いやぁ…眠いのに小説書いちゃ駄目ですねマジで。善悪基準が定まらなくて死んでしまいます()
千岩軍とは別に動き出した魈と刻晴は、魈はヴィシャップの上を飛んでいき、刻晴は元素スキルを駆使して上空を移動していった。やがて陥没穴付近まで近付いてきたところでベビーヴィシャップの数が少し減り、陥没穴付近のヴィシャップと戦うための十分なスペースができていたため、そこに刻晴と魈は降り立った。すると刻晴と魈に気が付いたヴィシャップ・岩が数体二人の前に立ちはだかった。刻晴が剣を構えながら言った。
「邪魔するなら死んでもらうわ」
「元よりそのつもりだ」
「どういう意味よ…ですか?」
「無理に敬語にする必要はない。凡人の口調などどうでもいいからな。それで、理由だが…そうだな、戦いながら話すとしよう」
魈は一気に飛び上がると、上から槍を支点にしてクルクルと回転して威力を増しながらヴィシャップに命中したかと思うと、風の槍が複数更に生成され、ヴィシャップを突き刺し絶命させた。
「消えろ」
「剣光よ、世の乱れを斬り尽くせ!!」
互いの元素爆発が拡散反応を引き起こし、一挙にヴィシャップを駆逐していく。2人にかかればヴィシャップは対して強敵とはなり得ないのだ。
「それで、どういう理由なの?」
「こ奴等は若陀龍王が生み出した、いわば子孫のようなものだ。だから彼等は地脈を通じて若陀龍王と繋がっている。地脈を通じて彼等は指令を受け、恐らく何としても若陀龍王の復活する経路を確保せよとの命を受けている。元より死ぬつもり、とはそういう意味だ」
「なるほど…理解したわ」
気づけば2人が暴れたことによりヴィシャップは少なくなっていた。それでも、ヴィシャップは時間稼ぎをしようと2人に襲いかかっていく。
刻晴は襲いかかってくるヴィシャップに敢えて向かうと振るわれた腕を飛んで回避し、そのままの勢いでヴィシャップの硬い首に剣を差し込み雷元素を中に流し込んだ。内側から雷元素によってズタズタにされ、絶命した。
魈に向かっていったヴィシャップは風元素による目にも留まらぬ速さの突撃を受けて風穴を開けて絶命した。魈はそのまま陥没穴に更に近付こうと走ったが、地響きによって若干態勢を崩し、膝をつく。
「っ…!」
直後、剛腕が陥没穴からヌッと現れたかと思うと、巨躯が姿を表した。それも、二体である。
「エンシェントヴィシャップ…」
長き眠りから目覚めたのは若陀龍王だけではなかった、ということである。
「っ…一匹ずつ片付ける。凡人、援護しろ」
「言われなくてもわかってるわよ!ハァッ!!」
刻晴が先行し、雷極を飛ばしてそこに飛び、雷元素を纏いつつ横薙ぎに剣を振るった。しかし、やはりというべきか、剣はエンシェントヴィシャップの肉体を斬り裂くことはなく、表面の硬い鎧にわずかに食い込んだだけだった。刻晴は急いで剣をエンシェントヴィシャップの肉体から離すと、飛び退いた。直後その場をもう一体のエンシェントヴィシャップの氷のブレスが通り過ぎた。
「狙うなら同士討ちも狙えそうね」
刻晴は二匹の古龍は連携が取れていない、と分析した。しかし、魈はそれを否定した。
「否、無理だろう。今度からは地脈を通じて若陀龍王が指示を出してくる。同士討ちは狙えん」
「じゃぁ堅実にやるしかないってことね…効率は悪いけれど、現状では最高の効率かしら…」
刻晴は少しだけ愚痴を零すと、再びエンシェントヴィシャップへ向けて突進した。今度は雷極を使わずにジグザグに動きながらである。もう一体のエンシェントヴィシャップのブレス対策である。狙いが定まらないため、撃つことができないのだ。時偶刻晴はもう一体との射線上に現在刻晴達が戦っているエンシェントヴィシャップを入れてくるため、尚放てなかった。
援護がないことを察したエンシェントヴィシャップが自分でブレスを放とうと口を大きく開いた。
「今よッ!!」
「喚くがいい!」
エンシェントヴィシャップは総じて体が硬い。では弱点はどこか。答えは眼球か、口の中である。しかし眼球を潰したところで時間をかけねば殺すことはできない。であれば口を開けた瞬間大きく傷つけてしまえばいい。少なくとも眼球を潰すよりかは早く殺すことができるだろう。
