、手に入れた元素の力があった。

 

やがてモンド城に程近い丘の上に目標を見つけた3人は岩陰に隠れて目標を観察している。ヒルチャールは高台の上に一匹、そして地上に二匹おり、集落はまだ作っている最中のようだ。

 

アンバーはそれを見ながらぶつぶつと何かを呟いていたが、不意にこれくらいなら…!と言って気合を入れた。どうやら戦う様子である。

 

パイモンもそんなアンバーの様子を見て、

 

「あれかヒルチャールの集落だな…!旅人、頑張れよ!!」

 

と旅人を応援した。旅人はその言葉を聞いてパイモンをジト目で見たが、

 

「お、オイラは戦わないぞ?オイラの任務は後方支援だし、これも立派な任務だからな〜」

 

パイモンは目を泳がせながらそんなことをつらつらと並べ立てた。それはいる意味ないのでは…と思うアンバーだったが、勿論口には出さず、ヒルチャール達の動きに注意を払っているようだ。

 

アンバーは弓を取り出すと戦闘準備を整え、旅人の方を見ると、

 

「じゃあ、私が高台にいるヒルチャールを倒すから、その後で突撃してね、わかった?」

 

そう言った。旅人はその言葉に首肯きパイモンは小さい声で二人にエールを送っている。

 

アンバーはやがてゆっくりした動作で矢を番えると、弓を引き絞り狙いをつける。そして炎元素を矢に纏わせると、宣言通り高台の上のヒルチャールを見事に射抜いて見せた。

 

下にいたヒルチャールが驚き何事かを喚きながら高台にいたヒルチャールに視線を向けてから、キョロキョロと辺りを見回している。

 

「はぁっ!!」

 

そこに旅人が突撃を敢行し、ヒルチャール達が戦闘準備を整える前に一刀の下二体のヒルチャールを斬り伏せた。これで一応任務は完了である。

 

「あんた、中々やるじゃない!」

 

アンバーは突撃の判断の速さと足の速度、そして見事な剣術をそう称賛した。旅人はそれほどでも、と謙虚にしつつも嬉しそうだったが、パイモンだけは何もしていないのに、

 

「オイラの指揮のお陰だな!」

 

と威張っていた。パイモンは何もしてないよね…という旅人とアンバーの思いも露知らず、パイモンはニシシッと笑った。パイモンなりの頑張ったアピールのつもりなのだろうが、少しズレているんだよね、と旅人は思うが口には出さなかった。

 

そんなパイモンは他二人の思考を自分で独占していることなど露知らず、

 

「任務も終わったし、モンド城に行くんだよな?」

 

とアンバーに問い掛けた。問い掛けられた当の本人は首肯くと、改めて旅人とパイモンにも礼を告げてから、

 

「じゃあ案内するね〜!こっちこっちー!」

 

既に見えているモンド城方面へ歩き始めた。そして宝箱を漁っていた旅人達もすぐにその後を追いかけるのだった。

 

 

 

旅人はアンバーと共に短い道中色々な話をしながら歩き続け、遂にモンド城へと辿り着くことができた。これからもモンドの案内をしたそうだったアンバーだが、

 

「じゃあ、わたしはジンさんに報告してくるから、ちょっと高いところで待っててくれる?あんたに渡したいものがあるんだよね」

 

どうやら任務があるようでそう言った。しかし、またすぐに渡したい物を渡しに戻ってくるようなので旅人とパイモンは首肯くと、

 

「ここまでありがとうアンバー、また後でね」

 

とそう言って見送ることにした。二人の言葉を受けてアンバーもまた後で、と返事をすると踵を返し急ぎつつも何度も振り返りながら手を振って去っていった。

 

旅人はアンバーが見えなくなるまで見送ってからパイモンに向き直ると微笑みかけ、

 

「それじゃ、ずっと保留にしてたご飯食べようか」

 

とそう言った。パイモンは力強く返事をすると、満面の笑みを浮かべて瞳を輝かせながら、

 

「ごっはん〜ごっはん〜、おっいしいごっはん〜!」

 

などと歌っている。そんなパイモンを見た旅人も少し気分が上がるのを自覚していた。

 

