受ける試験が終わりましたので、投稿を再開いたします。
また受ける試験が見つかればまた受けますが、またよろしくお願いします。
天人が猿の領地に現れ、六道を自由にしたのはその日の午後一番であった。
即日、親分が選挙管理委員長の選挙が行われることになった。
親分の手前完璧な選挙になると予想された。
海美とまつりは、天人が到着する直前に出発した。
新緑の美しい出発であった。
「そういえば、あのリング、土俵だったけど、私乗って大丈夫だったのかしら?」
急に海美がまつりに言った。
「どういうこと?」
まつりは貰ったお面をつけている。
「いや、お父さんから聞いたことがあるんだけど、あの四角くて、藁で円形に囲った土のフィールドを『土俵』って言って、そこで裸の男の人が『相撲』っていう力比べをしてたらしいんだけど、土俵は女の人は乗っちゃいけなかったんだって。」
「なんで?」
「もともと、相撲は神事として、男の人が行っていたかららしいし、大昔から女の人が乗らなかったからそれをなあなあで守ってきちゃったかららしいよ。」
「………。」
「もしかしたら、モノ達の方が差別なんか考えてない人間より優れた生き物かもね。」
「………。」
まつりはなにも答えなかった。
ただただギュッと海美の服の裾を掴むだけだった。
『頼まれ物を持っていく』
2人は、下り坂の左カーブを曲がる。
正面に橋がかかり、下に沢が流れている。
ただ、その橋になにかいる。
まつりが海美の真後ろに隠れる。
海美が杖を右手に持ち直すと、勢いよく坂を降り始めた。
坂を降りながらよく見ると、橋の上のものは動いている。
「なんだ?」
自分達と同じ方向に動いている。
その何かは橋の左側の欄干に捕まりながら動いている。
2人は橋の右側からそのものを追い抜こうとしたら、海美がなにかに気づいた。
「人間だ。」
それは10人ぐらいの人間の集団だった。
前の人の肩に捕まり、もう片方の手に杖を持っている。
笠を被り、大荷物を背負っている。
いまは欄干を掴んでいる人もいる。
みんな布切れを張り合わせた汚れたような身なりをしている。
そして、みんな背中に三味線を背負っている。
「これは、瞽女さんだわ。」
「瞽女さん?」
「この女の人たちは目がほとんど見えてないの。だけど、あの三味線を演奏して旅している人たちよ。」
「目が見えないのにどうやって旅しているの?」
「見て。」
海美はその一団を追い越した。
今度は橋の先にある急坂を上がって瞽女の集団を見下ろせるところから杖を突き出し説明を始めた。
「あの先頭の人はちょっと見えている「メアキメクラ」って言うの。その人が先導してくれているの。また、目が見えている人を雇ったり、瞽女さんが産んだ子供が引っ張っていく場合もあるみたいよ。」
「この人たちはどこに行くんだろう?」
「おそらく、私たちと同じ、この先のお寺でしょうね。」
「おーい!」
急に上から声が聞こえた。
振り返り、坂の上を見る。
右側に馬頭観音の石碑とお地蔵様が見える。
そこより左、道の真ん中に大八車を引っ張っているシルエットが見える。
「お嬢さんたち、どうなさった?」
太陽と重なり、よく顔が見えない。
「あそこに瞽女さんがいるので見てたの。」
海美はその大八車の男に近づく。
「それは大変だろう。俺らで助けてやろう。」
そう言うと、男は大八車を前にして上り坂を降り始めた。
それと驚いたのが、大八車になにか乗っていた。
「お嬢さんたち、それを見といてくれ。」
男が振り向いて言った。
「それってこの石碑?」
まつりが馬頭観音の石碑とお地蔵様を指差す。
「違う。後ろの、道の真ん中にある金の大仏。」
「大仏?」
2人は後ろを振り向く。
なんとそこには金ピカの螺髪(大仏様のつぶつぶの髪型)の大きな顔があった。