忘れ去られたもう一柱の神   作:酒蒸

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…戦闘パート何処行ったんだろう。

と思っているそこの貴方!!あんたは正しい!!

まぁ次の話くらいでガチで戦争していくので今回までほんわかさせようかと。

あ、今回も視点主書いてありますんでよろです。


第84話 惚れられたい影VS告白したいアガレス

【アガレス】

 

翌日、俺達の扱いをどうするのか、ということがようやく決まり、旅人は海祇島の勢力の指揮下に、そして俺は稲妻幕府の指揮下に入って遊撃隊として動け、ということらしい。初陣的なものは一応、稲妻に来たばかりの頃行ったが、体裁上、ちゃんとした初陣を行わねばならないようで…影によれば、稲妻の武士達に俺の実力をしっかりと示す狙いがあるんだとか。下級武士達と共に戦い、その実力を示して協力関係になることによって士気向上を狙う、というわけだ。旅人も俺も異論はなかったため、勿論承諾した。

 

さて、旅人だが、早速海祇島に飛ばされるようだ。なんというか、島流しにあっているようで居た堪れない。

 

「アガレスさん、じゃあまた」

 

「アガレスー!死ぬなよー!!」

 

いやこっちの台詞だよ、との言葉をしっかりと飲み込み、俺は艦橋にいるパイモンと旅人に手を振った。彼女達は俺が見えなくなるまで手を振り続けていた。

 

さて、と。

 

「じゃ、説明求む」

 

「なんのことでしょうか?」

 

見送りには影も勿論来ている。救援に来た旅人が戦場に赴くので、その見送りに来たわけである。あとは表向き、雷電将軍が元気だ、ということをアピールする狙いもある。公式には、雷電将軍は矢面に立って不幸にも怪我をしたことになっているからな。実際、稲妻城城下町の人々も見るのを想定して小ぢんまりとはしているが、雷電将軍自ら出てきている。

 

それでだが、何に対して俺が説明を求めているのか、というと簡単な話で、何故旅人だけが戦場に赴き、俺は未だに後方にいるのだろうか?というところである。勿論、影もそんなことはわかりきっているはず。だが影は無駄(ではないが)にいい笑顔を浮かべているだけだった。

 

いや、まさかとは思うが…。

 

「お前、旅人が目障りだからって追い出した訳じゃないよな?」

 

「さあアガレス、朝食にしましょう」

 

図星やないかい。

 

「と、いうか影…」

 

「なんですか?」

 

キョトン、とした表情で稲妻城へ向かおうとした影の足が止まり、こちらを振り向いた。いや、なんですか?じゃなくて。

 

「お前、料理出来ないんだろ?」

 

「愚問ですね。私に料理が出来るかどうか、それは貴方がよく知っているのでは?」

 

思えばその通りだった。俺は溜息を一つつくと、影に告げる。

 

「その…なんだ…朝食は俺が作ろう。まだ作ってないんだろ?」

 

影の横まで歩き、横目で彼女を見ると、コクンと首肯いた。思わず、俺はホッとした。

 

「じゃあ、厨房借りるからな」

 

「ええ」

 

俺は影の許可を貰ったので稲妻城へ向かう。明日にもなればどうせ命令が下され俺も戦地へ赴かねばならないのだから、今日くらいはゆっくり休もうと思う。

 

さて、これで一旦落ち着く時間が出来るだろう。実は今日、未だに俺は影の顔を真っ直ぐ見れていない。数千年生きてきた中で顔を見ることができなくなるという経験はない。これも…こう、昨日のことが関係しているのだろうか。影の顔を直視した時には…ということを想像しただけで顔が熱くなるのでやめておくことにする。

 

ラブコメの娯楽小説の主人公は凄いな。美女に詰め寄られて、アピールされて、照れずに対応するやつもいるのだから。少し前まで俺もそうだったが、鈍感だから、というだけでは説明もつかないようなことが多い気がする。戦時中だと言うのに、稲妻人は逞しいものだ、と思った。