旅人はそのままパイモンの案内で『鹿狩り』という飲食店に立ち寄り、モンド風ハッシュドポテトをテイクアウトして食べながらモンドを一望できる高い所───風神像のある場所までやってきた。

 

高い所となればあとはモンド城で最も高所に位置する大聖堂の上か、風車の二択になってしまうのだが、

 

「あっ!旅人、パイモン!ここ、ここだよー!」

 

と旅人達を呼ぶ声が響いてきた。それを聞いた旅人達は合っていたことがわかり安堵している。そして声を頼りにアンバーの下まで辿り着いたのだが、彼女は大きな翼のようなものを持って待っていた。

 

それを見た旅人がそれは?と問い掛けると、アンバーはニッと笑い、これが先程言っていた渡したい物であることを旅人達に教え、

 

「これは『風の翼』っていうんだ!背中につけて飛ぶの!飛び方を今から教えるから、広場まで飛んでみて!」

 

そう説明した。その後アンバーは一通り旅人に風の翼の飛び方を教えた後、私は下で上手く飛べるか見てるね、と旅人に告げてから風の翼を開いて手本を見せつつ噴水のある広場へと降りていった。

 

「っ…ちょっと怖いけど…」

 

旅人はそう言いながら風の翼を背部に背負い、覚悟を決めて高所から飛び降りた。直後に風の翼を広げ、滑空しながら移動すると見事にアンバーのいる広場へと降り立った。

 

旅人がうまく飛べたと安堵したのも束の間、

 

「すごーい!こんなに上手に飛べるなんて!!」

 

アンバーは旅人に抱き着くと大はしゃぎしていた。彼女によれば少し教えたくらいでこんなにも上手に飛べるのであれば、『飛行チャンピオン』の称号も夢ではないだろう、と話した。尚、現チャンピオンはアンバーその人らしく、それを聞いた旅人とパイモンはかなり驚いた様子を見せていた。

 

その後、アンバーは旅人に色々な話を聞きながら風神像前へと戻り、少し休憩した後、懐から本を取り出すと旅人に差し出した。これはなんだろう、と疑問に思っていた旅人だったが、

 

「これは飛行指南書って言ってね、飛行免許を取るのに必要な知識が載ってるから、ちゃんと読んでおいてね」

 

アンバーがそう説明してくれたので腑に落ちたようだった。そしてその本を受け取ると自身のバッグの中にしまって礼を言った。

 

そんな時だった。嫌な風を頬に感じた旅人はふと北西方向を見た。直後から少しずつ風が強くなってきており、アンバーも風が強くなったことに気が付き、顔を青褪めさせている。何が起きるのかわかっていない旅人だったが、アンバーが青褪めていることからやばい、というのは肌感でわかっていたのだろう。何が起きてもいいように身構えていた。

 

そして数秒後、モンドを再び暴風が襲い、幾つかの黒い竜巻が直撃している。その光景に呑まれていた旅人は、

 

「っ…きゃっ!?」

 

「旅人!?」

 

気付いたときには生み出された黒い竜巻に飲み込まれ、逃げるのが間に合わずに空中に投げ出されていった。

 

〜〜〜〜

 

風に巻き上げられた私は風の翼を思い出して広げようとした。しかしそれができずに誰かに横抱きで抱き留められていた。

 

「っと…大丈夫か?見知らぬお嬢さん」

 

抱きとめられたときの衝撃と風圧で目を瞑っていたのだが、それを薄っすら開くと眼前には白い肌の整った顔立ちをした男性…?が私を抱き留めていた。風が強いのと日光に照らされているのとで銀髪がやけに綺麗に見える。

 

そうして見惚れていると、赤い瞳が私を心配そうに覗き込んでいたので、何故だか恥ずかしくなった私はふいっと目を逸らしつつ名前を聞いた。

 

すると彼は何故か苦笑して、

 

「お前もしかして旅人だろ?本当は自己紹介しつつモンドの案内もしてやりたかったんだが、生憎そうもいかない状況でな。風の翼を持ってるか?」

 

