カイドウ♀になった話 作:ぼほの
好きに書いたけど………なっが(文字数見ながら)
私は酒が大好きだ。
どれくらい好きかというと、命の次に大事なほど好きだ。
まぁ、その命は大事なものランキングで3位くらいなので特別物凄く高いというわけではないが、それでも1日に20杯は飲まないと気がすまないくらいには好きだ。
あまりに好きすぎてもう自分で酒を造ってしまうくらいだ。
もちろん始めたばかりは上手くいかなかった。
出来た物は最早酒というよりただただ不味い水でしかなく、酷く汚染された口内を洗い流すために酒を飲まなくてはならないほどだった。
しかし改良に改良を重ね、そこそこ美味い酒が出来るようになった。
出来る事なら他の人の感想も聞いておきたい。ドヤ顔で自信作の酒を出して、相手にクソ不味いと言われるのだけは避けたいのだ。
私の感想だけでなく、何か具体的なデータとかを得なければ胸を張って美酒を作れるとは言い張れない。
そんな思いでキングやクイーンに飲ませてみると良い反応を示してくれた。
しかしいくら信頼出来るからといってたった二人だけの意見を鵜呑みにするわけにはいかないだろう。最高の酒を作るためにも、もっと多く人に飲んでもらわなければ。
だからといって他の部下達に飲ませる気はあんまりない。私が怒るのを恐れて、お世辞を言われては困る。
そのため私に遠慮無く文句を言える集団に飲ませるのが好ましい。
となるとその集団は四皇と同格、またはそれ以上の実力者がいる組織で無ければならないだろう。さらに私が酒を持ってきて飲んでくれる、ある程度信頼してくれる人達で無くてはならない。
なので海軍は論外。同業者である海賊かつ友で無くてはならない。
そうなるとまず浮かび上がるのはビッグマム。
しかし彼女とは最近会ったばかりな上にその時に首都を破壊し尽くしてしまったので、また顔を出すのは気が引ける。
それにまた“食いわずらい”を起こされたら付き合ってられない。彼女を尋ねるのは止めておこう。
となると残ったのは………白ひげか。
彼はお酒が好きだろうし、私との面識がある。見習い時代に色々とお世話――主に攻撃の巻き添え――になったし、そのお返しも兼ねて試飲させるのも良いかもしれない。
しかし少し心配なのが、彼と会うのが約20年ぶりだということだ。私は彼がどんな部下を従えているのか、その間何をしていたのかを殆ど知らない。
一応部下に関しては手配書を見た事があるが、どんな性格をしているのかが分からない。彼の事だから肝が座っていて勇気ある人を集めていると思うが、もし船長の前で私に世辞を言うような奴だったらぶっ飛ばしてやろう。
「そんなわけでこちらを飲んで欲しいのですが、どうでしょうか?」
「どうでしょうか、じゃねぇよバカタレ」
初手罵倒とは恐れ入った。いや彼らしいといえば彼らしいか。
目の前で迷惑顔をするこの男こそが、かの『白ひげ』エドワード・ニューゲート。
四皇の中の1人に数えられる者にして、ロックス、ロジャー亡き今“世界最強の海賊”と呼ばれる男である。
彼は私の(一方的な)友人である。
そのため、私の酒は有無を言わず飲んでくれると思っていたのだが、反応があまりよろしくない。
一応安全であることを証明するために、一杯注いで飲んで見せておこう。
「ふぅ……そう嫌がらずに飲んでみてください。きっと良い気持ちですよ」
「……何が悲しくてハナタレが作った酒を飲まなきゃいけねェんだ」
なんて言いながらも差し出された酒壺を受け取る白ひげは、きっとツンデレだろう。
まぁ、無料で酒を飲めるというのはケチな彼にとっては嬉しい事のはず。たとえ彼の言うハナタレが作った酒でも、飲んでくれと頼まれたら飲むのだろう。
それか私に対する信頼とかも、ちょっとはあってくれたりするのだろうか。だとすれば私をちょいちょい貶すその姿はやはりツンデレである。
「…良いのかオヤジ?」
「安心しろ、コイツは毒を盛るようなタチじゃねェ。おれを殺るつもりなら、今頃コイツは暴れてるだろうよ」
失敬な、と言いたいところだが、悔しいが事実である。
毒を盛るのが卑劣な行為だからというわけでは無い。ただ彼を殺るのなら実力のみでやりたいだけだ。
それに、彼を殺す毒なんてこの世に存在するか怪しいし、もしあったとしても毒で死ぬ彼なんて見たくない。
大物が命を散らすのは戦場か病床の上にして欲しい。
なんて思いを巡らせながら、私は白ひげに感想を聞いてみた。
「どうですか?私の一番お気に入りの酒を意識して造ってみたのですが……」
「………………まァ、悪くねェ……」
「……そうですか。それは良かったです。ああ、そうそう。出来れば他の方にも飲んでいただきたいのですが……」
そう言って私は船内を見回す。
