貴方は貞操観念のおかしな世界にいる▼   作:菊池 徳野

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みんな義妹ちゃんの脳破壊好きすぎじゃない?


貴方はママ活を覚えた▼

貴方は最近お金に余裕が出てきてウハウハである。

 

週に1度としていた売春行為であるが初めてのお客さんである女性――日向子さんから金曜ではなく土曜では無理かと打診があり、週に2度に変更していた。

社会人には日曜日のみの休日しかない人が多いことを貴方は知っていた。週休二日と表記があっても有給休暇の申請云々と説明があっても、それが笑顔で無かったことにされる世界が存在することを貴方は正しく知っていたのである。

社会の闇を久しぶりに垣間見た貴方は、少しだけ売春の時に行うプレイの趣向を変えることにした。

かつて生きていた世界で得た知識から、貴方は『オタクに優しいギャル/優等生』になろうと決めた。社会の闇にはバブみやオギャリティといった癒しが求められるのではないかという考えから来る突飛な発想であった。

 

この世界のSNSやエロ界隈を覗いてみて、貴方は『オタクに優しいギャル/優等生』に一定以上の需要があることを確信した。

貴方はできるだけ精神的に壊れてそうな、目の淀みが酷そうで無気力なOLに声をかけるようにした。酷い話である。

 

その結果、甘やかされてバブバブしたい美優さん。体格差で組み敷かれたい衣紀さん。道具持参で好き勝手されたい舞子さんetc。といったマゾっけ溢れるヤバい奴らの見本市のような電話帳が出来上がりつつあったが、貴方は歳上女性を転がせる事実に満足感と充実感を感じており、そのような瑣末事は気にならなかった。

 

何より貴方の手によって淀みまくっていた彼女らの目が輝きを取り戻していくのが貴方は好きであった。まるで育成ゲームの様だと彼女らに微笑みながら思案するのである。

 

ただ高校卒業後は売春行為を辞めて真っ当に生きるつもりなので、今電話帳に並んでいる女性たちにストーキングやガチ恋されるのは大変困る。あくまで金銭での付き合いであることや他の客がいることは口が酸っぱくなる程に伝えていた。

それでも本番行為や交際を迫ってくる相手も居たのだが、力でベッドに押さえつけて少し強めに拒絶すればそういう相手は次第に居なくなったが。

 

なお、組み伏せた際に気をヤってしまったのが衣紀さんで、「はい、ご主人様…。」と恍惚の表情を浮かべたのが舞子さんである事は内緒である。太客の性癖は全て墓まで持っていかねばならない。

 

 

 

 

貴方は将来的に必要になるからと稼いだお金で少しだけいい時計を買った。

母の形見を使うことも考えたのだが、どうにも性差による違いと壊してしまったらという不安が形見の使用を見送らせた。

一度、風呂に入るために外しておいた時計を義妹が新しいおもちゃを見つけた猫のようにぺちぺちといじって居たのだが、その光景が面白すぎて写真を1枚撮った。貴方の可愛いものフォルダは潤ったが、義妹の心は荒んだ。

 

平日。貴方は基本的に暇を持て余している。

進学の道が絶たれた以上、貴方にとって比重を置くべきは学業ではなくお金であり、身元の確かな就職先である。

 

1度どこかの社長を捕まえて秘書にでもしてもらおうかとも思った事はあったが、自分の電話帳を眺めて現実を思い出した。

ずらりと並ぶ何処に出しても恥ずかしい性癖のお姉さま方がどこかの社長と繋がりがあるとは思えなかったし、有ったとしてもマゾっけのある社長のコネ入社など日常までそういう事に侵食されそうだと早々に諦めた。

 

高卒でも雇って貰えるようにと簿記や秘書検、宅建や船舶など取れそうな資格を取っておこうかと勉強する事が平日の暇な時間の過ごし方になりつつあった。

 

一先ずの目標は市役所勤務である。

 

貴方はお金に余裕が出たが、雑な使い方ができるほど裕福な生き方はしてきたことがなかったので、基本的に真面目であった。

 

カリカリと鉛筆を滑らせながら、貴方はどこか音の響きやすくなった部屋で伸びをした。

 

根を詰め過ぎてもいけないと思い、貴方は仕事用の携帯を取り出すと来ているお誘いのメールたちに餌やりを始めた。営業の何たるかを知っていた貴方はアフターフォローもこまめな連絡も完璧であった。

とはいえ書き込む言葉は実に事務的で、あまり媚びたものではなかったが。

 

貴方の中に『客≒手のかかる犬』という図式が成り立っている事を彼女たちは知らない。

 

事務的に変態達の言葉を流していると、不意に貴方の携帯がメールの着信を知らせてきた。長文のメール。時刻は23時、中々滑り込み気味である。

貴方は心の片隅でBadBoyとつぶやきながらメールを開いた。そして意外な内容に少し驚いた。

 

パパ活のお誘いであった。いや、この場合ママ活と言った方がいいのだろう。

送信者は日向子だった。

 

日向子は最初の客であり、貴方の持つ電話帳の中では比較的マシな性癖の女性である。歳も26とまだまだ若く、精神年齢が天元突破しつつある貴方にとっては10歳年上のお姉さんでも可愛いコーギーのようなものであった。

 

内容を確認すると、日曜日のバイトまでの間で良いのでデートして欲しいというものであった。

貴方は面倒なことになるのではないかと悩んだが、文面の各所に見られる「名誉挽回の機会をください。」という必死で大人としてのプライドの欠片も感じられない文章を見て、普段ほとんどされるがままでわがままを言わない日向子ならばと了承の返事をした。

 

授乳手コキならぬオムツでおしゃぶりやら、うつ伏せの上に全身覆いかぶさっての身動ぎ一つ出来ない状態での愛撫やら、貴方は客のわがままをよく聞いていた。この年齢で粉ミルクの作り方を熟知する事になるとは思ってなかった。

それに比べたら自分に身体を委ねてキスを強請るくらいの可愛げがある日向子のお願いなら聞いてもいいかと思ったのだ。

 

ちなみに一番楽なのがおもちゃで嬲って欲しい舞子さんである。拘束と放置プレイが特に好きなので実に少ない労力でお金を稼げるのだ。

 

貴方は新しくママ活を覚えた。




女性の名前はフィーリングです。
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