私の問には答えずそう聞いてきた。質問に質問で返された私だったが、一先ず従うことにして首肯いた。ふむ、と男性は一つ唸ると、

 

「じゃあ俺が手助けすればいいかな。少し離れたところから風で浮かすから、風の翼をそのまま開いていてくれ」

 

そう言って私の態勢を空中で整えてくれたので助言の通り慣れない風の翼を広げた。そのまま浮いているので後ろの男性が手助けしてくれてるのかな、なんて思っていたのだが、

 

「おっと…俺の出番はまだここじゃないらしい」

 

なんて呟きながら肩を竦めていた。思わず「えぇっ…!?」と叫んでしまったが、風をくれないのかと思ったのだから仕方ないと思う。

 

ただやはりそんなことはなく、ちゃんと浮いていられたので、彼が手助けしてくれていたわけじゃないみたいだった。

 

そのままどうしようか悩んでいると、私を浮かばせている風に乗って、

 

『僕が千風に手助けをお願いしたんだ。トワリンに光っているところがあるでしょ?そこを攻撃するんだ』

 

そんな声が聞こえてきた。幻聴かとも思ったのだが、後ろの男性にも聞こえているようだったので幻聴じゃないと思い直す。でも攻撃っていったってどうすればいいか私には全く分からなかった。

 

ただ、それを理解したらしい男性が目を細めながら私にアドバイスをくれた。

 

「風元素を感じて凝縮し、放つ。それで大丈夫だ…『神の目』がないのに何故…?」

 

アドバイスの後に何かぶつぶつ言っていたが私には聞き取れなかった。

 

なので聞こえたことだけを実践するべく、覚えたての元素の扱い方でなんとか風の弾を作ると飛びながら前を飛ぶ風魔龍へ向けて発射し続けた。それにしても、上空だから結構寒くて集中ができないし体勢は崩すしで結構外してしまったせいで疲れてきた。

 

そんな私の状況がわかっているからか、

 

「そろそろ限界か?」

 

と男性が優しく声をかけてくる。なんだか負けたような気分になった私は、

 

「まだ…まだっ…!」

 

と自分に活を入れながら最後の気力を振り絞って風の弾を発射し続ける。

 

そしてようやく、風魔龍は一際大きな悲鳴を上げると逃げて行った。直後、私を支えていた追い風が止み、あまりにも疲れていた私は風の翼を維持できず地上へとバランスを崩しながら落ちそうになっていた。

 

しかしそんな私をさっきの男の人が再び横抱きに抱えてくれた。そして、私の顔を見ながら微笑むと、

 

「このままゆっくり降りるぞ。よく頑張ったな、今は少しでも休んでおけ」

 

優しい声音でそう言ってくれた。

 

なんだろう、この人といるとなんだか落ち着くような気がする。雰囲気がとても大人っぽくて、少し雰囲気がお兄ちゃんに似てる気がする。

 

その後、呆けたまま彼に横抱きに抱えられながら地上へと降りるとアンバーとパイモンが私に駆け寄ってきてどこにも異常はないかー、とか大丈夫かーだとか声を掛けてくれて心配してくれていたことがわかった。

 

そしてアンバーは私を横抱きに抱えている男性を見ると、

 

「アガレスさん、いたんですね…もう、旅人のことを助けてくれてたなら言ってくれればいーのにー!」

 

ぶーぶーとブーイングをする。それを見た男性───アガレスと呼ばれた彼は苦笑していた。そして私を見ると、

 

「そうは言っても急だったからな。それにしても、旅人?は凄いな」

 

そう言った。私に向けられたその微笑に見惚れつつ、すぐに目を逸らす。なんというか、心臓に悪い人だ。

 

アンバーはアンバーで、

 

「でしょ!わたしがモンド城まで連れてきたんだよー!お手柄?褒めて褒めてー!!」

 

と言いながら頭をアガレスさん?に差し出していた。彼はまた苦笑すると、

 

「はいはい、全く…俺に褒められるのの何が良いんだか」

 

そう言いながらアンバーの頭に手を乗せている。そして当のアンバーは頭を撫でられて嬉しそうにしていた。

 