そこには緊張して体が硬くなっている者もいれば、余裕の表情を見せる者もいた。
皆私の言葉を聞いても何か反応を示すことはなく、私達を監視するかのように見守っていた。
「…………お前らも飲んでやれ」
そんな彼の一言で、さっきまで案山子のように動く気配が無かった船員達が動き出した。
流石の信頼性。この一連の出来事だけで彼らの絆の度合いが分かる。
船長が船員に慕われているのは当たり前だが、偶にその座を乗っ取ろうとする輩が居るのである。
この船で言うならば、あそこの
正直言って彼からは何も感じないのだが、何だろう、“記憶”が反応してる気がする。何となく白ひげに何かする気がするのだ。
姿を見ただけでぼんやりとだが思い出すなんて初めてだ。いつの日かの未来、彼は一体何を仕出かすのだろうか。
まぁ、こんなあやふやな理由で彼をふっ飛ばしたり、白ひげにチクったりはしないけど。
私で言うと、少し前に私を倒して船長の座を奪ってやろうと目論む輩がいた。
彼は私が就寝中にこっそり部屋に忍び込み、短刀で寝首をかこうとしたのだ。その結果、私の肌に傷一つ付くことはなく、むしろ短刀が折れた。
それで目が覚めた私は彼を手刀で黙らせ、翌日彼に罰を与えることにした。
百獣海賊団は実力主義なので別に襲ってくること自体は良いのだが、その時は良い夢を見れて気持ち良く寝れていたのに中断させられたので腹が立ったのだ。
まぁ、罰といっても大したことはない。ヤマトの模擬戦相手になってもらうだけだ。修行だけでなく、しっかりと経験も積んでおかなければいけないからね。
結果は彼のボロ負けだった。というか死にそうになっていた。
大して覇気も覚えていないのにどうして挑んだのか、これが分からない。
そんな風に最近の出来事を思い浮かべていると、ある程度酒が行き渡ったようで、皆嫌がる事なく飲んでいた。どうやら不味いなんて事は無いらしい。
私はそれにホッとし、酒をラッパ飲みしている白ひげに視線を移す。私も盃に注いでゆっくりと飲みこみ、口を離して言った。
「このまま酒を飲んで終わりなのも味気ないですし、ちょっとお話ししませんか?」
「………ああ、いいぜ。ちょうどおめェに聞きてぇ事がある」
「おや、それは一体…?」
私が聞き返すと、白ひげは飲み干した酒壺を置いて答える。
「何でおめェ敬語なんざ使ってんだ?」
「!……それは」
まさか強キャラっぽいから使っているなんて言えない。どうしよう。何て言うべきだろうか。
そもそも彼がこうして聞いているのは、私が海賊見習いの時にゴリゴリの男口調で話していたせいだろう。
あの時は若かった。大体前世の記憶があるせいだ。そのせいで私は物心つく前、それこそ赤ん坊の時から自我があった。
それの何が悲しいって、私の生まれた国が戦争大好き国家だったのだ。そのせいで母親が数日と経たず消えてしまったのを覚えているし、天才だとか言われたせいで片手で数えられる年齢の頃には子供用の玩具では無く武器を握っていた。
そっからは激的な悲劇の連続で、はじめての
そんな状態のままロックス海賊団に拾われ、途中で「変えた方が良いかな」なんて悩みながらも「でもこの口調キャラで定着したしな」と思い、その間もその口調を改める事無く独立。
そして独立後、知り合いが誰も居ないのを良いことに口調を変えて
「………ロックス海賊団の壊滅は私にとって一つの区切りでした。だから……自分を変えたかったんです。戦闘狂の
「…………そうか」
つい深刻な雰囲気を出してしまったが、ノリは進学して新しい事に挑戦しようとする学生である。それかヤンキーが心を入れ替えて立派になろうとするあれか。
何にせよ、さほど重要な事では無い。戦闘狂から女海賊とか言っているが、前者の時も女海賊だったし今も狂うほどでは無いが戦闘は好きである。
前と変わったのは口調ぐらいで本質はほぼ変わっていない。強いていうなら、娘が出来たのと、二十年近く歳を重ねた程度だ。
「……それで、おめェは変わったのか?」
「んーまぁ、変わった……と思いますよ?前は戦闘第一みたいな感じでしたが、今はそうではありませんし」
「で、酒造りに没頭中ってか…?」
「いいえ、それは第三くらいです。第一は育児ですよ」
それを聞くと彼は珍しく目を見開く。
「お前……ガキがいんのか……!?」
「ええ、まぁ、娘が1人。これが可愛くて可愛くて。何をするにも愛らしく感じてしまい、少し困っちゃうくらいです」
「……………
「おっと」
つい緩んでしまった頬を手で抑える。そしてもう片方の手をパタパタと扇いで、酒のせいで赤くなってしまった顔を冷やした。
少し扇ぐのが速かったせいか指から小さな斬撃が飛んでしまったが特に傷はない。
