忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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おやすみ…世界…寝ぼけながら描きました()


第17話 情報交換

さて、旅人達が救民団本部を去ってから、俺は救民団の団員と共に寄せられた依頼をこなし、夜までの時間を潰した。その間、旅人が『西風騎士団栄誉騎士』の称号を得たことが発表されたのだが、当然の措置であるため、俺は特段何とも思わず、しかし祝の気持ちだけは勿論あった。

 

無論、直接伝える時は伝える予定だが、自ら会いに行くほどの関係ではまだないな、と考えつつ片手間で依頼をこなしていった。

 

そして夜、俺はとある人物と情報交換を行うため、『エンジェルズシェア』へとやって来ていた。

 

「……妙だな、騒がしい」

 

だが近づくに連れて周辺が騒がしく、かつ西風騎士が駆け回っている。そして今しがた、二人の西風騎士が『エンジェルズシェア』へ入って行った。

 

俺は何やら面倒ごとの気配を感じて溜息を吐きつつ、風元素で2階まで飛び上がるとバルコニーから中へ入った。

 

「───これはディルック様!金髪の少女と緑色の服を着た少年を見ませんでしたか!!」

 

中では、西風騎士が今日のバーテンダーであるディルックにそう問い掛けていた。なんだか聞き覚えのある身体的特徴が挙がっている気がするが、ディルックがその者達なら…と裏口を指し示していた。

 

多分嘘なんだろうが、俺も助け舟を出すことにした。

 

「そうだな、裏口の方から逃げていくのを俺も見た。敬礼とかしなくていいから早く行け」

 

お前達がいると情報交換し辛いからなぁ、という本音は置いといて西風騎士達は犯人探しに尽力するため、敬礼だけして去って行った。

 

俺はそれを見送った後に溜息を吐きつつ一階へ飛び降りると、ディルックに事情を問うた。

 

彼によれば賊に『天空のライアー』が盗まれたためそれを持っているであろう賊がこちらへ逃げてきたのを見た西風騎士達が追ってきた、ということのようだ。ディルックの言い草的にどうやらここに匿っているようだ。そして身体的な特徴から鑑みるに…と少し思案した後、

 

「…その二人は上にいるのか?」

 

と問いかけるとディルックは何も言わず、むはんのうだった。それもまた一つの答えであると理解した俺は一言礼を言ってさっさと2階へと上がる。するとそこには読み通り、

 

「よう、旅人…それと、バルバトス」

 

金髪の少女───旅人と緑色の少年───バルバトスがいたのだった。

 

 

 

さて、パイモン含めた3人から事情を聞いた俺はふむ、と唸る。

 

風魔龍こと、トワリンを治療するために『天空のライアー』が必要だったため、入手しようとしたらファデュイの何処からともなく現れた雷蛍術師に横取りされ、冤罪を着せられた、とのことだ。

 

そもそも『天空のライアー』とは風神の使っていたライアーではあるとされているため、西風教会が所有し西風騎士団がその管理を行うことになっている。そして、その使用許可や貸出許可を下せるのは西風騎士団団長…そしてその団長は現在代理団長であるジンがそれに当たる。

 

疑われているとはいえ、旅人───彼女もトワリンからモンド城を救ったのだ。天空のライアーを貸し出すくらいは許可してくれるはずだ。その疑問をぶつけるとバルバトスも旅人も顔を逸した。

 

思わず、額に青筋を浮かべる。だが、俺は溜め息共にその怒りを吐き出し、取り繕ったポーカーフェイスを浮かべつつ告げる。

 

「まぁ、義侠心に駆られるのも理解はできるから、怒りはしない。だが、焦っているときほど回りくどい手段が必要なときもあるんだ。特に!」

 

だが、やっぱり言ってる途中で怒りが爆発した俺は、

 

「犯罪行為なんて以ての外だ!馬鹿者め!」

 