私はもう大丈夫であることをアガレスさんに伝えると地面へと下ろしてもらった。その直後、辺りに拍手の乾いた音が響き渡り、やがて眼帯をした一人の男性が姿を現し、

 

「アガレスの助けがあったとはいえ、巨龍と戦えるほどの力を持っているとは…我々の客人となるか…それとも新たな嵐となるか」

 

私を見ながらそんなことを言った。見られた私はというと、この人のことをなんだか胡散臭いなぁという目で見ずにはいられないのだった。

 

〜〜〜〜

 

あらすじ…あらすじ??まぁとにかく、旅人を助けたらガイアが出てきた。彼は人を喰ったような笑みを浮かべている。

 

俺は眉間にしわを寄せると、

 

「旅人はわざわざモンドに来たんだぞ?お前それを…意味深なこと言って機嫌損ねたりしたらどうすんだ」

 

とそう言った。ガイアのあの言い草だとまるで黒幕のようだ。俺の言葉を聞いたガイアは、

 

「ハッハッハッ、冗談だ…いや、冗談ではないが…」

 

と、思わずどっちだよとツッコみたくなるような言葉を紡いだ。これ以上余計なことを言わせるわけにもいかずガイアを睨むと、勘弁してくれとばかりに肩を竦め、

 

「まぁとにかく、モンドはこんな状態だが歓迎するぜ、異郷の旅人。取り敢えず事情聴取のために同行してくれないか?」

 

とそう言った。真面目な話に戻ったので問題ないだろう、とばかりに俺は安堵の息を吐くと、ガイアに俺も同行する旨を伝えた。

 

そうしてそのまま旅人やガイアと共に西風騎士団本部へと向かおうとしたのだが、

 

「アガレスさまー!」

 

と俺を呼ぶ声がしたため立ち止まって声の主を見る。ヴィクトリアを避難させ終わったノエルが大聖堂方面からこちらへ向けとてとてと駆けてくる。

 

「ご無事ですか!?ご怪我はありませんか!?」

 

彼女は俺が飛んでトワリンと戦うのを見ていたのかすーごい心配具合だった。ペタペタと俺の体を触って異常がないかを確かめてくれている。俺はなんだかくすぐったかったので、問題ないことを告げる。

 

そしてノエルが俺の隣に立つ旅人のことを気にし始めたので彼女のことを紹介すると、ノエルは恭しく礼をしながら、

 

「はじめまして、旅人さま、わたくしはノエルと申します。なにか必要なことやものがございましたら、なんでもわたくしにお任せ下さい!」

 

にこやかにそう言った。言われた旅人が無言だったのを気にした俺が彼女を見ると、何故かへにょって笑っていた。というかそうとしか表現できない俺の語彙力が皆無過ぎるが、本当にそうとしか表現できないのだ。

 

『へにょっ』に関して考えていると、突如旅人がノエルの手を掴んだ。ノエルは突然の出来事に驚いていたが、

 

「ねぇ、ノエルちゃんって呼んでもいい!?」

 

旅人の謎の圧に圧されてノエルは普通に了承していたのだが、旅人のテンションの上がり具合が半端じゃない。もしかしてメイド属性…というのが好きなのだろうか?

 

……そもそもメイド属性とはなんだ?どこからそんな言葉が出てきたのかは謎だが、深くは考えないことにした。さっきも『へにょっ』とか言ってたしな。

 

完全に置いてけぼりを食っていたガイアはそんな俺達を見つつ、

 

「ッハハ…中々賑やかなヤツらだな…俺としちゃ早く本部に帰りたいんだが…」

 

苦笑しながらそうこの場を纏めるのだった。

 

 

 

西風騎士団本部大団長室にて。

 

「───アガレスもいるのか」

 

代理団長を務めるジンが俺を見て驚きながらそう言った。嫌そうではないし、むしろ嬉しそうに見える。ただ、一応押し掛けている身ではあるので、

 

「よっ、ジン。悪いが俺も混ぜてもらうぜ」

 

悪いが、と断りを入れておくことにした。まぁなんたってモンドの今後に関わる大切な話だから、俺が混ざらない道理はない。最悪盗聴もできたのだが、それくらいなら同席だけさせてもらうことにするつもりだった。それも杞憂に終わったようだがな。