魈の風元素を纏った槍の突撃によって頭が破裂したように吹き飛んだ。首は抉り取られたように肉が渦を巻いており、エンシェントヴィシャップは大量に血液を吹き出してドシャッと倒れた。
もう一体はブレスを吐くとああなることを理解したのか、ブレスを一切吐かずに刻晴と魈へ攻撃を仕掛け始めた。先程とは違って口を開かないため一気に倒すことができない。加えて鎧が硬く、剣も槍も通らないため用意に傷をつけることすらできていなかった。
「っぐ!!」
そんな中、遂に刻晴をエンシェントヴィシャップの剛腕が捉えた。刻晴は剣でギリギリ防いだが、衝撃は凄まじく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられ肺の空気を全て吐き出し、不規則に息をしていた。
「っ…刻晴!」
魈らしくもなく一瞬刻晴に気を取られたその瞬間を見逃さず、エンシェントヴィシャップは再び剛腕を振るった。魈が気が付いた時には既に目と鼻の先に剛腕が迫っていた。何とか右腕を自分と腕の間に入り込ませるも、衝撃は凄まじく右腕が複雑に曲がり明らかに複雑骨折をしていた。魈は何とか立ち上がると、刻晴を見た。刻晴も何とか立ち上がり、剣をエンシェントヴィシャップへ向けて突きつけていた。口から血を流していることから内臓が損傷しているか、口の中を切っているらしかった。
「刻晴、まだいけるのか?」
「私は…問題ないわ…降魔大聖は?」
「我も問題はない。右腕は使えないが、左腕でどうとでもなる」
エンシェントヴィシャップは手負いの二人を見て勝ちを確信したのか、大きな咆哮を上げた。
「来るわね」
「ああ」
「チャンスは一回きりよ」
「わかっている。我を誰だと思っている?」
刻晴がダッと駆け出した。エンシェントヴィシャップへ向かって真っ直ぐに。
生物は本能的に、噛み付く、ということを優先する。特に自身が絶対的強者で、絶対に負けない際にその傾向は強くなる。現状、手負いの人間二人を見てエンシェントヴィシャップは勝ちを確信していた。だからこそ刻晴を食べようと突進してくる刻晴へ向け更に自分も近付き口を大きく開いた。そしてその油断こそが、先程自分の仲間を殺した存在のことを忘れさせるのである。
「今よッ!」
「わかっている!!」
刻晴が突然斜め後ろに向かって飛び上がった。エンシェントヴィシャップは釣られてそちらに顔を向けたが、次の瞬間目を見開いた。
刻晴がいるはずの上空には、魈が槍を構えていたのである。エンシェントヴィシャップはふと、先程の高威力の一撃を思い出し、慌てて口を閉じようとした。
「もう遅い、逃さん!!」
が、ほぼゼロ距離であったため、間に合うはずもなく、エンシェントヴィシャップは先程のエンシェントヴィシャップ同様に頭が弾け飛んで絶命した。
「っ…はぁ…はぁ…何とか勝ったわね…」
「そうだな…しかし、お前のその傷では継続戦闘は不可能だろう。我は問題ないが」
【問題大有りだ、降魔大聖。全く、帝君の命に背きここで死ぬつもりか?】
そうして現れたのは仙人達だった。削月築陽真君、理水畳山真君、留雲借風真君の三人と、甘雨、煙緋、ピンばあや、申鶴の四人も背後に控えている。
刻晴は更にその後ろの様子を見て安堵した。ベビーヴィシャップの大群、そしてそれに引き寄せられてやって来たヒルチャールの群れを千岩軍が撃退していたからである。
「そうではないが…」
魈が削月築陽真君の言葉にそう返したが、留雲借風真君が言葉を引き継いだ。
【今この重要な局面に於いてお前は戦力外だとはっきり言ったほうがよいか?右腕を複雑骨折しているのだろうが。救苦度厄真君にでも治してもらうんだな。そして『玉衡』もな。内臓が損傷しているようだ。放っておくと命に関わるだろう】
「お、お気遣い…ケホッ…感謝致します」
刻晴は本当に内臓を損傷しているらしく、話すのも辛そうだった。そんな様子を見兼ねてか、理水畳山真君が続ける。
【喋らなくて良いから聞け。今更だが援軍が到着した。なんでもモンドからの援軍らしい】
「それは…上空に居る蒼い巨龍のことか?」
