本編完結後にifルートの順番などを決めるのでヒロインアンケートは引き続き回答よろしくお願いします!
期末テスト。それは一学期の学期末に行われる定期テストの事であり、これを乗り越えれば夏休みは目の前だ。学生はそれを楽しみにして期末テストへのモチベーションに繋げる。
そして定期テストと言えばおなじみ...
「伏見! 今度のテスト本気出しなさいよ!」
伊井野ミコの襲来である。光夜はもう慣れたのか、それを軽く聞き流していた。今のところかぐやから何かを言われた訳もなく今回も特段テスト勉強をする気はない。今回のテストでも一位は伊井野が獲るだろう。...このままいけば。
秀知院の教師陣と1年生は光夜が本気を出せば光夜が、本気を出さなければ伊井野が学年一位を獲ると予想している。普通であればテストで全力を出さない光夜を注意するべきなのだが...それでも彼は学年5位付近で安定しているため誰も文句を言う事はできない。
──────
「そういえば...そろそろ期末テストですね。勉強はなさってますか?」
場所は変わって生徒会室。この場にいるのは白銀、かぐや、藤原だけである。光夜はまだ伊井野に拘束されており、石上はテストがヤバいという理由で教師に呼び出されている。
「試験勉強なんて必要ない。そんなもの、普段から勉強していれば問題ない」
嘘である。この男、微塵もそのような事は考えていない。彼は莫大な勉強時間を費やす事で現在の地位を築き、そして保っている。が、今回。白銀を大きなピンチが襲っていた。
「(いつもよりモチベーションが上がらない...!)」
白銀の勉学への大きなモチベーションはかぐやに勝つ事である。何でもできる天才のかぐやに勉学でも負ける訳にはいかない。勉学で負けては最後、白銀はついにかぐやと対等ではなくなってしまうから。好きな人であり目標でもあったかぐやに少しでも近づくという事がこれまでの白銀を支えてきた。
が、その目標は揺らいでいた。かぐやへの失恋。そして自分の気持ちについて考え続けた結果、自分がかぐやの事をどう思っているのかが分からなくなったのだ。今、白銀は最大の目標を失い過去最大のテストの危機に襲われていた。
「そうですね。テストは自分の実力を測る場です。無理をして本来より良い成績を取っても本来の自分は見えません。自然体で受けるのが良いかと」
嘘である。この女、本来より良い成績を取るために本気も本気である。もしこの場に光夜がいればその滑稽さに噴き出してしまうかもしれないくらいには出鱈目もいいとこである。テスト期間中はかぐやは自室に篭りっきりであり同じ家で過ごしていてもあまり光夜と顔を合わせる機会もない。が、今回。かぐやを大きなピンチが襲っていた。
「(なんでこんなに集中できないのよ!)」
かぐやは先日、光夜が痴情の絡れだと言って自分の誘いを断った事に動揺していた。もしかして光夜は誰かと恋愛しているのではないか?! と過呼吸にもなった。かぐやにとって勉強どころではなかったのである。
故に、椅子に座って問題集を広げたとしても一向に進まない。かぐやはテスト勉強に全くと言っていいほど入り込む事ができないでいる。今、かぐやは集中力を失い過去最大のテストの危機に襲われていた。
「勉強量が必ずしも成績に反映するとは限りません。いっそ勉強しないという選択もありますよ」
言うまでもなく嘘である。かぐやは本気を出しても勉学で白銀に勝てていない。これが彼女のプライドを大きく傷つけていた。また前回から最愛の弟が高等部に進学している。これ以上彼の前で情けない姿を晒したくない。白銀にさえ勝てば彼女の学年一位は堅い。しかし自分があまり調子が良くないため白銀の調子を落とすよう画策していた。
「そうだな。俺も試験前は三日ほど座禅を組んで精神統一をしている。これが効くんだわ」
こちらも嘘である。白銀はかぐやへの気持ちが変わったとしても彼女が自分の勉学のライバルである事には変わりないのだ。自分が外部入学で生徒会長をやっている以上、学年一位はどうしても手放せない。かぐやにさえ勝てば学年一位は堅い。しかし自分があまり調子が良くないためかぐやの調子を落とすよう画策していた。
藤原が二人の言う事を鵜呑みにして勉強しない事を決意するも、二人にその間違いを指摘する余裕などなかった。
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生徒会室で頭脳戦が繰り広げられてる中、光夜は生徒会室に向かうため廊下を歩いていた。
「(ちょっと遅れちゃったな)」
伊井野の拘束が思いの外長かったのである。彼は職員室を通過し、生徒会室に向かうつもりであった。
「石上、分かってるのか? これ以上赤点取ると進級も怪しいんだぞ」
その職員室から石上と教師の会話が聞こえたため光夜は足を止め、その会話を盗み聞いた。彼は石上が呼び出され教師と話す光景に良くない印象を覚えていた。
「折角進学できたんだ。それを棒に振るな」
が、彼の心配は杞憂に終わり、その教師は正当な事を石上に伝えているだけであった。
「とにかく、次の期末テストは絶対に落とすんじゃないぞ。分かったな?」
赤点。秀智院では平均点の半分を下回れば赤点と見做される。秀知院に救済処置はない。科目で赤点を二回取れば欠点と見做され、必修科目を落とせば即座に留年となる。成績が厳しい生徒には特別保護者会(通称トクホ)が開かれ、石上はその常連参加者であった。石上は既に三科目で赤点を取っており、次に赤点を取れば留年は確定である。
「失礼しました」
石上と教師の話も終わり、石上は職員室を出る。そして...