 

西風騎士団本部大団長室内、そこには俺、ジン、ガイア、リサ、アンバー、旅人の6人が一堂に会していた。ちなみに、なんかちっこいのもいるので、ほぼ7人かもしれない。

 

ちなみにノエルには怪我人の捜索や手当を頼んだ。神龍団本部にいる二人も、恐らく異常に気づいて動いてくれているはずなので、二人との合流も命じてある。ついでに二人にも助言というか、やるべきことを伝えるようにノエルには伝言を頼んでいた。

 

モンド城は現在混乱の最中ではあるが西風騎士に加えてうちの三人もいる。恐らくそちらは任せてしまって問題ないだろう。

 

少しして各々ベストポジションについたところでジンが口を開いた。

 

「すまない旅人、本来であれば歓迎するのだが、しばらくモンドに滞在していてくれ。問題は必ず西風騎士団と───」

 

言いつつチラッとジンが俺を見た。やれやれ、ちゃんと業務提携はしてくれているようだな、なんて感想を内心思い浮かべる。

 

業務提携をする上で俺達は依頼を受ける際にお互いの名前を出すようにしているのだ。どちらにもメリットがあるので、実は結構助かっている。

 

「───神龍団がなんとかする」

 

ジンはそのまま俺を見ながらそう言った。

 

「神龍団?」

 

横に浮いてる小さいのが疑問を溢した。彼なのか彼女なのかはわからないが、とにかくあの生物は旅人によればパイモンという名前らしい。

 

「パイモン…テイワットの案内人とか言っておいて、知らないんだね…」

 

旅人がパイモンをジト目で見た。パイモンはパイモンで誤魔化すように、

 

「お、オイラにだって知らないことはあるんだぞっ!た、例えば…そう!璃月にでるお化けのこととかー…」

 

そう言い訳を並べている。それは本当に誰も知らないだろ、とツッコみたくなるが今はそれどころではないので棚に上げておくことにして、俺は神龍団の説明を始めた。

 

「神龍団は西風騎士団から派生した組織と言っても過言ではないが、モラを貰って仕事をする謂わばなんでも屋だ。団長は俺、アガレスで、団員は団長、副団長合わせて4人だ」

 

「4人!?よくそれで経営が成り立つなぁ…」

 

俺の説明にパイモンが目を見開きながら反応した。食い付いてきたパイモンに俺はしっかり説明することにして口を開き、

 

「モンドの人達は自由気ままに生きているが、勿論小さいトラブルなんかがないわけじゃない。それを解決してできるだけ平和に近付けるのが俺たちの仕事で、ニーズはかなりある。ただ、やはりここ最近は人手不足というか仕事があぶれててな」

 

ただ、と続けた。

 

「最近は西風騎士団と業務提携を結んだからある程度はマシになったな。まぁうちだけだと同時にこなせるのは3つまでだが、溢れたら西風騎士団がなんとかしてくれる。因みにどっちも24時間営業だから、旅人も困ったことがあったら西風騎士団かうちに言うといい」

 

「さ、さらっと宣伝してきたぞ…」

 

商売魂ここにあり、ってか?なんて自分で思ってみたはいいものの、なんだか恥ずかしくなったので咳払いをして誤魔化した。

 

そんな俺達の会話が終わったのを見計らってジンは口を開くと、

 

「まぁとにかくだ。風魔龍の被害はかなり増えつつある。そこで、リサに彼の力の源を調べてもらった」

 

自らの隣りにいる紫色の服装の魔女───リサへ視線を向けた。そのリサは旅人へ向けて軽く手を振っている。そして軽い自己紹介をしてから、

 

「今、このモンドを取り巻く元素力は荒れ狂っていると言っていいわ。まるで、子猫ちゃんが遊んだ後の毛糸玉みたいな状態よ」

 

そう言った。どんな喩えなんだそれは…どこぞの知恵の神を思い出すな、なんて思った。勿論その関係で言いたいことは理解できる。

 

