貴方は貞操観念のおかしな世界にいる▼   作:菊池 徳野

8 / 28
日刊一位達成しました。ありがとうございます。
それにしてもみんな脳破壊好きすぎじゃない?昨日はいただいたコメントと『ここ好き』一覧見て笑ってました。


かれはほんきにさせるのがうますぎる

「がんもとスジ肉。あと大根ください。」

 

男の子なのによく食べるなぁ。いや、高校生っていうのは燃費が悪いものだろうしこのくらい普通なのかもしれない。

そんな事を考えながら出汁の効いたはんぺんと美味しそうにおでんを食べる美少年を肴にグイッとぬる燗を呷る。

彼を挟んで座っていた日向子さんは既に潰れたのか、時おり謎の鳴き声を上げる以外は彼の腰辺りに縋り付いている。

 

日向子さんは、ホテルもプレイも私持ちだったからと晩御飯くらいは出すと意気込んでいたのだが、この感じだと最悪の場合それも私が払うことになるかもしれない。

まぁ、元々は私のプレイに巻き込んだ形なので文句はない。歳の頃も私よりは下だろうし。

 

しかし折角の晩御飯におでんの屋台を選ぶとはこの子も変わっている。

「未成年だけだと中々来れないんですよねぇ…。」とぼやく姿はとても高校生とは思えないもので、ウチの会社の後輩でももっとキャピキャピしてると不覚にも笑ってしまった。財布を出してやる気をアピールしていた日向子さんは肩透かしを食らっていたが、彼曰く彼女の空回りはいつものことらしい。

 

その流れでママ活の話を聞いた時はズルいと思ってしまったが、彼の「でも舞子さん普通のデートじゃ満足しなさそうじゃないですか。」という一言に私はあえなくダウンした。1発KOだった。

いや私だって普通の恋愛経験の一つや二つあるもの。ありますとも。そりゃあ手を繋ぐよりもリード繋がれた方が嬉しいとはいえ結婚だって考えるような年齢ですから。羨ましいという想いは嘘ではない。

 

不貞腐れている私の様子を知ってか知らずか楽しそうに店主と話をしている彼がちょっと気に入らなくて適当に注文をつける。今日は目いっぱい放置プレイを楽しんだので今くらいはかまって欲しい。

 

「舞子さんは大丈夫ですか?結構お酒召してらっしゃるみたいですけど。」

「へーきへーき。あと一升も飲んだら分からないけど、ちゃんぽんもしないしまだ大丈夫よ。」

 

くいー、と手酌で酒を注いで飲み干して見せれば困ったように笑いながらこちらの心配をしてくれる。あぁやっぱりいい子だなぁ。欲しいなぁ。でもまだ未成年だしなぁ…。

 

こちらを向いてくれたことが嬉しくて、彼が箸を置いたタイミングを見計らって彼の左手を触ってみる。擽ったそうに動く手に指を絡めてみたりしたが、嫌がられる訳でもなく適度に相手をされる。その事がどうにも愛おしくて彼への想いが積もっていく。

しかし彼の腰に纏わりついている日向子さんは彼の右腕に絡みすぎて食事の邪魔だからと、ぺいっと剥がされてしまっていたのを知っているので程々で辞めておく。

 

所詮は客と売り手、そういう関係でしかないのだから程々の距離は大切だ。

それにしては彼はちょっとばかし釣った魚に餌をやりすぎのような気もするのだが、その恩恵に与っている以上私から彼に何かを言うことは無い。

 

隣で見せるその年齢相応の優しい笑顔に、私は今日のプレイを思い出してしまう。赤くなる頬を酒のせいと誤魔化す為に私は注文したおでんをお酒で流し込むのだった。

 

 

 

 

イタズラを思いついたのだと言う彼に従い私はホテルのクローゼットに押し込められて、良いと言うまで出てくるなという言葉をキスひとつで押し通された私は視界の通ったドアから部屋の中を覗いてじっとしていた。

今日は放置プレイだと聞いていたし、もうひとり来るからと聞いていたのでその相手を驚かせるための準備なのだろうと私は大人しく自分の荷物を持って、クローゼットに隠れていたのだ。

 

この歳でドッキリに付き合わされることになるのかとか意外と子供だなぁとか考えて、待機している間に今日のプレイはどうするのかと心を弾ませていたのだが、もう1人のお相手がやってきた所で私の予想は裏切られた。

というのも隠れている私に何か合図をすることも無く、突然2人でおっ始めだしたのだ。

 

びっくりして出ていこうとした私に気づいたのか、クローゼットの隙間に向けて相手に気づかれないように人差し指を立てる彼を見て、動揺しつつも彼の言葉を思い出してその場に留まることにした。

その間も続く2人の絡みに私は目を奪われながらも、不意に足元に置いてある荷物に気づいてハッとした。今日は普段自分で使っている道具を持ってくるように言われていたのだ。

 

彼に荷物を持ってクローゼットに入って待っているように言われた真の意味を私はようやく理解した。

 

私を置き去りにして目の前で繰り広げられる情事と、時おり私に向けて視線や仕草を送ってくる彼との対比に私の興奮は最高潮に達していた。なんなら何度か達していた。

 

お相手が満足して脱力し、私が何度目か分からない絶頂を経験した頃、ようやく私は御相手と顔合わせすることになった。

開け放たれた扉の中で痴態を晒している私の姿を見て、驚きつつも引いているお相手にゾクゾクしていれば、不意に彼が相手の唇を奪いこちらに目配せをしてくるではないか。

私は最高の放置プレイに身体を震わせて、今日初めて彼に見られながら絶頂した。

 

その後少しだけ彼に相手をしてもらいお相手だった日向子さんとも挨拶して、夜の街に出かけてきたというわけである。

その間日向子さんは情事を見られていた事に興奮したのか少しばかり挙動がおかしかったが、私は新たな仲間の誕生と自分の性癖の開拓を同時にこなしてみせた彼に一人マゾ心を震わせていた。

 

久しぶりに心底満たされたという余裕もあってか、今の私は機嫌がいい。

彼が相手をしてくれる内は、この爛れた関係を楽しもうと思える程度には気分が良かった。

 

それに思わぬ繋がりでできた友人もいることだし、かつて程の退屈な人生を送ることもないだろう。

 

目の前で食事を楽しんでいる彼に私は並々ならぬ感謝の想いを抱いている。

なので老婆心として、日向子のような一途な女性を誑かすという事の危機感を持つべきだというアドバイスくらいはした方がいいかもしれない。

 

どうにも彼は女性を本気にさせるのが上手すぎる。




ちょっと描写が露骨かなぁと思いながらもR-18ではないよなぁと思って書きました。
ダメそうならコメントで教えて貰えるとありがたいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。