私はそれを気にすることなく、話題を逸らすように「そういえば」と話し出す。
「先程から気になっていたのですが、部下に“オヤジ”と呼ばれているのは一体なぜ?…ひょっとしてリンリンのように全員貴方の子供なのですか?」
「あの女と一緒にするんじゃねェよ」
そうきっぱり言いつつ、酒壺は2つ目に突入する。私の酒を割とお気に召しているのだろうか。
聞いたところ、彼は身寄りの無く孤独な人を集めて義理息子大量生産しているらしい。
私の勘がもうちょっと何かありそうだと囁いているが、彼はそれ以上に話さなかったので聞かないことにした。別にそこまで熱烈に知りたいだとか思っているわけでは無いし。
それにしても“あの女とは一緒にするな”か。まぁ、白ひげはリンリンの事が嫌いだし、同族と思われるのは好ましくないだろう。
彼の事情を知らない私から見れば、白ひげもリンリンも家族を増やしまくってるし皆のパパ・ママの立ち位置にいるしで、彼らが同じものに見えてしまう。
違う点を言うならば、後者の方は血の繋がりが多い事だろう。
そういえば白ひげは血を分け与えた息子とか作ったりしないのだろうか。孤独な人を息子と呼ぶくらい家族を欲しているのに不思議だ。
なんて思いながらも私も2個目の蓋を開ける。そして自分好みの酒を楽しみつつ、予め多めに作ってといて良かったと過去の自分を称賛した。
「ふむ、息子以外はいないのですか?例えば…娘とか」
「いるが、戦闘に関わらせるつもりはねェ。……お前んとこのガキはどうなんだ?」
「もちろん戦わせるつもりですし、その訓練もさせてます。というか、本人がそれを望んでます」
打倒私を目標としてね。
いや傷さえ付ければそれで良いのだから倒さなくても良いのだが、実の娘に倒されるのは私の本望。
もしヤマトが私に勝てたら、その時に私が生きているなら称賛しよう。死んでいるなら安らかに眠ろう。何となくその後が気になって成仏出来ない気がしてならないが、その時は最善を尽くそう。
そんな未来への不安を感じていると、白ひげが「後はアイツだな……」と少し憎たらしげに呟いた。
今までの流れからしてリンリン以外で憎しみを感じるとは思わなかったので、私はその呟きがつい気になってしまった。
「アイツ……とは?」
「ん?ああ、聞いてやがったか…。おれの『弟』だよ」
「弟………?」
「ああ……」
そういうと彼はグビグビと多めに酒を流し込み、昔を懐かしむように言った。
「…アイツは自分の国が窮屈に感じたみたいでな、外の世界を旅したいが為におれの船に乗ってきた。もちろん、最初はおれもアイツの部下も拒否した。それでもアイツは引き下がらねェもんだから、『3日間、船の鎖を離さなかったら船に乗せる』なんつー試練を課した。そしたら、アイツは途中で抜け出して見ず知らずの女を助けやがったんだ」
「……へぇ、面白い人ですね。それでその人をどうしたんですか?」
「……乗せてやったよ。自分よりも他人を優先する、その人柄を認めてな」
自分より他人を優先する、その言葉で思い浮かぶのはヤマトを狂わせた『光月おでん』。
彼もまた、白ひげの弟と同じく自己犠牲精神を持っていた。
今思い返しても素晴らしい。けど、子供に見せてはいけないな。変に影響されたら困る。ソースは私の愛娘。
「その方は今どちらに?」
「知らん。…ったく、ロジャーの野郎。一年後には返すとか言っときながら返さねェまま死にやがって……」
「おや、貸したのですか?」
「おれは納得しなかったがな………」
そう彼は“しなかった”と過去形にしておきながら、未だに納得出来ていない様子。もしロジャーが存命だったら、今すぐにでも殴り込みに行ってそうな雰囲気である。
というか貸してもらったのに返さず死んで、その居場所を貸した本人が知らないって相当極悪な事をしている気がする。いやまぁ、海賊なのだから悪なんだけども。
流石に白ひげが可哀想だし、私もその人探しに協力するか。
「良ければ私もその人探すの協力しましょうか?」
「いらん。おめェには関係ねェからな」
「まぁ、そうですね。…ですが特徴やお名前だけでも教えて下さい。もし見かけたらお知らせします」
決して手をかけませんから。
ニッコリ笑ってそう付け足して彼を見る。それに彼は疑心の目で返してきた。
しかし、私が何も言わずただ彼を笑顔のまま真っ直ぐ見つめていると、それも次第に薄れていき、仕方ないといった様子でその特徴を話し始めた。
「ハァ………二刀流で独特な髪型をしてる『ワノ国』の侍だ。確か次代将軍になるだとか言ってたっけな。名前は『光月おでん』、つー奴だよ」
「……………………………………………………へ?」
彼が口にした名を聞いて、私は素っ頓狂な声を出した。
光月……おでん…?
