忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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稼ぎどきじゃァァァ!!

あ、あつ森の話です。夏の夜は物凄いですからね。

原神のイベント楽しいですね。全然間に合わないんですけども…そんな中でもしっかりと万葉君は確保致しまして…いやぁ勝ち申した。


第58話 提案

「「提案?」」

 

俺は二人の言葉に首肯いた。

 

「モンドは完全にスネージナヤとは国交を断ったわけだ。ほぼ仮想敵国と言っても過言じゃない。璃月も先の一件以降、璃月に訪れるスネージナヤの商人はほぼ皆無と言っていい。来たとしても璃月の民の印象は最悪だろうからな」

 

「…何が言いたい?」

 

モラクスが急かすように言った。俺は両手でまあまあと諌めるアクションを取った。

 

「まあつまりは、だ。戦争状態であるのなら友好国として援軍を出すべきじゃないか?或いは武器の供与などを行うべきだろう」

 

或いは何らかの形でスネージナヤに制裁を加えるべきだろうな。

 

「離島が占拠され、稲妻が鎖国している以上、それは難しいだろう」

 

と、モラクス。

 

「稲妻が鎖国した理由はわからんが、恐らく信用に足る国がなかったのだろう。助けを求めるべき国も存在せず、自分の国の問題は自国で解決するしかない、といったところだろう」

 

なるほど、確かに鎖国をしている以上厳しいのか。密入国で捕まってしまっては世話ないしな。ただ、

 

「眞が倒れ、影も倒れれば稲妻は滅ぶことになるだろう。そして恐らくファデュイには勝算すら存在する。そういう連中だからな」

 

そもそも勝算がないのに戦争を仕掛けるような馬鹿は存在しないのだからな。あの雷電将軍に打ち勝つことのできる切り札が存在するのだろう。

 

「で、あれば尚更援軍を送るのは無意味なんじゃないかな?僕としては、このまま稲妻だけ滅んでも構わないよ」

 

「璃月に多少の損失は出るだろうが、死活問題にはなりえない。あの国はどちらにせよ鎖国中だからな」

 

…なるほど、ご尤もな神の意見だな。

 

「自国のことしか考えない神らしい。バルバトス、それなら貴様は何故隣国である璃月は助けた?隣国だからか?将来的にモンドにも危害が及ぶ可能性があったからか?」

 

「…うん、そのとおりだよ」

 

「モラクス、多少の損失、それだけで済むと思うか?バルバトスの言ったように、稲妻は璃月の隣国だ。その稲妻の次は何処だと思う?」

 

「……」

 

ただ正直なところで言うと、だ。

 

「モンドの兵力のほとんどは遠征中、加えて璃月は先の戦の傷が未だ癒えてはいない状況だ。援軍を送る余裕は正直ないのだろう?」

 

「「……」」

 

二人は首肯き、バルバトスが口を開いた。

 

「トワリンの傷はようやく回復傾向に向かっていてね。けれど、正直援軍としての出征は厳しいと思う。西風騎士も多少は増えてきたとはいえ、モンドの防備に手一杯なんだ」

 

バルバトスの言葉に呼応するようにモラクスも口を開いた。

 

「璃月も、先の戦で負傷した千岩軍のある程度は回復したが、未だに傷が癒えていない者も多い。それに命を落としてしまった者もいる。補充には時間がかかるだろう」

 

現況はやはりそんな感じだろうとは思っていた。ま、正直に言うと、西風騎士や千岩軍兵士を援軍として稲妻に送り込んだところで、焼け石に水だとは思っていた。

 

一応の確認で提案しただけなのである。本題の本題はこっからだ。

 

「そういうわけで、モンド、璃月の両国からの援軍として、俺と旅人を送ってほしい」

 

旅人がいない時にこう提案するのもおかしな話ではあるが、鎖国中、加えて戦争状態であるならば正規ルートでも非正規ルートでも入国は難しいだろう。

 

だから、国同士の関係を使わせてもらおう。

 

「その心は〜?」

 

「モンドでは旅人は栄誉騎士の称号を授かっている。援軍として送るのには申し分ないだろう。璃月からの援軍は俺でいいだろう。方や栄誉騎士、方や璃月の英雄だ。援軍としても申し分ないと考える」

 

「ん〜、稲妻がそれで援軍を了承してくれるかどうかだよねぇ…」

 

そこだよな。いや、まぁ大丈夫だとは思うんだが。最悪、俺と旅人は強引に入国しようと思う。陸続きじゃないから暫くは俺が飛んで行くことになるだろうが。

 

「それで俺達に説得を頼みたいわけか…」

 

