忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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所用で外出してましたのでレポートもおわってないですやゔぁい


第39話 事態急変②

アガレスから連絡を受けた旅人は早速凝光の下に向かった。凝光は既に南天門辺りを中心とした地震の対応で群玉閣を降りてきて的確に指示を飛ばしていた。

 

「凝光さん!」

 

「あら、旅人…どうかしたのかしら?」

 

そんな中、旅人が凝光に話しかけ矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

 

「急いで報告したいことが…アガレスさんからなんですけど」

 

凝光はアガレスの名を聞いて動きを止め、旅人をジッと見た。旅人は先程聞いた話を凝光に一言一句変えずにそのまま伝えた。旅人の話を聞いた凝光はわなわなと震えながら言った。

 

「図らずもアガレスの言っていたことが現実になったわけね。何より厄介なのは『淑女』をアガレスが抑えられないことね。更に言えば黄金屋にも人員を割いておかないといけない。やることは山積みね」

 

「でも、心配ないと思いますよ」

 

旅人は少し微笑みながら言った。凝光はキョトンとして旅人に説明を求めた。

 

「この話を聞いていたのは私だけじゃありませんから」

 

「凝光様!」

 

千岩軍の一人が走ってやってきたのを見計らって旅人は少し下がる。

 

「モンド方面から───」

 

「説明は不要だ」

 

その場に突如暴風が吹き荒れたかと思うと、空中に蒼き巨龍がその場で羽ばたき、凝光達を見ていた。

 

「トワリン!」

 

『久しいな、旅人よ。アガレスも元気にしておるのか?』

 

「うん、元気だよ」

 

「ち、ちょっと旅人、どういうことなのか説明しなさいよ」

 

凝光が柄にもなく旅人に詰め寄りながら言った。が、その答えは旅人からではなく、別の方向から齎された。

 

「───それはこちらから説明させていただこう、『天権』凝光殿」

 

トワリンの首から髪を靡かせて降りてきたのは西風騎士団代理団長、ジン・グンヒルドであった。

 

 

 

「それで、どういうことなの?」

 

屋内に移動した凝光達はトワリンの首に乗ってきた総勢10名の西風騎士団に問いかけた。

 

「風神様がアガレスの言葉を聞き、璃月に援軍を出すように進言されたのだ。我等はその進言に従い、駆けつけようとしたが、それでは間に合わぬだろうと、この東風の龍に乗せてくれたのだ」

 

「つまり、旅人、貴女が言っていたもう一人って風神バルバトスのことだったのね」

 

同席している旅人は頷いた。

 

「それで、状況は」

 

「現在被害が出ているのは地震による被害ね。風神から聞いているかも知れないけれど、若陀龍王という太古の龍、そして元ファデュイ執行官第八位『淑女』が璃月港へ向けて一時間後に侵攻を開始するそうよ。今はその事前動作と思われる南天門付近を震源とする地震、そして黄金屋にはファデュイ執行官第10位『公子』がいるわ」

 

「なるほど…確かそちらは陽動として、だったな。それで、アガレスは?」

 

ジンが旅人を見ながら言った。

 

「ファデュイ執行官第6位『売女』を相手にしてるみたいで、今は音信不通だよ」

 

「まぁ彼のことだ。心配はないだろう。『売女』の心配はないにしても、他2つは我々にとっても脅威だろう。ただし、こと若陀龍王についてはトワリンが対応すると言ってくれている。若陀龍王はそれで抑えきれるだろう」

 

ジンはトワリンと直に戦い、その強さを知っているからこそ信頼していた。若陀龍王をも抑えられるだろう、と踏んでいる。

 

「では『淑女』に全身全霊を傾けるべき、と言いたいのかしら?」

 

『さっきから話を聞いていたが…その前に、旅人、指輪を机の上においてくれないか?』

 

旅人のつけている指輪から突如声が鳴り響いた。無論、アガレスの声である。旅人は指輪を言われた通り机の上に置いた。

 

 

 

「さて…音声くらいは拾えるから大体話は聞いていたが、忘れるなよ。今回の脅威は3つだ。まずは若陀龍王の復活、そして『淑女』の襲撃、そして『公子』タルタリヤの加勢だ」

 

「っ…無視してんじゃないよ!!」

 

風の刃がアガレスへ飛来するが、アガレスは同じく風元素で対応、風刃ごと巻き込む竜巻を発生させ、ルフィアンをも吹き飛ばした。

 

『アガレス、そちらは大丈夫か?轟音が聞こえるんだが』

 

ジンが心配そうに言った。俺はそれに対して冗談を交えて言った。

 

「なに、少しノミが飛び回っているだけだ」

 

「ほんとに物理的に飛び回ってるからそんな事言わないでくれないかなぁあああああ!!?」

 

吹き飛びながらルフィアンが叫んだ。さて。

 