【左様。妾も先程見た時は驚いた。まさかモンドが四風守護のうちの一柱を派遣するとは】
留雲借風真君がそんな事を言った。
【一先ず甘雨、『玉衡』を運んでやれ】
「これでは我の面目が立たんが…」
【何、帝君もお前が生きていたほうがお喜びになるだろうよ】
理水畳山真君のその言葉に魈はギリッと歯噛みすると、無言で後方へ下がっていった。
「さて、ではすぐに戻って参ります」
【うむ、『玉衡』を頼むぞ】
仙人達から離れ、甘雨と刻晴は後方へ下がっていくのだった。その途中で、刻晴は掠れた声で言った。
「甘雨…いつも威張っているのにこんな無様な姿を見せてしまって…『玉衡』失格だと思わないかしら?」
刻晴のその言葉に、甘雨は首を横に振った。
「いえ、途中からですが刻晴さんが皆さんのために前線で戦っていたのは見ていました。最前線でヴィシャップ・岩やエンシェントヴィシャップを抑えていてくれたからこそ、千岩軍の被害はこの程度で済んだのですから…私は、そんな他人のために命を投げ打てる貴女を…尊敬します」
甘雨は微笑みながら言った。刻晴は照れたようにそっぽを向き、無言になった。少しして規則的な呼吸音が聞こえてきたため、眠ったようである。甘雨は後方にある天幕内にあるベッドに刻晴を寝かせ、医師にできるだけ最優先で治療するように言うと、再び戦場へと帰還した。
「───状況はどうでしょうか?」
甘雨は戻るや否や、留雲借風真君にそう問うた。留雲借風真君は甘雨を一瞥すると、やがて目を離し、そのまま陥没穴の方を見た。甘雨は陥没穴を見てみろ、というサインだと理解し、陥没穴を見て言葉を失った。
【甘雨よ、見て分かる通り、雷元素と炎元素の過負荷反応による爆発が生じている。あれによって陥没穴が更に広がっている】
「つまり、もうすぐそこまで若陀龍王は迫っているのですね」
留雲借風真君は首肯いた。
【地上に出てくる前に再封印しておきたかったが、その時間はもうないだろう。若陀龍王の思惑通りに、ヴィシャップ共によって千岩軍は良くて疲労困憊、そして降魔大聖をも戦闘不能に追い込んでいる。このままでは戦力不足が否めんな】
理水畳山真君がぶっきらぼうにそう告げた。
「我がいても戦力不足、ということか?」
仙人達の背後の開けた場所に、モンドからの援軍であるトワリンが着陸し、そう申し訳無さそうに言った。
「ふぅむ…トワリン殿の戦力が不透明ではあるが、若陀龍王が自我をなくして自分の身を顧みずにあらゆるものを破壊しようとしているのならば、トワリン殿と言えど対処は難しいだろう」
煙緋は冷静にそう戦力に関する分析を出し、トワリンに伝えた。トワリンは苦笑交じりに、
「ふむ…なるほど、確かに一理ある。荒ぶる龍ほど厄介な存在はないからな…身を以て知っている」
そう答えた。トワリンは陥没穴から感じる嫌な気配に、少し喉を鳴らした。
「来る、か」
【帝君から受けた恩を仇で返そうとするとは…】
削月築陽真君が目を細めてそう言った。やがて更に大きな轟音が響き渡ったかと思うと、雷元素と炎元素が霧散した。注意深く仙人達とトワリンが見守る中、ヌッと巨大な背中が現れた。
「ようやくお出まし、というわけか」
【久しいな、若陀龍王よ】
「……」
若陀龍王はその全身を現したが、留雲借風真君の言葉に返事をすることはなかった。ただ2つの紅い瞳をギラギラと輝かせているのみであった。
【今すぐ元の場所へと戻れば我々も攻撃はしない。即刻退去を要求する】
「…やはり、貴様等は我を裏切っていたのだな…我を殺しに来たのだろう…!」
若陀龍王はそう言った。まるで、最後の自我の残滓を使い切ろうとするかのように、激情に身を任せ、地団駄を踏んだ。それだけで地震が起き、周囲が揺れた。
「帝君はやはり我を裏切っていたのだ!!この怨、一生忘れぬと我は誓ったのだ!!千年も待ったのだ我は!!」
紅い瞳を一層輝かせ、若陀龍王は言った。
「千年もの雪辱を…果たす!!」
そう言って若陀龍王は璃月港へ向けて進撃を開始するのだった。
レポートというか宿題が無事終わりましたので更新は暫く普段どおりにできますね
いや〜良かったよかった