「まぁ、そもそもの連絡手段がないから、そういった交渉に関しても難しいことはわかっているんだが…なんとかできないか?」

 

モラクスもバルバトスも顎に手を当てむぅ…と考えていたが、バルバトスがここで鶴の一声とばかりに、とある提案をした。

 

「交渉するだけなら、トワリンに僕が乗って行けるはずだよ」

 

交渉か。スネージナヤとの国交を完全に断っているモンドの責任者、って程ではないが見守る位置にいるバルバトスが交渉に赴くのは確かに筋は通るな。とはいえ、

 

「護衛の問題があるだろう。トワリンの傷が癒えていないのなら、護衛としては如何にトワリンと言えども少し心許ない」

 

「え?アガレスがついてきてくれるんじゃないの?」

 

…?

 

「バルバトス…アガレスが思わず首を傾げているぞ…」

 

「…ご、ごめん」

 

バルバトスは苦笑いしながら謝った。まぁそれはいい。

 

「う〜ん…いや、俺も勿論行くが、モラクスも来い」

 

「ん?何故だ?」

 

モラクスは不思議そうに呟いた。俺は人差し指を特に意味もなく立てて告げる。

 

「二カ国の首脳とも言うべき存在が行くんだからな、無下にはできないだろうし、何よりお前達は神だ。護衛などほぼ必要もないだろう?」

 

「なるほど…より説得の難易度を下げる狙いがあるわけか」

 

モラクスは得心が行ったのか首肯き、俺もモラクスの言葉に首肯いた。

 

「ま、思い立ったが吉日とも言う。が、今回に関しては出立を見送らねばならないこちらの事情があってな」

 

「それはさっき言ってた依頼の話かい?」

 

俺はコクリと首肯きつつ、俺の今後の展望を述べた。

 

「アビスの使徒はまだ倒していない。それに依頼に関してもまだ日にちは継続している。つまり、その依頼が完了するまでは稲妻へ行くことはできないだろう」

 

「じゃあその間にトワリンももう少し回復させられるね」

 

その通りだよバルバトス君。とばかりに微笑みながら彼を見ると凄い嫌な顔された。

 

「…んで、だ。そういうわけだから、この提案を検討してみてくれ。バルバトスもモラクスも会議で確認する必要があるだろうしな」

 

まぁ神の一存で決めようと思えば決められるのだろうが、バルバトス、モラクス共に今やほぼ神座を降りている状態だ。国は人々によって統治されるべきだとの考えを持っているからである。そういうわけで自分の国に一度持ち帰らねばならないだろう。

 

「承知した。俺としては提案に賛成だ。氷の女皇の手先に何らかの切り札が存在するかも知れない以上、アガレスを送り込むことで稲妻を護ることができるのなら尚更だ」

 

まぁ断られても無理矢理密入国するが。咎められようと稲妻を、ひいては雷電眞や影を見捨てるわけにはいかない。もっと前に気が付いていればよかったのだが、鎖国の影響のせいか、全く情報が入ってこなかったのだ。

 

「じゃあ僕も大聖堂に戻って相談してみるよ〜」

 

バルバトスはそう言うと席を立って部屋を去ろうとした。俺は腕を組みながら、

 

「一階の台所の棚に一本だけ酒があったな。璃月でできたものだが…持って帰るか?バルバトス」

 

「…勿論だよ…ッ!!」

 

なんでそんなに力強いんだよ。バルバトスは物凄い勢いで去って行った。モラクスはそんなバルバトスの様子に苦笑いをしつつ、溜息を吐いた。

 

「全く…モンドに降臨して少しは変わったかと思っていたのだが…やはりあれは自由奔放の権化と言えるだろうな」

 

「ま、それもいいじゃないか。神は普遍で、不変の存在。そんな俺達が変わることがあるとすれば死する時くらいのものだろう。或いは摩耗が進むか、といったところだな」

 

モラクスは感慨深そうに笑うと席を立った。去り際に顔だけで振り向くと言った。

 

「万物不変、だが盤石すら、数万年の時を経てただの砂へと還る。俺達も摩耗し、そう遠くない内に死に絶えるのだろう。だがアガレス、お前は…お前だけは、死ぬまでその意思を貫き通してくれ」

 

モラクスはそのまま部屋を去って行った。俺は聞こえていないだろうなぁ、とは思いつつ、なんとなくの気分で答えた。

 

「…ああ、元よりそのつもりだ。何があろうと、お前達を護るさ。それが俺に与えられた役割なのだから」

 

俺の言葉は静寂の中に吸われて、やがて消えた。




毎度のことながら恐らくなりましてございまする…えへへ。
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