金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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ぜひこの話からでも読んでみてください。


始まり始まり

月の光に照らされて、十字架と火をを囲み、何者かが宴会をしている。

「今回も立派な人間が取れた。これもすべて月のおかげだ。」

「月に勝利を捧げよ!」

そう誰か言うと、太鼓がドンドン!笛がピーヒャラ。鐘がチャキチャキ鳴る。

「やめてくれ!」

十字架の人間が叫ぶ。

「さわげさわげ!さわげば、月が我々を見てくれるぞ!」

十字架の人間は力の限り叫ぶ。

叫べば叫ぶほど周りが喜ぶ。

「くっ…」

人間は無理して騒ぐのをやめる。

「騒がないか。ならば、己から出る臓物を見たらどうかな?」

どず!

と囲む一人が腹にパンチ。

普通ならこれで穴は開かないが…どうやら、餓鬼か地獄道のモノだったらしい。

腹から腸が出てくる。

「うわぁ!」

「叫べ!泣け!そして我らの声を届けたまえ!」

囲むモノは叫び、踊り、音を立てて騒ぎ立てた。

朝方。

十字架の人間は死んでいた。

ただ、ただ死んでいただけでない。

骨だけになっていた。

肉と内臓はなくなっていた。

周りではモノどもが疲れ果てて寝ていた。

なにか食べながら。

なんなのかは暗くて分からなかった。

 

 

さて、何日か後のある河原の土手で赤いマントを着た女の子が、フラフープをしたり、ヨーヨーをしたり、縄跳びをしたり竹馬をしている子供達と混ざって遊んでいる。

「よーし、まつりちゃん。次は私だからね!」

「次は負けないよ!」

青髪で杖を持った女の人も近くの土手で寝転んでいる。

子供たちに話しかけられて、起き上がってみるが、すぐに泣きそうな顔になって、寝っ転がってしまうもんだから、子供たちももうなにも言わず、赤いマントの女の子と遊んでいる。

ちなみに、午前中にここを赤マントと青髪が通りかかって、もう夕方である。

遠くに見える山に太陽が沈もうとしている。

もっと驚くことを言うとこの二人、昨日は山寺まで、ある赤ん坊を届けたところである。

その赤ん坊もほぼ青髪が大事にしてきた赤ん坊だった。

山寺から離れるにしたがい、段々と足取りが重くなり、やっとの思いで、山寺から大きな川を隔てた対岸までやって来たが、力つきるし、もしあの赤ん坊と旅を続けていたら、こういう風にあの赤ん坊と遊べたのではないかと思ったら、妙な寂しさを覚えて、青髪は寝てしまったのだ。

しかし、この青髪。

寝ているふりをしているだけであることに気がついていた。

この子どもたち、体力がありすぎる。

おまけに体にどっかしら、アザやケロイドみたいなのがある…

もっとも、朝からずっと同じもので遊んでる。

なにか子どもなら飽きて違うのをするはずなのに、ずっと同じのをしている。

遊び道具を交換してるのは、まつりばっかりだ…

「海美。どうかしたの?」

赤マントが、寝ている青髪のところへやってきた。

「いや。もう夕方だから、どこに泊まろうかな?って思って…」

「そうだね。」

「みんなにさようならしてきて。」

「分かった。」

赤マントはさっと、子どもたちのところに走っていった。

 

「もう帰っちゃうの。」

「うん。私たち泊まるところを探さないとだから。」

「そっか。じゃあ、これあげる。今日はありがとう。」

そう言うと、天狗の面をつけていた女の子が面を外して赤マントに突き出した。

「これあげる。マントに似合うと思うよ。」

「ありがとう。」

そう言うと、赤マントは頭に巻いてみせた。

「似合う?」

「似合うよ!」

「そう。ありがとう。じゃあ行くね。」

もう遠くに青髪が杖をついて待っている。

沈む夕日と、青い髪、爽やかな柄の服が美しいシルエットになっている。

赤マントも走り出す。

「お姉ちゃん!」

子どもたちが赤マントの後ろから叫ぶ。

まつりは振り返る。

みんな遊んでいた道具を持っている。

「また遊んでね!」

「いいよ!」

そう言い返し、青髪の海美のところに走っていった。

子どもたちもどこかへ帰っていった。

ただ、まつりと違い、足取りが重そうだった。

もっと遊びたいというより、まるで家に帰るのがしんどい感じだった。

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