「あんまりいじらないほうが…」と鈴井貴之が言った瞬間に、大泉洋の座席シートが手前に倒れてツッコムシーンです。
良い音がなり、空間がドゴん!と反響する。
「…払い戻しはやった。持ってるはずだ。」
海美が後ろを見る。
何人かが音にビビったのか、お金をヒラヒラさせている。
「分かった。それじゃ。」
そう言って海美は一番近い袋を片手で探ると、一掴み懐にいれた。
そして土俵から降りようと歩きました。
「待て!」
もちろん猿が止める。
さっきも見た展開だ。
「この袋はなんだ?」
「あぁ、言い忘れました。これはあのお面の三人にあげてください。特に、猿の面の子の治療に使ってあげて。」
「ふざけるな。なんであいつらの心配をお前さんにしてもらわにゃならんのだ!」
急に声が大きくなる。
「私は1km以内で出来ることを言っただけですよ。」
「俺の持ち物にとやかく言わないでもらいたい。」
「なぜ?」
「あいつらは俺の人間だ。俺の奴隷だ。お前さんに俺のものについて言われたくないね。」
「ものね…」
海美は小さい声で答える。
「俺のものは、俺のやり方で処分を決める。貴様になにか言われたくないね。」
「そう…じゃあ、このお金は返すから一つ教えてくれない?」
杖で袋を指して言う。
「なんだ?」
「猫の面、内側に突起がついていて、女の子の顔に食い込んでいたんだけど、あれはあなたの指示?」
「そうだ。」
「…そう……」
「それじゃ。」
そういうと、猿は立ち上がる。
「どこ行くの?」
「俺のものを見にだ。悪いか?俺のものを俺が見て悪いか!?」
「……あんなに傷だらけにしておいて、『労を労う。』とは言えないの?」
「貴様…」
猿は、口では怒っているが手を出すことはない。
従者の女も動かない。ドアノブに手を当てて、早く出ていけよ。って雰囲気しか出してない。
「近づいて、服とか掴んでたから分かるけど、あのアザや皮膚の変色は、あなた、拷問かなにかさせてるでしょ?」
「…だから、何度も言うようだけど、俺のものに何をどうしようが関係ないだろ。第一、拷問していたからどうって言うんだ?」
「そんな無駄なことはやめなさい。」
「説教か。だから、何度も言うが、俺に歯向かうやつは半径1kmにいないんだ。それでも俺に歯向かうならいつでも相手してやる。だが、おめぇさん…たかが、あんな三人にあんだけの苦戦で俺に勝てるかな?俺に勝てるんなら、あいつらはとっくに反乱を起こしてるに決まってるだろ。それぐらい分かるだろ?」
そう言うと、猿は扉に近づく。
重厚感のある装飾がゴテゴテくっついた大きな扉に従者の女の人が手をかける。
猿がこっちを首だけ向ける。
「ほら。お前はなにも出来てない。」