「モラクスとしては既に契約を破棄されているわけだから神の心を彼が渡す心配はない。だが、それでもモラクスの神の心を奪おうと、ファデュイは躍起になるだろう。更に言えばルフィアンが戻ってこないことでファデュイの連中も動く可能性は更に高くなる。最早これは戦争と言っても過言ではない」

 

「戦争…そうなっても勝つのはこっちだ、よ!」

 

風元素で水元素を拡散させながら俺に無差別攻撃をルフィアンが仕掛けてきた。俺は氷元素を纏い、向かってきた水球を全て凍て付かせ、その氷塊をルフィアンへ向けて飛ばした。ルフィアンはバックステップで回避すると、俺の意表を突いて一気に踏み込み、剣を振るった。

 

『つまり、ファデュイも敵に回る、と考えて良いのだな?』

 

俺は剣を刀で受け止めると、鍔迫り合いに持っていった。

 

「その通りだ」

 

「っ…うぉおおおおお!!」

 

ルフィアンが気迫の籠もった雄叫びを上げるが、俺の刀も腕もびくともしない。俺は力を一瞬で抜き、相撲で言ううっちゃりをして背後を取り、蹴り飛ばして刀を仕舞う。

 

「千岩軍だけでは間違いなく戦力不足だ。仙人達に関しては既に地震を察知して動いているはずだから仙人達に関しては心配する必要はないが、黄金屋には誰が行く?」

 

『私が行く』

 

ほう、と俺は思わず唸る。

 

「旅人、それはどういう意図だ?」

 

「っ…私が…この私が遊ばれているの…!?そんな馬鹿な…!認めない…認めないッ!!」

 

剣を振りかぶりながら再び起き上がってきたルフィアンが大上段から剣を振り下ろしてきた。俺はニヤリと笑うと再び刀を鞘から抜き放った。

 

『タルタリヤには…その、借りがあるというか騙されていたけど、悪い人には見えない。だから説得しに行く』

 

旅人の言葉が終わると同時に刀を抜き放ちながら鞘を持ってルフィアンを斬り裂いた。

 

「なるほどな…戦わなくて済むなら確かにそれが一番だろう。旅人以外に適任はいないか。ではよろしく頼む。凝光、『玉衡』を呼び戻しておくと良い。別の場所に配置するんだ。千岩軍だけは少数残しておいていいと思うがな」

 

『ええ、言われなくてもそうするつもりよ』

 

ルフィアンは左腕を失うに留まった。

 

「避けたか…風元素で上手く逃げたわけだな」

 

「っ…本当に悔しいし、屈辱だけど…退かせてもらうわ」

 

ルフィアンは俺と同じ要領で風元素の力を使って浮遊すると、上空へと飛んでいこうとした。

 

「なっ…!?」

 

「簡単に逃がすわけがないだろう。対人戦において逃亡防止策を実行しておくのは基本中の基本だからな」

 

ルフィアンが暴風の壁に激突し、コントロールを失ってドシャッと音を立てて地面に激突し、意識を失った。

 

「凝光、『売女』は捕獲した。あとで拷問して色々な情報を引き出してみるといい。自死させないように気をつけるんだな」

 

『ええ、そっちの部門に関しては腕利きが居るから問題ないわ。それより、淑女はお願いできない?』

 

そうだな。

 

「いいだろう。『淑女』は元々俺が相手をするつもりだったからな。んじゃぁ、璃月港は頼んだぞ」

 

『ええ、任せて頂戴』

 

「それとジン、お前達も璃月港の護りに入ってくれ」

 

『承知した。任せておけ』

 

「あと、トワリンには若陀龍王をできればでいいから殺さずに撃退してほしいと伝えておいてくれ、旅人、指輪の装着を忘れるなよ。それじゃあな」

 

俺は話すだけ話して指輪の通信を一方的に遮断し、ルフィアンの傷の手当をしてから璃月港へ向かうべく青墟浦の遺跡群から離れた。

 

「やはり不審に思うよな。自身に計画を持ちかけた存在が時間になっても現れないのだからな」

 

だが、途中でチリッと重い殺気を感じていた俺はゆっくり背後へ振り向いた。崖の上、そこに、炎の化身が存在していた。

 

「久しぶりだな…『淑女』…いや、ロザリン・クルーズチカ・ローエファルタ、だったか…?」

 

焚尽の灼炎魔女の姿が、そこにはあった。最早人語すらも解せないようだが、本能でここまで辿り着いたようである。彼女から発せられる熱量で草木が自然発火し、岩石をも溶かしている。このままでは被害が甚大となるだろう。その前に。

 

「その復讐、俺が終わらせてやろう。大人しく恋人の下まで逝くといい…!!」

 

俺は刀を抜き放ち、ロザリンへ向けてその切っ先を突きつけるのだった。




うぇい、所用…弟の晴れ舞台、見ずにはいられなかったんだぜ…

本当にごめんなさい。明日こそレポートやるんで…シテ…コロシテ…
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