忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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宣言通り…ただ、文字数足りなくて留雲借風真君の話も入ってます…えへっ


第28話 仙人③

琥牢山、ここには巨大な琥珀が散財しており、侵入者を防ぐ役割も持っている。

 

【……懐かしき気配を感じて来てみれば…アガレス殿とは…】

 

俺の前には巨大な鶴、理水畳山真君が降り立って翼を広げてバサバサと振った。理水畳山真君なりに喜びを表現しているのだろうか。

 

「久しぶり、早速少し話をしたいんだが、構わないか?」

 

【構わぬ。我も丁度暇をしていたところでな】

 

仙人は俺のことを覚えている、っていことが甘雨、そして削月築陽真君と理水畳山真君の様子からわかる。モラクスは仙人達にまで俺を忘れることを強要しなかったようだ。

 

俺は理水畳山真君に俺が復活してからの経緯を掻い摘んで説明した。

 

【───それで他の仙人と連携し、危機管理能力を高めよ、ということか】

 

俺は首肯いた。理水畳山真君はバッと翼を広げた。

 

【琥牢山の琥珀が少し暴走気味なのだ。侵入者以外にも沢山のものを捕らえている。少々問題となってきているのだ】

 

「それを直したら削月築陽真君と合流するのか?」

 

【左様】

 

理水畳山真君は首肯きつつ言った。

 

「それにしても、仙人は変わらないな。人の営みや想い、そして取り巻く環境が変わろうと、お前達は変わらんな。なんだか嬉しいよ」

 

【……】

 

「言いたいことはわかる。時の流れと共に変わらないものなんてない。事実、護法夜叉は最後の一人、そしてお前達は俗世から離れた。人と仙人の関係、それはこの500年…いや、それ以上の期間ですっかり変わってしまった」

 

【凡人達は帝君の神託なしでは生きてはいけまい。我等は凡人が何を成すのか、それを外から見届けねばならんのだ】

 

「ああ…お前…いや、お前達から見て、やはり俺は異端なんだろう?」

 

理水畳山真君は無言だった。無言だが、それが全てを物語っていた。

 

「神の身でありながら国を持たず、元素も持たず、忘れ去られて尚、世界のために動く。世界のためになることがどんなことなのかもわからないというのに」

 

【異端だ。だが…それはこの世界を想っての行動であろう?異端だとは思えど、愚かとは思えぬ】

 

「そう、か…なるほどな…お前の考えはわかった。変なこと聞いて悪かったな」

 

【構わぬ。寧ろもう少し我等に頼ってくれても良いのだがな】

 

俺は反転し、去り際に苦笑しつつこう言った。

 

「遠慮しとく。だがその時が来たら…宜しくお願いしよう」

 

〜〜〜〜

 

【……帝君】

 

理水畳山真君は一人呟いた。

 

【わかったであろう。彼は500年前と何ら変わってはおらぬと】

 

「……」

 

木の裏に人影があった。

 

【……バルバトスから言われていたのであろう?アガレスが復活したことを。何故すぐに会いに行かなかった?】

 

「……500年だろうと、1000年だろうと、俺達の運命は交わると、友情は不変だと、そう言っていた。確かにその通りなのだろう。事実、わざわざ俺に会いに来てくれたのだからな」

 

だが、と人影は腕を組みつつ告げた。

 

「千変万化、物事や人の心は移り変わり、そしてそれは俺達神や仙人も例外ではない」

 

【……】

 

「500年で明蘊町は滅び去り廃墟と化し、護法夜叉は残り一人、様々な事象は移り変わった。盤石が雨垂れによって穿たれるように、璃月港と俺の関係も変わらねばならない」

 

人影はほう、と溜息を吐いた。理水畳山真君も同様である。

 

【……何をするのだ?】

 

「それは言えない。お前達にも、考えてほしいんだ」

 

人影がスゥッと薄くなっていく。

 

「今後の璃月のことを」

 

【……帝君、貴方との契約を違えるつもりはない。だからこそ、言わせてくれ。それは璃月港にとって害となるのか?】

 

人影は何も言わずに消え、どこか寂しそうな理水畳山真君のみがその場に残ったのだった。

 

〜〜〜〜

 

奥蔵山までやってきた。

 

【む…今日のも美味しそうではないかアガレス。腕は鈍っていないようだな】

 

「そりゃあもうな。松茸の肉巻き、真珠翡翠白玉湯、モラミート…この3つをしっかり作ってきたんだから、会えないと困ってたところだ」

 