「うわっ! 光夜か。ビックリした」
光夜が職員室の前で仁王立ちしていた。
「話、聞いてたのか?」
石上の問いに首を縦に振る光夜。
「...僕は赤点を取って留年してもいいかなって思ってる」
石上優は特に学園で被害を受けているという訳ではない。別の世界線とは違って下駄箱に何か入れられたりといじめのような事をされたりはしていない。学園生活に大きな不安は抱いていない。しかし去年の冬に起こした大友京子を巡る一連の事件で自分が何もできなかった事から自信を喪失していた。
──僕なんかがいくら頑張ったところで赤点回避するなんて無理──
やる前から石上優は諦観していた。そしてその言葉を聞いた光夜は内心穏やかではなかった。仮に石上が留年して学年が変わったとしても光夜は石上に会いにいくだろう。それだけで彼らの絆が切れる事はない。しかし留年した人間は全校生徒の代表たる生徒会にはおそらく入れない。
絆は切れないとは言ったが関わる頻度は格段に減るだろう。石上優とは光夜が同学年で唯一、友達だと認めた同性である。
「勉強なら教えるから」
「いやいいよ。それに光夜の手を煩わせるからね」
そう言ってから石上は光夜に背を向けてから帰宅の準備をする。石上は今日発売のゲームを早くプレイするために既に今日の分の仕事を終わらせている。そんな彼の関心を買うためには...
「(正直モノで釣るとかあまりしたくなかったけど...)」
「石上、今度のテストで赤点がゼロだったら今、弊社で今度サービスを開始するゲームのベータテストに参加する事ができると言ったら?」
石上の足が止まった。
「それってあのフルダイブ式のあれか...?」
「そうだ」
「よし光夜。すぐに勉強を始めよう」
ゲームが好きな者はゲームによって動く。こうして石上は光夜と共に赤点回避を目指すのであった。
──────
そしてついにテストを迎えた。かぐやと御行は幾度となく頭脳戦を繰り広げたが結局何も益はなく藤原の成績を落としただけであった。光夜と石上は毎日放課後に勉強をしてきた。
「調子はどうだ? 優」
「大丈夫」
連日の勉強会を通して光夜の石上への呼び方が変わった。生徒会メンバーが伏見光夜を光夜と、そして石上優を石上と呼んでいたため自然と二人の呼び方もそうなっていたのだが、光夜だけが下の名前で呼ぶのもどうなのか? と思って光夜が優と呼び始めた。尚、石上は隠していたが嬉しそうにしていた。
激励(?)も終わり光夜も席に着く。
「(優も本気でやるからね。今回は見直しとかも本気でやろう)」
石上も赤点を回避するために本気でテストに取り組む。それならば友人として光夜も本気でテストに取り組むべきだろう、そう考え最初の科目、生物のテストが始まった。
──────
テストが終わって、全ての答案が返却された。そして学年順位も張り出された。
「光夜、ありがとう」
石上は赤点を余裕で回避した。順位も97位と良くも悪くもないが前回が197位である事を考えれば大躍進したと言えるだろう。そして光夜は...
「2位か。やっぱり本気で挑まないと伊井野には勝てないね」
一年生の順位は一位伊井野ミコ、二位伏見光夜であった。試験中、光夜は本気で取り組んだ。試験の時間が許す限り見直しも行った。しかし2位。普段本気でない時には取らない順位ではあったがやはり試験期間中から本気で取り組まなければ伊井野には勝てないのだろう。これで伊井野は中等部に光夜に負けてからまた連勝記録を伸ばした事になる。
そして二年生の順位では大波乱があった。白銀がついに首位を陥落させてしまったのだ。二年生の学年一位には別の人物の名前が書かれていた。しかしそれはかぐやではない。
「まあ、当然ね」
一位四条眞妃 二位白銀御行 三位四宮かぐや
これが今回の期末テストの二年生の順位であった。白銀とかぐやがそれぞれ個人的な事情で成績を落とす中、眞妃は光夜と話した事で、そして白銀という同志を得た事でこれまでになく精神的に落ち着いてテストを迎える事ができた。眞妃の精神は乱れているのがデフォルトである。それが落ち着きを取り戻した結果...学年一位を獲るに至ったのである。
「(かぐ姉が三位かぁ...)」
姉の見た事もない順位。自宅で慰めないと早坂の胃の穴がまた増える事になるなと光夜は思った。
「伏見!」
試験の結果が張り出されてる場で光夜は話しかけられる。振り返ればそこには今回も学年一位の伊井野が。今回は割と本気で挑んだ。それでも伊井野に負けた。光夜は素直に...
「おめでとう。また──」
「なんで本気を出さなかったのよ!」
伊井野に言葉を遮られてしまう。
「いや、今回は割と──」
「あんたが本気出したんなら私が一位な訳がないでしょうが!」
伊井野ミコにとって、光夜が本気を出したのなら必ずしも学年一位を獲るというのは当たり前の価値観であった。自分より左に彼の名前がある時点で彼女からしてみれば光夜は本気でテストに挑んでないのである。本気の光夜に勝ちたいという思いとは矛盾するものだが、人の感情とは必ずしも合理的ではないのだ。
「......」
そして光夜も試験は真面目に取り組んだとはいえ、試験期間中まで本気という訳ではなかったため反論する事ができなかった。自分に勝ったくせにキーキーと吠える伊井野を見て光夜は虚空を睨む。
「勘弁してくれ...」
この作品はクロスオーバー作品ではないため、挙げられたゲームはSAOとは似て非なるものです。開発者は茅場でなければデスゲームになる事もありません。あ、ちなみにSAOの二次小説も書いてるので見てね→https://syosetu.org/novel/292955/ (ナチュラルに宣伝していくスタイル)
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