ポイントの計算方法の関係上ひとえにどうこうと言える訳ではありませんが、1つの目標達成として共有させていただきます。
コメントご意見、誤字報告や評価などいつもありがとうございます。
貴方は少しずつ今の仕事に限界を感じている。
売春において本番行為を禁止するというのは相手を選ぶ。普通なら嫌がられそうなプレイもある程度受け入れたりコスプレしたりとサービスを充実させているが、それもマンネリを感じさせないための努力である。
そうした努力のおかげか最近は新たにコスプレイ好きな客も増えてきており、特に執事プレイは何人かお得意様が出来るほどであり、
「白手袋を咥えて外す様が最高」「むしろ着込んでいるのがえっちだ」「優しい目で大切にされてる感じがたまらない」「事務セしたい」「折檻されたい」
などなど。世の中の闇を煮詰めたような意見が多く寄せられていた。
サービスの拡充によるリピーターの満足度強化の成功例である。
また執事以外も要望はあり、中には母校の男子制服をどこかから仕入れてきて青春をやり直したいという人までいる程であった。年の差同棲学生新妻プレイというものを貴方はそこで初めて知った。
ぶっちゃけ制服以外は普段の貴方の生活とあまり変わりなかったので余力部分でイチャイチャを多めに提供しておいた。こちらはお得意様は一人減ることとなった。
こうしたコスプレイを拡充した裏には来年一年を乗り切るだけのサービスの提供の形を考え直すべきかもしれないという、どこかのマーケティング部門の上層部会議のようなものが貴方の脳内で開催されたという経緯がある。
貴方は努力は惜しまない質であるが、人の気持ちは移り変わるものであるし、若さという特別感が薄れてくる時期が来るであろうと予測もしていた。
そうして悩んだ結果貴方は夏休みの余りある時間を利用して、臨時バイトとして執事喫茶なる場所でサービスのネタになりそうな事はないかと働く事にしたのであった。
短期のバイトや飲食店での店員バイトは実入りが良くないか持続性が無いため、それなりに長期で若さを利用して稼げないかと考えた末のバイトでもあった。
執事喫茶でのバイトの間、一度だけ貴方の高校の生徒が罰ゲームか何かで来たというトラブルがあったが、よく知らない相手だったので1人のキャストとして接客して事なきを得た。評判はそれなりであった。
貴方は自分が普段相手にしている女性が闇の者達であることを失念しており、あまり男らしさを出すことがなかったのである。
そうしていつもの様に接客をしていると何故か執事喫茶であるにも関わらず貴方には若い男性客が就くようになり、それを知ったオーナーの采配により男の身でありながら系列店であるメイド喫茶に異動となってしまった。バイト採用から約1週間の出来事である。
理由は分かっていた。今までと違う執事の演技を求められていると分かっていても、きゃぴきゃぴとした演技が出来るほど貴方の心は若くなかったのである。
当初の目的である同性の演技を見る事は叶わなくなったが、貴方はメイドが蔓延る喫茶店で黒一点として働くことになったのであった。
男性に媚びを売るという苦行はあったものの、メイド喫茶というアウェーな場であったが、貴方は性別に反して誰よりも女らしく包容力があるという理由からかなりの指名をいただくことになった。培ったプレイ用の執事の演技力が役に立った瞬間である。経営者の審美眼の優秀さというものを強く感じた瞬間でもあった。
自分の本質は変えず、しかし受け身の客が多いメイド喫茶では自分というキャラに求められるアクションを予想するという謎の空気読みスキルを身につけることに成功した。
人間万事塞翁が馬と言うが、実体験に結びついたのはこれが初めての経験であった。
それにメイド喫茶ということで仕事仲間は皆歳若いメイドさんであり、苦行のストレスなどバックヤードに入れば秒で溶けていった。
メイドさんの方も歳下の執事に内心メロメロであったのでWin-Winの関係であった。
新規顧客の獲得に繋がるチャンスであったが、貴方はそれには気づかなかった。彼女達の性癖は守られた。
バイトにしては破格の給料(歩合制)と謎に渡されたメイド服と店長の電話番号とを手に元の生活へと帰還したのが夏休みの終わる2日前のことである。貴方はサービスとは相手によって求められるものが違うが貴方が変わる必要は無いのだと理解して、あの悲劇を産んだコスプレ衣装大放出という暴挙に出たのである。
そして多くの変態を篩にかけ、貴方の携帯のメール欄は現在カオスを極めていたが、あまり気にはならなかった。
その後学園祭を無難にこなし、ハロウィンも適当に乗り切った貴方は新学期になって異様に増えたラブレターの処遇について悩んでいた。
同級生は来年は受験なのだから今彼氏を作っても何も出来ないし意味ないんじゃないかという貴方の冷めた言葉に対して、不良の三島は応援してくれる人の大切さを貴方に説いた。普通の人よりも余程良識のある女である。
貴方は縁日の一件から三島のお世話係という立場を教師から押し付けられたのをいい事によく彼女に愚痴をこぼしていた。たまに委員長も巻き込んでいた。
結局貴方は手紙の振り分けよろしく、事務的にお断りの言葉を並べ立て大半の女生徒を切り伏せていったのだが、その切り捨てに振り分けきれなかった者たちが少なからずいた事が貴方の悩みの種であった。
1つ目が、受験を早々にクリアした先輩からのアプローチであった。波風立つことを嫌う貴方にとっては最大の難敵である。
立つ鳥跡を濁さないのであれば別にいいが、その先輩が濁すタイプだった時の対処に頭を抱えることになった。特に貴方に好意を持っていたのはかつて所属していた部活の先輩である事が多かった為、よりお断りに労力を割くことになったが潔い人しか居なかったため取り越し苦労であった。
2つ目が、どこで何を聞いたのか貴方をお兄様と慕う後輩であった。こちらは対処が簡単であったが、貴方の精神は大いに削れた。誰が好き好んで男にカマを掘られる恐怖に怯えて生きたいものか。
自分がノーマルであることや義妹のこと、遂には三島に協力を仰いでまで相手の告白を根っこから断る事に尽力した。
3つ目が、貴方の夜間外出や執事喫茶でのバイトを盾に関係を迫るクズである。こちらは対処こそ簡単であったが、自分が振られた事実とともに道連れのように他人にあることない事吹き込むのではないかという懸念から慎重な選択を選ばざるを得なかった。
とはいえ学校には夜間のバイトを含めて一通り説明をしてあった為、バイト許可書を見せれば大体は静かになった。それでも引き下がらない相手には、相手の普段の姿を褒める形で並べ立て、最後に一等冷めた目をして蔑んで拒絶してやればたじたじになって戦意喪失して帰って行った。筋金入りのM様の求めるSを演じた貴方にとって高校生などハナクソであった。
そうした怒涛の新学期の開始もあって、貴方の夏休みで回復した精神力は11月の中頃になると底を突いていた。ラブレターの増えた理由を考えられないくらいには疲れていたのだ。
学園祭の提案の中で執事喫茶がかなり票を稼いでいた事を失念する程には。
貴方は最近疲れている。
夏休みが終わり学生の夜遊びが減って巡回が緩くなったことや平常通り買いのお誘いが来るようになった事が重なったこともある。
夜の仕事を誰かに見られるようなヘマをする程度には貴方は気が抜けていたのだ。
貴方は確かに不注意であった。
夏休みの予定の描写薄かったな、と思ったので継ぎ足しも兼ねて。
小さな違和感というものは動機になるのです。義妹が尾行をしたように。相手は勿論お分かりですね?