そう叫ぶように言った。そんな俺へ向け、怒られた3人は身を縮めながら俺に謝って来た。謝るのは俺へではないだろうに…全く、と思ったが口には出さず溜息でその感情を今度こそは吐き出した。

 

「…まぁ、やってしまったものはしかたがない。身の潔白も証明できなくなってしまったな…」

 

まぁ、とはいえバルバトスはともかく、旅人が捕まる心配はない。なんてったって先程の西風騎士の話を聞く限りでは金髪と緑色という大まかな情報しかない。故に手配書も同じ文言となるだろう。

 

そして、

 

「旅人は『栄誉騎士』という立場上疑いがかかることはないだろうが…バ……こほん、ウェンティはしばらくうちで保護しよう」

 

こういうことである。旅人には『栄誉騎士』という立場から疑いの目はほぼ向けられることはない。加えて金髪という特徴は結構ありふれている。今はモンドにいないミカとかも金髪っちゃ金髪だからな。

 

だが緑色というのは、そこまで多くない。あり得るとしたら冒険者協会の制服だが、それもそこまで多くないからな。バルバトスは足が付きやすいだろう。

 

ということで俺が助けてやろうと思っていたのだが、バルバトスは呑気にも酒を要求してきた。思わず拳骨を落としたい気分になったが、我慢して買ってきてやる、と告げた。

 

するとやったぁーと無気力に喜びながら俺に抱きついて来ようとしたので咄嗟に頭を掴んで阻止した。

 

こいつ、酔っ払ってないか?と酒臭くふわふわした友人を見つつ、まぁいいかと本題に戻ることにした。

 

「一先ず話は一通り聞いた。こっちはこっちでなんとかしておくが…俺は別件でここに来たから、俺が戻ってくるまで少し休んでいるといい」

 

旅人達の首肯とバルバトスのふぁ〜い、という気の抜けた返事を聞いた俺は、3人に改めて軽く別れの挨拶をすると一階へ降りた。

 

すると待ってましたとばかりにグラスを拭く手を止めたディルックが、

 

「話は終わったのかな?」

 

とそう聞いてきたのでああ、と端的に返したのだが───

 

「アガレス、どうしてここに?」

 

───意外にも客が一人増えており、その客とは西風騎士団代理団長のジンだった。

 

俺は驚きつつもどうしてってそりゃ…と口を開こうとしたのだが少し考えて、

 

「ディルックとの情報交換に来たんだ。あの旅人についてな…ジンもそれで呼ばれたんだろ?」

 

そう告げる。この3人が集まるのは旅人関連であろうことは目に見えていたのでそう告げつつディルックの反応を窺ったが、特段なんの反応も示していなかったため、合っていたようだ。

 

ジンはジンで俺の答えに納得がいったようで、うんうんと首肯いていた。

 

さて、それはそれとして…と俺は早速本題に入る。

 

「旅人だが、モンドに害意を持っている可能性は極めて低い。最早0と言っても過言じゃない」

 

少し前にジン達と共に風魔龍ことトワリンを撃退した旅人を警戒しようという話が出ており、今日はその経過報告といった感じだ。

 

だが俺の出した結論はこれであり、無論二人はその根拠を尋ねてくるが、根拠など単純明快だ。

 

「俺の部下に、人の感情に目敏いやつがいてな。そいつによれば、害意は感じられないそうだ」

 

部下、とは勿論レザーのことだ。どうやら彼によればとても優しい、だけど深い焦燥の香りがする、らしい。害意などは微塵も、とも言っていた。そして俺自身も彼女の行動や言動からは脅威を感じ得なかったため、ほぼないと言えるだろう。

 

だが、ディルックは俺の結論に疑問を呈する。

 

「表面上の悪意を隠しているだけ、という可能性も考えられるが?」

 

無論、それは何度も考えたことではある。しかし、

 

「犬は鼻がよく効き、人間の感情まで読み取れるという。うちの部下の鼻は信頼できる…何しろ実績がごまんとあるからな」

 

そういうことである。レザーはなんといっても、救民団での経験があり、実績がある。これに勝る根拠はないだろう。

 