俺は過去の旅人の料理跡を利用して先に述べた3つの料理を作っていた。この料理達は彼女が好んで食べる料理の中の一つで、お気に召してくれたようだった。昔から食べさせていたから流石に飽きているかと思ったが問題ないようで良かった。

 

【それでアガレス?妾に話があるのであろう?】

 

「忘れるところだった。削月築陽真君、理水畳山真君には先に伝えてあるんだが、近頃、璃月でのファデュイの活動が活発化しているのは知っているか?」

 

【無論知っている。申鶴や甘雨も言っていたからな】

 

甘雨は兎も角、申鶴?と思って首を傾げていると、留雲借風真君はおっと、とばかりに少し仰け反った。

 

【申鶴は妾が拾った女子だ。仙法を叩き込んである故、強いぞ?】

 

ふふん、と留雲借風真君は胸を張った。

 

「拾って育てたわけか。事情がありそうだよなぁ」

 

【フンッ、まぁ今の話には関係あるまい。して?】

 

「ああ、ファデュイの活動が活発化している今、璃月にどんな影響があるかわかったものじゃない。仙人同士連携してどんな不測の事態にも備えられるようにしておくべきだ、という提案をしに来たんだ」

 

【削月築陽真君と理水畳山真君はなんと?】

 

「了承してくれたよ。璃月港のために、そして帝君との契約のために、ってな」

 

【ふむ…そうか、では妾もそうすべきであろうな。無論、そうするつもりではある】

 

「条件でもあるのか?」

 

そう言うと留雲借風真君は控えめに笑った。

 

【申鶴を頼みたくてな。彼女にもいい加減、璃月港に馴染んでほしいのだ】

 

……それはまた、なんとも。

 

「会ったこともないのに?」

 

【アガレスならやれるであろう?妾の見立てでは問題ないはず】

 

「気持ちの問題だ気持ちの…まぁ、やってやるが」

 

【ふふ、であれば妾も有事に備えておこうではないか】

 

「頼む」

 

俺は用事は済んだので望舒旅館へ向かおうとした。しかし、留雲借風真君に呼び止められた。

 

【まぁ待てアガレス、折角久方振りに再会したのだ。もう少し話して行かぬか?】

 

「……」

 

時間はまぁ、ないわけじゃない。夕方ではあるが…まぁ、望舒旅館は明日でも問題はない、か。

 

「構わん」

 

【ふふ、では座るがいい。料理はあるだろう?】

 

「俺の作ったやつがな」

 

俺は言われるがまま席についた。

 

「さて…どういう話をするんだ?」

 

【そう焦るでない。妾はただ、久方振りにお前と少し、話がしたかったのだ】

 

留雲借風真君は目を細めつつ言った。

 

【アガレス、お前は何故先の提案をしたのだ?】

 

なんでってそりゃ。

 

「璃月港に住む人々、ひいては璃月そのものを守るためだ。そしてそれが世界を守ることに繋がると信じているからだ」

 

【ふむ…】

 

留雲借風真君は何かを考えるように止まった後、再びふむ、と一つ声を出した。

 

【変わっておらぬ、か。やはりアガレスはアガレスだったか】

 

「何を今更」

 

【そういえば、モンドで復活したのであろう?妾に話を聞かせてはくれぬか?】

 

「あー…してなかったっけ?ああ、聞かれてないからしなかったんだ、そんなに気になるのか?」

 

留雲借風真君は少し笑うと首肯いた。俺はまた説明するのか、とは思いつつも一つ一つ説明していった。ノエルとの出会い、育成の日々、ウェンティことバルバトスとの再会、西風騎士団での日々と魔龍ウルサの討伐、他にもファデュイの計画を暴いたり龍災を鎮めたりなんかもしたか。

思えばかなり濃密な3、4年間だったな。

 

話を聞き終えた留雲借風真君はほう、と感嘆の溜息を吐いた。

 

「まぁ、大して面白くもない話だったろ?ただの経験を話してるだけだからな」

 

【いいや、中々面白かったぞ。経験にしたってそれは他の凡人では成し得ない経験だからな。とても興味深い話であった。しかし、やはりファデュイの計画が気になるな】

 

留雲借風真君は翼を何度か羽ばたかせると、席から去っていく。

 

「もういいのか?」

 

【うむ、有益な話は聞けた。璃月港、特にファデュイの動向には細心の注意を払っておこう】

 

「ああ、宜しく頼む」

 

留雲借風真君は一声嘶くと、翼を羽ばたかせ飛び去っていった。

 

俺も席を立つと、時間もないため望舒旅館へ向かうのは翌日にし、璃月港へと戻るのだった。




寝ぼけながら考えてます。誤字がないわけないのです()
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