 

「って、なんでついてくるんだよ?」

 

何故か、厨房まで影がついてきた。顔を見そうになって、慌てて逸らす俺に対し、影はなんでもないことのように告げる。

 

「アガレスの作るご飯は美味しいですから。栄養バランスも考えてくれて、しかも美味しい…そんな料理を数百年ぶりに食べることが出来るのですし、楽しみで楽しみで仕方がありません」

 

それに…と影は俺の顔を覗き込みながら言った。

 

「アガレスとできるだけ…その…一緒にいたかったんです…だめ、でしたか?」

 

上目遣い&ウルウル…だと…ッ!?

 

勘違いしないでほしいのは影のその仕草はわざとやっているわけではなく、自然にやっている、というところだ。昔からこういう節が思えばあった。うん、昔の俺、どうかしてたな。

 

俺はクラクラする頭を一先ず冷やしつつ、できるだけ平静を装って告げる。

 

「い、いや…別に構わない。す、すぐ作るから待っててくれ」

 

駄目だった。俺は顔を若干赤くしながらも逃げるように俺は料理を開始するのだった。

 

〜〜〜〜

 

【雷電影】

 

アガレスが料理を始めようと厨房に入りました。彼のいなくなった厨房の外のスペースで、私はプルプルと震えていました。

 

(く、くぅ…恥ずかしいですね…で、ですが神子の教え通り、アレは効いたみたいですね…!)

 

先程の仕草は神子に教えて貰った仕草で、アガレスは顔を真っ赤にしていましたし、どうやら昨日からしっかり私を異性として意識していてくれたみたいですね。ですが…まだまだ足りません。今後の展望を決めておかないといけませんし。

 

異性として意識させる。

一緒に時間を過ごして惚れさせる。

両思い。

恋人!!

 

と、いう目的に至るための第一の目標は達成できましたが…その次、これは少し難しいですね。彼にも、私にもあまり時間はありませんし、惚れさせる、というのも至難の業です。

 

え?何故、ですか…そうですね…彼は、一人で何でも出来ますから。って、私は誰に話しかけているんですか。

 

先程の可愛いアガレスはしっかりと脳内に焼き付け、厨房に入ってみました。早速、いい匂いがしてきました。アガレスは少し忙しそうに厨房の中を行ったり来たりと動いていました。少し見ていると一通り落ち着いたのか、一つの椀の前で止まりました。アレは…恐らくお味噌汁ですね。私はアガレスの邪魔にならないように横に回って彼の手際を見ていました。

 

「───ふぅ…後は昆布から摂った出汁に鰹節も少し入れておくのも大切だな…その後味噌を溶かして…ようやく味噌汁か…まだ二品目…って、影?」

 

すると、私に気がついたアガレスがちょっと慌てたように言いました。どうやら、先程の余韻がまだ残っているようで、顔が赤いですね。こういうときは確か───

 

『よいか影。相手はあのアガレスじゃ。じゃが、付け入る隙は必ずあるはずじゃ。それを見逃さぬようにせねばならぬ』

 

───隙を…見逃さないように、との教えでしたね。私はズイッと顔を寄せました。アガレスは若干仰け反り…それでも顔と顔が物凄い至近距離にあることには変わりありませんでした。

 

顔が熱くなるのを感じつつも、攻めの姿勢だけは崩さぬように、アガレスに声を掛けました。

 

「その…ほら、私は料理ができないので…出来るようになろうかと…」

 

「そ、そうか…」

 

「「……」」

 

流石に…気不味いですね。お互い、昨日で今までの友人という仲から気のある異性として見ている仲に変わったわけですから…。

 

私は将軍という立場ですし引き篭もりではありましたが、対人関係にそこまで疎い、というわけでもない私でもこのくらいはわかります。それに、八重神子からおすすめされた娯楽小説でも勉強しましたからね。アガレスがどうかはわかりませんが、それなりに恋愛に関する知識はあるはずです。

