しかし、事前に那田蜘蛛山と蝶屋敷は見ておいたので今度は無限列車になります。
もっと詳しく言えば、四人が見た夢まで見てます。
大八車は住宅地を抜けると、林の中に入った。
西の空に太陽が沈みかけているもんだから西日が厳しかった。
林の中にはいると木陰になり気分が良かった。
しかし、50mもしない内に林が終わり、左手に墓場、右手に石で出来た公園みたいなのがあった。
そこも真っ直ぐ進むと寺の正面に着いた。
寺の境内に入ると、正面に瓦が敷き詰められた巨大な本堂と、右手にこれまた大きな庫裡がドカンとあった。
庫裡に声をかけるとお坊さんが現れた。
「あのう、今日公演やる予定の瞽女衆でごぜえますが…」
「あぁ、ちゃんととってありますよ。10名様でしたね。」
「えぇ。ただ、今日急遽泊まりたいという方が2名いるのですが…」
「なんです!?」
お坊さんは頭の数をパパッと見た。
「ありゃ…これは困った…実は、近くで天人が降臨なさり、その土地で一旗あげようとするもの、天人を見ようとするもの、が続々と泊まっており、元々予約であった瞽女様10名の部屋と、運送のスピカ殿の2名の部屋しか残っておりませんで…」
「私たちは床下でも物置でも」
「いやいや、ここは寺です。人間にそのようなことをさせて、お疲れさせる分にまいりません…しかし…相部屋なら…」
まつりが素早く海美の袖をひっぱり、顔を近づけさせて聞く。
「相部屋って他の人と?」
「うん。」
「………。」
急に震え出した。
「他の人が怖いの?」
「うん。」
「やはり、お坊さん…」
海美は一歩前に出た時、杖でドン!と音を立ててしまった。
お坊さんはじっと杖を見た。
「すみません。」
海美は自分が出した音に驚いた。
そのタイミングでお坊さんに高圧的と見られる態度はまずい…
「…その杖。もしかして、猿を追っ払ったという。」
「「えっ?」」
大八車の男と、目の見えない海美と話していた女の人が声をあげた。
「本当はわたしではありません…こちらの赤鬼です。」
「………もし、よろしければわしの部屋はどうかな?」
「良いんですか?」
「良いんじゃが……」
「では、お坊さんが…」
「わしは大丈夫。ただ、お二人にご迷惑かと…」
「………?」
なんか話が矛盾してるというか、ぐるぐる回っているというような、ここは一回仕切り直したい。
「なにか不安なことがあると思いますが…」
「うーむ…実はそうなんです。」
「それでしたら、他の方々をお部屋に通されてからでも…」
「そうですか。では、」
お坊さんは、瞽女衆を部屋に通した。
段差が無くしてある部屋だった。
アヤとスピカの部屋は本当に小さい部屋だった。
真四角な四畳半ではなく、長方形である四畳の部屋だった。
廊下かと思った。
で、問題のお坊さんの部屋だが、別に普通の部屋だった。
てっきりブッ散らかった畳も腐っているような部屋を想像していた。