また、これを順番で読んでいる人は、海美が想像以上にまつりの面倒を見ているとお考えください。
「話は30年ぐらい前から始まってたらしいが、猿の親ってのが、行きながら地獄道へ落ちたらしいんだ。だから、子どもが人間道ではない。だからと言って、他の道のモノも殺すし、生まれた時にその道の親じゃない。
すなわち、他のモノからすると人間だが、天道や人間道からするとモノであると判定されているんだ。」
「…じゃあ、あれは殺しても人間じゃないのね。」
「そうだ。」
「良かった。」
「うん?」
「私が手をかけたんじゃなくて、まつり…赤鬼が手をかけたから気になってたの。」
「………。」
「「あっ…」」
2人で一緒にしゃべってしまった。
「どうぞ。」
骸骨が遠慮した。
「うっ……あなた、お名前は?」
「コーラと呼ばれている。あなたは?」
「私は、海美」
「海美さんか。」
「あなた、言いかけたことは?」
「っあ…はい。あの…ね。」
右手を顔に持っていった。
歯を掻こうとしたみたいだが、はっと思い、右頬を掻いた。
「いや…あの…どうして、俺が怖くないのかな?と思って…」
「なぜあなたを怖がるの?」
「俺の、左側…気持ち悪いだろ?」
「さっき親分さんに聞いた。気持ち悪くない。あなたは人間よ。」
「……じゃあ、なんで、さっきの病室で俺に触ったんだ?」
コーラがこっちを見る。
「あの時は、まだ俺が人間だか分からなかったろ?」
「あなた、私が戦っているとき話しかけてくれたでしょ?アドバイスを。少なくとも敵じゃないと思った。それと…」
海美はコーラの膝を触る。
ゾワァと鳥肌が広がる感覚がある。
また、布の上からでもわかる手の柔らかいや、皮膚が固まったマメだかタコだかを触る感覚。
「ゴミがついてるように見えたの。」
海美がピピピピと目線を下に落とし、膝上の手をびっくりしたように引っ込めた。
そして、すぐ、コーラの前髪を撫でてやる。
「こういうこと。」
たしかに木片みたいなのが海美の手についていた。
「…そういうことか。」
ちょっとしょんぼりしていた。
「あなたは?」
「うん?」
海美は手を叩いている。
「あなたは、みんなにもこの距離感なのですか?」
「まぁ…そうかも。」
「そうかぁ…」
コーラは、自分だけなんじゃないかと期待したが、そうでもない答えでガッカリした。
ただ、海美はまつりのことを考えていたので、余計に距離が近いのではないかと思う。
例えば、さっき赤ん坊を寺に預けた後の動きを考えてみれば、海美はまつりの手を引いて移動した。
まぁそれぐらい同性でもあるかもしれないが、川の土手で少し休むことになったときは、木陰にまつりを先に座らせて、水を飲ませてやり、まつりを膝で少し寝かせてやり、起きたら海美は手拭いでまつりの顔を洗ってやるし、髪もとかしてやった。
出発前に荷物もいちいち確認してやるし、座っていたところを絶対振り返って確認した。
親分の宿の交渉も海美がしたし、海美も食べた飯も先にまつりに食べさせた。
まつりがまんじゅうに手を出したのはその後だった。