それを理解したディルックは納得したのか2回首肯いてそれ以上口を開きはしなかった。

 

とはいえ、それだけを伝えに来たわけではないため、俺は再びディルックに話しかける。

 

「旅人とウェンティだが、今回の事件に、あくまで直接の関わりはない。つまり、冤罪をかけられている」

 

一応バルバトスの名称は避けて伝えつつ、事情をある程度把握しているディルックにそう告げた。それを聞いたディルックは顎に手を当てると口を開いた。

 

「酒のツケが貯まっている吟遊詩人は知ったこっちゃないが、異邦人は罪人に仕立て上げられたのか……ん?あくまで?」

 

ディルックは途中で俺の言葉の違和感に気付いたのか、聞き返してきた。そしてジンはジンで、既に部下から報告を受けていたらしく事件そのものには驚いている様子はない。まぁ、旅人と「吟遊詩人ウェンティ」が犯人であるのには驚いている様子だ。

 

「ただまぁ、先に言った通りその場にいて冤罪をかけられている。これは…とある計画を掴んで秘密裏に阻止しようとしたかららしい」

 

ほう?とディルックとジンが息を吐き、雰囲気が変わる。どうやら、モンドを害そうとする意思を感じて少し興味を持ったようだ。

 

「どうやら、その計画はファデュイによるものらしい」

 

そしてこの言葉に対してディルックは純粋な興味、ジンはこれに対して憤慨した。それに対してディルックは至って冷静に、

 

「彼らは狡猾で、回りくどい。ゲーテホテルなんかに天空のライアーを置いておくわけがない。つまり、奴らの秘匿拠点に隠されていると見るべきだろう」

 

秘匿拠点?と俺は頭の中で?を浮かべた。

 

「モンド郊外に巧妙に隠されている。見つけるのは至難だったが、なんとか僕は見つけ出すことができた」

 

なるほど。

 

「つまり、そこに行けばいいんだな?」

 

ジンが今すぐ飛び出そうとするのをディルックが少し慌てて止めた。

 

「待ってくれ。ジン、君が動くのはやめておいたほうがいいだろう。君は腐っても代理団長…外交問題になりかねない」

 

その人選は俺、ディルックでいいだろう。無論、正体はバレないように変装するが。

 

「それもそうだな。ジン、ここのところは俺とディルックに任せてくれないか?」

 

「あ、あぁ…私は私ですべきことをするとしよう」

 

しかし、妙だな。俺が復活してから魔龍ウルサの件といい、黒い焰事件といい、今回の龍災といい、大事件が立て続けに起こっている。まるでモンドを、巨大な悪意が飲み込まんとしているかのようだ。

 

「さて、言いたいことは済んだ。俺はウェンティを連れて帰るぜ。あ、ディルック」

 

俺は先程旅人達のテーブルからくすねた伝票を差し出し、モラを多めに置いた。

 

「あいつがいつもすまないな。多い分はツケの支払いだ。受け取ってくれ」

 

「君の方こそ、よくあんなのに付き合っていられるな。今度は僕とチェスをしてくれよ」

 

「はは、ルールは多少ならわかる。今度な」

 

俺は2階へ戻り、酔い潰れていたウェンティを連れて行くべく背負った。

 

そういえば…。

 

「旅人、パイモン、お前達、寝床はあるのか?」

 

旅人は目を逸らした。パイモンに至ってはならない口笛を吹いている。

 

「お前達もうちに来るといい。寝床と、明日の朝食くらいは保証するぞ」

 

「「是非!!」」

 

てなわけで、客が二人増えることになった。俺たちはそのまま談笑しながら救民団本部へと帰還し、ウェンティを空き部屋で寝かせてから旅人とパイモンの部屋へと案内し、職務を済ませてから眠りにつくのだった。

 




いやぁ…73もひいて星5こないってどうなってるんですかね…来てもいいと思うんですよそろそろ…夜蘭姉さん…
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