金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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この話から読み始めたかたは、海美とまつりの関係はこんな感じだとお考えください。
また、これを順番で読んでいる人は、海美が想像以上にまつりの面倒を見ているとお考えください。


第一章 閉幕 第三話

「話は30年ぐらい前から始まってたらしいが、猿の親ってのが、行きながら地獄道へ落ちたらしいんだ。だから、子どもが人間道ではない。だからと言って、他の道のモノも殺すし、生まれた時にその道の親じゃない。

すなわち、他のモノからすると人間だが、天道や人間道からするとモノであると判定されているんだ。」

「…じゃあ、あれは殺しても人間じゃないのね。」

「そうだ。」

「良かった。」

「うん?」

「私が手をかけたんじゃなくて、まつり…赤鬼が手をかけたから気になってたの。」

「………。」

「「あっ…」」

2人で一緒にしゃべってしまった。

「どうぞ。」

骸骨が遠慮した。

「うっ……あなた、お名前は?」

「コーラと呼ばれている。あなたは?」

「私は、海美」

「海美さんか。」

「あなた、言いかけたことは?」

「っあ…はい。あの…ね。」

右手を顔に持っていった。

歯を掻こうとしたみたいだが、はっと思い、右頬を掻いた。

「いや…あの…どうして、俺が怖くないのかな?と思って…」

「なぜあなたを怖がるの?」

「俺の、左側…気持ち悪いだろ?」

「さっき親分さんに聞いた。気持ち悪くない。あなたは人間よ。」

「……じゃあ、なんで、さっきの病室で俺に触ったんだ?」

コーラがこっちを見る。

「あの時は、まだ俺が人間だか分からなかったろ?」

「あなた、私が戦っているとき話しかけてくれたでしょ?アドバイスを。少なくとも敵じゃないと思った。それと…」

海美はコーラの膝を触る。

ゾワァと鳥肌が広がる感覚がある。

また、布の上からでもわかる手の柔らかいや、皮膚が固まったマメだかタコだかを触る感覚。

「ゴミがついてるように見えたの。」

海美がピピピピと目線を下に落とし、膝上の手をびっくりしたように引っ込めた。

そして、すぐ、コーラの前髪を撫でてやる。

「こういうこと。」

たしかに木片みたいなのが海美の手についていた。

「…そういうことか。」

ちょっとしょんぼりしていた。

「あなたは?」

「うん?」

海美は手を叩いている。

「あなたは、みんなにもこの距離感なのですか?」

「まぁ…そうかも。」

「そうかぁ…」

コーラは、自分だけなんじゃないかと期待したが、そうでもない答えでガッカリした。

ただ、海美はまつりのことを考えていたので、余計に距離が近いのではないかと思う。

 例えば、さっき赤ん坊を寺に預けた後の動きを考えてみれば、海美はまつりの手を引いて移動した。

まぁそれぐらい同性でもあるかもしれないが、川の土手で少し休むことになったときは、木陰にまつりを先に座らせて、水を飲ませてやり、まつりを膝で少し寝かせてやり、起きたら海美は手拭いでまつりの顔を洗ってやるし、髪もとかしてやった。

出発前に荷物もいちいち確認してやるし、座っていたところを絶対振り返って確認した。

親分の宿の交渉も海美がしたし、海美も食べた飯も先にまつりに食べさせた。

まつりがまんじゅうに手を出したのはその後だった。

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