金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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お久しぶりです。
みなさんも6月になり、五月病ではなくなにかよく分からないもやもやが生まれているのではないかと思い投稿を再開します。
新型コロナウイルス感染症の心配がまだまだ続いていますが、楽しんでいただけたらと思います。

さて、また海美がお天道様の下を歩けないモノたちと大げんかのようです。


第一章第一部 地下の相撲

その日の夜

ある賭博場でえらいことが起きていた。

飛び入りで参加した杖をついた青い髪の女が、親を破産させる一歩手前まで来ていた。

当初、髪を青いカンザシでまとめた青髪と、天狗の面を被った赤いマントを着たキレイな女の子はお茶汲みやマッサージをして、ちょっとしたお金を遊び人、いや、モノから集めていたのだが、赤マントの女の子が、賭博場の飯盛女から

「どうぞ。」

と出されたおにぎりと饅頭に手をつけてしまったのだ。

「どうぞってのは、賭けてるモノに対してだ!」

賭博場のモノに言いたてられて、急遽青髪が代理で儲けた金、全額で賭けをやることになったのだが、強いこと強いこと。

トランプの数字を21にするブラックジャックで戦っているのだが、チャレンジャーが全員賭け札チップを奪われ、青髪の女の子の目の前に山積みになっている。

お陰で、女の子がチップの山に隠れて、青い髪の毛が少し見えているだけだ。

しかも、あと一歩のところまで親を追い詰めている。

「お嬢さん方。」

奥から偉そうなモノが出てくる。

背は海美と同じぐらいなのに横幅が三倍ぐらいありそうで、口の下歯が牙みたいになって鼻の横ぐらいまで伸びている。おそらく畜生道と人間道の混血みたいなモノだった。

「どうやら、ここに出てるドル箱で打ち止めでございます。どうでしょう、上られては?」

座りながら親分がしゃべる。

「…あと一息なので頑張らせてください。」

青髪は取り合わない。

「うーん…ならこれに変更しませんか?」

親分はコインの山を寄せて、青髪を木札からから出してやる。

「先生!」

奥から刀を2本差した侍風の男が出てくる。

「このモノ。人間と阿修羅の混血で居合がとてもはやい。みていらっしゃい。」

その侍の目の前にコインを投げる。

シュバ!

と目も止まらぬ速さで日本刀を抜き、コインを真っ二つにした。

「おぉ!」

見ていた観客がビビる。

侍はゆっくり納刀する。

これは親分の脅しで、普通ならコインも置いて客は逃げ出すのだが、青髪の女の子は眉ひとつ動かさない。

親分は恐怖で動けなくなったのではないか?と思った。

「どうだいお嬢さん方。お引き取りを…「じゃあ、その勝負、私が勝てば私のこのコイン倍にしてくださるのね。」」

親分をさえぎって、海美がしゃべった。

「なっ!?」

ザワザワと周りが互いに話し合う。

あんな技を見せられてそんなことを言うのか!?

青髪も結構な腕なのか?

と,言い合っている。

「…も、もちろんだ。」

親分が言ってしまった。

「先生。よろしいですか?」

侍はじっと海美を見つめたまま、海美の目の前で正座した。

「ようし…」

親分が羽織を抜いて、二人の上座に座る。

親分が懐からコインを出す。

侍が、長い刀に左手を添えて、青髪も左手で杖を持つ。

面白い戦いが見れるぞ。

と、お客さんたちがワッと集まる。

まつりは弾き出されて後ろの方から、しゃがんでみた。

意外と、足ばっかりなので見通しが効いた。

ただ、侍は見れるが、海美は木札の塔に囲まれていて見れない。

「勝負!」

親分がコインを投げた。

「もらった!」

侍は左手を添えた長い刀ではなく、もう一本の短い刀を、サッと抜き、コインめがけて投げた。

「まさか落ちてきたところを斬ると思ったろ!」

と言わんばかりだった。

しかし、青髪も驚く行動を取った。左手の杖でなく、右手で髪をまとめていたかんざしを引き抜くと、天井に投げたのだ。

天を舞うコインに小刀が刺さる直前で、互いの小刀とかんざしがぶつかり、かんざしと刀がもつれながら落下を始める。

「あっ!」

親分が声を上げる。

周りの観客も声を飲む。

そして、侍も目を見張ってしまった。

コインは落ちてくる。

そうだ!斬らないと!

侍が刀に右手をまわす。

しかし、青髪の女の方が早い。

杖を掴んでいる左手を、コインに向かって突き出す。

一瞬、杖の先がキラッと光った。

杖先を重力に任せて落とす。

落とした先には、侍の右腕が、

ドス!

と畳に杖が刺さる。

いや、杖から鎌の刃みたいなものが出て、侍の右腕と胴体の間の畳に突き刺してある。

二人の間に割れたコインがボタ。ボタ。と二つ落ちた。

もちろん真ん中でスッパリ斬られて半円のコインだ。

「おぉ!」

親分も観客も声をあげた。

海美は侍を見つめる。

「………。」

「………。」

「…まいった。」

侍がつぶやく。

相手の強さを認めて、プライドを砕かられた「まいった。」

であった。」

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