金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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とりあえず、これで第一章を終わります。

このあと、今回の話の大軸が、あることがらの二次創作だということが分かります。
それまであと少々お待ちください。


第一章 閉幕 第四話

そんな感じなので、「他の人も同じ距離感なのか?」という問いには「YES」だった訳である。

コーラは明らかにしょんぼりして空を見上げた。

「もう一つ聞いて良い?」

「い、いいよ。うん?」

海美はぐいっとコーラを引き寄せると、頭を膝の上に置いた。

「えっ?」

「…たぶん、まつりにもこうするから。」

「……そう。で?」

コーラが上を見る。

頭を海美が触っている。

髪の毛があろうが、骸骨だろうが関係なしに。

「あの猿なんだけど、あの猿の家族は怒らないかしら?」

「それは大丈夫だと思う。あの家族ってのは自分達のテリトリーがあって、それを守るのが精一杯で敵討ちなんて考えても動けないと思う。

ただ、自分のテリトリー拡大を仕掛ける可能性はあるけどね。」

「じゃあ、攻めこられても逃げちゃえばいいのね。」

「まぁ、そうだ。俺は…俺は、隣のファミリーを殺しに行こうと思う。君は?」

コーラは、上半身を海美に預けていたが、下半身もベンチに乗せて、仰向けになった。

「私は、お金を貰いたくないから戦っただけで、もう手を引くわ。」

「……そっか。」

そう言うと、コーラは海美の手を頭から外させると、地面側に寝返りを打ちつつ、華麗に立ち上がった。

フーっと息を吹く。

「よし。俺も決めた。これから、ファミリー第三位を狙う。」

「………。」

「あっ、ちなみに猿は三十位な。」

「…いきなりそんなに強くして大丈夫なの?」

コーラは左の骸骨を触る。

「なーに。今の俺はなんにだって負ける気はしないね。…」

(別にこのまま死んじゃっても後悔はないし。)と呟いた。

「……あなたは無理しようとしてる。」

「ギクっ!?…」

「だけど、あなたは人として死にたいのね。」

「!…そうだ。人として、俺は死にたいと思う。あなたが人にしてくれた。この顔じゃ、人間にはなれないと思っていたが、海美さんは人間だと言ってくれた。これは絶対的な俺の力だ。」

「うん。」

「…俺は事実上、最強の一位、『長男』を狙う。」

「うん。」

海美も立ち上がる。

「私、もう行ってみる。」

「そうか。」

「ありがとう。いろいろ話だったりこんなんで触らせてくれて。」

「いやぁ…」

すすすすっと右手が歯にのびる。

「また、手!」

「あぁ、そうだ!」

慌てて手を引っ込める。

「じゃあ、海美さん。またどこかで。」

「さようなら。コーラさん。また色々話をしましょう。」

コーラは、早足に境内から出て、来た小道を走って行ってしまった。

海美もゆっくり親分の家に戻っていった。

シーンとした境内。

「なぁ、なあ。聞いたか?」

「聞いた聞いた。聞いたどこじゃなく見た。」

石で出来ている狛犬が喋り始めた。

ところどころ治されないものだから欠けている。

「あの骸骨、人としてとか言ってたけど、本当は青髪が好きだろ。」

「まったく。で、青髪も分かっているんだか分かっていないんだか分からないのがほんとおかしくって笑いそうになったわ。」

「だけど、あの骸骨可哀想だな。」

「あぁ、あの青髪、ある術がかかってる。強力な術だ。ちなみに性別はどっちに見えた?」

「私は女。あなたはさっきも言ったけど、男に見えたの?」

「そうだ。なんで、男同士膝枕なんかしてるんだって思った。ちなみに、何道に見えた?」

「もちろん、人間と畜舎よ。畜生に甘えるなんて珍しい人間だと思ったわ。」

「まったくまったく。ちなみに、立ってる木や草たちはなんに見えた?」

サワサワと木が枝を震わせて答える。

「なに?自分達と同じ木に見えたと言うのか。それはすごい術だ。アッハハハ。あれでは、あの骸骨も女の子ではなく、同性の人間に見えていたのであろうな。ただ、あんなに強い術がかかっているのも珍しい。あの杖のせいではなさそうだしな。」

「あの女の子、まだまだ隠してることがある感じだったね。」

「…動けないのがなんとっも歯痒いな。」

そんな話を狛犬と木がしていた。

人が通った後、風が木を震わせたら、狛犬とその人を噂しているのかもしれない。

狛犬が言った。

「あれ!?骸骨が戻ってきた。」

みんな動かなくなった。

「いないか…」

コーラは走って戻ってきたが、息を整える必要もない感じで辺りを見渡した。

「…海美さん、金を『貰わないために』戦ったってどういう意味だったんだ?」

コーラを吹き飛ばすほど強い突風が狛犬と木を揺らした。

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