「なんとかわたくし、頑張ってみたの。そうしたら、『四風守護の神殿』それぞれに強い元素を感じたわ」

 

リサは更にそう続けた。

 

それにしても四風守護の神殿か。確かに、復活してから今に至るまで誰一人参拝に行っているのを見ない。特に人も来ず荒れ放題、となればアビス教団が利用するには最適だったのだろう。

 

「皆、風魔龍の力の源が判明した以上、行動をすべき時が来た。気を引き締めていこう」

 

そしてジンがそう締め括るように言って、その言葉を聞いた全員首肯いた。ジンはそのまま四風守護の神殿それぞれの力の源をほぼ同時に潰すためそれぞれ人材を派遣すべく配置を言っていく。

 

「西風の鷹の神殿にはアンバー、北風の狼の神殿をガイア、南風の獅子の神殿にはリサが行ってくれ。旅人は皆を手伝ってやってはくれないか?」

 

そして旅人は全員を手伝うことになるようだ。旅人は私が?とばかりに首を傾げている。そんな旅人にジンは、

 

「今、西風騎士団はかなりの人手不足でな。手を貸してくれるとありがたい」

 

と軽く理由を説明した。本当はもっと複雑だが今はそれでいいのだろう。

 

現にその言葉を聞いたパイモンはかなり乗り気になって旅人に助けるよなー?という視線を向けている。旅人も何故パイモンが決めているの?という表情を浮かべていたが、しっかり手伝ってくれるらしい。

 

そんな彼女達にジンは真っ直ぐ視線を向けてから微笑むと、

 

「感謝する」

 

と告げた。それを見た旅人はうぐっと変な声を上げたかと思うと顔を赤らめそっぽを向く。そんな旅人に向けてパイモンはジト目を向けると、

 

「……お前、さては美人に弱いな?」

 

そう言った。旅人は否定も肯定もせずただそのまま黙っていた。

 

こう言っちゃなんだが、モンドには美人が多いと思うんだ俺は。まぁ、顔が良いだけでクズみたいな性格をしてるやつは500年以上前に散々見てきたが、モンドの人々は本当にいい人ばかりだ。バルバトスが羨ましい、いや本当に…。

 

旅人とパイモンはそれぞれ何かを話し、俺は友人に思いを馳せている間に向こうの話は終わったのか、ジンが俺達全員を見ながら口を開いた。

 

「さて、では各々、行動開始───」




おまけ

旅人「うーん…祈願、ってのができるの?」

アガレス「なんだそれは…どういう意味だ旅人」

旅人「あっ、えーっとね…なんかガチャ?ができるみたいで…」

アガレス「ガチャ…っていうと、星4とか星5、とか決まってるアレか?」

旅人「そうみたい…あっ、初心者応援祈願…これお得だ…!」

アガレス「どれどれ…ほう、ノエルが貰えるのか。星4なんだな…あんなに強いのに」

旅人「早速、レッツラゴー!!」

〜〜星4演出〜〜

旅人「ノエルちゃんお迎え〜!萌えー!!」

ノエル「よろしくお願いいたします!」

アガレス「よかったな。おっ、まだ原石が残ってるな。1600だぞしかも。10連一回分だな」

旅人「あっ、アガレスがピックアップ!?これは強そう…!!」

アガレス「ピックアップ俺かー…まぁ、引いてみたらどうだ?」

旅人「レッツラゴー!!」

〜〜星5演出〜〜

旅人「きゃー!!いいんですか!?いいんですか神引きなんてしてしまってえー!!」

アガレス「旅人、テンションが凄いことに…」

旅人「ええい!原神祈願は微課金または無課金、いやいや重課金してたって神引きは嬉しいんだよわかる!?」

アガレス「うーん…メタい…」

〜〜星5、ディルック〜〜

旅人「……」

アガレス「……」

ディルック「……あの」

旅人「これだから、原神はやめられねぇ…」(諭吉を懐から取り出す)

アガレス「た、旅人…!?早まるなー!!」

※おまけの物語は勿論フィクションです。実在する企業・団体には一切の関係はないですが、一部の方々にはあったりなかったり…。

というおまけでした
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