聞き間違いだろうか。聞き間違いであってくれ。
でなければ私は、今、ここで、逃走か闘争の二択を迫られる事になってしまう。
つい変な声を出してしまった失態を誤魔化すように、コホンと咳をしてもう一度聞き直す。
「すみません、よく、聞こえません、でした。…もう一度名を言ってくれませんか?」
「……ああ?しゃあねェな、また聞くことが無いよう耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ。“光月おでん”だ。もう一度言わすなよ」
「…………いえ、大丈夫です」
何も大丈夫じゃない。
なんてこったい。私にとっても、彼にとっても最悪の事態だ。誰も幸せにならない。
ヤバい、どうしよう。光月おでんなら私、やっちゃったよ。探すどころの話しじゃないって。探せても遺骨ぐらいだよ。あっ、それ差し出せってか?そして弟が帰ってきましたねって言うか?サイコパスか何かか?
なんて考えてる暇もない、ヤバいって。
とりあえず落ち着こう。そして私が取るべき行動を明白にするのだ。よし、私の取れる選択肢は3つだ。
1つ、正直に自白する。
2つ、無言で逃走を図る。
3つ、武器を取り出しながら「弟に会わせてあげます」と言う。
私としては2番を希望したいところだが、一度彼に同情した身として、おでんはもう存命では無いと伝えず去るのは心が痛む。
なら一番かと言われれば、これもまた避けたい気持ちがある。絶対戦闘になるだろうし、そうなれば勝てる保証も無い。それに数の利もあるので、圧倒的に不利なのは私。
ここは『世界最強の生物』として戦うべきな気がするが、『世界最強の海賊』には敵わないのが現実である。海賊は生物の枠に入っていないのだろうか?
3番は論外である。というか、1番とほぼ同じ結末を辿るだろう。実質、私に残された選択肢は2つだけだ。
己の命か、良心か。天秤にかけられ傾いたのは己の命でした。
私は腹をくくって、重く彼の名を呼んだ。
「白ひげ」
「貴方の弟である光月おでんは」
「私が……殺しました」
「「「なッ!!!?」」」
「!!!!……………………てめェ…!!!!!」
瞬間、凄まじい覇気が私を襲う。あまりの気迫に圧倒されそうになるも、平静を保ち続け、丁寧に武器を取り出す。
その合間に彼は中身がまだ残った酒壺を投げ捨てて、側にかかっていた薙刀に手を伸ばした。
「おめェ……!!ウチのもんに手ェだしたらどうなるかぐれェ知ってるよな……!!?」
知らないわけがない。
海賊見習い時代、彼の仲間に手を出して思いっきり頭をぶっ叩かれたのを、今でもはっきりと覚えている。
叩かれるだけで留まったのは、私が子供だったからか彼なりに手加減してくれたのもあるし、一応同じ船に乗る仲間でもあったのもある。
しかし、今は違う。私はもう良い歳した大人だし、仲間でもない。
故に彼は手加減などしないだろう。これは仲間同士の喧嘩では無く、海賊同士の殺し合いなのだから。
彼は薙刀を振りかぶる構えをし、私は金棒を振り抜く構えをした。互いの武器には桁外れの覇王色と武装色が纒われており、海の皇帝を名乗るに相応しい迫力を生み出していた。
そして―――
「やっぱりてめェは何も変わって無かったな………!!!」
「それは、残念です……!!!」
その言葉と同時に、空が2つに割れた。
人知れず始まった皇帝の戦い。
それはやがて海風に乗って飛び、世界を驚かせる事になる。
そんな中、海軍はざわめく。
単独または少数で他の四皇のもとへ行き、その度激しい戦闘を行う女海賊に。
「カイドウめ……!!一体何が目的なんだ!?」
そんな男の声が、海軍本部で響いていた。
白ひげとカイドウの昔馴染み感を出すために色々考えていたら、白ひげの口調が分からなくなってしまった。多分こんな感じのはず……(自信無し)地震だけに(ボソ
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