 

その点、アガレスは恋愛に関しては初心者のようですが。

 

それでも、このような沈黙の間をどうすればいいかは、私にもわかりませんでした。

 

数分ほど経って、アガレスの作ってくれた朝食が出来上がりました。

 

「お、美味しそうですね相変わらず…」

 

「ッハハ、簡単なものですまないな…」

 

出てきたのは、『満足サラダ』なるものと『味噌汁』、炊きたての白米と、アガレスが言うには『モンド風焼き魚』というものでした。同じ物が、アガレスの前にも並べられていました。完全に彼の生活がモンド色に染まっていますね…これは矯正せねばならないでしょう。

 

厨房の隣には食堂のようになっているスペースがあるため、そこに料理を運んでおきました。勿論、相席です。普段よりも幾分か少ない武士達に目もくれず、出来る限りの後片付けをしているアガレスを厨房越しに見つめます。

 

「影?」

 

「え、ええ?なんでしょうか」

 

「いや、こっちをまじまじと見ていたから…何か用か?」

 

「い、いえ…何でも無いですよ。それより、折角の料理が冷めてしまいますし、いただきませんか?」

 

「そうだな…いただくとしよう」

 

私とアガレスは微笑みあうと、ご飯を食べ始めました。この後も色々用意していますし、アガレスを何とか私に惚れさせられれば良いのですが…まあ、反応を見る限りではもう一押し、と言ったところでしょうね…。

 

私はそんなことを考えながらアガレスの顔を見てご飯を食べるのでした。

 

〜〜〜〜

 

【アガレス】

 

さて、食べ始めたはいいが、飯の味なんかわかるはずもない。やっぱり今日は影からの視線を物凄く感じる。なんというか、食べ辛い。

 

そのまま食べ終え、俺は影と自分の食器を片付けるべく厨房へと戻り、洗う。今のうちに心を落ち着けてしまおう。まさか、俺が恋愛初心者だなんて影は知らないだろうし…特に、意識して異性と話すと、うまく話せないことがわかった。どうやら、俺はコミュ障だったらしい。おかしい。そんなつもりではなかったんだが。ああ、やめだやめだ!

 

俺は首をぶんぶんと振ってその考えを消す。

 

「アガレス?」

 

「うわああ何だ!?」

 

しまった、思わず大声を上げてしまった。影は俺の顔を見ると微笑んだ。ぐぅ…なんだ?マジでアタックが物凄い。絶対八重神子になんか仕込まれてるだろ…。

 

「ふふ、アガレス。今日はまだ長いですし、覚悟しておいて下さいね?」

 

影の言葉に思わず、俺は顔を逸した。そんな俺の様子が気に食わなかったのか、影は俺の頬を両手で挟み込んでぐいっと影の顔の向きへ向けた。必然的に、彼女の顔を凝視する羽目になるわけだが…。

 

 

駄目だ…え、ちょっと待って…影って、こんな可愛かったっけ?なんだろう、俺はもう駄目なのかも知れない。普通に考えて、俺はきっと影のことをす、好いているんだろう…少なくとも、好意的な感情を持っている、はずだ…。だが…だからと言って告白できるかどうかは別問題だ…いや、その…俺は伝えられるときに伝えておくべきだとは思っているが、実際は全然勇気が出ない。

 

はぁ…こうなったら…俺は影に告白させるべく行動しよう。ヘタレと言われようが気にしない。いやまぁ…耐えられなくなったら俺からするだろうが…それまでは頑張ってみようと思う。

 

というか…!

 

「いい加減離してくれ!」

 

顔が熱くなるのを感じつつ、今後の事を考えてどことなく不安になる俺だった。




いい加減話を進めようと思うんですよ…そしたら朝食までで一日が終わるなんて予想外でした。そういうわけなんで…気になる人は何があったのかを妄想しましょう。私もします。めちゃくちゃします。

というわけで酒蒸でした。
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